○第一の禁断


 日曜日、あたしは、家の掃除していた。
「竹兄も手伝ってくれれば良いのに」
 文句を言いながらあたしは、掃除機をかけている。
 そして、お父さんの部屋に入る。
「机の上の物には、触ったらいけないから、床だけ」
 そういってあたしが窓を開けて、床に掃除機をかけていると、カーテンがひるがえって、机の上にあった本が机から落ちそうになった。
 あたしは、慌ててその本を受け止めた。
「あぶなかった」
 安堵の息を吐いて手の元の本を見る。
 その表紙には、お父さんに教わった、ヘキサグラムが描かれていた。
「これが昨日言っていた本なんだ」
 あたしは、無意識のうちにそのヘキサグラムに触れてしまった。
 その瞬間、本が激しく輝いた。
 思わずあたしが本から手を離すと本を閉じていた器具が外れて、開いてしまう。
 すると、本の中から六つの光が飛び散って行った。
「今の何?」
 あたしが呆然としていると、本から妖精さんが現れた。
『大変、大変! 封印が解けちゃった!』
 あたしは、いきなりに事にどきどきしがら聞き返す。
「何がそんなに大変なの?」
 するとその妖精さんが質問を返してくる。
『さっき、光が飛び散ったの、見た?』
「うん、何か、変な色をした光が六つ、どっかに飛び散っていたよ」
 あたしの答えに妖精さんは、頭を抱える。
『やっぱり、大変な事になったわ! あれは、このせいしょから解き放たれた、六つの禁断なの。生物の肉体に入り込み、性欲を無限に増幅させるの』
「性欲って何?」
 あたしが首を傾げると妖精さんが真剣な顔をして答える。
『あの光が入った者は、物凄いエッチになって、後先考えず、女性にいやらしい事をするのよ!』
 あたしは、思わずテレビのエッチなシーンを思い出して顔を真赤にしてしまう。
「それは、本当に大変だね」
『解ってくれた?』
 妖精の言葉にあたしが頷くと妖精さんがせいしょを指差して言う。
『そういう事で、これから貴女がせいしょと契約を結んで、六芒星の力で、六つの禁断を封印していきましょう』
「ちょっと待って! どうしてそうなるの!」
 あたしのクレームに妖精さんが悲壮な顔をする。
『そう、でもそうすると、禁断の光を宿した人の為に多くの女性がとても口に出来ない酷い眼に会うのね。貴女がせいしょの封印を解いた所為で』
「……あたしの所為なの?」
 意外な言葉にあたしが聞き返すと妖精さんは、あたしの方に視線を向けずに答える。
『誰も貴女を攻めないわ。だって事故だったんだもん。例え、多くの女性が心と体に一生消えない傷を作ってもね』
 絶対にあたしを攻めてるよ、この妖精さん。
「バイィィィィィ!」
 二階から、今まで聴いた事が無い声で竹兄が叫んでいた。
「竹兄……」
 あたしが、混乱していると妖精さんがあたしを引っ張る。
『もしかしたら、貴女のお兄さんに禁断が宿ったのかもしれないわ!』
「そんな!」
 あたしは、ダッシュで竹兄の部屋に向かった。


