第二話『 脅迫 』
(視点・武田信晴)
コーディネイター…… それは遺伝子調整を受けた希少成功体を指している。 その名称の由来は解からないが、先人たちは……コーディネイター技術を発現させた『里見貴一』らは、俺たち稀少成功体をそのように呼んでいた。
コーディネイターと……一口に言っても、幾つかに分類されている。 後天的に遺伝子調整を受けた人物……そのプロトモデルとなった人物が…確か西条で教師(指導教官)をしている、と聞いたことがある。 勿論、プロトモデルということもあって……特性の効果の恩恵は…肉体強化と精力旺盛、規格外男性器までに留まり、言ってみれば、俺を作り出すための試作……試験体といった処だろう。
そして先天的に(受精卵の段階で)遺伝子調整を受けた存在……俺や、北条学区の『北条初音』が該当する、一般的なコーディネイターがこのタイプだ。
そして本来、生まれてくるはずだった優秀な姉妹(卵子)の全てを犠牲にさせて、全ての男の理想として調整された人物。この四条学区では知らない者が居ない……とさえ言える圧倒的な存在。 その『真田琴菜』だけは、俺たちコーディネイターの上位種……そう、唯一のスーパーコーディネイター……と言えるだろう。
「まだ夏の疲れだって残っているんじゃないか?」 「…山本監督……」 そのように問われた処で、俺には解からない。 体調は…決して悪くはない。 ただ俺は普通の人間とは、根本的な処で違っている。 俺は…コーディネイターだからな。 遺伝子だけを調整されたコーディネイターに外見的特徴はこれといってない。既に容姿端麗になるように…調整されていることが、特徴と言えば特徴かもしれないが…… 少なくとも、外見だけで他人をコーディネイターだと見抜くことは、およそ不可能だと言えよう。 (コーディネイターだって、決して万能ではない) 人よりも高い理解力と、人並み外れた高い身体能力を兼ね備えた、そんな俺たちだが……風邪をひいて寝込むこともあれば、怪我をして血を流すことだってある。
…だが。 「秋季大会だって近いんだ……」 最上級生の三年生が抜けて、俺を中心とした新チームの始動に伴い、山本監督としては、名将としての手腕を問われる処だろう。 「今日はもう、上がってもいいぞ?」 と、監督に言われれば、俺としても反論する気はない。 如何に俺が身体能力の優れたコーディネイターでも、日中の炎天下では練習する気にはなれない。監督しても、これで怪我でもされたら、目も当てられないのだろう。 「解かりました。それでは、お先に失礼します……」
実際、俺は酷いストレスを感じている。 確かに一軍の正捕手……太田先輩は、野球選手として優れた捕手だったが、俺の全力投球を受け止めるまでには至っていない。 敢えて全力を封印して、制球に神経を使う投球は、必然と俺の精神を摩耗させていった。 (……) 試合に勝ちたいんなら簡単だ。 俺の中等部時代の相棒、「松」を捕手に据えればいい。 俺が打たれない限りに……点を取られない限り、絶対に負けないのが野球だ。 「松」……『松田宗孝』は、その俺の全力投球を受け止めることができる、唯一の人物だった。 (その分、打撃は期待できないけどなぁ……) それが「松」を三軍以下の補欠とさせている原因だろう。
俺は携帯端末で警護の護衛に連絡を入れ、門外で待機するように伝達する。彼らは本土の実家、武田の家から送られてきた専業衛士。つまり、俺の専属護衛である。 これは俺だけに限らない。 (これは推測になるが……) 北条高等部の二年には(面識こそないが…)同じ『名五師家』「上杉家」の三女である『上杉朋香』にも、数人の護衛は連れていることだろう。
