第三話・裏【 歪みゆく想い 】


 退魔戦争・・・
 それは今から十数年前の、俺が当時まだ四歳か、五歳のころのことであったろうか。当時のおよそ全ての退魔師が参戦し、この世に蔓延る妖魔や魔族、そして魔王とも呼ばれた存在と雌雄を決した戦いのことである。
 この戦いによって多くの妖魔や魔族が現界から消滅し、そして魔王が打ち倒されたことによって、退魔師の勝利で終焉する。
 だが、その勝利の代償は決して軽いものではなかっただろう。魔王が前線に存在したとされる東北がもっとも激しい激戦区とされているが、全国各地ほとんどの退魔師家が大きな打撃を被っていたことに変わりはない。
 特に俺が通うことになる水無月家に限っては、全ての退魔師が戦場に召集されて、その全員が戦死したという凄まじさであった。

 俺がその水無月家に通うことになったのは、とある少女との出会いが発端であっただろう。同じ初等部のクラスメイトであり、そして俺の知る限りの中でも、とびっきりの美少女であった。
 それも当然ではある。彼女は、水無月家の巫女であったのだから・・・
 彼女の名を・・・水無月志穂。当時の俺は彼女が巫女であることを知る由もなく、そもそも退魔師界の仕組みさえ良く理解できていなかったのだが、全男子生徒の全員が彼女の虜となり、かくゆう俺もその一人ではあった。
 他のクラスメイトや同級生たちを出し抜きたい、そして何より、この美少女に少しでも近づきたくて、俺は水無月の道場の門を叩いていた。
 なんて不順で幼稚な思いつきではあろう、と今更ながら俺でも思う。
 だが、思いのほか俺には剣術の才能があったらしい。もしくは、もっとも多感とされる幼年期に剣を学べたことが大きかったのかも知れない。俺は水無月家に通う日々、一日ごとに上達していくような自分の成長がとても楽しく、そして嬉しかったのだろう。

 そんな折、当時の俺よりも年下の男の子が剣を手に座っていた。無論、水無月家の道場には年齢制限なんてものはなく、俺よりも年下の男の子が居たところで何ら不思議はなかったのだが・・・その少年の鬼気迫る姿勢は、やはり並の男の子ではなかったのだ。
 この男の子こそが、俺の初恋の的、水無月志穂の腹違いの弟であり、水無月家の嫡男にして直系でもある、水無月光一と知り得たのは、それから暫くしてからのことであった。
「どうだ、参ったか?」
「まだまだ・・・」
 光一とは同じ幼少組として訓練を共にする日が多く、その甲斐もあって次第に志穂を見かけるどころか二人きりで話すらできるようになり、子供ながらに彼女との距離が近づいたような、そんな気がしていたんだ。
 嬉しかったな・・・あの時は。

 だが、俺の初恋の余命は、もうそう長くはなかったのだ・・・

 それは俺が中等部に進学したばかりのときのことである。彼女との・・・水無月志穂との唐突な別れの時が訪れたのは・・・俺はその時になって初めて、志穂が退魔師結社に登録された巫女見習いという存在であり、結社の選定には従わなければならない宿命を背負わされていたのだと知ったのだ。
 水無月家では門下生の全員が揃い、一日がかりで志穂の送別会を行い、誰もがその別れを惜しんでいた。弟である光一も祝辞を口で述べつつ、無理に笑っているのがとても痛々しく・・・
 送別の最後に、志穂は泣きながらも皆に感謝して・・・運命を、結社の選定を受け入れていたのだろう。笑顔のままで水無月家から送り出されていった。

 それから間もなくのこと・・・
 志穂は・・・永久に帰らぬ人となって、この水無月家に帰還した。仕えた剣士に乱暴され・・・レイプされる形で処女を、退魔師能力ごと喪失させられてしまったのである。
 巫女とは剣士に与えられた道具であり、また同時に権利でもある。それは長い歴史を持つ退魔師界の古くからの伝統で、退魔師家を統べる退魔師結社が承認するところでもあった。
 光一は姉の亡骸を抱いて号泣し、俺もそれ以上に絶望をせずにはいられなかった。その時の俺の落胆ぶりが如何ほどのものであったか、もはや言葉で表すこともできない。
 そして、これが俺の初恋の終幕であったのだ・・・


