第七章【 終わらない明日 】

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 この年の初夏におけるアースティア中央大陸の情勢は、まさに動乱の時代の相応しく、めまぐるしいものであった。
 この中央大陸最大の版図を誇ったシンルピア帝国軍の強襲を受けて、ロンバルディア王国の国王、カリウス・パフリシア(旧姓ハーミット)は尚も死線との最中を彷徨い続け、王国内部ではその強襲直後に帝国から提示された和平を求む慎重派と、交戦を主張する強硬派に王宮は揺れている。
 国王の容態はともかく、後事については、ロンバルディア軍政の双璧と呼ばれる、宰相マードックと最高軍事司令官ガンドルフが交戦を主張していることから、国家の方針が定まるのは時間の問題とされた。
 一方のシンルピア帝国の帝都《ムーンパレス》では、時期皇帝と目されるアデュー・ウォルサムの戴冠。そして唯一の皇族であり、皇女レンヌ・カスタネイドとの婚儀が目前と迫っていた。
 交戦状態にある両国の差は、明白なほどに明らかではあった。

 この情勢の最中、後に【運命の日】と定められた一夜がある。
 シンルピア帝国、唯一の皇族にして皇女、レンヌ・カスタネイド。
 ロンバルディア王国の王妃、パッフィー・パフリシア。
 この両大国の高貴なる身分に、アースティア世界の歴代の中でも、極上の名器を備えた身体を所有する少女たちが、同日、同じ場所で、同じ男の子を宿すことが許されたのである。
 その男の名を、サトー・マクスウェル。現在、シンルピア帝国軍の幹部に名を連ね、旧パフリシア城周辺を統治する人物ではあった。

 サトー・マクスウェルという男は、かつてロンバルディア王国の王都が未だモンゴックと呼ばれていた頃の、《アレックス》(パッフィーを含めた勇者一行によって壊滅させられてしまった、組織の名称)の当主であり、性格は狡猾にして冷酷、それでいて才幹と野望に恵まれた巨雄ではある。
 この男は、後に「アースティア至上、最高の名器」と評されたレンヌ・カスタネイドと、パッフィー・パフリシア、二人の少女と性交することができた唯一の人物であり、その点に関しては確かに、彼はアースティアの神々に選ばれた存在であったかも知れない。
 それだけに、彼が皇帝の座を・・・・そしていずれはアースティアの支配を試みた、としても才幹と野望とに恵まれた男にとって、そう不思議なことではなかった。
 そして、その為の様々な準備と長期に渡る計画には余念がなかった。

