第六話【 夢想の誘惑 】
凄く軟らかかった・・・
退魔巫女が退魔剣士との霊線を繋げる儀式であった『お披露目の儀』以来となる桜との口付け。俺はとうとう自分を戒めていた禁を犯し、桜の唇を奪ってしまっていた。
無論、それが巫女の霊力貯蔵量の低下・・・退魔巫女の見習いとして、この上なくタブーであったことは理解していた。いや、理解していたつもりだった。
それなのに・・・
抵抗がなかったことをいいことに俺は一段と桜を強く抱き締めて、自分の舌を桜の閉ざされたままの唇に突き立てた。途端に驚きで目を見開いた桜であったが、俺の真意を察したのだろう。俺の舌が桜の口内へと難なく到達を果たしていく。
初めて触れる、桜の口内・・・
そして初めて味わう・・・桜の唾液。
「桜、ごめん・・・」
俺には詫びることだけしかできなかった。
自室に戻ってから一度冷静さを取り戻すと、次第に自分の仕出かした行為を自己嫌悪せずには居られなかった。もう、これでは・・・巫女である桜の霊力が低下しても仕方のないことであっただろう。
巫女にとって・・・特に巫女見習いである桜にとっては、霊力の低下を伴う性行為を強いるということは、それまでの日々の努力(巫女修行)を空費させたことに他ならない。
しかも今回のキスで失われた霊力。いずれは回復するにしても、次の昇格試験までに戻るという保証はなく、おいそれ誰にでも相談できるという内容でもなかった。
特に『退魔師家』でありながら、一組の『退魔師』も存在しない、水無月家であり、唯一の見習いである俺の昇格を待ち望んでいる祖父ちゃんには・・・
『退魔師』とは魔を祓う職業を生業とした人間たちのことで、『退魔剣士』と『退魔巫女』が一対となった名称である。
『退魔剣士』は自ら持つ霊力と巫女から供給される霊力によって、武器具現化を可能とし、主に近接戦闘を得意とする男性のことであり、その退魔剣士の昇格試験を合格していない俺は、まだ退魔剣士の見習いでしかない。
また『退魔巫女』とは、生まれながらに優れた容姿と、剣士では到底に持ちえない膨大な霊力を兼ね備えた少女(いずれも十五、六歳ほどの若さを保ち続けるため)であり、強力な霊術と治癒術によって剣士を補佐する。
従来、退魔剣士と退魔巫女の関係は、夫婦でもなければ恋人でもなく、あくまでも(見習いを含む)退魔剣士の付属物とされる。というのも、特殊な結界の中でなければ、巫女とは性交はおろか、性的な接触さえもできないためであろう。
特に巫女が美少女揃い(稀にハズレあり)ともあって、剣士の精神的な衛生面を考慮すれば、致し方のない仕組みではあった。
まして俺に与えられた巫女は・・・中川桜に限っては、俺の知る限りでも類を見ないほどの、絶世の美少女である。
俺はたった一目で・・・その桜に心を奪われた。
そして俺は剣士見習いとはいえ、健全な男であり、若さを持て余した中学生でもある。彼女が水無月家の・・・俺の巫女となって早数か月が経過していたが、桜は巫女としても、一学生としても、全てにおいて非の打ちどころがないほどの存在であった。
当然、彼女に寄せられる好意・・・異性からの恋文は多く、また告白された回数も(当人は否定するが)数えきれないほどだった。
それだけに悶々とした日々を強いられていた俺は、従来の退魔師界の仕組みとは異なる、巫女にして恋人(既に婚約まで済ませ、俺的には妻)という、少数派の道を選んでいた。
いずれは桜とは、公式的にも夫婦と認められるのなら、この選択したことに後悔は一切ない。いや、むしろ良くやった、と自分の選択に賞賛したい。
だが、それは少数派の最大の理由・・・
定められた結界内でなければ、巫女とは性的な行為は一切行えない、という苦しみを自らに課したことでもあった。
「・・・」
それなのに・・・
そう、俺には・・・まだ退魔剣士としての、退魔師としての心構えがなっていなかったのだ。
少なくとも、桜の退魔剣士としては・・・
自分の行為による後悔と、そして何より、久しく触れた桜の唇・・・とりわけ桜の唾液をたっぷりと飲み込み、俺の体に取り込んだという興奮によって、容易に寝付けないでいた。
これが・・・桜の・・・
桜との口付けを思い返すだけで、俺の股間はもう勃起せずにはいられず、次第に布団の中で自慰に耽っている有様だった。
さ、桜。ゆ、許せ・・・
想像。そう、想像するだけだから・・・
桜は巫女であり、如何に恭順すると誓ってくれた俺の頼みであっても、やはり最後の一線だけは・・・性交することだけは拒むことはなくても、難色を示すだろう。
だから・・・
だから、想像の中だけでも・・・桜を犯すっ!!