 それからも俺は水無月家の道場に通いつつ、多くの可憐な女生徒や女性たちと関係を持つようになっていった。一つにはこの初恋の苦さを薄める、という目的もあっただろう。俺は連日のように女性と一夜の一時を共有し、次の日にはまた新たな一夜を求める日々を重ねていった。
 処女、処女、処女!
 名器・・・数多の女性と身体をつなげ、それこそ数え切れないほどの処女を抱き、まさに男を喜ばせるような名器にも出会えた。無論、そういう貴重な女はキープするに限る。俺が声をかければ、大抵の女は喜んで股を開き、俺という存在を受け入れていく。
 俺が女性陣に求めた条件はただ一つ、生で膣内出しさせることだけ・・・
「・・・」
 だが、俺の心はいつも乾いていた。
 可憐と思える少女の処女をあらゆる手段(時に優しく、時には残酷なまでに強引に)で散らし、常に膣内で果てたことで妊娠した女生徒や女性も居たことであろう。
 既にこの時から俺の精神は破綻をきたし、壊れていたのかもしれない。次第に志穂への落胆も風化していき、当時の悲しさが次第に悔しさへと変わっていった。そう、志穂が亡くなった悲しさよりも、彼女の処女が他の男に奪われてしまった、のだという悔しさに・・・

 そんな時のことである。
 俺の目の前に一人の美少女が・・・俺の知る限りの巫女の中で、それまで一番可愛いと思っていた志穂でさえその足元にも及ばない、絶世の美少女が現れたのである。
 小柄な身体が故に貧相な胸でこそあったが、それを補って余りある容姿に、四肢は細長くも健康的で・・・乾いていたはずの俺の心が次第に潤っていく。俺がこれほどの情熱を抱くのは久しぶり・・・いや、初めてのことであったかもしれない。その彼女は明らかに、志穂との出会いよりも俺に衝撃を与えていたのだから。
 同時に俺は、彼女を紹介する男に心の拳を握り締めずにはいられなかった。
(剣技では俺よりも劣るくせに・・・)
 そう、俺に欠けているのは霊力。こればかりは何度説明を受けても理解できようはずがなかった。精霊を感じ、精霊と会話して、精霊を使役し、その精霊から力を借りる?
 言葉で言うのは容易い。だが・・・それだけに先駆けて「見習い」に昇格した光一であり、そしてその巫女となった美少女の名を・・・中川桜という。


