色欲



 〈悪魔博士〉
 最後のターゲット、式誉は、私の元妻だ。
 離婚は、成立し、愛娘と一緒に生活をしていたが、仕事先の男との色欲に溺れ、愛娘を放置して、行方をくらませた。


〈式誉〉
 私は、今、小さな農村で暮らして居た。
 都会では、悪魔博士として有名なあの人の元妻として忌諱の視線に晒されて居たからだ。
 そんな視線にもあの人が愛してくれていると思って居たから我慢出来た。
 しかし違った。
 あの人にとっては、家族ですら、悪魔研究の邪魔でしか無かったのだ。
 それに気付いた時、私は、離婚を決めて居た。
 一緒に家を出た娘、真供鴉は、どうしてあの人と暮らしたいと家を出ていった。
 私は、取り返しに行けなかった。
 何故なら私は、今もあの人が愛して居るから。
 あの人の一番に成れないと解ってしまった今、あの人の顔を見ることすら辛い。
 今は、ただ、二人が幸せに暮らしている事を祈るしか出来ない。
 そんな私にも多少の幸せがある。
 村の人達の交流だ。
 都会のギスギスした人間関係に疲れ切った私には、他意の無い素朴のやり取りが無性に染み渡る。
「式誉さん、うちで取れた白菜じゃ、食べてくれや」
「いつもいつもありがとうございます」
 頭を下げる私に隣で大きな畑を持つ男性が豪快に笑う。
「良いんですよ。ご近所さんなんだ、助け合いましょうや」
「そうですよね。何かありましたら、私に出来る事なら何でも言ってください」
 私は、本気でそう思っていた。


〈悪魔博士〉
『詰らない男に騙されて、こんな田舎の農村まで逃げる羽目になったなんて情けないわね』
 私が運転する車の助手席から、式誉の今の姿を見て嘲笑するメフィスト。
「真供鴉を捨てた時の男は、もう傍に居ないのか?」
 確認する私にメフィストが意外そうな顔をする。
『まさか、それだったら許そうなんて仏心が芽生えたの? まさかと思うけど未だに愛してるなんて言わないわよね?』
 私は、妻だった式誉との生活を思い出す。
 悪魔以外の事で一番の関心を持てた唯一の存在だった気がする。
 しかし、それでも愛娘、真供鴉を捨てた事を許す気は、起きない。
「今は、どんなだろうと、真供鴉を捨てた償いは、させる。元妻といえ、いや元妻だからこそ絶対にその償いをさせなければいけない」
『そうよ、それが正解よ』
 ディープキスをしてくるメフィスト。


〈式誉〉
 まだ慣れない畑仕事を終えて借家に帰ると、そこには、昨日も白菜をくれた男性が居た。
「どうかなさいましたか?」
 私が無警戒のまま近づくとその男性は、私を家に引きずりこみ、畳に押し倒す。
「何をするのですか!」
 叫ぶ私に男性は、今まで見たことが無い卑しい顔を近づける。
「何ってナニに決まってるだろ! あんただってその気があったから何でもするって言ったんだろ!」
「そんなつもりじゃありません! 私は、ただ……」
 反論する私の口を男性は、無理やり奪う。
 強引に蹂躙される咥内。
 嫌悪感に涙がこぼれる。
 長い蹂躙が終わりようやく解放された私は、精一杯の大声を出す。
「誰か、誰か助けて!」
 次の瞬間、顔に激痛が走った。
「黙れ淫売! 知ってるんだぞ、お前は、夫だけじゃ物足りず、見ず知らずの男とセックスしまくってたんだろう!」
 男性の下劣な言葉に私は、力の限り反論する。
「違う! 私は、あの人以外に体を許した事なんて無い!」
 鼻で笑う男性。
「ガキでももう少しましな嘘を吐くぜ。浮気でもしなきゃ、テレビにも出ている男の元妻がこんな田舎暮らしをする訳無いだろう」
 胸を抉られる様な言葉。
「……知っていたのですか?」
 男性は、平然と頷く。
「こんな閉鎖的な村で隠し事が出来るなんて思っていたのか? 全部知っていたよ。村の男連中がやけに優しいだろ? 全部、お前を抱くためさ!」
「嘘……」
 愕然とする私に男性は、馬鹿笑いをあげた。
「コレは、お笑いだ。少しも気付いていなかったのかよ! その様子じゃ、俺がこの村では、一番乗りみたいだな。さっそくやらせてもらうぜ!」
 服を強引に脱がされる。
「嫌、やめてぇぇぇ!」
 泣き叫ぶ私。
「無駄だ! お前だってこの近くには、俺の家しか無いことくらい知ってるだろうが!」
 そして、一番親切にしてくれてくれる良い人だと思っていた。
「いくぞ!」
「そこだけは、許して!」
 必死に叫ぶ私の叫びを無視して男性は、勃起したアレを強引にねじ込んできた。
 まだ十分に濡れていないあそこへの挿入は、痛みが伴った。
「痛い! もう抜いて!」
 懇願するが男性は、許してくれない。
「オボコじゃないんだ! 少し我慢しやがれ!」
 こっちのことなどまるで考えない強引な行為。
 肉体の痛みとそれ以上の心の激痛が私を苛む。
「出すぞ!」
「中は、止めて!」
 最後の願いも男性は、あっさり無視した。
 私は、あの人以外の子種を子宮に出されてしまう。
「中々の名器じゃないか。また楽しませてもらうぜ」
 満足そうな顔をして男性は、去っていった。
 私は、ただ泣き崩れるしか出来なかった。


