エピローグ


 半分白骨化した遺体と共に絶命していた高校生。
 なにより、家族が半年以上も自分たちの息子が死んでいたことに気付かなかったという事件は、日本中を驚かせた。
 謎の事件は、しかし、謎のまま、やがて世間から忘れ去られていった。

あの後、僕は琴音を抱いて歩いているところを、心配して探していた大和さんが保護してくれた。
 頭蓋骨陥没骨折に、右手首脱臼。それが僕の受けた傷。
 おかげでしばらく入院が必要だった。
 そして僕が退院する頃には、全てが終わっていた。
 
 大和さんと生徒会長の命さんは、冴崎このかが徘徊していた日、彼女を目撃したという生徒だった。
 彼女を保護した二人は、学校側からの圧力を受け、事件を口外しないことを誓わされた。
 だが学校の圧力に屈するという屈辱を味わった二人は、いずれ犯人が誰かの手によって暴かれることを望んだ。
 犯人に鉄槌を与え、学校側へ突きつける。そんな思いを抱いていた二人だったが、事件のあまりの大きさに、全てを隠すことを決めたのは、皮肉な話だ。
 そしてその為に、事件の発端でもあるMCプログラムが利用されたことも、皮肉以外の何者でもない。
 
 僕が入院しているとき、あの名振が、車ごと海の底から引き上げられたというニュースを見た。
 運転を誤って海へ転落してしまったらしい。
 学校へ戻った後、誰も小岩井蕩児の事件に触れようともしなかったし、その日を境に姿を消した竹内や、早稲田についても誰も触れはしなかった。
 それこそ、最初からそんな人間など居なかったかのように。
 大和さんに二人のことを尋ねたが、そのときはいつもの笑みを消し、
 「知らない方が、身のためです」
 とだけ答えた。
 一瞬だが、彼の本当の姿を見たような気がした。
 
 表向き、平穏を取り戻した学校。
 これで全てが終わるはずだった。
 たったひとつ、琴音のことを除いては。
 
 
 琴は、事件後一度も学校に姿を見せず、夏休みを待たずしてこの街から姿を消した。
 15年間一緒に過ごした僕に、何も伝えず。
 子供の頃よく遊びに行ったあの家には、もう誰も住んでいない。
 ただの抜け殻の家。
 大和さんは、僕に事件を忘れた方がいいと、MCプログラムを勧めたが、僕は首を振った。
 もし琴が、あの傷を永遠に背負ってゆかなければならないというのなら、僕もやはり、あの傷を背負わなければならないのだ。
 それがせめて、琴のために、今の僕にできる唯一のことだった。
 
