学食でノートパソコンで文章を打ち込む奏の姿があった。
「『…と、希望に満ち溢れた笑顔で答えてくれた。』と、こんなものかな…」
 奏はノートパソコンの電源を落とした。
 「お疲れ様〜」
 隣に座っていた未汐がジュースを渡す。奏は「ありがとう」と受け取った。
 「まったくも〜、こんなつまんない文章打つのって、疲れるぅ〜。れるれるぅ〜」
 「でも、これで原案は出来上がりね〜」
 「プリントアウトしたら、校正お願いね」
 「PC上でやればいいじゃないですか?」
 前の席で奏の仕事振りを眺めていた琴音が訊く。
 せっかくパソコンで打った文章。校正もパソコン上でやれば、手間も省ける。
 「そうしたいのは山々なんだけどね、けどね。この子が全然パソコンダメでさ。ささ」
 「ええ。なんだか色々ボタンがあって〜、難しいじゃないですか〜」
 「同じ理由で、携帯も持ってないのよ。ないのないの」
 「小さいですし〜。扱いにくいじゃないですか〜」
 「はぁ…」
 そのマイペースな言葉と、価値観に「この人とは一生話が合わなのいだろう」と琴音はさっそく判断した。
「でも便利ですよ。すぐに連絡したいときとか」
と、祐司。
 「う〜ん…でも〜、今でも別に困ること、ないから〜」
 「ま、生え抜きの価値観は、所詮外様にはわかんないのよ、のよのよ」
 「あぁ〜、そうやってまた苛めるぅ〜」
 うるうるとした目で未汐が訴えると。奏は未汐の胸にがばっと抱きついた。
「違うって〜。苛めちゃいたくなるぐらい可愛い未汐がダメなのよ〜。なのよ、なのよ〜」
 「あ〜、人がいるところじゃ、ダメだってぇ〜〜」
 胸に顔をうずめ、ほお擦りする奏を引き離そうとする未汐だが、力足らず、引き剥がすことは出来なかった。
 「というか、人がいなければOKなんですか?」
 素朴な疑問を口にしたのは、琴音だった。
 「えっと…新聞部の仕事って、大体今日みたいな感じなんですか?」
 何か話題を、と思い祐司が口を開く。
 「ま、そうね。今回みたいに、取材、で、文章に起こして、って流れ。ま〜今日のは新入生へのインタビューとかがメインだったし。あとはクラスの担任の名前でも挙げてればいい位だから、楽な仕事だったけど、けどけど。普段はもっとえぐいことするわね、わねわね」
 「えぐいことって…」
 「部長さんも〜、そのことで頭下げてばっかりなんだから〜」
 未汐が奏を非難する。
 「そういえば大和さんは取材には帯同しませんでしたが、何か他の仕事でも?」
 「基本的にはね、部長は生徒会と教師に対しての仲裁役って言うか、交渉役っていうか、いうかいうか」
 「交渉役?」
 「そう」と奏はジュースを一口飲み、祐司に向き直る。
 「聞いての通りさ、結構怒られるようなこともやるわけよ、わけ。だからね、生徒会や教師たちにも顔の効く生え抜きを部長にするわけ、わけわけ。それが新聞部の慣例って言うか、処世術って言うか、いうかいうか。おかげで、新聞部は潰されずに済むんだけど、生徒会にしても、生え抜きに監視させることで、手綱握ろうってわけだろうね、ねね。この学校にいる人間、誰でも言えないことの一つや二つ、裏があるってものよ。野放しにしちゃ、何書かれるかわかんないしね、ねね。沢山ある学内派閥にしても、近づかず、かといって敵対せずって距離感を保ってて、ま〜、微妙なパワーバランスで、この新聞部は存続してるってわけ、わけわけ」
 言い終わると奏はぐいっとジュースを一気に飲み終える。
 「というわけで、私は例の事件の取材に行くから、からから」
 「あ、じゃあ僕も」
 「あ〜、いいよいいよ。三人はここで解散。実はさ、部長にあんまり二人を付き合わせるなって言われてるのよ、のよのよ。ほら、私についてくると、敵いっぱい作っちゃうからね、からねからね」
 「あんまり遅くならないようにね、と言い残し、奏は去って行った。


 「ただいま戻りました〜」
 「ああ、お帰り」
 部室に戻ると、操作していた携帯を閉じ、大和が出迎える。
 「取材の方は…井口君は?」
 「奏さんなら、事件の取材と言って、どこかへ消えました」
 琴音の言葉を聞き、大和がため息をつく。
 「…まあ、いいですけど、また怒られるようなことしてくれなければ…」
 「でもでも〜、ちゃんと原稿は書いてくれましたし〜。明日の朝にはプリントアウトした原稿を、持ってきてもらえるはずですよ〜」
 「仕事はね、早いんですけどね、彼女は…」
 大和は扇子でこりこりと頭を掻く。
 「あの、僕らはこの後どうしたら?」
 祐司の質問に、大和は扇子を顎にあて、「う〜ん」と思案した後、
 「今日は、このまま解散でいいですよ」
 と答えた。