〈悪魔博士〉
『怖い顔、自分の元妻が他の男に抱かれるのがそんなに嫌だった?』
 メフィストの言葉に私は、顔を背ける。
『あらあら、でもああ成ったのは、貴方がこの村の井戸に入れた薬の所為だ』
 そう、私がメフェイストから渡された人の自制心を弱くし、性欲を高める薬の井戸に入れたのだ。
 あの男が式誉に邪な感情を持っている事を知っていて、こうなる事を知っていながら。
『やっぱり、あの女の事をまだ愛しているのだな』
「違う! 私にとって一番大切なのは、真供鴉だ! それを自殺まで追い込む原因を作ったあの女がどうなろうと知った事か!」
 反射的にそう怒鳴る私にしな垂れかかるメフィスト。
『違うだろ。あの女は、愛娘の復讐の為に淫獄に落ちるのを確認しなければいけないんだろう?』
「そうだ!」
 自分の中にあったためらいを打ち払うように叫んでいた。
『それで良い。それでは、その覚悟を示してもらう』
 メフィストが私のを取り出し車の中で性交を始めるのであった。


〈式誉〉
 悪夢の出来事を忘れようと、私は、畑仕事に精を出した。
 そんな私に村の青年達が近づいて来た。
 何時も親切にしてくれる人たちだが、昨日の事があって警戒してしまう。
「皆さん、どうなされたのですか?」
「聞いたぜ、昨日抱かれたってな」
 その言葉に、体が強張る。
「な、何でそれを……」
 青年達は、昨日と同じ様な卑しい顔で近づいてくる。
「自慢していたぜ、この村で一番に抱いてやったってな」
「名器だって自慢されちゃ、俺達も我慢してられなくなってよ」
「近づかないで下さい!」
 私は、後退るが、皆さんは、一気に近づき、押し倒してくる。
「嫌! こんな事をして、皆さんの奥さんや恋人が悲しみます!」
「別に悲しまないさ。あんたは、ただの余所者、遊びなんだからよ」
 青年達は、容赦なく、私の服を切り裂きむき出しになった胸を鷲掴みにされる。
「触らないで!」
「ケチケチするなよ、こんなデカイおっぱいを遊ばせておくなんて勿体無いだろ」
 愛情の欠片も無いただ自分の情欲のみの動き、嫌悪感しか沸く筈の無い動きの筈だった。
「あぁん」
 それなのに私の口から漏れた声は、甘く濡れていた。
「口では、何だかんだ言って、あんたもその気じゃねえか」
「違います! 今のは、違うんです!」
 必死に否定する私の乳首がつままれる。
「こんなに乳首をおったてておいて、そんな言い訳が通じるかよ!」
 悔しかった、どんなに心が嫌がっていても、体が青年達の行為に反応してしまうのだ。
「下の方もすっかり出来上がってるみたいじゃねえか」
 割れ目を擦り上げられると下着から湿った音を鳴らす。
 信じたくなかったが濡れているのだ。
 好意は、あったが愛しても居ない男性相手に無理やりやられていると言うのに私は、感じてしまっているのだ。
「どうして?」
 そう呟く私に青年達が告げる。
「あんたも溜まっているんだろ。俺達が満足させてやるぜ!」
 あれを取り出し私のあそこに押し当てた。
「止めて、こんな事は、おかしいわ!」
「直ぐに自分から欲しがるようにしてやるよ!」
 躊躇なく押し込まれる。
 痛みは、無かったが強烈な異物感が私を蹂躙する。
 そして、その後に待っていたのは、甘美な快感であった。
「あぁぁぁん、どうして、どうしてこんなに気持ち良いの?」
 私の意志とは、裏腹に体は、青年達のそれを受け入れ、快感を沸きあがらせてくる。
「こっちも愉しませてやろうぜ」
 別の男性が、私のお尻の穴を弄り始めた。
「そんな汚い場所を触らないで下さい!」
 嫌悪感のままに叫ぶが、青年達の指は、止まらない。
 本来排泄する為の器官を弄られていると言うのに、段々と気持ち良くなって行くのが恐ろしかった。
「そろそろ入れるぜ!」
「嘘、そんな所に入れないで!」
 私の悲痛な叫びなど届かない、青年のあれ、チンポが私のお尻の穴に突き刺さる。
 痛みよりも本来とは、異なる挿入による違和感、異物感が私に激しい嫌悪感を生み出したが、それも長くは、続かなかった。
 今だ続く、あそこへのピストン運動とチンポで両側から蹂躙された子宮が、際限の無い快楽の声をあげる。
「アァァァン! もう、こんなの駄目、おかしくなちゃうぅぅぅ!」
「おかしくなっちまいな! そら、一発目だ!」
 私の中で射精されてしまう。
 私の一番大切な所に愛の無い精液が蹂躙する。
 その熱い精液が私の頭を真っ白にしていく。
「イクゥゥゥ!」
 絶頂に達した私が脱力するが、青年達は、休ませてくれない。
 敏感になった私の体を欲望の赴くままに犯し続ける。