 
 それから、一年の時間が過ぎた――
 
 セミの声に混ざり、遠くで部活動に励む生徒たちの声が聞こえる。
 相変わらず、他の施設から隔離されたようなこの部室で、僕は耳を澄ませていた。
 木々を通り過ぎる間に冷やされた風が、全開の窓を通り過ぎてゆく。
夏のうだるような暑さも、ここには無縁のようだ。廊下側の窓も全て開け放ったこの部室は、昼寝をするにはちょうどいい気温にまで冷やされている。
だがここで寝てしまうのも、少しもったいない。もうちょっとだけ、こうやって風を感じていよう。
などと考えていると、コンコンと開いたドアをノックする音が聞こえた。
目だけそちらに向けると、大和さんがいつもの笑顔でそこに立っていた。
「タバコは、吸ってないんですね」
「ええ、止めました。体に悪いですから」
僕はあの事件の後から、度々タバコを吸うようになっていた。
奏さんからは何度か止められはしたが、ほとんど人の来ない旧校舎では、部員が黙っている限りばれることはなかった。
奏さんは「琴が居なくなったからって」なんて言っていたが、確かにその通りだ。
琴が居なくなって、少しばかり自暴自棄になっていたのだ、あの頃の僕は。
「今日は部活ですか?井口君たちは?」
「部長と一緒に、取材に出かけてる頃だと思いますよ」
代替わりした新聞部は、未汐さんが部長を務めている。
奏さんが相変わらずゴシップを追いかけて、未汐さんは振り回されてばっかりだが、あんなに嬉しそうに迷惑を被っている人も珍しい。
「それで、今日はどういう用で、私は呼ばれたんですか?」
ようやく、本題。
僕は恥ずかしさを隠すように笑う。
「昨日…来たんですよ、暑中見舞いが」
僕は胸のポケットに仕舞っていた絵はがきを取り出す。
「あいつ、昔から夏が嫌いで、暑中見舞いだけは、出したことがなかったんですけどね」
豪雪地帯の夏を撮ったその絵はがきには、懐かしい、小さい丸文字で「私は元気」とだけ書かれていた。
「それで、今度会いに行こうと思うんです。だけど、ちょっと悩んでて…」
絵はがきには、あいつの住所もちゃんと記されていた。あいつの好きな、雪の多い土地。
「会ったら、最初になんて言えばいいんですかね?」
「そうですね…」
大和さんは、あの頃と同じように、扇子を顎に当てて思案した。
そして、ちょっと悪戯っぽく笑って言った。
「告白なんてしてみては、どうですか?」
僕なんだか嬉しくなって、つい、笑ってしまった。
「いいですね、それ」
風が流れてゆく。
この風は今からどこへ向かうのだろう?
願わくば、彼女の元へ伝えて欲しい。
僕がずっと大切にしていた、彼女に、この想いを。