そこで俺は、俺専用の部室に近付く不審者を見つける。 (あれは…中等部の制服だな) 昨年に卒業した俺たちの世代の色と同じ……一年だな。 「おい、そこで何をしている!」 「は、はひ!?」 (……誰かの妹か?) それとも、また俺のファンかよ? 甲子園で優勝してから、というもの……以前よりも増して毎日、日替わりのように待ち伏せを受ける日々だ。 ……正直、もううんざり……辟易させられている。 だから邪険にして、蠅のように振り払うつもりだった。 …だが。
(へー、なかなかじゃん!) そうならなかったのは……そのそこに佇む彼女を品定めして、悪くはない……いや、かなりレベルが高いことを認めたからだ。 俺の知る美少女と言えば、北条の『真田琴菜』と東条では『井伊真由』の二人ぐらいだが、この目の前の少女も、その域に到達している。 少なくとも、俺の囲っている愛人(五人ほどいるが……)よりも、容姿では遥かに上なのは間違いないだろう。
だが、まぁ、丁度いいか…… 監督の計らいによって生まれた、この空いた時間。 愛人とさせた女生徒を呼び出すか、もしくは街中で新たな愛人候補を見繕う名目で遊ぶつもりだったが、その余計な手間が省けたかもしれない。
一般的に言えば、俺は嫌な奴だと認識されている。 (言い訳に聞こえるだろうが……) 俺の環境にも、その責任の一端はあるはず。 名家の中でも名家……『名五師家』「武田家」の跡取り息子にして、まして通常の人間よりも優れたコーディネイターでもある。 欲しい物があればすぐに与えられて、人にできないことが簡単にできてしまう。 (勿論、多少の努力は伴うが、な…) それがまっとうに育つはずがない。 人の痛みを知らない人間が、どうして優しくなれよう。 育ちの良さが品性を備えるなんて、稀なことだ。 その意味では、「上杉家」の『上杉朋香』…… 来年、西条に入学する「南部家」の『南部深雪』…… この二人は稀有な例外……だと思いたい。 (ふっ、確かに…言い訳だな)
俺のコーディネイター能力には、先天的特性として、異性の心象を強く惹き付けるものがある。 遺伝子調整を受けた同じコーディネイターと、精神的に、確固たる意志を持つ相手には効き目が薄いが…… 目の前のこの美少女も、中等部の女生徒とはいえ、恋する乙女のせいか……その効果の兆候は見受けられない。 (だけどな……) 俺は懸命に弁明しようとしている、そんな相手の戸惑いを受け流し、唐突にその唇を奪って塞いだ。 キスされた驚きに目を見開き、強張った小柄な身体で抵抗するような仕草を見せ……次第に彼女の身体は弛緩し、俺の存在を受け入れていった。 舌を絡み合わせていく。 (俺とのキスで堕ちない女なんて、は存在しない) 現に舌を絡み合わせている少女の表情は、完全に蕩けてしまっている。そして身体の方は次の段階を期待させていることだろう。 俺は携帯端末で、俺専用の部室を解錠し、彼女を室内へと連れ込んだ。 …そういえば、まだ名前を聞いていなかったな。 「お前…名前は?」 連れ込んだ室内で再び唇を奪い、唇と唇が離れたその合間に尋ねる。 「……瑞希」
無論、俺がいくら理解力の高いコーディネイターであるからといって、その瑞希……『結城瑞希』が、「松」……宗孝の彼女であることなど知る由もない。 コーディネイターとはいえ、万能でも……まして全能でもないのだ。 俺が思ったのは、瑞希という名前が、彼女に相応しい語感だと感じたことだけだった。
仮眠用のベッドに彼女を押し倒し、健康的な太腿が覗ける短めのスカートから、白いショーツを引き摺り剥いでいく。 穢れない色合いの女性器が目に入る。 …もしかしたら、『処女』か?