 「皆さん、大体は自分の仕事が済んだら、顔を出して帰ってますし。皆が顔を合わせるのなんて、最初の挨拶ぐらいなんですよ、実際」
 「そうそう〜。連絡事項だけ伝われば〜、後は個人行動なんですよね〜」
 「そうですか。それは有り難いです」
 琴音の冷たい言葉に、大和はハハっと笑う。
 「皆川君は、いえ、皆川君も、と言うべきでしょうか。集団行動は苦手ですか?」
 「まあ、得意、と言うことはないですが…それ以上にどうもこの新聞部の人間は、苦手なタイプが多いですね」
 「ハハ、苦手、ね…」
 「お、おい、琴、そういうことあんまり言うなよな…」
 「確かに、生理的な部分もありますから、相手に非があるわけではないですが…どうも、筋肉質な男性は苦手で…」
 「ああ、多田君ですか?彼は中学時代野球をやっていたそうなので、それででしょうね。残念ながら、この学園ではやっていないようですけど」
 なるほど、それであの体と琴音は納得する。
 学園に入ってから野球を辞めたということも納得できる。外様の人間なら三年間雑用させられるのは目に見えている。万が一にも実力を認められて、レギュラーになったとしたら、その後は陰湿ないじめが続くだろうことも明白だ。
 となると、片思いの生徒が中退させられた以外にも、この新聞部に加わったのは、その部分の恨みも込められているのかもしれない。
 「猫背の方も、野球部だったのでしょうか?多田さんとは仲が良いようですが?」
 「というわけでもないですが、二人は気が合うようですね。多田君が入部して以来は、二人で行動することがほとんどです。井口君と竹内君だけのときは、二人で行動するよう頼んだのですが、井口君がどうも、一人でやりたいみたいで、竹内君をほったらかしにしてばかりだったんですよ」
 「ほら、琴。あんまり詮索するなよな」
 祐司が肩を叩き、琴音を促す。
 「じゃあ、僕らはこれで…」
 帰ろうとする二人を、大和が呼び止める。
 「あ、帰る前にいいですか?」
 「はい?」
 「これは個人的な、下世話な興味ではあるんですが…皆川君は、僕のことは苦手ですかね?」
 「嫌いではありませんが、苦手なタイプではありますね。なんとなく、ですが、何か隠してそうな雰囲気が」
 「お、おい!琴!す、すみません。こいつ、昔から口が悪くて…」
 「素直だと言ってください」
 ぺこぺこと頭を下げる祐司に対して、少しも反省した様子はなかった。
 祐司はそれを見て、逃げ帰るように琴音の手を引いて部室を出て行ってしまった。
 大和はそれを見送り、扇子で背中を掻く。
「やれやれ…私は好きな部類なんですがね、ああいう素直に口に出せる人間は…」
 「痒ければ〜、掻いて差し上げましょうか〜?」
 背中を掻く大和に、のほほんと未汐が聞く。大和は「いえ、ただの癖なんですよ、これ」と断った。


 数人の生徒がシャトルバスを待つ。その中に祐司と琴音の姿があった。
 桜桃華学園は山の上にあるという立地場、登、下校時にはシャトルバスが運行されている。
 7合目付近にある寮に住む生徒は使うことはなく、また寮生以外でも、生え抜きは車で登校しているので、シャトルバスを使うのは外様の生徒だ。
 つまりここでシャトルバスを待つというのは、ヒエラルキーの最下層ということである。ときどき遠目で指差している生え抜きも見られるぐらいだ。
 「あのさ〜、琴。ああいうことあんまり言うなよな」
 ようやくやってきたシャトルバスに乗り込みながら、祐司がぼやく。
 「性格ですから」
 バスの扉が閉まり、走り出す。20席に満たない座席はほとんど埋まっており、二人は手すりに捕まる。
 「嫌だったったら、部活なんて入らなきゃ良かっただろ?なんでも俺の真似したがるんだから」
 「真似はしてませんよ」
 「してるだろ。この学校入るのだって、俺が受けるって言ってからだし、子供の時だって」
 「小さいときのことは知りませんが、あなたもこの学校受けると言い出したのは、奏さんが受かったからでしょう?」
 「それとこれとは…違うだろ…」
 痛いところを突かれ、祐司は口ごもる。
 「違いませんよ。同じことです」
 「じゃあ、新聞部は…」
 「私がいないと、奏さんがあなたにどんな無理をさせるか分かったものじゃないでしょう?ちゃんと私が見張ってなければ」
 「俺の保護者かよ…」
 心の中で、見た目は年下の癖にと続けた。
 「それに安心してください。エリート面した人たちを文章で叩くと言うのであれば、たぶん、私に向いてます」
 そうニヤリと冷たく笑う琴音に、祐司は寒気がした。
 
 
 早朝。まだ街が起きる前に、夕菜は麓でシャトルバスを待っていた。
 金髪のショートヘアーに、青い目をしたハーフの少女は小首をかしげた。
(あれ?私どうして…?)
