【 第五話 】
『俺がこんな彼女らに再告白されるわけがない』
秋葉原にあるメイド喫茶『プリティガーデン』は、桐乃が初めて『オタクっ娘あつまれー』のオフ会に参加した場所であり、その浮いていた妹を俺が見守っていたところである。
「たくっ。あれから早いもんだ・・・」
俺が入店すると、店の出入り口では一足先に入店していたはずの桐乃が円満な笑みを浮かべて待ち構えていやがった。
「きっしし・・・新メンバー、可愛い娘だったよ」
「おっ・・・」
幸い、先ほどの街中でキスしたことでは怒っていなかったようだ。
単純な奴、と思ったものの・・・今日、帰ったら、こいつから人生相談を請け負う約束なんだよな〜〜。この妹、都合の悪いことや些細なことはすぐに忘れる性質なんだが、何故か人生相談に限っては、俺が閉口したくなるほどに憶えているのだから困ったものである。
まぁ、そん時はそん時だなぁ。
「ほぉら、兄貴が来たよ・・・挨拶して・・・」
「えっ・・・」
俺は相手の容姿に唖然とする。
それは俺の良く知っている美少女だった。だが、その彼女が間違っても『オタクっ娘あつまれー』に参加するとは思えないからだ。
「お久しぶりですね、お兄さん・・・」
「や、やはり、あやせ・・・なのか?」
真っ赤なコートから短めのスカート。ニーソックスとスカートの裾には、絶対領域がまるで主張するかのように存在し、その一点に思わず目を奪われてしまう。
想像してみてくれ。考えられる限りの超絶世の美少女が完璧なまでに絶対領域を再現して、僅かな太腿を晒してくれているんだぜ?
露出は返って少なくなっているはずなのに、な、なんなんだ・・・この凄まじいまでの魔力は!?
「な、何わたしをやらしい目で見ているんですかぁ!? ぶち殺しますよ?」
ま、間違いない。この言動はあやせだ。
彼女の名前は新垣あやせ。妹の親友であり、オタクへの拒絶感はまさに凄まじいまでの潔癖な性格の持ち主だった。まぁ最近は、桐乃や沙織、『黒猫』の影響もあって、以前ほどに嫌悪をするようなこともなく、次第に緩和されていったような気もするが・・・
「あやせが・・・新メンバー、なのか?」
「はい、そうですよ・・・でなければ、こんな如何わしい喫茶店にわたしが来るわけないじゃありませんか〜」
「そ、それもそうだな・・・」
俺は同意すると、あやせも笑顔を浮かべた。
「そ、それでお兄さん」
「ん? なんだ・・・」
「まだ黒猫さんも来てないようなので・・・少し、二人でお話しませんか?」
「おう。そういえば、何か相談ごとがあるんだったよな・・・」
一昨日、久しくあやせから電話があったのだ。
他を当たってみる、って言っていたが、まだ解決していないのかもしれない。あやせには一人暮らししていたときに、多大な世話になった借りがあるし、俺にできることであれば、俺のできる範囲内でなら、どんなこともやってやるつもりであった。
「んっ、やはり桐乃のことか?」
まぁ、あやせがいつも俺に相談を持ち掛けてくるのは、大抵が桐乃に関することであり、次点で、二人共通の友達である来栖加奈子のことぐらいだった。
「そ、その、お兄さん。桐乃と・・・別れたのですよね!?」
「ん!!」
何故、それをおまえが知っているっ!?
