【 主要登場人物一覧 】

 

○北原 春希(23)

 開桜出版株式会社編集社員。

 入社二年目(バイト時代を含めて四年目)にして、期待の新鋭ホープ。音楽誌部門アンサンブルからの依頼で手掛けた『冬馬かずさ写真特集』は、音楽クラ シック誌にも関わらずベストセラーに選出され、社内でも確固たる地位を築くに至っている。

 個人的な事情もあって、冬馬かずさへの専属取材担当責任者。

 一人称は「俺」

 付属時代から数えて(冷戦中だった三年間も含めて)五年の交際を経て、恋人の小木曽雪菜に求婚。自身の生涯を彼女だけに捧げると誓約する。

 人を問わず面倒見が良く、仕切り屋にして説教癖があり。行動も模範的で、学業の成績はトップクラスという典型的な委員長タイプ。

 そのため理詰めには滅法強いが、物事の瀬戸際における打開力は群を抜いている。

 理性では雪菜を心から愛している。だが、感性では・・・

 かずさからの影響を受けやすく、その代わりに雪菜に影響を与えやすい。

 これまでの経緯もあって、新妻の雪菜には頭が上がらない。

 尚、数年ぶりに再結成することになった『峰城大付属軽音楽同好会』では、主に作詞とギターを担当する。





○北原 雪菜(22)※誕生日が二月のため。

 中堅レコード会社ナイツレコードの広報課担当社員。

 男女問わず誰もが息を呑む美貌の持ち主。付属時代には『ミス付属』三連覇の快挙を成し遂げる。尚、大学時代におけるミスコンは不参加。

 数えきれない困難の末に、ようやく春希からの求婚を受ける。

 旧姓は『小木曽』

 家事全般を得意としており、特に料理に関しての腕前は非の打ち所がない。

 気を許した相手(春希とかずさ)にのみ、我儘で甘え上手にしてかなり嫉妬深くなる。また負の感情を内に溜め込む傾向があり。

 特に「仲間外れ」「一人になる」ことを極端に恐れる。

 一人称は「わたし」

 ヒトカラの女王。三時間連続で歌い続けることが可能。

 春希からの影響を受けやすく、その代わりにかずさへの影響を与えやすい。

 付属時代からの可憐な美貌の容姿にして、他者を惹きつけて止まない美声を誇り、『伝説の歌姫』が異名。無論、『峰城大付属軽音楽同好会』では、 『SETSUNA』としてヴォーカルを担当。

 開桜社の「冬馬かずさ写真特集」にミニアルバム『white album』を同封させた発起人の一人であり、以降は冬馬かずさ担当となる。





○冬馬 かずさ(23)

 冬馬曜子オフィスに所属する、国際ピアニスト。

 付属高校卒業後、単身で母親の待つウィーンに国際留学し、トラスティ国際ピアノコンクール二位入賞など輝かしい功績を挙げる。

 日本凱旋の際に発刊された「冬馬かずさ写真特集」は、三倍増に増版されたにも関わらず軒並に売り切れ殺到を起こし、その類稀ない実力と神秘的な美貌も合 わさって、絶大な人気を得ることとなった。

 ただし、その外見とピアノ以外では、完全なまでに生活破綻者であり、特に人とのコミュニケーション能力は壊滅的。とある一件では、取材記者に怪我を負わ せるなど。

 一人称は「あたし」

 超甘党(母親、冬馬曜子の影響もあり)

 雪菜からの影響を受けやすく、その代わりに春希への影響を与えやすい。

 『峰城大付属軽音楽同好会』では、作曲及びピアノを担当。

 尚、春希のギターの師匠でもある。





○藤井 冬弥(36)

 喫茶店『マリオン』の店主兼ウエイター。

 学生時代は三つのバイト(ウエイター、家庭教師、TV業界のAD)をこなす苦学生であり、そのせいもあって人並み以上に何でもこなす器用人。

 一人称は「俺」

 緒方理奈と結婚後は、とある駅前の喫茶店『マリオン』を経営。

 彼女との間に二子、二人の姉妹を授かる。

 尚、高校から大学時代は森川由綺の恋人だった。





○緒方 理奈(35)※誕生日が十一月のため。

 十年前に再起した国際アーティスト。

 本名は「藤井理奈」であり、「緒方」は旧姓であり芸名。

 類稀な歌唱力とカリスマを持ち、人並み以上の努力家でもある。

 ただし画面に映る彼女のそれは、あくまでも作られたイメージであり、彼女の本質は普通の女の子。それ以上でもそれ以下でもなく、それを唯一に気が付いた 冬弥を異性として、次第に惹かれていく。

 彼が・・・由綺の恋人と知りつつも。

 撮影ロケで彼に告白し、冬弥と結ばれると、音楽芸能界の引退を表明。冬弥の卒業を待たずに結婚し、五年間の休養期間中に二人の娘を授かる。

 一人称は「私」

 十年前に電撃復帰を果たし、以降は毎年一回行われる音楽業界の一大イベント『音楽祭』の最優秀賞を連続受賞中。

 そして次の『音楽祭』では引退を考えているが、未だに夫がかつての恋人を忘れていないこと、そしてその人物の行方を現在も懸念している。





○森川 由綺(35)誕生日が十二月のため。

 かつて全国の観衆を魅了した、元アイドル歌手。

 性格は温厚で素朴。素直な努力であるという欠点のない性格。多忙で冬弥に逢えない寂しさを、人には見せようとしない気丈さも持ち合わせていた。

 多分に可憐な容姿に笑顔が眩しい少女だったが、それは冬弥に依存する安心と信頼感から表れていたものであり、本来の彼女の本質は、もっと地味にして根 暗。

 一人称は「私」

 彼女にとって理奈は、同門の良き先輩。のはずだったが・・・

 高校時代から藤井冬弥の恋人であり、多忙なアイドル稼業を続けながら、その交際が永遠に続くものだと思っていた。



 その理奈と冬弥が結婚した際に、音信不通となり・・・

 ・・・現在は、消息不明となっている。


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