「何処だ! バイィィィィィ!」
 あたしは、変貌した竹兄の姿に言葉を失った。
 竹兄は、裸で、おチンチンを今まで見た事無いほど大きくして居た。
 その目は、激しく充血して、真赤で、口からは、涎を垂れ流していた。
「バイィィィィ! あいつは、毎朝毎朝、セックスアピールしやがって! 俺が毎晩、どれだけお前をオカズに抜いていると思ってるんだ!」
『貴女のお兄さん、前々から貴女に欲情していて、それで六つの禁断の一つ、『兄妹性交』が宿ったみたいね。ほっとおくと、激情のままに無差別に女性を犯していくわね』
 妖精さんが解説してくれるが、それ所じゃない。
「どうやったら竹兄を元に戻せるの!」
 妖精さんは、笑顔でせいしょを指差して言う。
『方法は、さっき言ったわよ。どうする?』
 あたしは、覚悟を決めた。
「契約する。だから、竹兄を元に戻して!」
 妖精さんは、微笑み、契約の呪文を教えてくれる。
 あたしは、せいしょの表紙のヘキサグラムに手を当てて、呪文を唱える。
『原始からの理を持ちて、わが身と魂に六芒星の力を刻まん、刻印!』
 次の瞬間、せいしょのヘキサグラムが激しく光るとあたしのお腹に移ってしまう。
「嘘!」
 妖精さんが満足気に頷く。
『さあ、力を解放するのよ!』
 あたしは、お臍を中心に描かれたヘキサグラムに手を当てて呪文を唱える。
『六芒星の力を解き放たん、開放!』
 強烈な力があたしの体の中心から解き放たれ、着ていた服が消えていく。
「いやーん!」
 慌てて体を隠そうとするが、空中に浮かんでしまい、上手く動かない。
 その間に、不思議な布が集まってアニメの魔法少女みたいな格好になってしまった。
『うん、可愛いわよ。ああ、杖もちゃんとあるのね』
 妖精の言葉通り、あたしの手には、頭にヘキサグラムがついた杖が握られていた。
『ほら、今の光で人が集まってきたわよ。早く結界を張らないと』
 あたしは、窓から外を見ると、確かにこのままじゃ、変な噂がたってしまうので、あたしは、杖を掲げて呪文を唱える。
『我が行いは、崇高なり、ここに我が園を開け、楽園!』
 あたしは、竹兄と二人、世界から遮断された事を理解した。
「でも、なんで解るんだろう?」
 あたしが戸惑っていると妖精さんが答えてくれる。
『それは、お腹の六芒星の力よ。貴女が必要としている知識が自然と貴女の頭に流れる様になってるわ』
 あたしは、魔法の杖を竹兄に向ける。
「これから、どうすれば、良いの?」
 あたしの質問に妖精さんが自分のあそこを拡げながら言う。
『お兄さんの欲望を貴女が満たしてあげるの。その体でね』
 あたしは、顔を真赤にして怒鳴る。
「そんないやらしい事は、出来ないよ!」
 妖精さんは、自分のおチンチンを擦り続ける竹兄を指差して言う。
『六芒星の力で『兄妹性交』を貴女のお兄さんから解き放つ事は、出来るわ。でもそうしても、他の誰かにとりつくだけ。お兄さんも貴女に対する邪な気持ちを持ち続ける事になる。ここで『兄妹性交』と共に、封印すれば、お兄さんは、貴女との事で悩むことは、無くなるわ』
 あたしの頭に竹兄との思い出が過ぎる。
 確かに、竹兄の気持ちを知ってしまったらもう、もうまえと同じ様に顔を合わせられない。
「でも、兄妹でそんな事をしたらいけないって保険の先生も言ってたよ」
 戸惑うあたしに妖精さんがあたしのお腹を触りながら答える。
『近い親族でそういう事をしたらいけないのは、生まれる赤ちゃんが異常児になる可能性が高いからなの。それに、近すぎる関係から、お互いの関係を壊す事もあるからもね。でも安心して、全てが終ったら、貴女の体も、お兄さんの心も綺麗な状態に戻るから』
「……本当?」
『せいしょに誓って本当よ』
 妖精さんの言葉に嘘が無いことが解った。
 そして、あたしは、竹兄の前に出る。
「竹兄、今だけ、竹兄の恋人になってあげる」
「バイィィィィィ!」
 竹兄は、あたしを押し倒すと、スカートを捲る。