俺と桐乃が別れたのは、まだ一昨日のことであり、あやせがそれを予め知っていたとは思えない。特に桐乃は『二人だけの秘密』『二人だけの約束』といったものには、特に拘るタイプだ。
だが、俺は断じて誰にも話していない以上、情報の漏洩は紛れもなく、桐乃からしか考えられなかった。
「お兄さんがまだ・・・桐乃と付き合う前・・・お兄さんのアパートの部屋の前で言った言葉・・・憶えてますか?」
「っ・・・ああ、も、勿論・・・」
まさか、という思いが脳裏をよぎる。
一度は妹に告白するため、断腸の思いで断ってしまったあやせからの告白が、このときになってまた再現されるのか、と期待してしまったのである。
「いえ、やはり言い直させてください・・・」
ごくっ。
「あれからもっと、もっーとお兄さんのことが好きになっています。もうあのときのことがトラウマになってしまっているぐらい・・・」
「あ、あやせ・・・」
「お兄さん。お願いです・・・わたしと付き合ってください!」
おいおい。信じられる?
こんな絶世の美少女が顔を真っ赤にして、再告白してくれるなんて。まして彼女で(妹でも)ある桐乃と別れて、まだ二日目だぜぇぇ?
「も、もし・・・断ってくるのなら・・・わ、わたしはお兄さんを本当にぶち殺して通報しますよぉ!!?」
おいおい。それじゃ、あやせは殺人犯として捕まるだけじゃないか。
「大丈夫です。痴漢されたと偽証して、正当防衛を主張するだけですから」
こ、こえー・・・この女。
しかも俺の思考を完全に読みやがったよ。
まぁ、包丁持ちながら、「通報しますよ〜」と振り回すような人物である。
「あ、あやせ・・・」
凄く嬉しかった。
「そ、そのな・・・」
そんなビクッて怯えなくても、こんな美少女に告られて断るようなバカな真似は、もう二度もできませんよ・・・特に妹の、桐乃との想いを成就させて、兄妹という関係に戻った今では、な。
と、あやせからの告白を受け入れようとした瞬間のことだった。
『あの時刻、あの夜の、あの場所で・・・』
メールの送り主は黒猫であり、そのメールの内容だけで、すぐに場所が分かってしまった。普段ならもっと凝った、分かりづらい文面で送ってくるはずなのに、何か焦っているような気がしなくもない。
黒猫とは、本名(本人はこの世界における肉体の仮の名前だと主張するが)を五更瑠璃といい、桐乃のオタ友達の親友である。また俺の高校の後輩(夏に引っ越してしまったが・・・)であり、俺の初めての彼女でもあった。
小柄な身体ながら、艶やかな長い黒髪に左目の泣き黒子が印象的な端整に整った顔立ち。怪奇的な電波の痛い言動が多い、とても恥ずかしがり屋であり、多忙な両親に代わって、幼い二人の妹の面倒を良く見るお姉さんでもあった。
「メールですか? だ、誰からですか・・・」
「ああ、黒猫からな。何かの呼び出しらしいけど・・・」
俺は薄々と気付き始めていた。
そうだ。桐乃があやせだけに伝えるはずがない。あやせに伝えるのなら、もう一人の親友・・・裏の親友とはいえ、黒猫を差し置いておくはずがないじゃないか。
「あやせ、そのすまない・・・少しだけ、時間を貰えるか・・・」
「・・・」
今の俺には、それだけしか彼女に伝えることはできなかった。
我ながら・・・情けないことにな。
俺とあやせが沙織たちのところに戻ったときには既に黒猫のやつも到着しており、こうして新メンバーであるあやせも含めて、全員が揃ったことになる。
「あれ? く、黒猫!?」
「な、何かしら・・・」
赤面して俺に背を向ける。
彼女は俺たち出逢った頃のゴスロリコスチュームではなく、真っ白なワンピースで、かつて桐乃が選んだという衣装とはまた似て異なるものだった。だが、それ以上に俺を驚かせたのが・・・
「お、おまえ・・・目が悪くなったのか?」
「死んで頂戴。ええ、今すぐに・・・」
黒猫は眼鏡をかけていたのだ。俺が視力の低下を心配したとしても当然のことだろう。麻奈美の眼鏡のように丸い眼鏡でも、それに度がないレンズなのだと、ようやくにして理解する。
「以前、あなたに・・・言ったじゃない。あなたが望むのなら、眼鏡をかけても・・・いいのよ、と」
そういえば、そんな会話をしたような気もするのだが・・・
良く憶えているんだな、そんなことを。
「それでは全員揃ってことでありますし、我がサークルのオフ会の開催と、新たなるメンバーのあやせ氏のことも祝して、乾杯といこうと思いまする」
メンバー代表の沙織が立ち上がって、一同を見渡していく。
しかし、こう見ると・・・やはりでかいな。身長180だっけ・・・俺よりも5cmも高いのだから、座している一同の中で立ち上がれば、当然のことだったかもしれない。
ちなみに座席の順番は、沙織から左に桐乃、あやせ、俺、黒猫という順番になっている・・・が、座るべく場所を間違えてしまったような気が今更ながら思わくもない。
「・・・・」
「・・・・」
こいつらって、こんなに険悪な仲だったっけ?