 隣から「麓から学校には、バス乗らなきゃいけないからな〜」と声が聞こえて、ああそうだ、学校だ、と納得する。
 と、バスが止まり、三人の男子生徒が乗り込む。夕菜もそれに続く。
 「バスに乗るには、何かに掴まらなきゃな〜」
 声が聞こえ、夕菜はつり革を見上げた。
 夕菜はつり革を握る。
 すると隣から夕菜の胸に手が伸びてきた。
「きゃっ!な、何しますの?!」
 「え?いや、だって。バスの中じゃ何かに掴まらなきゃ危ないから」
 「そうそう。それに夕菜ちゃんがつり革使っちゃってるから、掴まるところないんだよね、俺ら」
 「だったら、俺たちは夕菜ちゃんに捕まるしかないじゃない?胸なら掴まりやすいし」
 (あ、そうか。確かに私がつり革使ってるんだから、他の人たちは私に掴まらないと危ないわね…)
 夕菜は納得し、申し訳ありませんでしたわ、と謝った。
 「あ、でも制服の上から夕菜ちゃんに掴まったら、皺になっちゃうね」
 「そうだね。制服に皺が付いたら、今日の授業が大変だね」
 「じゃあ、制服は脱いだほうがいいね」
(そうですわね。確かに皺の付いた制服で登校するのは、褒められたものではありませんわね…)
 夕菜は言われるままに制服を脱ぎ、綺麗にたたんで座席に置く。薄い青で揃えたショーツとブラが男子たちの前に晒される。
 「これで、皺は付きませんわね」
 ひゅ〜っと声が聞こえた。
 「あ〜、でもブラとか生地が弱いから、俺たちが掴まると、途中で切れて危ないかもね」
 「そーそー。そうなったら一日下着なしだから、大変だ。脱いだ方がいいかもね」
 (う〜ん、そう言われてみれば、そうかもしれませんわね…他の方を危険に晒すわけにも、いけませんわね…)
 夕菜は少々思案した後、ショーツとブラも外し、制服の上に畳む。
 「おぉ〜!」
 歓声が上がるが、夕菜は気にしなかった。
 「これで安心して、掴まっていただけますわね」
 「そうだね。それじゃ」
 両脇から手が伸び、胸を鷲づかみにする。
 「あっくぅ…」
 「ここの出っ張りが、掴まりやすいかな」
 二人は乳房全体を揉んでいた指を、乳首に移し、摘む。
 「あっ…!」
 「しっかり掴まらなきゃ危ないからね〜」
 (何か変な気分だけど…こうしなきゃ危ないから、仕方ないですわよね…)
 「俺は胸に掴まれないから、ここかな…」
 「あ、そ、そこはっ!」
 最後の一人が夕菜のアンダーヘアーを掻き分けたところで、悲鳴を上げる。
 「ええ?だって他に掴まるところないし。それにここ、ちょうどいい具合に穴があって、固定できそうじゃん?」
 「そうだよ。その穴使えば、すごく安全じゃない?」
 「そうそう。何かに掴まらなきゃ危険だもんね」
 (そ、そうですわね…バスで何かに掴まらないと危険ですものね…私がつり革を使っているんだから、この人たちには私しか掴まるものがないのだから…)
 「も、申し訳ございませんわ。私のわがままで他の方々を危険に晒してしまうところでしたわ。私のここにお掴まりください」
 「じゃ、そういうことで」
 男子は自分の唾液でたっぷり指を濡らし、夕菜のヴァギナに差し込む。
 くちゅぅ…
 「はぁん!」
 バスが進み始める。だがとても遅いスピードで走っている。
 くちゅ、くちゅ…
 ちゃっちゃっちゃ…
 「ん、んくぅぅん…」
 胸に掴まっていた二人は、乳首を口に運び、舐め挙げる。
 ヴァギナに入れられていた指は二本に増え、出し入れされる度に愛液が溢れる。潤滑油としては、もう充分の量だ。
 「へへ、もうびちょびちょ…」
 男子は指を離し、愛液で濡れた指を開いた。粘り気のある液体が糸を引いた。
 「ねーねー上の二人。ちょっとそこ狭いだろうから、ここに掴まったらどう?」
 ヴァギナを責めていた男子がお尻に手を当て、臀部を左右に開き、アナルを曝け出させる。
 「え、で、でも…」
 「そうだね。肩をぶつけて立ってると危ないしね」
 「それに胸に掴まるより、穴に指を入れたほうが固定されて、安全だよ」
 安全、と言われるとどうも夕菜には逆らえないものが合った。
 (別に変なことじゃないですわよね。安全のためですもの…それに、確かに前の二人は狭そうにしてますものね…)
 「そ、そうですわね。仰られるとおりですわ。こちらにお掴まりください」
 夕菜は自ら臀部を開き、アナルを曝けた。
「じゃ〜、俺が〜」
 「まず準備した方がいいよ。濡れてない指だと、傷つけちゃうかもしれないからね」
 ヴァギナを責めていた男子は。両手でヴァギナを大きく割り開いた。ピンクの膣肉がひくひくと動いているのが良く観察できた。
 「愛液でしっかり濡らさないと、夕菜ちゃんが傷ついちゃうからね」
 「そ、そうですわ。私の体を傷つけないように、しっかりと愛液で指を濡らしてください」
 「そうか、じゃあ、指入れるよ」
 じゅぷう…
 「は、はぁん!はぁぁん!」
 最初は至近距離でヴァギナに出し入れされる二本の指を眺めていた男子だったが、俺も掴まらないと危険だな、と中指をねじ込んだ。
 「くふぅんん!」
 じゅっぷじゅっぷ…
 合計三本の指で責められ、苦悶の表情を浮かべる夕菜。
 中指で責めていた男子は指を奥まで差し込んだ状態で、膣内をかき回すように責める。
 「くっきぃぃ!ひぃん!」
 ちゅばちゅば…
 上では片方の乳首を指でしこりあげ、もう一方の乳首を嘗め回す男子。
 「よし、このぐらい濡れればいいだろうな。そろそろお尻の穴に…」
 指を抜くと手首まで濡らした愛液に、男子はにへへと笑い、指をアナルにねじ込んだ。
 「く、ぅぅぅん!!」
 ぴちゃ、ちゅば…
 じゅっじゅっじゅ…
 じゅっぷじゅっぷじゅっぷ…
 胸、ヴァギナ、アナルの三点から襲い来る快楽に、夕菜の膝ががたがた震える。
 「今度はここに掴まろうかな〜…」
 ヴァギナを責めていた男子がクリトリスを剥き、摘む。
 「はぁぁぁん!」
 夕菜はイってしまい、膝から崩れ落ちた。
 「はっはっは…」
 肩で息をする夕菜に、男子たちが囲む。
 「どうしたの、夕菜ちゃん?」
 「え、えっと…」
 (どうしたのかしら、私…今、一体…?)