 俺は桜ちゃんと光一から受けた朝食の誘いを断り、その日は少し離れた地にある鍵師の元へと赴いていた。まぁ、念には念を入れて、近場の鍵師は避けた結果ではあろう。
 そのため、俺が再び水無月家の敷地に戻ってこられたのは、もう日も暮れかかろうとする夕刻のことであった。
「さてと・・・早速、お邪魔させて貰おうかな」
 俺は鍵師から受け取ったばかりの合鍵を差し込み、それに記された情報が本邸の防犯機能を全て無効化とさせる。
 ・・・ここ近年における防犯思想のレベルは顕著で、専門の鍵師にでも依頼しないかぎり、今の防犯技術を凌駕することはできない。故にこれほどの時間を要してしまったわけであったが・・・これで最大の障害が解かれたのも同然ではあった。
 光源の爺さんは本邸から離れた別邸を住居としており、更に幸いにも、光一と桜ちゃんの二人は、退魔師結社からの要請によって高山家に直行となり、帰宅は早くても明後日の夕刻ぐらいになるとのことだった。
 まさに今の本邸は無人の館であり、今日にも忍び込もうとしていた俺の行動を是とする神の計らいでもあった、とさえ思えたほどだ。
 外門をくぐり、古風だがしっかりとした屋敷の正面を歩む。
 そしてシーンと静まり返った空間に、カラカラカラと玄関の音が鳴り響き、俺は初めて光一と桜ちゃんだけが独占する空間に足を踏み入れたのであった。
「さてと、お邪魔させて貰いますよ・・・」
 誰に断るわけでもなくそう呟くと、俺は静かに靴を脱ぎ捨てる。
 本邸の間取りは事前に把握済みであった。この廊下を真っ直ぐに進めば、降臨儀式などが催される本堂と中庭があり、そこを右に曲がれば、二つの扉と空中廊下を挟んで、俺ら門下生でも昇格試験などで入室を許可される本道場がある。
 そう、何処に行けば桜ちゃんの部屋があり、何処に風呂場・・・その脱衣所があるのか、俺には手に取るように解っていた。
「いいねぇ〜。この澄んだような空気は・・・」
 俺は静かに廊下を渡り、ひとまずこの本邸の中心に位置する居間に足を運び入れた。広くもなく狭くもない、やや古風だがしっかりと手入れの行き届いた和室であった。
「おっ・・・」
 俺はテーブルの上に残されていた(食い損ねてしまった)朝食が目に付き、透明なスープを一口だけ啜ってみることにした。
「・・・」
 さすがに光一が日々、賞賛するだけのことはあり、桜ちゃんの味付けは絶妙なものであった。できれば、もう一口・・・それも温かいうちに戴きたかったものである。
「ま、いずれは・・・戴くつもりさ」
 それも桜ちゃんの温かい膣内で作れられた、桜ちゃんだけの特製スープならば、尚更のこと・・・

 俺の鍛え上げた眼力が正しければ、桜の身体はとてつもない名器の持ち主であると思われた。無論、巫女であるのだから当然ではあるが、その巫女の中でも格別の・・・極上の名器だろうと推定される。
 またこれも耳にしたことがあるだけで、実際に味わったことがあるわけではないのだが、儀式によってのみ誕生する巫女の身体において、その体内で分泌された愛液は、自らの剣士に捧げるべく『愛の雫』とさえ称えられるほどの体液とされている。これにも巫女によっては個人差があり、剣士への想いが募れば募るほどに、『愛の雫』の味がより成熟されるという。
 ここは是非とも、桜ちゃんの愛液を・・・特製スープを味あわせて貰いたいものだ。
 まぁ、その時はどうやって光一を説得して・・・黙らせるか、だが・・・今のところこれといって名案があるわけでもなかった。せいぜい今朝の稽古のような際に賭け事の勝負を持ちかけて、勝ったほうが一つだけどんな要求もできる、って程度の浅はかな考えでしかない。
 ま、その程度の賭けぐらいで、光一が桜ちゃんの身体を貸してくれるとは思わないのだが・・・さて、どうしたものかな?

「んっ?」
 俺は本邸に来訪した最大の目的へ向かおうとした瞬間、居間の仏壇にある写真立てに目を奪われてしまった。あ、いや・・・水無月家の本邸、その仏壇に志穂の写真があるのは当然のことであっただろう。
(そういえばもうすぐ、あれから七年が過ぎるのか・・・)
 だが、俺にとって問題なのは・・・俺の初恋の人であり、残された写真でも可憐な姿であったことは認めるものの、既に見慣れつつあった桜ちゃんの可憐さに比較してしまうと・・・あれほどの彼女でさえ霞んで見えてしまうことだった。
 それだけ桜ちゃんの可憐さは異常であったのだ。東北の知り合いに問い合せたところ、やはり有名な巫女の一人であり、東北の退魔師家における至宝の一人に挙げられるほどの存在であったという。
 衣服の上からでも解る、まだ発育が開始されたばかりであろう、僅かに膨らむ胸はともかくとして、あのくびれのある腰・・・巫女がいずれも名器の持ち主だというのなら、あの桜ちゃんの膣内はどれほどの締め付けをもたらしてくれることであろうか?
 俺は今日の最大の目的である風呂場の脱衣所に赴き、洗濯機の中から一つのものを見つけて掴み取る。桜ちゃんが身につけていた洗濯前の下着だ。これこそが今日、本邸に赴いてきた最大の目的であった。
 真っ白な無地・・・およそ持ち主の性格を表すような、何気ないショーツであったが、これがあの桜ちゃんの膣口を覆っていたのか、と思うと・・・思わず俺は陽射しに当て、ゆっくりとその香りを堪能してしまっていた。
「これが桜ちゃんの・・・」
 ドキドキと心臓が高鳴り、これだけでも一週間は昇天できそうな破壊力であった。
 ゆっくりと舌を這わせ、その布地をなぞるように舐め上げる。鼻腔には先ほどの香りが鼻をくすぐり、気がついたときには、三角の中心点を口に含んでいる有様であった。

