第3章


 静粛に包まれていた水の神殿に、男はその捧げられた獲物だけに没頭し続け、次第に状況は変化しつつあった。
「……ぁ……」
 乳首を吸い上げられていく刺激に、意識のないメーヴェの口から、小さな・・・・・小さな甘い喘ぎが漏れ出した。それは普段の雑踏の中だったならば、聞き取る前に雑音の前に掻き消されたであろうが、静粛に包まれていた神殿内部では、そうもいかなかった……
「……く、ぁ……」
 だが……
 次第にメーヴェの身体に変化が訪れてきていた。
 小さな甘い喘ぎこそ、明確に男の耳には届かなかったが、彼女の敏感な反応を示したそれは、誰の目にも明らかであった。
 ――とうとう、感じ始めてきたな
 相互に乳首を吸い上げられ、指先で弾くように刺激を与えられ、無意識のうちに恥辱の限りを強要され続けてきたはずのメーヴェではあったが、次第に極自然的な反応を示し始めたのである。
 申し訳程度にしかなかったはずの小さな乳首が、自然と鋭く尖らせるように突起し、硬度が増していった。身体が自己主張し始めたのである。
「っ……ぁ……」
「いいぞ、メーヴェよ。喘ぎが次第に大きくなってきた。その甘い、甘い囁きを聞かせろ……わしをもっと感じるのじゃ」
 エンテのあどけない、可憐な表情が次第に上気し始めてきたのである。それは明らかな紅潮であろう。現に僅かに口開きさせ始めた底からは、鮮やかな薄桃色の舌が、更なる快感を求めるよう仕種を示している。
 メーヴェがわしを感じている。
 この清楚に澄ましていたリーヴェの姫君は、初めての男として、わしを認めた証拠であろう。
「ぁっ……あ……んっ……」
 それは意識のないメーヴェが、その無意識のうちにネブカを感じ始めた証明であり、そのネブカの愛撫によって快感を憶え始めた証明でもある。つまり、意思はともかくとして、メーヴェの身体は、ネブカ、という男を求めているのだ……そう、ネブカという存在を。
 無意識なだけに、いや、無意識だっただけに、メーヴェはネブカという男の存在を初めての男として認め、ネブカを受け入れるためだけに身体はその準備を……男を受け入れるために活動し始めたのだ。
「良かろう、メーヴェの望みどおり、わしという存在をくれてやろう」
 ネブカはエンテの愛らしい唇を塞ぐ。
 最初は唇を重ねるだけの児戯にも等しいキス……そして、難なくその口内に侵入を果たすと、お互いの唾液を交換し合う激しいキスへ。
そして、エンテも本能がままに、ネブカと淫らに舌を絡み合わせるように応えていった……
「それが……わしと結ばれる事こそが、メーヴェにとって本望なのだろうからな……」
 その時こそ古ゾーアの末裔は、真にリーヴェ王国を蹂躙できるのだ。

 ネブカは馴染みつつあった双乳から手を解放させると、その久しく自由になった両手でメーヴェの衣服を剥ぎ取っていく。
 そして、メーヴェに残された最後の薄布に手をかけ……
 エンテの可憐で清楚な存在を覆うに相応しい純白は、遂にその役目を終えるかのように、静かに宙を舞っていった。
 ――これがメーヴェの……
 思わず、固唾を呑む。
 それは綺麗な、無質素な薄ピンク色の可憐な花弁であった。無論、誰の目にも未使用だと・・・・・エンテが処女なのだと解かるような、まぎれもなく穢れなき存在の証明であっただろう。
 ネブカは開脚させたエンテの太股に手を添え、細長く整った両脚が開かれている、その溝に顔を潜ませていった。
 ――これがメーヴェの……処女の香りか
 思わず、笑みが零れてくる。
 薄めに添えられた水色の恥毛が繁った底、静粛に包まれた中で、ふっくらと盛り上がっている恥丘は、ネブカに征服されるためだけに、その初々しいピンク色の秘裂を呻き出し始め、ネブカの存在を待ち侘びているようであった。

 硬く閉ざされている秘所に口を添えると、僅かに湿っていたそれを舐め上げた。
 それはまさしく正真正銘、リーヴェ王国純産のものであった。
「さすがは由緒あるリーヴェの姫君の身体から分泌された愛液、味といい香りといい……申し分ないものだわ」
 唯一に不満を指摘すれば、何分、分泌される量が極めて少ない事ぐらいであろうか……
 ネブカは更にその精分を求めて、メーヴェの性感帯の一つ、乳首への刺激を与える一方、次第に分泌され、滲み出してくる愛液を貪欲なまでに飲み込んでいった。