 ただ登校するためにバスに乗っただけ。捕まる場所がないからと体に掴まってもらっただけ。夕菜は混乱で頭がおかしくなりそうになる。
 「たぶん酔ったんだよ。バスが揺れるから」
 「そ…そうですわ…バスに乗ったから酔ってしまったんですわ…」
 夕菜は自分に言い聞かせるように呟く。
 「じゃあ、酔いに良く効く薬をあげよう」
 そう言って前に立った男子がズボンを下ろした。いきり立ったペニスが目前に晒される。
 「え、あなた、一体何を!?」
 「何を言ってるんだよ。良いには精液が一番良く効くって言うの、常識だろ?」
 「そ、そうでしたかしら…」
 (そんな話、聞いたことあったかしら…?)
 「え〜、もしかして、夕菜ちゃん初耳だった?」
 「俺も酔った女の子に、何度か精液飲ませたことあるぜ」
 「そ、そうでしたわね…も、もちろん知ってましたわ」
 (皆がこう言っているのですし、うん。間違いありませんわ…)
 「で、では、精液を頂けますかしら」
 「じゃあ、四つん這いになって」
 夕菜は言われるままに、男子の前に四つん這いになる。
 「頂きますわ…」
 夕菜はペニスに舌を這わせる。
 ぴちゃ…ちゃ…
 「おぉ〜、いい感じ〜…」
 裏筋をツゥッと舐め挙げ、ペニスを咥える。
 くちゃぁ…
 「でもこのままだと揺れて危ないから、俺が夕菜ちゃんを固定してあげるよ。このペニスで…」
 「そうだね。ち○ぽをおま○こに入れれば、安定感が得られて、どんなに揺れても安全だもんね」
 「むぁん…あ、ありがとうございますわ…た、確かにち○ぽをおま○こに入れてもらうのが、一番安全ですわね…」
 「じゃ、安全のために…」
 じゅっぽぉぉぉ…
 「くぅぅ!気持ちぃいぃ!!」
 「ふぅぅん!」
 「ほら、ち○ぽも咥えて。酔いが止まらないよ」
 「は、はい…ん、んくぅ…」

 ぱんぱんぱん…
 「ん、ん、ん…」
 男子は一番奥へ届かせようと、腰を激しく打ち付ける。また、口を犯す男子も夕菜の頭を抑え、腰を突き入れた。
 残った男子は横から胸を揉んでいた。
 じゅっちゅっちゅ…
 ヴァギナからはペニスが出し入れされるたびに愛液が飛び散る。
「ん、んっんっ、んふふぅ〜ん!」
 「よ、よし、そろそろ精液が出るから、しっかり飲んでくれよ!!」
 「ん、んん」
 「お、俺も出そ〜〜!」
 「イくぞぉぉぉぉ!!」
 どぴゅ!どぴゅる、どぴゅ…
 どっくっどっくどっく…
「ん、んぐ…んっぐ…」
 上と下、両方から精液が放たれる。口に放たれた精液は夕菜が飲み干し、胃を満たし、膣に放たれた精液は子宮を満たしていった。
 「ん、こぷぁ…はぁはぁ…」
 「どう?気分は治った?」
精液を飲み終えた夕菜に男子が聞く。
 ヴァギナを犯していた男子も夕菜から離れる。
 「く、ぅぅん」
 じゅぽぉ…
 ペニスから開放されたヴァギナは軽く開いた状態で、先ほど出された精液をこぽこぽと吐き出していた。
 「え、えぇ…少し、楽になった気がしますわ。ありがとうございました」
 夕菜は立ち上がろうとするが、ふらふらっと、よろめいてしまう。
 「ああ、まだ直りきってないみたいだね。このまま一人で立ってるのは危ないから、俺らが支えてあげるよ」
 「お世話を、かけますわね」
 「いいってことよ。よっと…」
 横から胸を揉んでいた男子が後ろに回り、夕菜の膝裏に腕を通し、子供がおしっこをするような格好で持ち上げる。
 「え、ちょっ…」
 「今からち○ぽで夕菜ちゃんを固定するんだよ。さっきち○ぽで抑えてもらってたとき、一番揺れてなかっただろ?」
 「確かに…そんな気がしますわね…」
 「そーそー。俺たちは何も変な気があってやるんじゃなくて、安全のためにやってるんだから」
 (安全のため…そうですわ。安全のためですもの。ち○ぽで体を支えてもらうのが、一番安全ですものね)
 「ってことで、俺が夕菜ちゃんをこうやって抱きかかえて、アナルにち○ぽ入れて」
 「俺が倒れないようにつり革に掴まって、前からま○こにち○ぽ入れる。だったら安全だろ?」
 「ええ。そこまでしていただければ、バスが揺れても安全ですわ。あなたは何か掴まらないと危険ですから、私の胸に掴まってください。つり革は前の男性が使うようですし」
 「おっ!さすが夕菜ちゃん。僕らのことも気遣ってくれるんだね」
 「ええ。それにあなたには、先ほどち○ぽで私を抑えていただいた御礼もありますし、何より二本のち○ぽで支えられた私が、このバスの中では一番安定しますわ」
 「そうだよね。じゃあ、安全のためにも…」
 「アナルとま○こにち○ぽハメますかっ!」
ぐっぽぉぉぉ!
