第二章【聖女散華】

(1)

 意識を奪い取ったパッフィー姫と兄のカリウスを見送ったカルロスは、一人残された二階でガンドルフ以下、主だった幹部達を叩き起こした。敵味方に関係なく、放たれた兄のディメイションクラウドの呪縛から強制的に解放するには、一定の痛覚を与えなければならない。
「くぅっ、もう少しで今夜最大のイベントが始まる」
「もし見逃したりしたら、一生、後悔してしまうところだったぜ!」
 尚も魔法の余韻に侵されながらも、ガンドルフ達は早急に勇者一行と、憲兵たちを捕縛する。特に勇者一行の方は、再び目覚められては厄介の事この上ない。特に念入りに動きを封じ込めた。
 そして、未だに倉庫一帯で繰り広げられていた戦場も、拠点からの指令によって、忽ち喧騒とした空気が払拭された。
 また憲兵総監ウェンの身柄を盾にして、憲兵隊の抵抗も静まり、彼らも指定されたブロックに詰められた。無論、捕縛したロンバルディアの部下達も釈放され、同じ場所に、また違う指定されていた場所に落ち着く。
「い、一体、何を始めようというのだ?」
 事情を知らされていない憲兵隊にとって、当然の疑問であっただろう。また今回の真の目的は、ロンバルディアの内部でも、一部の人間のみにしか伝達はされていない。それはどこの場所も同様であった。先ほどまで互いに殺伐とした殺意だけがやり取りだった、ロンバルディアと憲兵隊との間に、奇妙な共通点が生じていた。
 そう、こうして・・・・・・ロンバルディア連合にとっては理想的に、勇者と憲兵隊側には不本意だっただろうが・・・・・・とにかく、戦いは終わったのだ。
 だが、それは同時に勇者一行の苦難と・・・・・・そして真の目的とされていた【聖女】パッフィー・パフリシアの無残な舞台の、幕開けでもあったのだった。