 それを丸めたままポケットの中に(お宝ゲット!)押し込んで、脱衣所を後にすると、二階へと歩を進めて桜ちゃんの部屋にたどり着く。
 およそ最低限の、今時の女の子にしては質素すぎる部屋であった。勉学用の平机が一つ。書棚が一つに割と大きめだが使い尽くされたタンスが並び、押し入れに畳まれた布団が一式。その下にある籠の中に仕舞われた衣服は、冬服であろうか。『光ちゃんからの預かり物』と書かれた箱の中には、以前に光一が嘆いた、初日の早々に没収した品々であろう。その上には換えの制服と部屋着、寝間着などが掛けられていた。
「さてと・・・何処から物色させて貰うとするかな?」
 ここはやはり、タンスの中からでしょう。
 そこの最上段には綺麗に整頓された衣服だけが仕舞われており、下に進むに連れて、いよいよ目的地点に近づいていく。まだ揺れる心配のない、あの胸であるからブラの数こそ少ないが、その分、小さく丸めて畳まれているショーツの数はまさに豊富であった。
 基調された色こそ多彩ではあるものの、いずれも無地の地味なやつで、俗に言う勝負パンツなんてものは一つとしてなかった。それはまさに桜ちゃんらしい。いや、そもそも彼女にはそんなものを穿かなくても、表情を一つ変えるだけで男をその気にさせることができるであろう。
「さてと、ま、これだけあれば・・・数点無くなったところで気付かれまい」
 一つぐらいは光一にもお裾分けしてやるとしようか。
 俺は適当に数点を見繕って頂戴すると、残念ながら選出されなかったショーツたちとブラには、俺の唾液をたっぷりと含ませることでその別れを惜しんでいく。その全てを(干してある物も拝借して)余さずに終えるころには、さすがに喉もカラカラであった。だが、逆に俺のスーパーマグナム・・・人並み以上に大きさを誇る怒張はガチガチで、もうはち切れんばかりに元気そのものだった。
 押し入れに畳んであった布団を敷き、桜ちゃんの残り香を感じながら、脱衣所で有り難く受納した桜のショーツと残された一枚を重ねて包み、ゆっくりとペニスをしごいていく。
(ぐおぉ!)
 今の俺のペニスは、時間差をおいて桜ちゃんのマンコと接触している・・・あの絶世の美少女の穢れない証である処女マンコと触れ合っていると思うと、この俺が果てるまでに、そう長い時間を要すこともなかった。
 夥しいばかりの精液が桜ちゃんのショーツをグショグショに濡らし、布団の上へポタポタと落ちていく。慌ててテッシュで拭き取ろうと思ったものだが、光一たちが帰ってくるまでにはまだ二日以上の時間がある。故に俺はそのまま布団を畳んで押し入れに戻してしまっていた。
 しかし、俺がこんなに早く達するとは・・・俺の脳内補正を褒めるべきか、それとも中川桜という、絶世の美少女の存在を称えるべきであろうか。