 レンヌ・カスタネイドは先帝トュエル・カスタネイド・ジェームズ一世の孫娘に当たり、現在では帝国唯一の皇族である。つまり、彼女を娶ることが、皇帝の椅子への最短ルートではあっただろう。
「まだ時期早々だ。少なくとも、今はだが・・・・」
 確かに数週間前まで、新皇帝候補アデュー一筋だったはずのレンヌ皇女も、サトーとの婚礼の方を求めていることもあり、彼が皇女を娶ることには、それほど困難なことではなかっただろう。
 だが、この急激な変化はサトーの栄光どころか、破滅へとの階梯ともなりうる危険を孕んでいる。まず、老獪で油断ならない帝国宰相ミストラルフは健在であり、また、【大陸の英雄】アデュー・ウォルサムを今、敵に廻すのは決して得策ではなかった。
 サトーの言葉に落胆を抱いた少女は、彼の子を宿した腹部を抑えて、
「早く、この子が生まれれば・・・・」
 サトーは冷笑する。この数週間の間における皇女の変貌ぶりに、である。レンヌ皇女がこのサトーが所有するパフリシア城に赴いた時の、殺意を秘めていた暗殺者の面影も、百億とも呼ばれる帝国臣民を統べる皇女の毅然さも、もはや既にそこにはなかった。
 レンヌ・カスタネイドは、生まれつき病状の、薄幸の少女であった。それだけに先帝ジェームズ一世は勿論、多くの廷臣たちにも大切にされてきた。そして、それに彼女の容姿と人格が、数多の臣民の心境に拍車をかけていたことだろう。
 だが、十五歳を迎えるその日・・・・レンヌの人生は、大きな変更を余儀なくされる。もっとも、今の彼女の心境からでは、好転への転機ということになるのであろうが・・・・
 十五歳の誕生日、アンミストルウム(以下:AML)という特殊な媚薬を投薬され、眼前において殺害される両親の目の前で、サトーたちに破瓜される運命であったのだった。
 AML・・・・それは性感を高めるだけのただの媚薬ではなく、その女性の人生その後も左右する代物である。
 投薬受けた女性はそれから一ヶ月、通常の媚薬としての性感が敏感になる効果の上、一人の男の精を受け入れるまで絶頂を覚えることはできなくなってしまうのである。また、その間の思考は麻痺し、AMLの効果が途切れた頃に記憶として蘇る効能があった。
 また、そして一度だけの投薬だけならばともかく、二度目の投薬においてAMLが「理性を切り離す」と呼ばれる由縁なのであった。この二度目の投薬に、一度目と同じ男と性交を受け、その精を受け止めた場合・・・・その女性の身体は、その男ためだけのものへと作り変えられてしまうのである。
 俗に言われる、「その男なしでは生きてはいけない身体」であろう状態である。このレンヌ・カスタネイド皇女のように・・・・
 レンヌ・カスタネイドがこのパフリシア城に赴いた時は、AMLの第一段階から一年以上の歳月が経過していた。その際にサトーには殺意を抱き、アデューだけを想い慕う少女であったはずが、二度目の投薬を受け、再度のサトーとの結合・・・・彼女の排卵期に定められた【運命の日】によって、その後の彼女の身体と人生と、サトーの子を身篭った出産が約束されたのである。
 この生まれてくるレンヌの第二子(表向きは、アデューとレンヌとの子となる)とその母親たる皇妃の肩書きを用いて、帝国内部の絶対的支持と皇帝継承権を手中に治める腹積もりであった。
 例えそれまでに、どれほどの時間と血が流れた、としても・・・・
「そのためにも、物には順序、というものがある」
 現在、サトーは帝国軍内部で上位に占めるものの宮廷順位は尚も低く、また完全にパフリシア領域を掌握したとは、まだ言い難い。
 宮廷順位の方は皇女の未来を手中に収めたことで、それほど悲観的になることではなかった。このまま例え戦功に恵まれることがなかったとしても、サトー自身が失脚することは絶対にないのだから。
 ただ、その彼がこのパフリシア領域を完全に支配化におけるためにも、少なくない影響力を与えるであろう存在が、レンヌ皇女と同様、【運命の日】において彼の子を身篭ったパッフィー・パフリシアであろう。
 パッフィー・パフリシアは、レンヌ・カスタネイドと同じ年に生まれ、生誕とほぼ同時期に母親マーリアを失い、生まれながらに【魔王】ウォームガルデスの封印を受け継いだ。それによって、魔族の侵攻を受けた祖国パフリシアも、彼女が乳飲み子の頃に滅亡したのだった。
 【封印の魔女】としての運命を余儀なくされた彼女は、側近のイズミただ一人に護られ、十四年間もの間が流浪の旅の日々であった。そして、初代勇者ラーサーの遺児アデュー、流浪の忍者サルトビと出会い、一年間に及ぶ少なくない激闘を潜り抜け、先の魔王大戦において、アースティアに勝利と平和をもたらせたのであった。
 清廉にして可憐な容姿。温和にして優美な人格。アースティアの人々が彼女を【聖女】と崇めるまでに至った由縁でもあろう。
 だが、そのパッフィーも十五歳の際、当時ハーミットの姓にあったカリウスの公開レイプによって破瓜されてしまう。しかも当時において相愛であったアデューの目前において・・・・
 勇者一行の助命を条件に、カリウスのもとに嫁ぎ・・・・未だに多くの人が知ることはなかったが、後に彼女が知らされる実の父親の子供(パティ)を出産したのであった。
 カリウスの双子の弟であったカルロスの非業な戦死に伴い、父親と娘という真実を知った彼女は、カリウスに全てを捧げることを誓った。それは彼女を救出にきた、かつての相愛のアデューでさえ、遂に覆すことができなかった決意であったのである。
 だが、王都ロンバルディア攻防戦の最中、パッフィーは帝国軍のサトーが率いる一軍に捕らえられてしまう。そして、カリウスとアデューが壮絶な戦いを繰り広げていた光景を前に、サトーに犯され、多くの男に輪姦されてしまうのであった。
 帝国軍に復元されたパフリシア城に、心ならずも生還した彼女は、それから二週間に渡ってAMLを投薬され続け、苦渋と悶絶の開幕であった。AMLの効果にカリウスに開発された身体とあって、絶対に絶頂を極められない日々は、理性を切り離された彼女にとって苦痛の連日だけでしかなかっただろう。それだけに、レンヌ皇女の排卵期に合わせられた、【運命の日】による二人の結合を見せ付けられたパッフィーには・・・・
 サトーはそんな状態にあるパッフィーに、三つの誓約を、魔法の首輪に誓わせることに成功する。「魔法の首輪」とは、その契約の内容こそ記憶から完全に抹消されるが、首輪に契約したそれに反する行動を、一切受け付けさせなくする魔法道具である。
 パッフィーが誓約した三つの誓いは、次の通りである。
「サトーを運命の人と認め、生き続けること」
「サトーに無条件で股を開き、懸命に愉しませること」
「サトーの言葉を絶対とし、その命令に従うこと」
 である。
 これによって第一段階のAMLの呪縛から解放され、理性を取り戻した後の彼女ではあったが、魔法の首輪に誓約した三か条と、それに関する記憶が一切にない。自然とサトーに身体を許し、彼女が半狂乱になるのも無理からぬことではあった。


