第二話【 誤算 】
神露と契約を結び、それから二週間が経過した。
そして、火曜日の早朝・・・・彼女から、初めてのメールが届く。
《 明日香、本日、生理あり 》
《 決行日は、日曜日。勿論、三日間でokよ 》
《 決行日に、またこちらから連絡します 神露 》
クックククク・・・・
このメールを閲覧したとき、立花は人目も憚らずに、笑わずには居られなかった。
・・・・遂に、遂にこの日がきたか・・・・
クックククク・・・・
それも無理はない。神露と契約してからというもの、彼はそれ以来、一度の性交はおろか、自慰までも自重してきたのである。
「立花さん、どうしたんです?」
撮影スタッフの一人が、そんな立花を見て不審に思ったのかもしれない。
「ん、いや・・・・」
今、立花は友卵会の会員による、美少女の輪姦現場にいる。撮影の現場では創始者である立花自身が監督の役割を担う。
「こういう現場を見ると、俺もつい、美少女を孕ませたくなる・・・・」
「ですね・・・・」
目の前で繰り広げられる競演には、一人の美少女が六人の膣内出し権購入者に輪姦されている。膣内出しする順番こそ、購入額の高額順と決まっているが、それ以外の(※熱が下がるため、アナルだけは厳禁)口、手、胸などは、購入者の自由である。
何番目の男が美少女の膣内に挿入している中、一人の男が美少女の背後から胸を断続的に握り締め、一人の男が口内をペニスで犯している。左右の両手も、それぞれペニスを握らされ、既に室内は生々しい精液と、雌の甘い匂いだけに満たされている。
今や、美少女の瞳に光りはない。当然だった。つい先ほどまで穢れない処女の身であり、危険日のアタリ日にも関わらず、男は絶えず膣内出しで果てていくのである。
もはや妊娠は確実であろう。
「ロスト服用中で、良かったですね・・・・」
これが正常な状態で輪姦されていたのならば、彼女の精神は既に崩壊していたことになる。例え崩壊を免れても、この少女にとっては自殺ものだろう。また精神が立ち直った、としても、相当なトラウマは避けられないことだろう。
「まぁ、壊れてしまえば、普通の睡姦と変わりませんね」
睡眠薬と違い、ロストを服用して犯される少女の反応は、ほぼ正常な状態といえるだろう。処女膜を突き破れば痛がるし、膣内に挿入すれば締め付けもする。
例え思考能力が低下した状態でも、性知識を備えていく高学年になるにつれて、自分が何をされているのか、自ずと理解できてしまう。
ただそれらの記憶が一切にして残らない。
この卵子提供者に限らず、もし自分が輪姦されているアダルトDVDの映像を見るようなことがなければ、ロスト服用者には永遠に知る由がない。
《 ドクン・・・・ドクン、ドクン・・・・ 》
少女の身体に仕掛けられた拡張マイクが、またもや膣内出しされていく音を室内全体に伝えていく。
「たまんねぇぜぇ・・・・この身体よぉ・・・・」
膣内出し終えた男が受精させた美少女から離れ、次の順番の男がそのポジションに代わっていく。
一瞬、その膣内出しされた美少女の姿が、毎晩、写真を眺めている篤川明日香に重なって見えた。それだけにこの二週間の性欲を抑えている立花には、これ以上にない責め苦ではある。
厚かましいスタッフの中には、時に混ぜて貰うこともあるが、そういう奴に限って友卵会の会員に敬遠される。立花自身もことあれば、すぐに首を切った。当然だろう。会員たちは高い金銭を払うことで膣内出し権を購入し、美少女一人を種付けしているのだから・・・・
そして遂に・・・・
立花にとっては待望の、そして・・・・篤川明日香にとっても、運命の一夜になるであろう、その日曜日の朝が訪れる。
立花は撮影機材一式を積んだ車で、桜花中学の女子寮から少し離れた場所にある駐車場を選んで待機。
普段は撮影スタッフ、膣内出し権購入者たちで時間を潰さなければならない。しかし、篤川明日香を犯す男は、立花一人。自分から望んだことではあるが、待機するときの一秒が非常に長く感じられた。
まぁ、いい。遅くとも今晩から・・・・
《 pluuu・・・・ 》
唐突に立花の携帯が鳴る。
《もしもし、立花さん?》
「おう、早いな。どうした?」
《明日香、先ほど出かけたから・・・・》
立花は神露と待ち合わせ、二つのトランクを運び出す。
明日香の処女喪失シーンを収めるべく、小型カメラが十二、自動追尾型カメラ、立体映像撮影型カメラ、拡張マイク、排卵検査薬、排卵測定器。また、明日香との三日間を、より濃密なものにするための精力増強回復剤などが、二つのトランクにぎっしりと詰まっている。
「あれ?」
待ち合わせ場所で神露が驚きの声をあげる。