勿論、それはあやせと黒猫のことであり、出会いこそ最悪な関係ではあったが、邂逅を深めていくうちにあやせは黒猫のお腹をぐいぐい踏みながら、一方の黒猫も、あやせのお御足を掴んで隠避に息を荒げていたほどである。
「ふふっ、破局した分際なのに、良くここに顔を出せたものね。厚顔無恥とはこのことかしら?」
「あらっ、付き合うことすらも許されなかった人種にしては、これまた大言壮語なこと。もっと身の程を知るべきではないかしら?」
おいおいおい。俺を挟んで険悪にならんでくれよ。
(ぶち殺しますわよ?)
(私ならその間に三回、呪い殺すわ!)
と、まさに視線だけで会話を遂げる二人である。
「京介氏、その・・・なんとかして貰えんでしょうかぁ〜」
「お、おい・・・」
そこで俺に仲裁を求めるのか?
か、勘弁してくれぇよ。そこまで俺のスペックは高くねぇぞ!?
「と、まぁ冗談はそこまでにしておき、本日より新垣あやせ氏が我がサークルに加わって貰えることになりました。まぁ、それぞれ一度は顔合わせした間柄でもありますし、存分に語り合おうではござらんか〜」
「そういえば黒猫。あんたの大好きなマスケラ〜〜やはり、第三期の制作は頓挫してしまったみたいよねぇ〜〜」
と、まるで挑発するかのように発言する我が妹よ。
「ふ、ふざけないで頂戴。あれはただイラストレイターが急病で入院し、延期になっただけであって、と、頓挫なんて変な、誤解を招くような中傷は止して頂戴っ!」
と、まぁマスケラ・・・正式名称『MASCHERA〜堕天した獣の慟哭〜』を中傷されては、このアニメを神作と信望している黒猫にしてみれば、到底に看過できぬ言葉だっただろう。
「そういうあなたの大好きなメルルも、来週でとうとう打ち切りよね。あんなお子様向けのアニメがこれまで続けられただけも奇跡というものなんでしょうけど・・・」
「残念でしたぁ〜〜制作側は元々二十二話で今シリーズを打ち切る予定で、既に次のシリーズに向けて始動中なんですぅ〜これだから怪奇電波女は早とちりして困るのよねぇ〜」
「か、怪奇電波女・・・ふっふっ・・・あ、あなた言ってはならないこと・・・」
おい。それは二年前もやりとりしなかったか?