以前、脱衣所に仕掛けた盗撮によって、桜の裸体は、カメラの映像こそ抹消はしたものの、脳内にばっちりと記憶してある。透き通るような白い肌。お世辞に
も大きいとは言えないが、小柄な身体に相応しい形良い胸に、まるで点のような乳首・・・色は、名は体を表すとは良く言ったものだが、綺麗な薄めの桜色。
湛えよ、この完璧な記憶力ぅ!
「・・・」
桜、ごめんよぉ〜
・・・もしも仮に、俺が魔族の末裔の封印を解放し、自らが望む相手、その好きな展開で疑似体験ができるという『固有結界・ラブリードリーム』の存在を
知っていたのならば・・・既にそれで間藤の奴が体験していることを知っていたのなら、俺は憤りを憶えるその一方で、非常に羨ましく思えていたことだろう。
もしかすると長い歴史を誇る退魔師界で、初の、魔族と契約をした退魔剣士見習いとなっていたかもしれない。
さてと・・・想像の中でとはいえ、桜を犯すと決めた以上・・・やはり、リアリティとシチュエーションは必要不可欠だ。
と、なると見慣れた制服姿かな?
正直に言えば、高山家の『降臨儀式』の前舞台で披露された桜の振袖姿が、神々しく輝いていたのだが、やはり今一つ普段の制服姿に比べてイメージが雑となる。
求めるのはあくまでリアリティだ。
「そして、桜を・・・何処で犯すか・・・」
俺は敷かれた蒲団の上に座り、限りなく瞑想状態に入っていく。自由な手は股間に固定。想像の中でも桜を犯す、と決めた途端、俺の息子はこれ以上にないぐらいに勃起しており、少しの刺激でも我慢汁を発射させそうな瀬戸際であった。
トントントン、と台所で包丁をさばき、的確に朝食を調理する。味付けにはそれなりに自信はあるが、当然、桜より劣るのは致し方のないことだ。
よし、ならば隠し味として・・・
そこで俺が用意したのが、液状の睡眠薬。以前、悪友ともいうべき荒川と共謀して手に入れた本物である。
実際、自分たちに試してみたら、三分で意識が堕ちたほどだ。
勿論、物質的な薬品であるため、普段から霊力に護られている巫女にも当然に効くし、無味無臭とあり、あらゆる食材・調味料にも溶け込む。
「光ちゃん・・・おはよう・・・」
朝の挨拶をしつつ、既に並べられた朝食に顔を沈ませる桜。
彼女にとって俺に朝食を作る、ということは、彼女自身が自分に課していた日課であり、希望であり、義務のようなものだった。
「解かっているよ、だから俺の分は桜が作ってくれよ」
途端に眩しいばかりの笑顔を見せてくれる。
「その代わり今日ぐらい・・・桜は俺の作った飯を食べてくれ」
今日は桜の超危険日にして排卵日当日。※注 あくまで想像だが・・・
そんな状態の彼女に、俺は努めて無表情を装ったまま、睡眠薬入りの朝食を差し出した。
昏睡した桜の身体を俺は抱き上げる。
「・・・」
とりあえず桜の寝室に運ぼうか、とも思ったが、俺はそのまま水無月家の本堂に足を運び、処女郭へと眠れる美姫を運び込む。やはり巫女である桜と性交をするのなら、この場所以外に考えられない。
よし、実際に処女郭へ行こう。
俺は私室を静かに抜け出した。既に廊下の向こう側、奥にある桜の部屋からは灯りがなく、今日はいつもより早めに就寝したのだろう。
何といっても今日は高山家からの帰りであり、まして前夜は静馬さんと雫さんによる『降臨儀式』のため、立会・見極め役となった俺も、助産師として勤めた桜も、昨日の朝からまともに睡眠をとっていないのだ。
せめて今日ぐらいはゆっくりと休ませてやりたい。
と、同時にこれからの俺の所業を考えれば好都合でもあった。
俺は本堂にある処女郭に到着すると、おもむろに室内を見渡していく。
時には長時間に及ぶ、とされる『降臨儀式』の処女郭というだけはあって、室内は意外と広い。剣士のために用意された上座があり、室内の中心には、剣士と巫女が睦み合う聖地とも言うべき、広大な寝台を見渡すことができる。