「ふ〜、ま、すっきりしたところで・・・」
 書棚を眺めながら、ゆっくりと一瞥していく。およそ参考書や料理の(特に京都風の味付けにこだわった)本が並び、何ともこれは面白みのないタイトルばかりであろうか。
 と、途端に俺の視線が平机の上に置かれた一冊の表紙に止まり、それを手に取って開けてみる。


 それは桜ちゃんの今日までにおける日記帳であり、彼女がどのような境遇によって中川の家で育てられてきたか、そしてこの水無月家に来て、次第に惹かれていく光一への想いが延々と綴られていた。無論、「好き」という言葉などは使われていない、が、この文面からだけでも、どれだけ彼女が光一に想いを寄せているのか、それが解らないような俺ではなかった。
「・・・」
 基本的に桜ちゃんは、今は見習いであっても生粋の退魔巫女として育てられてきたのだろう。まだ物心もつかない幼少の頃から、睡眠時間は必要最低限に止められ、たった一人の剣士に仕えるためだけに時間を費やされてきていた。そこには一切の妥協はなく、それは光一に仕えるようになってからも変わるところはなかったのだ。
『いつか仕える剣士のために、私は今の時を惜しむことはできない』
『巫女は剣士の道具であり、私も剣士の意思に従う者である』
『道具に感情はいらない・・・でも・・・』
『巫女は剣士の所有物であり、私の想いは決して許されないことであろう』
 桜ちゃんの凄いところは、それがとにかく徹底されていることだった。巫女であることを常に自覚し、次第に惹かれていく光一への想いを擦り潰し、あくまでも自分が光一の巫女でしかない、ということを自身に向けて言い聞かせている。

「見ない方が良かったかな・・・」
 途端に自分の行いが恥ずかしくなり、俺は日記帳を元の場所に戻すと、ゆっくりと桜ちゃんの部屋を退出した。今でも桜ちゃんに心を奪われている気持ちに偽りはなく、そのためになら光一でさえ欺く覚悟はあった。いや、今でも奪い取ってやろうというぐらいの気概はある。
 そうだ、桜ちゃんの処女は俺が奪う!
 それは巫女である桜ちゃんにとっても決して悪い条件ではないのだ。俺が桜ちゃんをレイプし、俺に処女を捧げることにとって、彼女は巫女としての立場から解放されることになる。
 そして俺に抱かれても尚、光一への想いが忘れられない、というのなら、その時こそ彼女は光一の恋人にでもなればいいのではないか?
 桜ちゃんの一途さからして、恐らくはそうなるであろう。
 だからその代償として、俺が桜ちゃんの処女膜を破り、せめて夥しいばかりの鮮血マンコの膣内に俺の想いの全てを注ぎ込ませて貰ったとしても、それは俺の徒労に対する正当な権利であり、俺が受け取るべき報酬でもあろう。

「ああ、そうだ・・・」
 俺は階段を一段ずつ降りながら、桜ちゃんへの想いを反芻する。
 桜ちゃんは巫女である立場と、光一への一途な想いに苦しんでいる。
 それを俺が取り除いてやるのに、誰に何の遠慮がいよう?
 そうだ、桜ちゃんは俺にこそ処女を捧げるべきなんだ・・・
 ああ、桜ちゃんの・・・桜の処女は、俺だけのもんだぁ!

 俺は何度も心の中で反芻する。でなければ、たった十二歳の少女の心情と決意に負けてしまう、そんな絶対的な確信が俺の中にあったのだ。だから俺はその確信を摺り潰すように、何度も自身に問いかける必要があった。

『俺は・・・桜を犯す!』

 一階に降り立った際、既に迷いはなく、俺の決意が明確に定まった。ゆっくりと唇を釣り上げた表情を前に向け・・・俺は愕然とした。いや、愕然とせざるを得なかった。
「・・・」
『ほぉう。そのような顔もできるのではないか・・・』
 俺はまさに身動き一つすることさえできなかった。
『なぁ、刹那よ・・・』
 本来なら別邸に滞在して、滅多に姿を現さないはずの水無月光源の姿がそこにあったのだから。


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