 「くぎぃぃぃ!!」
 二つの穴を同時に犯され、苦しい悲鳴を上げる夕菜。だが二人の男子は構わず腰を振る。
 じゅっぷじゅっぷじゅっぷ…
 「はっはっはっはひぃっひっひ!!」
 「やっぱ、二本挿しは最高だなぁ!!」
 「ああ!ぎゅっぎゅっとま○こもアナルも締まるからな!!」
 「へへへ。よく締めたほうが体が揺れなくて、済むんじゃないか!?」
 「違いねぇ!」
 「ぎっぎっぎ!」
 ぐっじゅぐっじゅっぐっじゅ…
 二人が同時に腰を押し上げると、一瞬夕菜の体が宙に浮く。
 「あ〜、おっぱいも気持ちいぃぃ!よし、揺れないように噛んじゃお!」
 コリッ…
 「きゅぅぅん!ぎっぎっぎ!」
 「で、でもこの体勢、結構きついな!」
 前から犯していた男子が根を上げた。
 「腰に、負担が…!」
 「よし、安全のために体勢変えるか!」
 一旦動きを止め、体勢を変える。
 アナルを犯していた男子がそのまま仰向けになり、その上にヴァギナを犯していた男子が折り重なる。
 「えっ?あ、あなたがつり革から手を放したら…!?」
 「大丈夫!二本のち○ぽで支えたら安全だって、さっきも言ったろ?」
 (あ、あれ?確かバスに乗ったら何かに掴まらないと…でもち○ぽで支えてもらえれば、それが安全だって…)
 「じゃ、続きいくぞ!!」
 仰向けに寝かせた夕菜の下になった男子がアナルを、そして上になった男がヴァギナを犯す。
 「あはぁぁん!くはぁぁん!」
 (そ、そうですわ!ち○ぽで支えてもらえるのですから、つり革は放しても安全ですわ!!)
 「よ、よし!俺のち○ぽ咥えて、安定させてよ!二本のち○ぽに抑えてもらってる夕菜ちゃんにち○ぽ咥えてもらうのが、一番安全だろ!?」
 「そ、そうですわ!二本のち○ぽに支えてもらっている私が、一番安定しているんですものね!ん、んぐぅ!」
 「へ、へへ!バスで登校は大変だけど、もうちょっとで学校に着くから、それまでの辛抱だよ!」
 ヴァギナを犯していた男子が、胸に手を伸ばす。
 ぐっぷぐっぽぐっぷぐっぽ…
 「んふぅ〜〜!ふぅぅ〜〜!」
 三つの穴を同時に責められ、夕なの顔が苦悶に歪む。
 じゅっじゅっじゅ…
 じゃっぷじゃっぷ…
 「そろそろ着くみたいだから、出して終わるぞ、お前らっ!」
 「おぉぅ!」
 言葉どおり、バスの進む坂の先に、校舎の姿が見えてきた。
 「んっぐむっぐ…!!」
 「イくぞぉぉぉ!!」
 「んぐむぅぅぅん!!」
 どっくどっくどっく…
 どぴゅるどぴゅでゅる…
 「はぁ…はぁ…」
 バスが止まり、夕菜は開放されたが、まだ立ち上がる元気もないようだ。
 と、夕菜に自分のショーツを使って、汚れたペニスを拭く男子の姿が見えた。
 「あ、ちょ、あなたたち、何をっ!?」
 「えっ?だって汚れたままじゃ、登校できないじゃん。だからちゃんと綺麗にしないと」
 「で、でもそれは…!」
 「他に使えそうなのないしさ。大丈夫だよ、中につけるものなんだし。制服で拭くわけにはいかないでしょ?」
 「た、たしかに制服では…」
 納得行かない夕菜に男子は畳み掛ける。
 「大丈夫。裏地を使ってるから、外からじゃわからないよ」
 「それに夕菜ちゃんの安全のために汚れたんだよ?感謝の証に夕菜ちゃんのパンツ使ってもいいじゃない」
 (わ、私のせい…?確かにこの方たちは私の身の安全を案じて、ち○ぽを汚してしまったのですから、私が感謝しなくてはいけない立場ですわ…それに見て分からないのであれば、問題ありませんわよね…?)
 「すみませんわ。どうぞ、お使いください」
 「はいは〜い。遠慮なく使わせていただきま〜す」
 男子たちはヴァギナ辺りの布で、念入りに行為後のペニスを拭いていた。
 
 男子たちの後始末が終わり、夕菜が服を着替える。
 ぱんぱんと服の皺を気にしているが、その下に着けているショーツは男子たちの精液と、自分の愛液で汚されているのだ。
 「ありがとうございました」
 男子たちの後に続き、夕菜もバスを降りようとする。
 「あ、ちょっとちょっと、君…」
 と、運転手に呼び止められる。
 「はい?なんですの?」
 「運賃がないよ」
 「はい?」
 「運賃」と言う言葉に、夕菜は聞き返す。
 「バス使うときには、運賃がいるんだよ?当然でしょ?」
「そうそう。ちゃんと俺たちは払ったよ」
 男子たちに言われて、ああそうかと納得する。
 「で、では…」
 お金を出そうとする夕菜に、運転手は「ちっちっち」と指を振る。
 「女の子はお金じゃないんだ。謝礼として、おま○こしてもらってるんだ」
 「お…おま○こ…?」
 (え、ど、どういう…?)