「立花さん一人なの?」
「ああ・・・・」
「ふぅぅん。気に入ってくれたみたいね・・・・明日香のこと」
まるで中学生に見透かされた気分に、立花は思わず視線を背ける。
「軽蔑してくれていい」
もうすぐ四十にもなろうという男が、十四歳の少女に欲情しているなどと、立花のような職に携わるものでも羞恥を憶えずにはいられない。
「わたしは男じゃないし、まだ学生だから解からないけど、普通なんじゃないかな?」
神露を先導に、立花は後に続く。
「生徒に手を出している教師は、立花さん以上に歳いってるし、そんなに気にすることじゃないと思うな」
確かに立花に買春を仲介に来る男の中には、立花より年上であり、中には明日香よりも年下を求めてくる男も少なくはない。
決して多くはないが・・・・
桜花中学の女子寮。神露たちの部屋は、ここの最上階(七階)にあり、出入り口は正面玄関だけ。また昇降エレベーターまでに到達するまでには、正面の電子ロックゲートを抜けなければならない。
神露の同伴でなければ、かなり骨を折ったことであろう。
「あ、荷物、部屋のほうにまでお願いします」
神露の一言は、立花に向けられたものではなく、すれ違う他の女子生徒に聞かせるものであった。この一言によって、立花は誰に不審な目で見られることなく、男子禁制の花園へ足を踏み入れることができる。
セキュリティーカードを通し、鍵が解除される。
「どうぞ・・・・」
神露が扉を開き、立花の入室を促した。
女生徒特有の甘酸っぱい匂いが、立花の鼻孔をくすぐる。
神露たちの部屋は、正面に外界を見渡せるリビングがあり、右手後方にキッチン、左手後方が浴室となっている。それらの両脇にある左右の階段から、それぞれの個室へと繋がっている設計である。
「今時の中学生の寮は贅沢だな・・・・」
「そう? ん、でもうちは中学といっても、私立だからね・・・・今、紅茶を入れるわね」
立花は片方のトランクを開けて、盗聴器と隠し小型カメラをセットする。
「キッチン、浴室にもセットさせて貰うが・・・・」
「構わないわよ。明日香を孕ませてくれるのなら、わたしはどんな協力も惜しまないわ」
神露はティーポットをテーベルに置き、室内を歩く立花に振り返った。
「その代わり、一つ、お願いがあるんだけど・・・・」
「ん、なんだ?」
「立花さんが明日香の処女、貰ってくれるわけでしょう?」
「すまんな、俺みたいな男で・・・・」
「いえ、むしろ歓迎しているわよ」
神露は一足先にリビングに座り、注いだ紅茶を啜った。
立花のような巨漢に、明日香の華奢な身体は明らかにミスマッチだ。まして処女でもある明日香の激痛は、生半可なものではないだろう。
「だから、わたしも明日香の処女喪失シーンには、立ち会いたいのよ」
「・・・・」
原則的に契約者が現場を立ち去らなければならない、という規則はない。
これまでにおける友卵会の契約者となった少女の中には、提供者が輪姦される場面を・・・・種付けされていく瞬間を、じかに望むものは少なくない。特に契約者が提供者に憎しみないし、負の感情を抱いていた場合などが顕著だ。
今回のこの神露の申し出も、この一例に該当している。
今日を迎えるまでの三週間。立花はただ神露からの連絡を待っていたわけではなかった。もっとも信頼のできる探偵に、篤川明日香と神露ベルヴェディアに関する調査を依頼していたのである。
この業界に長い間、身を置いてきた立花だけに、下手な勘ぐりや深い詮索をするつもりはなかったが、あくまでも保険という意味合いもある。また、明日香を犯す上でも、この美少女の背景をより多く知っておきたい、という思惑がたぶんにはあった。
その探偵から報告されてきたのは、二人の女生徒の間を繋ぐ、玖堂戒という男子生徒。昨年の末、桜花中学へ転入してきた、かなりの美男子である。
転入してきた当初は人見知りする内気な性格だったが、次第に周囲と打ち解け、そんな彼に対して篤川明日香が・・・・そして密かに神露ベルヴェディアも惹かれていったのだろう。
そして今春、同じクラスメイトになった明日香が、戒に急接近。
今時の中学にしては珍しく、奥手の性格もあって会話する程度の進展度ではあったが、違うクラスになった神露には、それが面白いはずがない。
まして、神露と明日香は、同じ寮の相部屋なのである。
「勿論そのあと、二人のお邪魔にはならないように、退出するわよ」
「好きにしろ・・・・」
立花はカメラと盗聴器のセットを終えて、ソファーに身を下ろした。
立花や神露にとって予想外の出来事は、明日香の帰宅と同時に訪れた。
「ねっ、ねっ、神露ちゃんの作る御飯は、凄く美味しんだよぉ〜」