 静粛なる水の神殿で、その神殿の名に相応しく、ピチャピチャと水の弾ける音が耳につく。水の巫女の股座に顔を潜ませ、卑しい旋律を奏でる。
「あっ……ぁぁ……」
 次第にエンテの身体は、じっとりと汗ばみ出し、甘い甘い喘ぎに息も途絶え途絶えの状態が続いた。性感帯の一つである乳首を責め立てられ、また新たに、敏感な秘所そのものも弄ばれ始めたのだ。特に感度の良い彼女には、初めての強烈に過ぎる快感であっただろう。
「さぁ、メーヴェ、もっと股を開いて……お前の味をもっとわしに味合わせるのだ……」
 エンテの両脚を抑え付けた体勢から、両股の溝に口を添えては、順調に溢れ出してきた蜜を飲み干していく……
 今、エンテの身体は、メーヴェという味を分泌し、ネブカだけに彼女の味を味合わせるだけの杯と化していた。
 そう、脾肉によるメーヴェの大杯である。
「あっ……ぁぁっ……くうっっ……」
 容整った表情が、見るに見るに紅潮していき、
「あっ、あっ! あああぁぁぁぁぁぁ!」
 絶え間ない刺激によって甘い喘ぎを漏らし、抑え上げられている両の細い脚が、ビクビクと痙攣したように激しく波打つ。
 未だかつて体験した事がない快感が絶え間なく与え続けられ、それまでも皮に包まれ、その素顔を見せる事さえなかった陰核が、遂に外気にその身を晒し始めた。
 ――これが、メーヴェのクリトリスか……
 大気に晒すだけでも敏感に反応する陰核だが、ネブカは無造作のまま、舌先で突付き、更に指先で摘み込むように刺激するのである。
 ……当然、エンテの変化は劇的だった。
「はぁう!」
ネブカはそのピンク色の若芽を唾液でまぶし、指先で皮を捲り、剥き上げ、メーヴェの感度の良さをお構いなしに……子供が初めて手にしたおもちゃのように、メーヴェの身体を弄り遊ぶのだった。
 その強烈な痛みを伴う絶大な快感に、メーヴェの意識は次第に回復していった。
 なっ……あ、熱い……
 だが、暗黒魔法の持続効果と強烈に過ぎる初めての性的快感が、彼女の思考を停止させ、四肢の五感さえ麻痺しているようであった。だが、絶えず与え続けられる快感と快楽に際限はなく、また、途切れる事もない。
 じっくりと汗ばみ、身体は異常なほど熱い。まるで全身の血液が沸騰しているのではないか、と錯覚してもおかしくない状態だった。故に回復した理性は途絶え、ただ与え続けられている快楽に身を委ねてしまった。
「はぁっ、あ、熱い……あああっ」
 今の彼女は快楽の大海に身を委ねているような、そんな夢心地である。
「だ、だめぇ……も、もう……はぁぁぁ」
 ――メーヴェめ、どうやら意識が回復し始めたようだな。よしそれではそろそろ頂くとするか……
 ネブカは指先で若芽を摘み、爪先を食い込ませた。
「!!」
 エンテは激しい反応を示した。それは今までにもない苦痛を伴った強烈な快感であり、秘唇がヒクヒクと呻き出す。処女であるエンテが膣口よりも陰核の方に敏感なのは当然の事であり、それは感度の良すぎる彼女には尚更の事であっただろう。
 抑え上げられた細い脚を突き上げ、ビクビクと激しい痙攣が起こしながら、来たるべくその瞬間を迎え入れていった。
「だ、駄目ぇぇぇ……い、ク……ゥ!!」
 絶頂について、別に知識としてあった訳でもなかった。無論、絶頂に達する時に発した言葉も知る由もなかっただろう。故に本能が漏らした言葉であり、同時に宣告でもあった。
 盛大な盛大な潮吹きが、ネブカの眼前、メーヴェの股間から催された。
 女として生を受けて十五年……遂にエンテは未成熟ながらも初めての絶頂を、初頂に達した。肉体の歓喜の極みを達したのだ。
 相手が想い秘めるラゼリアの公子リュナンではなく、その存在から懸け離れた男ではあったが、まぎれもなくエンテは、ネブカの手によって。
「はぁ……はぁ……あ、熱い……」
 ――そろそろ頃合いだな。
 メーヴェが意識を取り戻す前に戴くものは戴こう。わしに純潔を捧げ、少女から女に成長を遂げる事こそ、メーヴェの意思であるのだ。
 それは一見、矛盾したネブカの思考ではあったが、あながち全てがでたらめではなかった。
「……ぁ、熱い……」
 下腹部が異常に熱く、未だに絶頂の余韻に酔う。
 メーヴェは確かに欲していた。無論、それはネブカの存在ではなく、今は遠きラゼリアの公子の存在であっただろうが、その場にいるのは唯一の男を欲した以上、彼女は不本意にもネブカを求めたのである。
 メーヴェの思考が麻痺している事を承知で、ネブカは言った。
「良かろう」
 暗黒魔導師としては極めて珍しく大柄なネブカは、その体躯の所有者に相応しい剛直ともいうべき男根を曝け出し、それは常人のそれより遥かにスケールと異形さに勝ったグロテスクなものであった。
 ――メーヴェ、この逸物の活躍を期待しているのだろう?
ネブカはエンテの憔悴しきった表情に向けると、
「メーヴェよ、その身体の膣内、存分に味合わせてもらうぞ」
「?」
 エンテはただ荒く乱れた吐息を絶え絶えに漏らしているだけで、ネブカの言葉の意味を全く理解できていなかっただろう。

 ネブカはメーヴェの太股を抱え直すと、そのままの体勢から古ゾーアの末裔の代表として相応しい凶悪なそれを、リーヴェの王女であり、水の巫女でもあるエンテの秘所に宛がう。
 正常位からの結合を試みたのである。
 その猛々しいばかりの凶悪なペニスが、エンテの蠢く脾肉に添えられると、チュプとその先端の侵入を許した。
「!!」
 それだけでも、鋭い、激しい痛みがエンテの神経を貫いた。


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