 ここまでは順調に、この二人の美少女の極上名器を手中に収めたサトーではあったが、最初の誤算が生じたのは、未だパッフィーが第一段階のAMLから解放される、その数日前の夕刻のことである。
 この緑豊かな孤島の上に浮かぶ白亜のパフリシア城に、帝位即位を近日に控えた、次期皇帝候補アデュー・ウォルサムが来訪してきたのである。彼が即位すると同時にレンヌ皇女との婚礼があり、彼が婚約者のいるパフリシア城に迎えにくることは当然のことではあった。それでも、この時期に次期皇帝候補でもある彼が突如来訪してきたそれは、サトーの副官たちを狼狽させた。

 その時のサトーは、領主としての運営と近衛師団の政務とを終えて、私室にパッフィーを呼び寄せた頃であった。無論、この二人が室内で行うことは、ベッドの上における男女の営み以外に他ない。
「昨夜はレンヌを抱いてやったから、今日はお前の番だな」
「サトーさま・・・・よろしくお願い・・・・します」
 AMLによって意識を切り離されている彼女ではあったが、魔法の首輪に誓約したこともあって、サトーは彼女にとって運命の相手であり、その命令は絶対である。彼女は自ら身に纏う衣服を脱ぎ捨て、ショーツを引き摺り下ろし、サトーの向けて両股を開いた。
 初心であった頃の色合いをそのまま、そこは既に、男を受け入れるだけの状態に万全であった。サトーの精を受け入れて、絶頂を極められるようになった彼女の身体とはいえ、第一段階の彼女の理性はまだ切り離されたままであり、残されたのは本能と鋭敏な身体だけである。運命の相手との結合のために、彼女は先ほどまで自慰によって準備を整えていたこと間違いなかった。
「さぁて、今日はどんなビジョンを見せて貰おうか!?」
 アースティア史上、最高の名器を持つパッフィーは、運命の人物と定めたサトーと結合する際に、彼女の身体は様々な極上の快楽を、運命の相手に提供する。
 それは結合する都度変化に富み、バリエーションも豊かだ。そのたびにサトーに絶対の快楽を与えるのである。彼がパッフィーの身体に執着するようになったのも無理からぬことであった。


 パッフィーの濡れた股間に宛がい、サトーはゆっくりと挿入を果たしていく。運命の相手と定めた身体は、上質の肉質と先の大戦によって鍛えられた肉質によって、運命のペニスを締め付ける。運命の相手の子を宿した子宮へと誘っていくのだった。
 サトーのペニスがパッフィーの身体奥深くまで抉ったとき、それは始まった。

 静粛に包まれた森林を側面に、良く整備された街道。開かれた方の草原の向こうには遥か彼方の山脈が透き通り、その麓であろうところには青く輝いている水面が窺える。広大な大海だろう、それは運命の相手サトー・マクスウェルも馴染み深い光景であった。
 (ここは・・・・モンゴック郊外!?)
 現在はロンバルディア王国の王都ロンバルディアであり、サトーも数年前まで、この付近において活動していたのである。彼女の周囲には三人、いずれもサトーにも面識のある面々である。
 パッフィーの身体が見せたそれは、【勇者一行】とも呼ばれた彼女たち最後の旅程であった。この後、彼女たちはモンゴックの街でロンバルディアの周到な策謀に陥れられ、パッフィーはその敗北の代償を、自らの純潔で支払わなければならなかったのだが・・・・
 その【勇者一行】の行軍先で、人相の悪そうな男たちが立ちはばかる。いずれも《アレックス》の末端に位置していた奴らであり、これが後に当主不在の《アレックス》壊滅へと続く発端でもあったのだろう。