― 再び、想像の中 ―
俺はその桜の身体を、広大な寝台の上に置かせる。
本番の降臨儀式の如く、白い大海のような寝台の上で昏睡し続ける巫女。俺は『退魔師結社』にも、水無月家の当主である祖父ちゃんにも無断で、独断で『固有結界・降臨儀式』を発動させる。
無論、霊力に優れる巫女ではなく、また退魔師家の当主でもない自分には、零脈に溢れる霊術を扱える技術も資格もない。固有結界の中でも最上級に位置する
『降臨儀式』を発動させる術も知識もなかったが・・・そこは、あれだ。あくまで想像の話だけなのだから、そこは割愛する。
俺は観戦した高山家での出来事、降臨儀式の処女郭の光景を・・・この処女郭において再現する。
凄く暑そうで・・・
凄い、真っ赤で・・・
俺はゆっくりと昏睡している桜に這い寄ると、小振りな胸に触れていく。制服越しにとはいえ、初めて触れることができた・・・桜の胸。早く揉みたい、早く脱がせたい・・・と、ゆっくりと舐め回し、桜色の乳首に甘噛みしてみたい、と俺の心を急かせる。
俺はその欲望を順次に叶えつつ、そして次第に、昏睡しているはずの桜の表情にも変化が・・・次第に頬を紅潮させて、俺の存在によって感じ始めているのだ。
桜の短め(のはず)のスカートから、ショーツを引き摺り降ろし・・・その剣士だけに許される桜への入り口・・・桜の『聖杯』が露わになる。
いずれの巫女も名器とあり、それ(性交)を許すのが巫女に選ばれた剣士の特権とあって、巫女の性器は『聖杯』と呼ばれる由縁でもある。そしてその聖杯に
満たされた愛液(剣士に与えられた飲料水)は『聖水』とも呼ばれ、その味は従来の女性のそれと異なり、また巫女によっても異なる。
剣士への想い・・・それが熟成されれば、された分だけ。
剣士への想い・・・それが焦がれるほどに、聖水は更に美味となる。
それは降臨儀式に及んだ全ての剣士が語る感想であり、普段は温厚で控えめな静馬さんでさえ、それは例外ではなかった。
「・・・」
俺は桜にどれだけ想われているのか?
正直、不安と恐怖だけでしかない。俺には勿体無いほどの巫女であり、俺は桜の剣士に相応しい、と思ったことは一度としてない。
だが、それでも桜の『聖水』を・・・
桜の味を知ってみたかった。
桜の性格からして・・・それは甘いのか?
それとも・・・?
だが、例えどんな味であれ、それが桜の身体で精製されたものなら・・・それが桜の愛液であり、桜の『聖水』というのなら、俺はそれを飲み干すまでのこと
だ。ああ、きっと一度に飲み干すことだろう。俺の衝動的な行動に耐えきれず、意識のない桜の口元から吐息が漏れ、例え苦悶の表情を浮かべたとしても、きっ
とその時の俺は・・・心の堰が決壊しているに違いない。
絶対に自分を抑えきれないだろう。
桜を抱けることに興奮し、目を真っ赤に充血させ、その一つの一つの仕草に俺の理性は完全に崩壊していた。
断言してもいい・・・
そんな野獣になる自信が、俺にはある、と。
だから、きっと実際に挿入する際にも・・・
初めてなだけに桜が痛みを・・・苦悶の喘ぎを漏らせば、それだけに俺は更に興奮を憶えて、より激しい苦痛を与えようと、桜の身体に刻み込もうと・・・滾ってしまうことだろう。
俺はもはや苦痛とさえなっている股間を扱き始めた。
恐らく俺は、桜の処女膜を一気に突き破る。小さな白い肩を抑え付けて、上半身を固定させつつ、一気にその桜の身体を貫き通す。
それでいい、と思っている自分が居る反面、じっくりと桜の処女地を味わいたいと思う自分も居る。
桜の処女膜は強固に・・・俺の挿入を阻むのだろうか?
もしくは小柄な身体なそれだけに、処女膜は容易く突き破れて、俺の侵入を受け入れて、歓迎してくれるのだろうか?