賃貸の女性限定のワンルームマンション。
オートロックで管理人が常駐し、安全をアピールしたこの物件は、一人暮らしを始めたばかりの大学生や、OLが好んで選んでいた。
「んっんっ…」
ぴちゃぴちゃ…
管理人室で、女性のくぐもった声と水音が響いていた。
「いつも住人の方には、お手数おかけしてます」
管理人室の奥で、このマンションの住人らしき全裸の女子大生が、69の状態で管理人のペニスを咥えていた。
管理人は名振の隣に住んでいた、正である。
「んじゅるるぅん…何言ってるんですか。管理人さんの朝立ちを治めるのは、住人の役目なんですから。気にしないで使ってください」
女子大生はペニスを扱きながら、笑顔を正に向けた。
「ええ。それはそうですね」
正は親指をクリトリスにあてがい、人差し指と中指でヴァギナの中を掻き回した。
「はぁん!ぁぁん!!ぃい。管理人さん…もっとぉ…」
「全く、淫乱な人だ。朝立ちを治めるためと言いながら、自分も十分愉しんでいるではないですか」
「うむぅん…じゅるぅぅぅ…管理人さんのチ○ポ…おいひぃ…んぅん…」
GWが終わって正がアパートに帰ってくると、警察を名乗る二人の男が正の家にやってきた。
名振の死を知っていた正は、身の危険を直感し、二人を名振のPCからコピーしていたMCプログラムに掛けた。
二人から名振が殺され、自分もまた嫌疑を掛けられていることを知った正は、自分は白だと二人に暗示を掛け、追い返した。
そして少しでも危険から逃れるために、あの街から離れることにした。
MCプログラムがあれば、金にも、女にも困ることはない。
今は女性限定のこのマンションの管理人として潜り込み、住人には義務として管理人の性欲処理を行うことを命じている。
朝は時間になれば、当番の住人が奉仕で起こしてくれ、いつでもどこでも、管理人の要望とあれば住人は喜んで抱かれた。
賃貸なので、2〜4年で住人は入れ替わり、その度に美人ばかりを選んでは、入居させている。
おかげで、色んな美人を好き勝手に性欲処理に使うことができた。
避妊はしない。何人か妊娠した住人はいるが、彼氏の子だと思い込ませている。
「さて、上のお口はこのぐらいにして、そろそろ下のお口で奉仕してもらいましょうか」
「はぁい」
性感を高められ、トロンと惚けた視線で、女子大生は仰向けになった正に跨った。
女子大生は自らのヴァギナにペニスをあてがうと、腰を一気に落としていく。
じゅぶじゅぶじゅぶぅぅぅ…
「はぁん!ぁぁん!!あん!!」
女子大生は甘美の声を上げ、腰をくねらせ、自ら胸を揉む。
「はぁん!ぃい!管理人さんのチ○ポ」
正も下から女子大生を突き上げる。
じゅっぐじゅっぐ…
「や、ぁ…奥まで、奥まで届いてるのぉ…はぅん!ぁはあん!きてきて、もっときてぇぇ!」
妊娠した住人は、しばらくはここに住むが、やがて引き払い、彼氏や夫の元へ引っ越してゆくことになる。
が、完全に正との関係が切れてしまうわけではない。
解約前に、お世話になった管理人に望まれ、自らの体や、娘の体を差し出すことを喜びと感じる、とマインドコントロールを掛けておく。
実際正は、人妻となった元住人を、夫婦の家で何度か抱くことがあった。
娘が生まれた元住人もおり、楽しみはまたこれからどんどん増えてくることだろう。
じゅっじゅっじゅっじゅ…
「はぁん!ぁん、ぁん、ぁん…」
体勢を正面座位に変えた正は、女子大生の胸に顔を埋め、その弾力を愉しんでいた。
女子大生は正の顔を胸に押し付け、腰の動きと共に上下に揺れる胸で愉しませようとしていた。
その姿は、まるで胸で顔を扱いているようだ。
このマンションでは、正が悦ぶ事が全てだ。
どんなに正がマグロ状態でも、不満を感じるものは居ない。自分が気持ちよくてはダメなのだ。必死に腰を動かし、舌を動かし、全身を使って正を悦ばせることが必要なのだ。
「はぁん!ふぅん、んんっ!!」
ビクビクっと女子大生の体が痙攣し、膣がキュゥっと締まる。
絶頂に達した瞬間。
だがまだ正がイってはいない。
だから女子大生は余韻に浸る暇もなく、再び腰を動かし始めた。
じゅっぐじゅっぐじゅっぐ…
胸の弾力を存分味わった正は、体位を変え、マン繰り返しの状態で女子大生を犯し始めた。
正はこの体位で、射精する瞬間を相手に見せつけ、実況させるというのが堪らなく好きだった。
つまり、射精が近いということだ。
女子大生もそのことは熟知している。射精の瞬間が近づき、歓喜の声を上げた。
「はぁん!きてきて!奥にどびゅどびゅってザーメン来てぇ!!」
ずっじゅずっじゅずっじゅ…
「管理人さんのザーメン!くるくるくるぅぅぅ!!」
「くっくぅぅぅ!では…朝の一発目、受け取っちゃってくださいぃぃ!!」
どぴゅるぅ、どぴゅぅ、どく、どっくどっく…
「はぁぁん!来てる!!チ○ポ膣でぴくぴく動いて、朝の濃いザーメンが、奥まで、流れ込んできれるぅ!!熱いの、子宮まで届いてるぅぅう!」
女子大生は正が好む、射精の瞬間の実況をする。
正は満足そうに笑みを浮かべると、ペニスを引き抜く。
だが、女子大生の体勢は変えさせない。
正は女子大生の前に回りこんで座る。
女子大生は苦しい体勢のまま、目の前の半立ちになったペニスを咥え、じゅずずずずと、尿道の奥に残った精液を吸いだす。
吸い出した後は、ペニスを丹念に舐め、こびりついた精液を舐め取る。
正の性処理は、この後始末まで含まれるのが普通だった。
正はヴァギナに指を差し込み、膣出しされた精液を掻き回した。
「ふむぅぅん、ふぅん…」
女子大生は眉を顰め、その指から襲う快楽に身を委ねた。
どうやら今日は正の調子はいいらしい。あと一人か二人、このまま相手にするのだろう。


BAD END・・・・・・


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