「さすが、隊長!」
「ん?・・・・ああ」
 サトーは気付くと、手にしていた銃口から煙が立ち篭り、彼の眼下には【勇者一行】のいずれもが満身創痍の状態で、辛うじて立っているような状態であった。その一行を見渡して、唯一の少女へと視線を送る。
 (これがモンゴック到着直前の出来事であったから、当然、パッフィーの身体は処女である。実際、現実における処女こそカリウスに奪われてしまったが、これはこれで・・・・)
 鋭く傷のある頬を歪ませた。
 大陸でも有数の戦士であるアデュー、サルトビを一蹴し、イズミを払いのけて、パッフィーの目前へと迫る。そしておもむろに手を突き出して彼女を押し倒すと、サトーの意を解した数多の男たちが駆け寄る。
「なっ・・・・いやぁァァァ―!」
 懸命に抵抗し、手脚をバタつかせるパッフィーであったが、襲い掛かる数が違いすぎた。無数の男たちの手によって、彼女の衣服は引き裂かれ、剥ぎ取られていく。
「パ、パッフィー!」
「実力もなく正義感ぶるから、こぉーなるんぅだよっ」
 部下の一人に足蹴にされながら、【勇者一行】は幻想の中においても、パッフィー・パフリシアのバージンブレイクの前には、ただ見ていることだけしか許されていなかった。
「これからじっくり、隊長に犯されるところを見届けてやれよぉ」
 その間にもパッフィーの身体は一糸纏わぬ裸体に晒され、数多の男たちの手によって、少女の身体は彼らの隊長の前に曝け出される。
「いやぁ! こんなのぉ・・・・」
「お、俺が二番手だぞ!」
 サトーは突き出される少女の小尻を眼前に、その今は亡きコリントの主張を快く了承してやる。
 (無論、二番手があれば・・・・だがな)
 《ピチャ》
 純真無垢の、未だ誰にも穢されていなかった頃の【聖女】の味が、サトーの口内で拡散された。未だ誰にも許されていない、未知の領域から溢れてくるそれは、まさに【聖女の聖水】に相応しいものであっただろう。
 かくしてサトーは二人の幻想の中だったとはいえ、唯一にカリウスだけが得た特権を味わうことが許されるのである。
 パッフィーが涙混じりに哀願し、懸命にゆっくりと頭を振る。既にサトーの怒張は万全であり、数多の男から解放された【聖女】が処女喪失させるその瞬間が、目前に訪れようとしていたのだ。
「くっ・・・・いっ、嫌・・・・お、御願いです・・・・」
「くくくくっ、もっと泣き叫べ、もっと哀願しろ。それこそお前を犯してやる俺への、最高の手向けになる」
 《ずぷっ・・・・ずぶずぶぅ・・・・》
「いやぁぁぁぁぁぁ・・・・いっ・・・・」
 パッフィーは半狂乱になったように頭を振っては、四つん這いの体勢から懸命にサトーとの結合から逃れようとする。だが、数多の男たちに抑え付けられ、背後位からの結合を試みるサトーに腰をガッチリと抑え付けられていては、そこから逃れる術はもはやなかった。
「!」
 犯す者と犯される者、その両者に共通の認識が襲った。
 (これは豪く強固な膜だったな・・・・)
 カリウスはこの【聖女】の処女膜を時間かけて突き破ったようだが、もっとも痛快に、もっとも陰惨な悲鳴を上げさせるのには、もっと強引に、パッフィーの身体を突き壊すように突き破るべきだった、とサトーは思ったものである。無論、それはカリウスとパッフィー、そしてその母マーリアとの関係を知らなかった見解ではある。
 サトーはパッフィーの両肩を抑え付けて、一気に激しく腰をたたきつけた。
「がぁはぁっ・・・・」
 パッフィーは虚空を見上げては、身体を弓なりにしならせ、懸命に空気を貪るように喘いだ。
 彼女の気丈な性格にも似て強固な処女膜は、サトーの激しい第一撃を耐え凌いで見せたのである。無論、それはパッフィーの更なる激痛とサトーの痛快さを促進させるだけのものでしかなかったが・・・・
 第二派、第三派の猛攻をも凌いだパッフィーの処女膜は、容易に破れるような代物ではなかった。カリウスが時間をかけて、この堅固な重璧を突き破ったのかも頷ける。
「くくくっ、ならば、とっておきの業を披露してやろう・・・・」
 サトーは繋がったままの小柄な少女の両股から抱え上げ、剣術でいう上段の構えから、一気に振り落としたのである。パッフィーの体重と振り落とされる勢い。そしてこの連動した動きの中でも、一流の狙撃手である彼はまた、パッフィーのヴァギナを捉える凄腕でもあった。
 《 ブゥ! ビチィビチィ!! 》
「!!」
 パッフィーの身体から、何かが引き裂かされるような音が響いた。破瓜された鮮血のそれ以上の出血が、【勇者一行】《アレックス》の面々と、乾いたアースティアの大地に降り注いだ。
 パッフィーは遂にサトーという運命の男を相手に、幻想の中とはいえ、「初めて」という純潔を捧げることが叶ったのである。
「ククククッ・・・・どうだ? 運命の相手に純潔を捧げることができたその感想は?」
 か細い両腕を引っ張り、ズン、と更に破瓜したばかりの小柄な少女の身体を突き上げる。パッフィーは余りにも激痛に、余りにも衝撃に言葉一つどころか息することさえもままならなかった。
「ううっ・・・・」
 現実においてサトーを受け止めるまでに、パッフィーはカリウスの調教によって手順良く開発されてきた身体ではあった。だが、この仮想状況の小柄な少女は、まだ初めての穢れなかった身体に設定されている。受け止めるパッフィーは勿論、突き入れるサトーでさえも、苦痛を憶えるほどの締め付け具合である。その意味においては、カリウスの手によって熟成された身体に比べて、幾分にも見劣りはするが、それでもアースティア史上最高の、極上の名器に相応しい処女肉であった。
 サトーの挿入跋扈によって苦痛に歪める少女の顔が上下し、当時の相愛であった少年と、涙交じりの潤んだ瞳が重なった。
「アデュー・・・・アデュー・・・・」
「くっ・・・・パッフィー!」
 その間にも少女の身体はサトーの、自らの鮮血によって真っ赤に染めた逸物を咥え込み、ぬちゃぬちゃと卑猥な旋律を奏で続けていく。まるで二人の連結を、歯を食いしばった無念の勇者に主張しているか、のように。
「ククククッ、俺を受け入れて女になれた報告は済んだだろう?」
 サトーは小柄な少女の身体を抱え下ろすと、パッフィーの片脚を持ち上げて、正常位へと移行する。
 小さな両肩を抑え付け、肌と肌を密着させて腰を打ちつける。
「えっ!?・・・・なっ・・・・」
 突然、パッフィーの両腕がサトーの首筋に巻きつき、両の脚を交差させて、破瓜された鮮血が尚も滴っている腰を懸命に振り始めたのである。その光景に、【勇者一行】の面々・・・・特に当時は相思相愛であったはずのアデューの表情には、驚愕のそれそのものであった。
「パッ・・・・パッフィー?」
 この当時の彼女にはAMLは当然、魔法の首輪さえも施されていない。それだけにサトーの希望に沿って展開される、幻想における少女の行動は当人を困惑させ、愕然とさせるのに十分であった。
「こ、こんなの・・・・あ、アデュー・・・・見ないでぇ・・・・」
 彼女の意思に反して身体が勝手に動き、サトーとの結合を求め続ける行動のそれは、これより数日後、AMLから解放された彼女が再び味わうことができる驚愕である。