まぁ、これが桐乃と黒猫の、二人にとってより親睦を深めている証左であることを、俺はこの数年間で学んだったっけな。
「・・・・」
全く話題についていけないのが、新メンバーとなったあやせである。無論、二人の会話ほどに理解できていない俺なんだから、いきなりあやせに理解しろというのは、余りにも酷というものではないだろうか。
「まだあやせには、好きなゲームもアニメもないんだっけ?」
「ア、アニメなら少し・・・でも、まだゲームのほうはやったことがなくて」
「そうか・・・まぁ、個人の好き嫌いもあるからなぁ・・・」
「お兄さんはどういったものを薦めてくださいます?」
そうだな・・・
まずここで、妹の如く『エロゲー』なんて言った日には、俺は間違いなく東京湾に沈められてしまうことだろう。桐乃はことあるごとに俺にエロゲーを、しかも妹物を押し付けてくる。あいつは一体俺に何を求めているんだか・・・
まぁ、一般的なジャンルでも凝ったアクションや対人格闘ゲームも、初心者となるあやせには薦めにくい。
と、なると・・・
「じっくりとできるシミュレーション系やスポーツ系・・・」
「そういうことなら、アドベンチャー系も宜しいと思いまするぞ。探偵による事件解決物から色々と幅広いでござるし、本日も新作で・・・」
「えっ、そうなんですか?」
途端に目を輝かせる、あやせ。
思えばあやせのやつ・・・沙織には礼儀正しいんだよな。俺の一人暮らしのパーティでも、率先して話しかけていたし・・・んっ、あれは沙織のほうが話しかけてくれたんだったかな?
「そういえば・・・そろそろ、夏コミに向けた出し物を決めておきましょう」
黒猫は可愛らしいメモ帳を広げた。
『神聖黒猫騎士団』・・・それは黒猫の持つサークル名であり、去年の同人誌では、黒猫が表紙を担当して、短編漫画を。桐乃が小説を書き、沙織はイラスト
を描いて、俺と黒猫がコスプレ写真集で構成されたもので、夏コミ三日目に出品し、午後二時過ぎには五十部が完売し・・・黒猫を感涙させたものであった。
「そうね。あたしはまた小説を・・・書いてあげてもいいわよ?」
「拙者は既にイラストと短編小説に挑戦しているでござるよ・・・」
うっ。才のある人間たちが羨ましい。
俺としては不評だった(しかも一部に晒されちまったよぉ〜)コスプレ写真集はあまりやりたくはなかったのだが・・・いや、別に俺が叩かれるのはいいのよ? その俺の巻き添え喰って一緒に晒された黒猫に申し訳なくて。
でも、やはり出すからには何か関わりたいと思う。そして関わることができたからこそ、あのとき、完売したことに物凄く充実した気分を味わえたのではないだろうか。
だが・・・二年連続でコスプレ写真集って・・・
「別にいいと思うわ。同人誌なんですし、自分の好きなことをすれば・・・」
それに・・・と、黒猫は頬を染めて俯く。
「あなたのコスプレ・・・き、嫌いじゃなくてよ・・・」
おおっ。こういうやつだよ、おまえってやつは・・・こう、何というか守ってやりたい、というか。黒猫は本当に可愛いんだよなぁ〜
うっ・・・
途端に背中に冷たいものが流れた。
うん。背を向けていてもワカルヨ・・・『お兄さん、ぶち殺されたいんですかぁ?』と、視線だけで告げているのですね。
「そうですな。あやせ氏も何か出してみるでござるか?」
「えっ、わたしですか?」
「そぉね。あやせなら何でもできると思うけど・・・」
と、桐乃。さすが元クラスメイトではある。
「それとも兄貴と一緒にコスプレする?」
と、爆弾を投下するバカな妹よ。
『そんなお兄さんとエッチなコスプレできるわけないじゃないですかぁ〜』とブチ切れるのは目に見えた。が・・・あやせのやつは黙ったまま、俺のほうをチラッチラッと見上げてくる。
なっ、なんだ・・・?
