(1)深夜の急患は○学生のデカパイ少女
「山田さん、大変です!」
三畑楽園キャンプ場の管理人室に、アルバイトの男子大学生が息せき切って駆け込んできたのは、そろそろ日付が変わろうとする時刻だった。
破れソファにだらしなく寝っ転がって競艇雑誌をめくっていたキャンプ場の管理人・山田茂五郎は「どうしたんだ、そんなに慌てて」と煙たそうな顔つきを大学生に向けた。
台風が近づいてきており、夕方からは風も強くなっている。
キャンプ場の施設に何かしらの被害が出たんじゃないかと勘ぐりながら、もしそうなら責任は全てバイトに押しつけようと茂五郎は考えた。
そもそも台風対策の準備はこのバイトの仲村に全て任せきりなのである。
「急患なんです!」
茂五郎は、更に顔をしかめた。俺は医者じゃないぜ、と思いながら競艇雑誌を閉じる。
盛大なあくびを一発カマしたあと「……で、怪我なのか?」と、うんざりしたような顔つきで尋ねた。
面倒はごめんだった。そろそろ寝ようかというときに、急患なんて迷惑きわまりない。
「風邪みたいなんですけど、すごい熱があって……」
茂五郎は仲村の顔をじろりと見た。
「ただの風邪か。一晩寝てれば治るんじゃないか」
「熱が40℃近くあるらしくて」
「救急車でも呼ぼうってか? こんな山奥まで来てくれるのかよ。しかも今日は土曜日だぜ」
下の町まで、車で30分強はかかる。
「キャンプ場の軽トラに乗せていくのはどうですか」
茂五郎はまず、ガソリン代がもったいない、と考えた。
「そんなにひどいのか?」
首筋をボリボリと掻きながら茂五郎は、滞在中のキャンパーは何組だったかと考えた。全く思い出せない。
ソファに座り直し、机の上に放りだしてあった帳簿を指さし「それを寄こせ」と仲村に命じる。
帳簿をめくると、三組のキャンパーが確認できた。
つい二日前までは一〇組近くいたはずだ。大半は台風に恐れをなして退散したのだろう。
「どこのどいつだよ」
「美野原さんのところの娘さんです。千夏ちゃん」
「千夏ぅ?」
すぐに、あのデカパイのガキか、と思い出した。最近のガキは、びっくりするぐらいに発育がいい。
*
三日前、長谷川一家がキャンプ場に到着した日、茂五郎は、共用施設の洗い場の蛇口が調子が悪かったので調整していた。
するとそこに、夕食の食材の入ったビニール袋を下げた千夏が一人でやってきた。
「こんにちは。管理人のおじさん」千夏は、気さくに声をかけてきた。
茂五郎は、すぐにだらしない顔つきで鼻の下を伸ばした。
「お、千夏ちゃんか」
名前を知っていたのは、家族がキャンプ場に到着してすぐ、茂五郎は場内での注意事項などを伝えるため、挨拶がてらテントに足を運んだからだった。
面倒くさいからたいていはバイトの仲村に任せるのだが、長谷川一家は女ばかりだったので、茂五郎が自ら足を運んだ。
母親は、10年前は美人だったろうが、今はもう見る影もないオバサンで、茂五郎はなるべく見ないようにした。
長女の千夏は、大柄で、胸の膨らみがずいぶんと立派だったから女子校生かと思ったが、なんと○学生だという。
切れ長の一重で、日本人らしい顔つきだ。なんだか学級委員でもやっていそうな真面目な娘に見えた。
その妹は小学校の低学年で、色気の感じられない、男か女か分からない存在だったので茂五郎は徹底的に黙殺した。
一家は父親の運転するワゴンでやってきた。父親はキャンプ道具を荷下ろしするとさっさとそのワゴンで走り去った。帰るときに父親はまた迎えに来るのだという。
*
「野菜を洗ってもいいですか?」千夏は茂五郎に尋ねた。
「ああ、いいよ、いいよ」茂五郎は気安く答えた。相手が男だったらブツクサ文句をいって追っ払っていたところである。
千夏はタンクトップに短パンという、夏らしい露出度の高い格好をしていた。
少女の甘酸っぱい匂いが漂ってきて、茂五郎は鼻をクンカクンカさせながら蛇口の調整を続けた。
(ああ……ええなあ。若いオナゴはええなあ……)
茂五郎の股間はムズムズと疼いた。
今年で60歳である。肉体的な部分では二十歳の頃と比べれば衰えはあるが、精神的な部分では一切衰えは感じなかった。いや、歳をとった分、妄想というかエロ的な思考は老獪だ。
ちなみに前科2犯の性犯罪者である。
そんな前科者がなぜキャンプ場の管理を任されているのか――
キャンプ場の持ち主は、山の上に住む寺の住職である。とんだ生臭坊主で、その住職と茂五郎はパチンコ屋で知り合った。住職はパチンコの他に競馬や競艇も好きで、ギャンブル狂いだった。
あるときそのギャンブル狂の住職は「キャンプ場を税金対策で運用しているんだけどね。管理をアルバイトの大学生に任せているんだが、その大学生が頼りなくて困る」と嘆いた。
「あんたのような押しの強い人がきてくれたらなあ」という言葉で、茂五郎は詳しく話を聞いてみることにした。
待遇は、住み込みで三食昼寝つき、と訊いて、ほとんどホームレスに近い生活を送っていた茂五郎は住職の世話になることになった。
*
千夏はビニール袋からジャガイモを取り出し、洗い始めた。茂五郎は作業をしながらも千夏の様子を観察した。
短パンから突き出た太ももは真っ白でムッチムチだ。胸の膨らみはとても○学生とは思えない。中に詰め物でもしてるんじゃないかというほどの体積を誇っている。
(これで○学生かあ〜? 近頃のガキはいったい何を食ってるんだ……)
千夏がジャガイモを洗うために前屈みになり、タンクトップの胸元が大きく開いた。
(おお〜)
白いブラに包まれた2つの膨らみが丸見えになった。
(デカイ……)
まるで熟れた果実のようだった。
ごくり、と茂五郎は生唾を飲み込んだ。このデカパイ娘の子宮に、自分の精液を注ぎ込みたい、という欲望を覚えた。
(このエロガキ……もしかしてわざとデカチチを見せびらかして、俺を誘ってるんじゃないのか)
茂五郎は、本気でそう思った。
「千夏ちゃんは、彼氏はいるのかね?」
「えっ」千夏は驚いた顔で茂五郎の顔を見返した。「そんな、いませんよ」と、はにかみながらうつむく。
「どうしてそんなことを訊くんですか」
「いや、千夏ちゃんはボインだからな〜。彼氏が羨ましいと思ってな。彼氏だったら千夏ちゃんのそのデッカイオッパイを揉んだり吸ったり好き放題だろうからな〜」
千夏の表情が凍り付く。嫌悪もあらわに茂五郎を睨み付けた。ジャガイモを放置したままきびすを返し、テントに向かって歩いて行った。すぐに妹を連れて戻ってきて料理の下ごしらえを再開した。しかも長袖と長ズボンに着替えていた。
(うう……俺の思い過ごしだったか)
少し茂五郎は落ち込んだ。しかし同時に腹立たしさも覚えた。キャンプ場の権力者の俺様にそんな態度をとるとは、いい度胸だ。
なんとしてでも、あのメスガキの子宮に精液をたっぷりと流し込んでやりたい、という欲望が胸にふつふつとわき上がってきたのだった――
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