「これだ、これだ、これだ! 俺は、このマンコをしゃぶりつきたかったんだ!」
 そういって竹兄は、割れ目の形まではっきり見える薄い下着の上からあたしのあそこを舐めてくる。
「痛いよ、竹兄、強すぎ!」
 あたしの痛みに悲鳴を上げるが、今の竹兄には、届かない。
『良い魔法があるわよ、痛みを無くす魔法を思い浮かべて』
 妖精さんの言葉を信じて、あたしが、痛みを堪えて居ると直ぐに呪文が浮かんで来た。
 あたしは、杖を掲げて呪文を唱える。
『生殖の喜びをこの身に与えたまえ、快楽』
 するとさっきまで痛いだけだった竹兄の舌からの刺激が、変わった。
「何、コレ! あそこから凄い電流が流れて、頭に昇って来るぅぅぅぅ!」
 竹兄の舌が、上下するたびにその電流があたしの体を襲う。
 その電流は、激しくあたしを変えていく。
「イイィィィィ、これ凄く気持ちいいよ!」
 あたしが叫ぶと、竹兄は、下着をずらす。
「ヌレヌレだな、想像通り、エロエロだ!」
 恥ずかしい。
 でも、いまは、そんな事よりさっきの続きをして欲しかった。
「竹兄、早く続きして!」
 すると、竹兄は、おチンチンを握るとあたしのあそこに当てる。
「行くぞ!」
 竹兄が何をしようとしているのか気付いてあたしは、反射的に押し返そうとするが、無駄な抵抗だった。
 竹兄のおチンチンは、あたしの割れ目を押し広げて、進入してくる。
「痛いよ……」
 そう呟くしか出来ないあたし。
 そしてあたしのあそこから初めてを証明する、ロストバージンの血が流れ出す。
 想像した何倍もの痛みがあたしを襲っていた。
 でも、それ以上、あたしを混乱させたのは、おチンチンに擦られるたびに広がる、快感だった。
「アアアアァァァァン!」
 おチンチンがあたしの中を突き進み、遂に一番奥を突く。
「気持ちいいか!」
 竹兄の言葉にあたしは、しがみ付きながら答えた。
「キモチイイィィィィ! 竹兄のおチンチンが気持ちいいよ!」
 そのままあたしは、竹兄とキスをした。
 最初は、唇を触れ合うような簡単な、竹兄は、次のキスで舌を入れて来た。
 それもまた気持ちよかった。
 長いキスで頭がボーとしていたあたしに竹兄が言う。
「出すぞ!」
 何をと考えていた時、あたしの中で熱い液体が弾けた。
 その瞬間、いままで感じていた何倍もの快感に襲われて、あたしの頭が真白になった。


 竹兄は、何度も何度もあたしの中で熱い飛沫を放って、疲れ果てて寝てしまった。
『あんなに何度もいっちゃって、そんなに気持ち良かった?』
 妖精さんの言葉にあたしが睨みながら言う。
「魔法の所為だよ! それよりいっちゃうって何処に行くの?」
 妖精さんがクスクス笑いながら答えて来た。
『お兄さんに射精された時に頭が真白になったでしょ? それを絶頂といって、俗にイクっていうの』
 あの感覚を思い出して思わず顔を赤くするあたしに妖精さんが言う。
『とにかく、無事に『兄妹性交』は、封じたわね。六芒星の頂点の一つに光が灯っているのがその証拠』
 自分のお腹のヘキサグラムを見ると確かに、右下の頂点が光っていた。
「これって目立たない?」
 妖精さんが頷く。
『それは、せいしょにと契約した者にしか見えないから安心して。それより楽園を解いて』
 あたしは、杖を掲げて呪文を唱える。
『下界の者と共に歩まん、降臨!』
 楽園が解け、元の世界に戻った。
 するとさっきまであそこにあった竹兄のおチンチンの残留感が消えた。
『言ったでしょ、もう貴女は、元の清らかな処女に戻ったのよ』
 ヘキサグラムから流れてくる知識で、間違いない事は、解った。
 だけど何かあたしの中に違和感があった。
『自己紹介がまだだったわね。あたしは、ミよ』
 そういって手を差し出してくる。
 あたしは、とりあえず考えるのを後にして握手する。
「それじゃあ、ミーちゃんだね。あたしは、梅、バイって呼んで」
 こうしてあたしとミーちゃんとの六つの禁断を封じる日々が始まったのだ。


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