 「おま○こで、ち○ぽ気持ちよくさせるんだよ」
 「え?そ、それって…」
 「そうか、バス使ったことないから初めてなんだね。でも、みんなそうしてるよ」
 「そ、そうなんですの…?」
 「みんなの安全守りながら運転してるんだから、気持ちよくさせてストレス貯まらないようにしてあげなきゃ」
 「そうそう。それにさっきバスの中でやってたことと同じなんだから、別に恥ずかしいことじゃないよ」
 (そ、そういえば、さっきも体を支えてもらうために…でも、言われてみれば、バスの中で安全を保つためにやる行為なのだから、それ自体別に大した行為ではないですわよね…?)
 「みんなやってることだし」
 (そうですわね…バスの中で毎日行われている行為ならば、当然行われる行為ですわよね…)
 「わかりましたわ。それでは、運賃をお支払いいたしますわ」
 「頼みますよ、へへへ…」
夕菜は運転手のズボンを下ろし、ペニスを引きずり出す。さっきまでの行為を傍で眺めていたためか、いつでも夕菜を犯せるように勃起していた。
夕菜はショーツを下ろし、運転手に跨る。
 「でわ、お受け取りくださいませ…」
 ずぶぶぅ…
 「はぁぁぁん!」
 腰を落とし、切なげな声を上げる。
 「ふぅぅん…」
 「おぉぅ…」
 一番奥までペニスを受け入れた夕菜は、ペニスの長さを計るようにゆっくり腰を動かす。
 「はぁん、あぁん…」
 ずっぷずっぷ…
 さっきまで三本のペニスで責められていた夕菜だ。今は艶っぽい声を上げる余裕すらある。
 「気持ちいぃ?気持ちいぃですか?」
 「ああ。気持ちいいよ。皆のために運転したかいがあるよ」
 「あぁ!良かったですわ!たっぷり運賃を受け取ってくださいませ。はぁん。ぁんぁん…」
 夕菜はゆっくりとしたストロークから、徐々にスピードを上げ、運転手の性感を高めてゆく。
 じゅっぐじゅっぐじゅっぐ…
 運転手は夕菜の制服をたくし上げ、胸を暴く。
「おお〜、形のいいおっぱいだな〜。吸い付いたくなるよ」
 ぴちゃ、ちゅぴ…
 「くふぅ〜ん。はぁん、ぁぁん!」
 運転手も夕菜の腰の動きに合わせて、腰を突き上げる。
 じゅっぽじゅっぽじゅっぽ…
 「はぁん、あっあっあっ!」
 夕菜の声が切羽詰ったものになる。
 「くぅぅぅん!」
 ぎゅ!
 夕菜が大きく背をそらせると、ヴァギナがぎゅっとペニスを締め付けた。
 「イった?イったのかい?!」
 「はい!イ、イきましたっ!」
 「ははっ!こりゃいいなっ!おじさんのち○ぽでイったのか!?でもまだ運賃は払い終わってないよ!」
 「は、ひぃん!う、運賃、受け取ってひぃぃ!」
 運転手は体勢を変えた。
 夕菜に運転席に手を付かせ、バックから犯す。
 ぱんぱんぱんぱん!
 小気味良く、腰が夕菜に叩きつけられる。
 「はひぃ!あひぃん!ぁぁん!イイ!お、奥に、あんあん!!」
 運転手は尻の肉を割り開いて、奥に隠されたアナルを大きく開いた。
 「おお!アナルにさっき出された精液がこびりついてるな!こっちも気持ちよさそうだから、今度乗ったときは是非使わせてもらうよ!」
 「は、ひぃぃん!こ、今度の運賃は、そちらでお支払い、ひっひっひ、いたしますわ!!」
 「今日は、指だけ入れておくよ!」
 「ひぃぃん!」
 運転手がアナルに親指を差し込むと、夕菜はひときわ大きな声を上げた。
 「おい。これ、俺たちが参加しても、いいんじゃないか?」
 バックで犯される夕菜を見ながら、男子がこそこそと話す。
 「いや、次回でいいだろ。念のためな。それに今日はもう満足したろ?」
 「週に二回のバス通学だから、もうちょっと楽しみたいな〜」
 「時間がない。他の人間が来る前に片付けないといけないからな」
 「だったら、今度はもっと時間を早めるか」
 「イくぞ!子宮に俺のザーメン全部注いで、支払い終了だぁぁぁ!!」
 「あっはぁぁぁぁん!!」
 どっくどっくどっく…
 運転手が、溜まっていた精液を全て夕菜の膣に流し込む。
 「おっふぅぅぅぅ」
 余韻を楽しむように数度腰を前後させ、ペニスを引き抜いた。ヴァギナから収まりきらなかった精液が逆流する。
 「ちゃんと運賃、頂きましたよ」
 「あ、運転手さん…」
 運転手が夕菜を立たせようとすると、制服を直すより先にショーツを拾い上げ、運転手のペニスを拭き始める。
 「私が汚したのですから、綺麗にして差し上げますわ…」
 「おお、こりゃ…」
 運転手は後ろにいる男子たちに目配せし、ゆっくり言葉を続けた。
 「でももう、そのショーツは汚れてしまってますから、綺麗にならないかもしれませんね」
 「あ、そ、そういえば」
 ショーツにはまだ乾いていない精液と愛液でぐっちょちと濡れてしまっている。
 (こ、これじゃあよけいに汚してしまいますわ…)
 「口ですれば、綺麗になりますね」
 「あ、なるほど。口で舐め取れば、いいんですのね」
 夕菜は丁寧に運転手のペニスに舌を這わせる。
 後ろで見ていた男子たちはガッツポーズを取った。
 「こりゃいよいよ、どんな命令でも聞くぞ!」
 「ああ、色々楽しめるな」
 「ペニスの奥に残った精液を吸い上げるまでは、後始末は終わりませんからね〜」
 じゅずずずずず…
 夕菜は運転手の言うことに何の疑問も持たず、口をすぼめ、奥に残った精液までもを吸い上げた。


 いや〜、あいつの創ったMCプログラム、様様だな。
よし、じゃあおさらいでもしておこうか。
 おう。
 まずMCプログラム。これを受けた人間には暗示が掛けられる。
 そして理由をでっち上げれば、その理由に剃った行為であれば、なんでも聞いてくれる。
でも、あんまりムチャなことは出来ない。
 最初のうちはな。
 そう。最初は小さな行為から。徐々に慣らしていって、最終的にはどんな理由であっても、暗示をかけた人間の言うことであれば聞かせることが出来る。
 まあ、体が動かなくなる、とか肉体的暗示なら、一回目からでも有効だけどね。
 やっぱり自らやってくれる、ってことに意味があるじゃん?