あるいは、桜の性格にも似て、やはり桜の処女膜は・・・
そこで俺は夥しいばかりの射精を発射させていた。
「・・・・」
俺は哀しいばかりの表情を浮かべずには居られなかった。
わ、僅かに数回ほど扱いただけで・・・
最初の迸りから五回、尚も・・・白濁色の勢いは止まらない。
そして、この上なく、自分の行為に・・・
想像の中で・・・とはいえ、純真無垢な桜を穢してしまった自分に、激しく後悔をするのであった。
極限にまで興奮して高ぶってしまった感情は、到底に寝付けられるはずもなく、俺は強力なまでの睡魔を自覚しながらも台所に立っていた。
先に起きた方が朝食を作れる、というルールは、現在も水無月家では健在である。が、やはり桜の日課ともいうべき課題は尊重すべきだろう。
俺は桜のみの朝食を用意する。
そして・・・
食材の横には、普段はそこにないはずの調味料もある。
想像の中で使用した、液状の睡眠薬の瓶。
「・・・・」
今日は日曜日。学園は休校日であり、俺も桜も特にこれといって予定はいれていない。もっとも退魔師結社から高山家の降臨儀式の立会・見極め役を承った際、学校側には静養日として申請してあったのだが・・・
魔の脅威が蔓延った(魔王の到来していた)時代もあり、一般人における現行の法律や制度よりも、退魔師結社における法が優先される。
つまり極端な話、見習いとはいえ退魔剣士であり、退魔師家の直系である俺には、刑法に触れるような殺人や犯罪行為を働いたとしても、まず司法に罪に問わ
れることはない。退魔師には法が適用されないのだ。無論、そんな凶悪な犯罪者を匿い、貪らせておくような退魔師結社でもなかったが・・・
俺は一通りの料理を終えて、桜の朝食を完成させていく。これでも桜が水無月家に来るまでは自炊していたという自負があり、並大抵の男子に比べれば手馴れたものである。無論、プロ級の腕前である彼女には到底に及ばないものだろうが。
そして最後に・・・俺は用意していた瓶の蓋を開き、各料理に振りかけていた。無論、実際に最後の一線まで犯すつもりはない。あれはあくまでも想像であり、絶対に叶えてはならない夢想である。
桜の裸・・・裸体を見る、うん。そう・・・見るだけなら。
それは言い訳でもあったが、同時に自身の誓いでもあった。
想像の中でならともかく、実際に現在の桜を犯せば、桜は処女を喪失すると同時に、巫女能力まで失ってしまうことになる。そうなれば、桜は俺に愛想を尽かし、ショックの余りに東北へ帰ってしまうかもしれない。
巫女を失った俺には、退魔剣士の昇格試験に受ける資格さえなくなり、また水無月家には新たな巫女を招聘するほどの発言力はなく、また俺自身、桜以外の巫女を得るつもりは更々ない。
が、退魔師家である水無月家に、退魔師が居ないという現状もあり・・・
「それだけに、この誓いだけは絶対に破れない・・・」
そう、絶対に・・・
おかしい・・・
俺はもうすぐ四時になる時計を見つつ、未だに姿さえ見せない桜に戸惑いを憶えずには居られなかった。
日頃の彼女ならば、もう既に台所に立っている時間である。
テーブルの上には既に俺の作った桜だけの朝食が並んでおり、例の隠し味である調味料は隠し保管庫に閉まっておいた。
珍しく寝坊かな?
俺は桜を呼びに行こうとして、階段のところで昏倒しかけている桜に愕然とせずには居られなかった。
「さ、桜!!」
俺は慌てて彼女の元に駆け寄る。
「あ、こ、光ちゃん・・・お、おはよう・・・」
「だ、大丈夫か?」
明らかに体調が思わしくない桜の表情。
そ、そんな・・・桜の・・・れ、霊力が・・・
俺は、己の浅慮と迂闊さに、呆れるのを通り越して怒りさえ憶えていた。
桜の霊力低下に伴う体調の悪化。思い当たる節は一つしかない。
俺は昨夜・・・桜の唇を奪ってしまった。
しかも俺は舌を絡ませ、俺の唾液を飲み下させるような濃いキスを。
その直後は特に、桜の霊気に変調が見られなかったことで、自分の強いた所業の代償を軽んじて、更に想像を膨らませてしまっていたのだ。
な、なんて愚かなんだぁ・・俺わぁ!