〈悪魔博士〉
『もう二時間もやりっぱなしなのに元気ね。ほら、またイッたわね』
 メフィストの言葉に苛立ちが起こる。
 それすらもメフィストの思惑なのだろう。
『あら、元妻の犯されている姿で興奮しているのね。良いわ、ここでやらせてあげる』
 メフィストが愛娘の両足を広げ、濡れた割れ目を広げる。
「今は、そんな気分では、ない。生気の補充なら後で良いだろう」
 私の返答にメフィストが近づき、耳元で囁く。
『あらあら、もしかして今更あの女の体が惜しくなった? なんだったら、あの中に混じる?』
「ふざけるな! そんな訳が無いだろう!」
 怒鳴り、押し倒すが、メフィストは、慌てた様子も見せない。
『だったらその性欲は、愛娘を生かす為に使うのが正解じゃない?』
 私は、感情的な反発を持ちながらも愛娘を生かす為の生気補充の為にメフィストに挿入する。
『いつもより激しいわ。そんなに元妻が犯されるところに興奮した?』
「五月蝿い! お前は、黙って生気を受け止めていろ!」
 感情のままに叫び、私は、メフィストに、愛娘の体内に精子を解き放つのであった。


〈式誉〉
 私は、抗った。
 でも全てが無駄であった。
 村全体で私を犯すのだ。
 警官まで平然と私をレイプした。
 閉じこもろうが、関係なく家に押し込んで来ては、私を自分達の欲望のままに犯した。
 そして私は、諦めた。
 快楽を受け入れた。
「もっと、もっと激しくしてぇぇぇ!」
「解ってるぜ!」
 私の上にのしかかり激しく腰を動かす男。
 へっぴり腰だった私に農業の基礎を教えてくれた男は、今では、私にセックスのイロハを教えてくれている。
「ほら、もっと腰を振れ、そうすればもっと気持ちよくなれるぜ」
「解ったわ、腰を振るから、私を犯して、私の中から全てが消える様に!」
 私は、言われるままに腰を振り、更なる快感を貪った。
「出すから、お前もイケ!」
「イクわ、私もイクからおもいっきり出して!」
 私が喘ぐ中、男は、私の中に大量の精液を吐き出した。
「イクゥゥゥ!」
 幾度目かの絶頂を迎え、動けない私を背に男は、去っていく。
 所詮、私は、遊び相手、性欲の捌け口でしかない。
 しかし、私は、ある意味、今の状況に感謝している。
 たくさんの男に抱かれ、快感に溺れている間は、あの人の事を忘れられるのだから。
 決して私の物にならなかったあの人の事を。


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