 他には、集団でマインドコントロールされた人間がいれば、マインドコントロールの影響を受けやすくなるってことか。
 周りが言われたことやってると、「あ、自分も」ってことになるんだろうな。
 集団心理ってやつ?
 深いマインドコントロールにあっている人間と、浅いマインドコントロールにあっている人間とで組み合わせるのが効果的だな。
 あと、信頼している人間がマインドコントロールにあっていると、影響を受けやすいな。
 「あの人がやることだから、安心だ」っていうことか。
 まあ、こんな感じかな。
 新聞部が嗅ぎまわってるから、要注意な。
 大丈夫だよ。半年以上たっているのに見つかってないんだから。
 非協力的なんだろ、学校も生徒も?
 あの部長も乗り気じゃないからな。
 
 
 旧校舎前で顔を合わせた奏、未汐、祐司の三人は、並んで部室へ向かっていた。
「そうそうそうそう。前から琴は暑いのとか、汗とか嫌いだったから、からから」
 「へぇ〜、そうだったんですかぁ〜」
 「だから、逆に冬が好きなんですよ、あいつ」
 奏がドアを開けると、中では扇子で扇ぐ大和と、ファイルを見つめる琴音の姿があった。
 「おっと。うわさの当人発見!発見、発見?」
 「なんでしょうか?」
 外での話し声は聞こえていたのに、わざと聞いていなかったようにそっけなく答える琴音。
 「琴が、夏が嫌いって話してたの、たのたの」
 「仰るとおり、夏は嫌いですが。それが?」
 視線はファイルに落としたまま答える。
 「だめだめだめ〜。苦手は克服しなきゃね、ねね」
 「別に構わないではないですか。誰に迷惑をかけるわけでもありませんし」
 奏が何かを思いついたかのように、にやりと笑った。
 「そぉ〜ね〜。夏は薄着になるから、体のライン、すぐ分かっちゃうもんねぇ〜。ねぇねぇ〜…」
 「何が言いたいのですか?」
 さすがにカチンと来たのか、ようやく視線を奏に向けた。
 「ほらほらほら〜。厚着しないとね、ねね。なんてゆ〜か、そのぅ…言いにくいけどぉ…」
 「か、奏さん…」
 祐司が止めようとするが、遂に奏は最後の一言を言い放つ。
 「琴に足りない…そう、胸…とか…」
 「そんなに胸が自慢したいなら、裸で歩いてはいかがですか?」
 「あ〜、嫌だね、ねね。胸のない娘の嫉妬ぉ〜?まあ、見せられるほどどころか、あるのかないのか分からない胸だもんね、ねね。そ〜いえば、琴はブラしてるの?のの?」
 「胸でしか女性の魅力を測れない哀れな人より、いくらかマシです。あなたの周りに集まる人間がそういう価値観の人間ばかり集まっているのでしょうから、それに気づかないのかもしれませんが」
 「えぇ〜。だって、ないよりはあった方がいいじゃない?それとも何?なになに?コアなファン向けを狙ってるわけ?わけわけ?」
 「人間の魅力は内面の美しさです。外見一つで失われるようなものではありません」
 「じゃあ、男の人に決めてもらおっかぁ〜…」
 「ええ。そうしましょう」
 視線が男性、祐司に集まった。
 「え、ええっと〜〜…」
 「胸はあった方がいいわよね、よねよね?」
 「なくても、女性の魅力は削がれませんよね!!」
 二人がアップで迫る。
 「え、えぇ〜っと…」
 代わる代わる、二人の鬼に視線を送る祐司。
 「…む、胸はあんまり…関係ないんじゃ…と、思い、ます…」
 琴音が小さくガッツポーズをとる。
 「ほら見なさい。分かる人にはわかるんです。女性は見た目ではなく、内面で勝負すべきですよ」
 ふふんと鼻を鳴らす。
 「えぇ〜。祐坊ってそっち系が好きだったんだ〜、だったんだ〜?」
 「えぇ?い、いや、違いますよ!べ、別に大きいのがいけないとか、そういうのじゃ…!!」
 まだ続いているいい合いを尻目に、未汐が奥の席に歩み寄る。
 「格好悪いですよ〜、部長さん〜」
 「いえ、どうも、ああいう話は、私の役目ではありませんから…」
 男性代表として指名されるのを逃れるために隠れていた大和が、机の下からひょこっと顔を出した。
 「それより、資料を見てたのですが」
 奏に勝利したことで気分の収まった琴音が、話を切り替えた。
 「うん?何の資料?なになに?」
 「例の中退した女子生徒のことです。資料があったので、部長に許可を頂いて見せていただいていたんです」
 「おっ!おおっ!なになに、興味持っちゃった?ちゃった、ちゃった?」
 「興味と言うほどではありませんが、部員として知っておいた方がいいでしょう?」
 奏の「それが興味って言うんじゃない」という言葉が聞こえたのかどうか、琴音は反論も肯定もしなかった。
 「で、なになに?」
 「この、虐めに遭っていた、男子生徒というのは?」