俺には巫女の性的な接触によるペナルティーがどれほどのものか、どれぐらい続くのか、そしてそれが巫女の体調に悪影響を及ぼすのか、全くもって理解さえしていなかったのだ。
とりあえず桜の身体を支えながら、居間と入る。
テーブルの上に並べられた朝食を見た途端に、体調の芳しくない桜の表情が更に強張るのを理解する。しかもその朝食は・・・
「・・・」
「あ、これは・・・」
俺は、水無月家の・・・つまり俺の巫女としての桜の覚悟の顕れ、とも言うべき、彼女の日課の重さを軽く見ていたわけではなかったが、改めて彼女の意思の強さを再確認する。
「その、俺の分は・・・やはり、桜が作ってくれるか?」
その俺の申し出に対し、眩しいばかりの表情を見せる彼女なそれだけに、俺は更に自身の迂闊さを、愚かさを思い知らされるのであった。
「光ちゃん、ありがとう。ま、待たせるけど・・・ごめんね」
「い、いや、そんなこと気にするな・・・」
・・・本当に・・・すまない、桜。
俺は桜に用意した朝食を一瞥して、再度に熟考した。
こう考えよう。確かに桜の朝食には、強力な睡眠薬が服用してある。恐らく体調の思わしくない彼女なだけに、すぐに昏睡してしまうことだろう。ただ体調が
思わしくなかろうが、彼女は一日として、俺の世話から水無月家が所有する零脈の管理、自らの巫女修行・・・そして学業を疎かにしたことはない。
彼女の性格とこれまでの行動からして、まず間違いない。
それだけに、この俺が作った特殊な朝食は・・・彼女の身体に強制的に休みを強要させることになる。ならば、そんな彼女の看病に付き添うことこそ、今回の俺の愚行に対する贖罪ではないだろうか?
主目的であった桜の裸・・・無論、見たくないと言ったら嘘になる。
だが、今の俺には彼女の裸体を拝む資格は、ない!
僅かな時間で俺の朝食が用意された。味付けこそ普段に比べて劣るものの、それでも俺の作ったものより格段に上手い。
桜は久しく俺の作った料理とあって、体調の悪さに服用された睡魔に蝕まれながらも全て平らげようとする。
「さ、桜・・・大丈夫か?」
「う、うん・・・大丈夫・・・」
相当に(当然だが)眠そうな様子の桜であったが、なんとかコップに満たされた水に口をつけていく。
あっ、と思ったときには遅かった。
そ、それは桜に飲ませたくて、ミネラルウォーターに睡眠薬、そして俺の唾液を含ませてしまっておいたもの。巫女は性的な接触、まして異性の唾液にも霊力に悪影響を与えると思われる。
こ、この場合・・・間接的にとはいえ、どうなる?
絶対に悪影響に決まっていよう!!
だが、俺が止めようとした矢先に、半分ほど残されたコップはテーブルに置かれ、桜の意識は完全に朦朧としていた。
半分・・・
俺にはもはや、桜に詫びる言葉すらない。
「桜、とりあえず自分の部屋に戻ろう・・・」
体調が悪いなら、猶更だ。
「う、うん・・・」
俺は桜の身体を抱え上げて、二階へと運び込んでいく。
それは想像で夢想していた光景ではあるが、今の俺の心境とは雲泥の開きがある。本当に申し訳なかった。自分の愚かしさを全て曝け出して、彼女に詫びたかった。
「桜の部屋・・・入る、な?」
既に桜は俺の腕の中で深い眠りに入っていた。
俺に元凶があるとは露知らず、疑いもせず・・・ただ俺の腕の中で眠り、それでもシャツにしがみついた手を離さないでいてくれる。
俺はこんな健気な桜になんてことを・・・
健気なだけに・・・俺は何を強いてしまったんだ・・・
彼女の蒲団を敷き直して、桜をその上に寝かせる。
「こ、光ちゃん・・・ごめんね」
その際、僅かに意識を覚醒させたのだろう、桜が申し訳なさそうに顔を曇らせた。
「気にするな・・・」
違う、その台詞は俺が言うべきものだ。
俺は何と傲慢であり、卑怯であり、卑劣なのであろうか・・・
俺の望みはただ一つ。全てを要約すれば、この少女を失いたくない・・・ただそれだけのはずなのに。
俺は繋いだままの桜の手を握りしめる。
「さ、桜が全快するまで・・・その、付き添うから」
「・・・」
桜は本当に嬉しそうに・・・そして深い眠りに堕ちていった。
「くっ、すまない・・・桜・・・」
今日だけで何度目の謝罪だったのか、俺自身数えきれない。
きっとそれだけ、俺は彼女への裏切りともいうべき愚行を繰り返した証であったのだろう。
俺はそれからも幾度となく、桜に詫びなければならない。
そう、桜は知らない。
今日、再び・・・俺の唾液を飲み込んでしまったこと。
明日・・・いや、暫くかもしれない。
更に体調が悪化して、桜をより苦しめることになるかもしれない。
そして、俺も知らなかった。
今日、この日・・・
俺の悪友であり、親友でもある荒川裕二の彼女・・・そして、俺とも幼馴染でもある白雪奈々が、魔力の力に目覚めた間藤圭一によって、処女喪失ともなる『破瓜付き膣内出し妊娠確定レイプ』をされ、桜もレイプすることで結託してしまっていたことなど・・・
俺が知る由もなかったのだ。
→進む
→戻る
→退
魔師☆巫女物語のトップへ
|