 (兄さん、ほぼ全員の配置は終わったよ・・・・・・)
 (フフッ・・・・・・待ちわびたぞ)
 兄が三階に上がってから、まだ数分程度しかであるが経過していないが、その数分でさえ、兄を待ち焦がせたのだろうか?
 だが、次の兄の思考で、疑問は氷解する。
 (マーリアを失って、十五年・・・・・・)
 髪の色こそカリウスの遺伝を継いだようだが、小柄な細身の身体といい、可憐な容姿といい、母マーリアを彷彿させるような、まさに生き写しのような少女に、カリウスはあの妹の身体に没頭させられていた時期の、若い頃の心境に戻ったようだった。
「たっぷりと愉しませてもらえそうだな」
 突然、全各倉庫内に仕掛けられていたスピーカーから、カリウスの音声が響いた。どの倉庫にも完全防音処理が施されており、外部には絶対に洩れる事はない。だが、そのため密閉した空間、倉庫全体に反響する。
 実際にカリウスの肉声が、各倉庫には、およそ十倍の音声となって伝わったのである。
 そして各フロアーの四方から、広大なモニターが天井からゆっくりと舞い降りてくる。拠点である二階に限ってはモニターだけではなく、天井の中央から、完全リアル画像によって、三階の光景が鮮明に映し出された。まるでその光景は、二階に、三階の部屋が降下してきたようだ。
 二階に映されたこの三階の部屋に入室するには、階段を利用しなければならないが、その階段の途中にカリウス・パフリシアの末裔以外、つまりカリウスとパッフィー、そして唯一にカルロスのみだけが通過できる、特殊な封印が施されている。
 また二階に限っては、三階へ音声が届く仕組みになっている。今はまだ意識が戻らない、彼女の仲間・・・・・・勇者一行のために。
 ぼんやりとしだが、次第に鮮明に三階の光景が映し出されていく。
 豪華なベッドのようなものに、薄透明色の影が立ち尽くしている。三階を映す映像において、カリウスの姿は薄透明色の影にしか映らない。
 だが・・・・・・
 次第に鮮明になっていく光景から、豪勢なベッドの上にもう一人の姿を自覚する。小柄な体躯のようだ。少女のようにも・・・・・・
 既に二階は詰める幹部と闇のネットワークで知る事ができた要人には、その名を知らされていたが・・・・・・それ以外の組員や事情を知らされていない憲兵隊は、この戦場において・・・・・・唯一の少女・・・・・・の存在に思い至り始めていった。
 そして上層部が何を目論んでいるのか、も・・・・・・
 ・・・・・・まさか、これから・・・・・・
 真の目的を知らされていない一派の者は、徐々に鼓動を早めた。そしてそれは、憲兵隊に席を置く憲兵も同様である。憲兵総監ウェンも愕然とした表情で、モニターに喰い入るが、また彼も他の憲兵と同様、心のうちに生まれた感情が渦巻いた。
 それは誰の男にもあるであろう、男の性だった・・・・・・
「・・・・・・ま、まさか・・・・・・まさか・・・・・・」
「パッ、パッフィー・・・・・・姫を・・・・・・」
 映像越しで見る男と、また現実に見る者が、目の前の、後ろ手に拘束された少女の姿を凝視一瞥する。
 ライトグリーンのツインテール、十五歳の少女に相応しい、あどけなさと可憐さを兼ね備える顔立ち。小柄な身体でありながらも女性らしく膨らみ出した胸元は、手首を背中に拘束された体勢故か、際立ってみえた。
 誰の目にも見間違うはずがなかった。【聖女】として、アースティアの至宝とさえ崇めてきた姿なのだから・・・・・・
 (お前の母親の名器からして・・・・・・お前にも期待しているぞ!!)
 数多の激戦を潜り抜けてきた、引き締まった腰元と、二本の脚はスラリと長細く、それだけにその股底には、アースティア至宝の・・・・・・パフリシア王家の血脈に関わる器官へと通じる洞穴から、その聖地ともいうべき、最後のパフリシア王宮というべき器官までの間、相当な締め付け具合が見込めた。母親同様、カリウスを存分に愉しませてもらえそうだった。
「それでは・・・・・・」
 眼前の眠れる美姫の体勢を正し、カリウスはまず衣服越しから、触診するような手つきでパッフィー姫の二つの膨らみを鷲掴みした。
 モニターでも、薄透明色のカリウスの影を透して、パッフィー姫の豊かなものが影の手によって収まっている。
 いよいよ始まったのだ!
「ほぉう・・・・・・」
 パッフィー姫の胸をまさぐる影が、意表を突かれたような息が洩れた。
「十五歳の少女には相応しい貧相な胸だと思ったが・・・・・・これはなかなか・・・・・・良く実らせているではないか・・・・・・」
 その弾力性といい、肉付きといい・・・・・・父親として、申し分ない。
 (フッ、十五年の間、見事に成長したものだ)
「フフッ・・・・・・実っている、実っているぞ!」
カリウスはパッフィー姫の背後に回り、手にする二つの膨らみを交互に揉みしだきして、上機嫌に手にした果実の熟れ具合を批評する。そして、背後から首筋に優しく口づけをする。
「んっ」
 意識のないパッフィー姫は、好きでもない男の手によって、自分の胸を好きなように弄ばれ・・・・・・かすかな反応は見せるものの、本当に些細なものであり、尚も意識が戻るような気配はなかった。
 鷲掴みした状態から、弱く時には強く、揉みしだき・・・指はその頂点に君臨するであろう突起物を探し求めていく。
 柔らかな、小さな突起物の感触が・・・・・・確かにカリウスの掌に伝わる。
紛れもなく、それは・・・・・・
 観衆の目にも、カリウスの掌を透かしたその膨らみの先端が、衣服に小さい粒を表している。
 その柔らかな感触を頼りに、それを指で挟みこむようにして、左右前後に小練り回していく。
「やはり、じかに確認しておくべきか・・・・・・」
 再び正対する姿勢に戻り、意識のないパッフィー姫のハードジャケットを左右にはだけさせ、腰から胸元を覆うアンダーシャツを引き摺り下ろす。
「ほぅ・・・・・・これは・・・・・・」
 豊かな果実に、申し訳程度に頂点に君臨する薄桃色の蕾。それがカリウスの眼前に差し出された。ブラはされていなかった。恐らく引き摺り下ろしたアンダーシャツそれ自体が、その役目を果たしていたのだろう。
 故に今、モニター越しに・・・・・・カリウスの薄透明色の影に正確な色合いこそ知り得なかったが、数多くの男たちの前に、【聖女】として崇められ続けたパフリシア王国の王女の双乳が眼下に晒されたのであった。