こ、このあやせの変わりようは・・・
「んっ、一緒にやるか? 沙織に頼めばエロくない衣装もたくさんあるし」
「そうね。あなたは見てくれの外見は完璧なんですから、売り子をしてくれるだけでも十分に貢献して貰えるんでしょうけど・・・あんたの写真掲載だけでも、売り上げ増大は間違いなしでしょうね」
黒猫ぉ。そんな棘のある言い方をしなくても・・・
こうして俺たちはその後も他愛のない会話を続け、ゲームショップで買い物をし、本屋に行き、秋葉原の電子街を歩き続けていく。ゲームセンターでは、櫻井
に(あいつに初めて出会ったとき、そして再会したときもゲーセンだったし)遭遇するかな、とも思った俺であったが、そこはさすがに都内のゲーセン。秋葉原
だけでも何店舗とあり、彼女に会うことはとうとうなかった。
そして俺たちは帰路に着こうとするころ。
「あっ、桐乃・・・」
「あんっ、あんたはまだ帰らないの?」
「おう。ちょっと寄らなければならないところがある」
「そっか」
それだけで妹には通じたらしい。
あやせと一緒にホームに向かう中、そんな桐乃が俺に告げる。
「帰ってきたら人生相談あんのっ・・・忘れるなよな?」
「・・・・っ」
やはり・・・憶えていやがった。
俺は一人、時間を潰しながら電車に乗って、数か月前にも訪れたことのある松戸駅に赴いた。
さすがにこの時間になってくると、まだ寒いよな・・・
「しかし、黒猫も・・・ここに呼び出さなくても、一緒に帰れば良かったんじゃないか?」
まぁあいつは、俺や桐乃とかと違って、幼い妹たちの面倒を多忙な両親に代わってみなければならない事情もあり、いち早く帰らなければならなかったのかもしれない。
「・・・よくぞ辿り着いたものね。褒めてあげるわ」
初めて会った時と同じ黒い服を着て、良くも聞き覚えのある、高慢な台詞を口にしてくる。
・・・たくっ。なんでもう居るんだよぉ?
約束の時間までまだ一時間以上あるぞ・・・
しかも、もう着いたなんて連絡も入れてねぇし・・・
「あの日と同じ台詞だよな・・・」
「そうね・・・」
「それ、わざわざ着替えたのか・・・?」
「あなただけに会うのだから、今はまだ復讐の権家たる闇猫にならなくてはならないのよ」
そりゃ、どういう設定なんだか・・・
だが、復讐という言葉に俺はドキリとせずには居られなかった。
そうだ。俺は・・・この場所で、黒猫を傷つけたんだよな・・・
その上、桐乃とは数か月で別れちまったし、二重の意味で俺たちは黒猫を傷つけてしまっていたのかもしれない。
「っ・・・ううぅっ・・・」
その、あの日を思い出してしまったのか、既に黒猫の瞳は大粒の涙が頬を伝って落としていた。
まだ何もしてない・・・何もしていないのに、いきなり泣くのはずるくないか? これじゃ、まるで俺が・・・こんな美少女を苛めているみたいじゃないか?
「く、黒猫!?」
「や、闇猫よ・・・っ・・・あらあら泣き出してしまったわ・・・よりにもよって、あなたの前で・・・とてもみっともないわね・・・」
「・・・・」
「でも・・・仕方のないの・・・仕方のないことなのよ・・・何の振りも考えず・・・唐突にこの時を迎えて・・・迎えてしまったのですから・・・」
俺はそれだけで黒猫の心情と事情を理解した。
黒猫が痛々しい怪奇電波言動をするのは、恥ずかしさを打ち消すための懸命の演技であり、俺と桐乃が別れたことを知って、慌ててもいたのだろう。メールが解かり易かったってのも、それが原因だったのかもしれない。
「俺はそんな素の瑠璃が好きだけどな・・・」
「なっ・・・こ、こここ、この雄は何を言って・・・く、口走っているのかしら・・・きっと、春なのだし・・・発情中なのかしらね」
ひでぇ言われ様だぞ。おい・・・
俺は苦笑しつつ、そして黒猫も微笑む。
「兄さん・・・」
「その呼び方は辞めたんじゃなかったか?」
「先輩・・・」
「おう」
「京介・・・」
「なんだ?」
これまでの俺への呼び方をなぞりながら、黒猫は姿勢を正してからゆっくりと頭を垂れた。
「お願い・・・もう一度、もう一度だけ、私と付き合ってください」
→
進む
→
戻る
→俺妹・終わらない明日のトップへ
|