なんと玖堂戒を女子寮に連れ込んできてしまったのである。
この予想外の突発的な出来事に、神露だけでなく、立花までもが驚きを禁じえないでいた。
「あ、明日香、ここは女子寮の・・・・部屋・・・・」
「大丈夫だよ。部屋は神露ちゃんの二人部屋だし、今日は日曜日で学校もお休みだもん」
玄関先から男子生徒の手を引っ張る明日香に、リビングで神露が頭を抱える。
「そんな問題じゃないでしょうに・・・・」深い溜息を吐いて「まぁ、明日香らしいわ・・・・」
既に立花は神露の個室に待機している。仕掛けた盗聴器で、リビングの会話を耳にしているだろうが、全く予想外の出来事である。
「ねっ、神露ちゃん、いいでしょう? 戒くん、御飯に呼んでも」
既に呼び込んでおきながら、明日香は屈託のない笑顔を見せる。まさに事後承諾。推しの一手とは、このことをいうのだろう。
「神露ちゃんの作る御飯、勇基ちゃん(義兄)の御飯より上手だし・・・・」
「もぉう、解かったわ」
天然なだけに強引で無邪気、かなり常識離れしている。それも相部屋の神露だけに慣れたものである。また自分の作る食事を戒が食べることには、神露は異存どころか、むしろ歓迎すべき事態であろう。
ただ今、彼女が抱えている問題は、ロストを仕掛けるタイミングだけであった。
「それじゃ、三人分で用意する準備するから・・・・戒くんとリビングで寛いでいなさい」
神露はそう言い残して、立花が待機している個室へと戻ってきた。
「ごめんなさい・・・・」
「いや、お前が謝ることではないだろう」
実際に、神露に手落ちがあったというわけではない。
監視カメラから見る、生きた明日香の姿は、写真で見たそれよりも遥かに活発的で、表情が豊かな美少女であった。愛らしい顔立ちに、長細い美脚。立花が抱き締めれば、折れてしまいそうな華奢な腰つき。
「立花さん・・・・延期にする?」
ただ明日香をレイプする、というならば、それも有りだろう。
だが、明日香の排卵日は今日か、明日のどちらかである。明日香を確実に孕ませる、ことに限定させるのならば、更に一月近く・・・・明日香が次の生理を迎えるときまで、待たなくてはならない。
立花は懐から、予備のロストを取り出す。無論、明日香に服用させることになる特別製とは異なり、従来の友卵会が使用するものだ。
これを玖堂戒にも服用させる手もある。
「戒くんにも、ロストを・・・・」
「そうだな・・・・」
服用させてしまえば、戒にも明日香がレイプされている記憶が残らないのだから、例え彼の目前で犯そうが、何ら問題はない。
ただ、この場合の問題は、二人が同時に発熱で寝込んでしまう、ということだろう。それをただの偶然と片付けるには無理がある。
このとき、神露に一つ名案が浮かぶ。
「明日香の病状は、かねてから決めてあったように、インフルエンザということにしておきましょう」
これならば、明日香が二、三日寝込んでも問題はない。学校には部屋の相方である神露が申請する。幸い、現在インフルエンザが蔓延していることもあり、誰一人としてそれを疑うものはいないだろう。
「戒くんは、そのインフルエンザの感染ということで、実際は・・・・」
神露が立花に耳打ちする。
室内には二人。しかも防音処理がされた個室であり、耳元で囁くその必要もないのだが・・・・
「なるほど・・・・」
だが、神露の提案を耳打ちされた立花の唇が釣りあがる。
それを聞かされながら、今度は立花のほうにも名案が浮かび上がる。
「これは面白いことになりそうだな・・・・」
「どういうこと?」
まだロストの引き起こす現象を目の当たりにしたことがない、神露には当然の疑問であっただろう。今はじっくり、説明する時間も惜しい。
「まぁ、楽しみにしていてくれ」
「フフッ、そうね、楽しみはとっておくことにするわ」
神露は予備のロスト、玖堂戒に服用させるロストを受け取って立ち上がった。
「・・・・それに余り二人を待たせてしまうと、変に怪しまれそうだから、そろそろ戻るわね」
「それがいい」
神露があんまり長い間、個室に篭っていると不審に思われてしまう。
友卵会における卵子提供者には、膣内出し権購入者(明日香の場合、立花だけだが)の存在を悟られるわけにはいかないのである。
クッククク・・・・
一人、個室に残った立花は、監視カメラから招かざる闖入者を心の底から歓迎する。
明日香の処女を破瓜すそのときの、そのときのためだけに・・・・
玖堂戒よ。
約束しよう・・・・
今夜は、最高のもてなしを、お前の目前で・・・・
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