この時代における『処女性』は極めて高い。 とりわけ名家の中では『不文律の誓約』という言葉が生まれ、現代でも『運命の相手』という言葉が生まれるほどに。
俺は閉ざされている割れ目を唇で丹念に触れる。 俺には既に五人の愛人(セフレ)があり、いずれもが『処女』だった女生徒だ。また愛人の枠に入れることはなかったが、これまでに性交してきた『処女』の数も数え切れない。 それだけに俺は『処女』への扱いには手馴れている、と、言って過言ではないだろう。 幸いこれも俺の特性によってだが……俺の愛撫で濡れない女は存在しない。 瑞希の乳首も突起し、自己主張を始めている。 俺はこの特性を『強制発情』と名付けたが、あながち間違った名称ではないだろう。そしてそれは相手が『処女』であっても例外ではない。 「…………」 俺は瑞希の身体が完全に弛緩させ、男を受け入れる態勢を整えたことを確認してから、自身の男性器を曝け出す。 常人の大きさではない。 その『規格外男性器』だ。 西条のプロトモデルを起点させた、この『規格外男性器』はあらゆる異性の身体を虜にさせてしまう。その西条のプロトモデルが強姦・レイプを繰り返し、未だに処断……罪に問われないのは、この恩恵に寄る所以だろう。 「お、お願い……そ、それだけは……」 「ん?」 「は、初めては……、そ、そう…ちゃんに、って……」 瑞希は健気なまでに懸命に哀願してくる。 恐らく、理性を掻き集めて、懸命に。 (彼氏、の名か…?) だが、俺は最初から見逃す気は微塵もない。 これほどの美少女である。 全ての男の理想として創造された『真田琴菜』には、さすがに及ばないにしても…この東条高等部の「東海の至宝」とされる『井伊真由』には肩を並べられることだろう。 その美少女……ましてその『処女』を奪える機会なんて、俺でもこの先にまたあるのか、ないのか……というそんな気がする。 瑞希の可憐さは、それほどのレベルだ。
俺は一気に瑞希の膣内に突き込んでいく。 さすがに狭い……俺の規格外ともなれば、瑞希の破瓜の激痛には同情するが、俺にはもうそんな気遣ってやれるほどの余裕もなかった。 (っ…マジか……!?) これまで俺と性交してきた『処女』の中でも、これは良い名器だな、と思った相手を愛人(セフレ)としてきたが、ここまで具合の良かった名器は……その愛人(セフレ)の中にも存在しない。 伝説ともされた『極上最上級名器』の存在。 俺はそんな眉唾な伝説の存在を鼻で笑ったが、あながち、真っ赤なデタラメではないのかもしれない。少なくとも、この瑞希の身体は、これまでに俺が名器だと思ってきた愛人たちのそれと明らかに違ってしまっていた。
俺は一気に瑞希の純潔を奪い、彼女の膣内に埋没させては子宮口に到達させる。それだけに瑞希の激痛は相応のものであったことだろう。 だが、これも瑞希を思い憚ってのことだ。 (その方が気持ちいい、って、のも否定しないがな……) 先に触れたが……俺の男性器はプロトモデルを起点させた『規格外男性器』だ。それを一気に埋没させて、子宮口に到達させることに瑞希に苦痛(俺には快感だが)は伴わなさせるが、それだけに早く男性器に馴染ませ……瑞希を感じさせることができる。 現に破瓜されて、涙を浮かべている瑞希には、奥深くまで抉られた激痛とは別に、俺の男性器を受け止めた余韻…蕩けさせた顔を見せ始めてもいる。
やばいなぁ、この身体…… 本当に『処女』でこれかよ……エロ過ぎるだろ! 具合、良過ぎるぞぉ…… 素晴らしい、性能じゃないか! 何とか俺の物にできないか?
気が付けば、俺は瑞希の膣内に果ててしまっていた。 これほど余裕がなく、俺が射精を迫られたのは、初めてのことである。それが屈辱、って思えないほどに、瑞希の具合が良過ぎたのだろう。 しかもこの俺が無我夢中で、三発も…だ! どうにかして、これを手に入れられないだろうか? 幸い、今日は週末……明日から連休だ。
「俺さ、これから暇なんだよね……」 「………」 俺の『規格外男性器』の攻めもあって、瑞希は息も絶え絶えの放心状態。初めての激しい性交に、初めて受けた夥しい膣内射精。 初めて尽くしなそれだけに、痙攣させて、ただぐったりとさせられていた。 「………」 「はい。記念撮影ね……」 護衛も校門前に待たせたままだな。 俺は携帯端末で、無残にも破瓜されて、膨大な量の精液を注ぎ込まれた瑞希を画像に収める。
「瑞希ちゃん……今晩、付き合ってよ……」
瑞樹の『運命の相手』となった俺が、彼女を脅迫した。
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