 そして・・・・・・その二つの膨らみに君臨する、小さな小さな突起物こそ、穢れない薄ピンクの色合いの乳首こそ、【聖女】の相応しい象徴だった。
 海老沿りさせるのように抱えられ、後ろ手に拘束された状態から、意識のないパッフィーはまるで誇るように、双乳をカリウスに差し出すような体勢になってしまう。
「では、遠慮なく・・・・・・姫の果実を戴くとするか」
 申し訳程度しかない乳首を掴み上げ、見事な弾力性がカリウスの指先に反発するように胸の頂きを取り戻す。左胸の乳首を指先で弾くように刺激を与えて、もう片方の胸先から指先で挟んでは、カリウスは思う存分に弄んでいく。
 (確かに胸の発育は母親以上だな)
「では・・・・・・こっちは如何かな」
 パッフィー姫の身体の腰元まで手を忍ばせ、やや短めのスカートを捲り上げる。純白のショーツがカリウスの目に留まり、そしてその薄布奥にある彼女の洞穴に思いを馳せる。
 モニター越しに観賞を許された観衆も、より前で見えるように鬩ぎ合う。確かに観衆の中にはパッフィー姫を愛しく思い、カリウスの行為に嫌悪感を示す者も少なくはなかったが、それでも、視線だけはモニターに・・・・・・この先のパッフィー姫の晴れ舞台を想像して、股間を膨らませてしまうのだった。
 カリウスは細い両脚を開脚させて、その箇所と思われる両股の溝に顔を割り込ませ、丹念に、念入りに舌を這わせていった。
「あっ・・・・・・」
 それまで聞こえる事のなかった少女の音声が、カリウスの耳に辛うじて聞く事ができた。そしてモニター越しの観衆は、音声が十倍にもなるスピーカーによって、ささやかな彼女の吐息を耳にする事ができた。
 カリウスはパッフィーのショーツの一箇所を丹念に唾液で濡らし、自由となった両の手で、パッフィーの豊かな膨らみと、そこに君臨する乳首を弄んでいく。
 ショーツだけではなく、手にした両端の果実の蕾にも、丹念に・・・・・・交互に舐めあげ、赤ん坊のように口の中に含んだ。その間、自由になった方の手で彼女の股間を手刀よろしくの如くまさぐり、乳首から舌先を這わせて首筋へと舐め上げた。
 戦闘での極度な疲労によってだろう・・・・・・汗のしょっぱさが味覚を刺激した時・・・・・・ パッフィーの身体は極自然の反応を示した。申し訳程度しかなかったはずの柔らかな蕾が、薄桃色から桜色に充血し、更に突起させて硬くしこらせたのである。
「姫も感じ始めてきたようだな・・・・・・」
 このパッフィーの変化に気付いた者は多くはなかったが、彼女の身体をまさぐる男の公表によって、彼女の身体の反応にようやく気付いた者は、少なくはなかった。
 (この感度の良さは・・・・・・母親同様か、いや、それ以上か!)
「んっ!・・・・・・あっ・・・・・・」
「ふっ、いい顔になってきた」
 パッフィーの頬が僅かに赤みを帯び、それに伴い、口元から甘い吐息が洩れ始める。十五歳の少女には初めての感覚だろう、その彼女の反応に、もはや気付けない者は皆無だった。
 まだあどけなさの残るパッフィー姫の表情を見据えて、その唇を奪った。
 最初は児戯にも等しい唇と唇を重ねたキス・・・・・・そして、パッフィー姫の口を塞ぐような仕草から、一気に舌をその口内に侵入させた。
「んっ・・・・・・んんんっ・・・・・・んっ」
 小さな口内に侵入を果たすと、カリウスはパッフィー姫の見事な美しい歯並びに触れ、そして、彼女の愛らしい舌と接触すると、侵入者の舌から逃れる術はなく、簡単に絡み取られてしまう。
 左手でパッフィー姫の股間をまさぐられ、パッフィー姫の豊かな膨らみに君臨する桜色に開花した蕾は、ツンッと突き上げる。
「んんっ・・・・・・んんっ」
 無理矢理に口内を犯され、舌を絡み取られたパッフィー姫は苦しそうに喘ぎつつも、意識がなく・・・・・・もしくは意識がなかっただけに、彼女もまた本能的に舌を絡み合わせてしまう。
 そして、パッフィーはカリウスにかなりの唾液を奪い吸い上げられ、代わりにそれ以上のカリウスの唾液を与えられてしまった。
「・・・・・・んんっ・・・・・・んっ、はぁゥイ呂.ゥ」
 口内をようやく解放されたパッフィーは、頬を更に紅潮させ、そして次第に荒い吐息にも熱を帯びてきたようだ。
 パッフィーの表情の変化を知って、首筋から耳筋にまで唇で無数の接吻を見舞いながら、かすかに囁く・・・・・・
「そろそろ頃合だな?」
 相変わらず彼女の下半身を刺激していた手で、半分以上は自分の唾液に濡らした純白のショーツに、いよいよ手を掛けた。無論、意識のない彼女から返答などなかったが、カリウスは体勢を改めて、手にしていたショーツをゆっくりと引き摺り下ろしていく。
 引き摺り下ろして手にした物を、背中越しに放り投げた。
 純白の穢れなかった存在に相応しい純白のショーツは、その役目を終えたかのように、ゆっくりと宙に舞う・・・・・・【聖女】の今まで身に着けていたショーツを求めて手を伸ばす観衆もいたが、それらの求める手を潜り抜けて落ちた。正確には、落ちたように見えた。眼前に舞い降りたそれはあくまで三階の映像なのだから・・・・・・
 そう勇者一行の眼前で、落ちたそれは・・・・・・


「フフッ・・・・・・やはり・・・・・・な」
 その最も眼前で拝む事が許されたカリウスは自然と嘲笑が洩れた。十五歳という年齢からして、既に予測はしていたが・・・・・・
「この穢れない色合いは・・・・・・」
 その事実はその場にいる者を喜ばせ、それまでの彼女がまさに【聖女】の名に相応しい存在であった事を、安堵の溜息を漏らしたのである。そして今、まさにこれから【聖女】パッフィー・パフリシアの処女喪失シーンに立ち会える事に、喜びを感じずにはいられなかった。既にその喜びの場にロンバルディアの人間も、憲兵もなかった。
 また既に勇者一行の敗報が届けられた市長の邸宅からも、歓喜の叫びが上がり、マードックは敗報に落胆しつつも、ならばせめて、と映し出された光景を食い入るように見据えた。

 この異様な雰囲気の中・・・・・・ようやく魔法の呪縛から解放されようとしていた勇者一行が意識を取り戻しつつあった。


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