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「おう 目が覚めたみたいだな。ちょうど準備も終わったところで 好都合だよ。泣きも喚きもしない眠り姫をいたぶってもちっとも面白くねえからな!」

わたしの意識が戻ったことに気付いて わたしの身体を撫で回している男たちの一人が声をかけてきた。悪夢の中で身体の上を這い回っていた蛇どもの正体は こいつらの薄汚い手だったのか……。男の声には取り合わず 改めて ぼんやりとした意識を集中させて わたしはわたしの置かれた状態を確認して行く。

場所は 廃墟には違いないが さっきのビルとは全然別の所のようだ。例のバンに乗せられて 遠くに連れて来られたのだろうか? わたしを吊り上げているクレーンや鎖 それに機械油の臭いからすると 閉鎖された町工場のようだが それ以上の事は判らない。
わたし自身の状況はといえば さっきも言ったように M字開脚のまま鎖で全身をがっちりと拘束されている。あるいは と思って力を込めてみたが 残念 妖魔の毒が残っているのか まるで力が入らず 鎖が千切れることは無かった。
セーラーコスチュームは 胸と股間が引き裂かれて ボロ雑巾のよう……。下着も 無残に引き裂かれている。ひどい このパンティ 買ってからまだ二回しか穿いてないのに! 男の言う「準備」とは こういう事なのね……。

やれやれ まただわ……

わたしは心の中でうんざりして呟いた。そう。みんなには内緒にしているけど こんな目に遭うのは 実は初めての事じゃない。
スーパーヒロインだからといって いつもいつも悪人相手に全戦全勝できるわけじゃない。
今回みたいに敵の手に堕ちる事だって 自慢にはならないけれど セーラーVとして一人でスーパーヒロインしてた時にも何度かは経験している。大抵は危機一髪! ってところで切り抜けられるんだけど そのうちの何回かは力及ばずに……。

一人でスーパーヒロインをやるっていうのは 結構ハードな事なのよ。絶体絶命のピンチ! でも一人だと 誰も助けには来てくれない。そしてわたしはスーパーヒロインの仮面を剥がされ 一匹のメス犬に堕とされていく……。
もちろん 最終的にはわたしが相手の奴らを懲らしめて事件は終わる。「正義は必ず勝つ」のよ。そうでなきゃ スーパーヒロインなんてやっていられないわ!

でも 今は一人じゃない。みんなが 仲間がいるから大丈夫。
そういう思いが 逆に今回は油断になったのかもしれない。みんなが助けに来てくれることを信じつつも わたしはこれから行われるであろう屈辱的な事態を覚悟した。「最善を信じ 最悪に備えよ」と言う奴よね……。
今までだって わたしを散々弄んだ後の男たちは すっかり緩みきってスキだらけになっていた。逃げ出して形勢逆転を図れるチャンスは その時に幾らでもある筈だし 実際 そうして敵の手から逃れてきたからこそ いまでもわたしは スーパーヒロインとして活躍している! 大丈夫! 肉欲に溺れた振りをして男たちの油断を誘うくらいの経験は 不本意ではあるけれども 十分に積んでいる。そう自分に言い聞かせると わたしは男たちの愛撫に身を任せ 切なげな溜息を吐いた。


「おおっ 何だよ 可愛い顔して感じちゃってるのか? セーラー戦士っつってもしょせんメス犬って事かよ!」

わたしの誘いに乗るかのように 一人の男がわたしの乳房にむしゃぶりついて 舌で乳首を嘗め回す。心の底から軽蔑しながらも わたしは男の動きに合わせて可愛らしい悲鳴を上げてやる。乳首が充血して堅くなっていくのが判る。

けど これは肉体の自然な反応で 感じているわけじゃない。乳首やクリトリスは刺激に反応して充血して行く。大切な所に指やバイブが差し込まれたら 内壁が傷つかないように そして雑菌を消毒するために 愛液が分泌されてくる。それは肉体がそう反応するようになっているだけの事で 決して身体が男を欲しているサインではない。男たちはいつもそれを自分の都合の善い様に勘違いするのだ。

「へへへ こっちもいやらしい涎を滴らせちゃって 準備OKって事?」

案の定 私の大切な所に指を突っ込んできた勘違い男が 馬鹿丸出しの台詞を吐く。さも感じているかのように腰を振り身悶えしてやると 男はすっかり鼻の下を伸ばしてにやけ顔になる。こいつらを騙すのは造作も無さそうだ。調子に乗って三本の指でわたしの肉襞を掻き回す男を 心の中で嘲笑いながら わたしは「もうダメ」的な悲鳴を上げて身をくねらせてやった。男たちは皆 あそこに血液が集中して 脳味噌に一滴の血も残っていない そんな馬鹿面でわたしを見つめている。逆転の勝機は意外と早く訪れるかもしれない。わたしがそう思った次の瞬間 背後から冷たい声が響いた。

「さて 本番といこうじゃないか」


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