 サトーが再び現実に戻った時、既にパフリシアの領主は、旧パフリシア王家の末裔の膣内に、三回も果てさせられた頃のことであった。その間、実際のパッフィーも自ら懸命にサトーに奉仕し、サトーへの愛を囁き続ける卑猥な牝でしかなかった。
「もっとぉ・・・・お、奥に。いいのぉ・・・・」
 それでもサトーの四度目の膣内射精を誘うように、パッフィーは寝そべる運命の相手と定めた男に跨っては、自らの手で乳房を揉みしだき、懸命にサトーの剛直を出し入れさせていく。
「あん、んんっ・・・・」
「くっ!」
「な、膣内に・・・・膣内にぃ!」
 サトーが苦悶の表情を浮かべた。
 仮想の中だったとはいえ、かつて相思相愛であったアデュー・ウォルサムの目前で犯した、というその興奮の余韻もあってか、四度目の射精もそう長くは持ちそうになかった。



「そ、そんな・・・・」
 領主の寝室をモニターする画像を見て、赤毛の青年はゆっくりと後ずさりする。
 因果なことであったかもしれない。
 仮想の中において、アデューの前で結合したパッフィーとサトーの二人であったが、実際の現実においても、彼の目前において繰り広げられていたのである。
 アデューとパッフィー、共に十七歳の夏。
 王都ロンバルディアにおける救出の失敗(拒絶)から、約数ヶ月。アデューが再び相愛であった少女の姿を見据えるのは、激しく懸命に喘ぎ、一つのベッドの上でサトーと身体を重ね合う光景であった。



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