 「あ〜、それそれ?」
 奏が肩を寄せ、ファイルに目を通す。
 「え〜っとね。当時一年生の小岩井蕩児くん。一般入試入学。つまり外様の子。理数系が得意で、テストではトップクラスの成績を獲ってたんだけど、けどけど、それがいけなかったのよね、ねね。生え抜きの目に留まって、まあ、ぶっちゃけ例の女子生徒なんだけど、けどけど。その娘が中心になって虐めちゃったのよ、よよ」
 「それで、その人はどうなったんです?」
 気の毒そうに、祐司が聞いた。
 「夏休み前、6月19日から不登校になって、そのまま、ね」
 奏は軽く握った手を開き、「ぱんっ」と爆発のジェスチャーをする。
 「外様は神経が太くないとやっていけませんね。まあ、祐司さんなら、テストでトップを取る心配もないでしょうけど」
 「ぅぁ…ひどいな、琴…」
 「外様はテスト受けてるからね。大抵頭いいのよ、よよ。だから生え抜きの派閥がいい点取らないように言いくるめるの、るの、るの。適度に悪い点とるようにね、ねね。彼の場合友達がいなくて、注意する人間もいなかったんじゃないかな?かなかな?」
 「今その方は?」
 「何度か会いに行ったけどね、ねね。どうもそれ以来引き篭もってるみたいで、みたいでみたいで。結局会えなかった、なかった」
 重い空気が部室に流れる。
 「でも、じゃあその女の人って言うのは、それを自分の所為だと思って…」
 「どうでしょうね?そんな繊細な神経なら、初めから虐めの首謀者なんてなってませんよ」
 「ま〜、そりゃそなのよね、ねね」
 う〜ん、と琴音が腕を組む。
 「で?でで?」
 奏が琴音の次の行動を楽しそうに待つ。
 「別に、何も出ませんよ…」
 期待には応えられないと、困った表情を浮かべる琴音に、残念、と奏は肩を竦める。
 「…部長さん、寮に自宅通学の生徒が泊まることは、できないのですか?」
 「えっ?いや、それは、たぶん無理でしょうねぇ…寮生以外の人間を泊めることは出来ませんから。中に入るぐらいなら、問題ないですけど…」
 「あ〜、だめだめだめ。私もそれはやろうとしたけどさ、部屋に近づけなかったよ、たよたよ。それにもう、中の荷物は残ってないからね、ねね」
 「それはわかっていますが、何か閃くかもしれませんし」
 「しかしですねぇ…そういうのは、規則ですし…」
 大和は困って、いつものように扇子で頭を掻いた。
 と、突然「ぱんっ」と琴音のファイルを閉じる音が部室に響いた。
「では、こうしましょう。次回の新聞部の特集は、寮生活の実態ということで」
 「はい?」
 「新聞部部員が、一日寮生体験をして、それを記事にしましょう。であれば、寮に泊まらないわけにもいかないでしょう?」
 「え…いやぁ…まあ、そうでしょうけど…」
 「ぷっ…あ〜っはっはっは!それいい!いい、いい!いいよ!!さっすが琴!!」
 奏が大声を上げ、笑う。
 「でも、いい案かもしれませんよね!?」
 祐司も話に乗る。
 「寮か〜…ちょっとぉ〜いいかも〜」
 未汐も寮に泊まることには、興味があるようだ。
 「いや、しかしですね…困りましたね…」
 「いいじゃないですか、部長。正当な取材行動ですよ」
 「う〜ん、しかし…生徒会にお伺いを、立ててみましょうか…」
 「あ〜、エセ外人がうるさいかもね〜、ね〜ね〜…」
 「エセ外人?」
 「うん。エセ外人。外人」
 
 
 生徒会室――
 「そんなもの、許せるわけありませんわ!」
 (なるほど、エセ外人…)
 生徒会に直接交渉するためにやってきた大和と琴音の目の前で、金髪の女子生徒が眉を逆立てている。
 話す言葉は、発音まで完璧な日本語。巻き舌なんかも不得意そうだ。
 そんな見た目外人の彼女は夕菜。この学園の副会長だ。
 (まったく、奏さんはこういう人の欠点をあげつらうのだけは、得意ですね)
 どこかで奏が「あんたには負けるけどね」と笑っている姿が目に浮かんだが、無視した。
 「ちょっと!あなた聞いてますの!?」
 「ええ。聞いていますよ」
 憤怒する夕菜を尻目に別なことを考えていた琴音だが、いけしゃあしゃあと答える。
「君!その口ぶりは何なんだ!それに話を聞く態度でもないでしょう!!」
 大和と琴音の周りを囲むように席についていた生徒会の一人が、声を荒げる。
 大和はその小柄な、顔の半分が眼鏡のような男子生徒に「すみません」と頭を下げた。
 「早稲田君。それに副会長、少しは落ち着かれてはどうですか?」
 口を挟んだのは生徒会の書記を勤めている長谷部愛だった。ベリーショートに鼻にかけるような小さな眼鏡が特徴的だ。
 琴音が「まったく、その通り」と心の中で呟く。
 「なに!?私に命令しますの?!」
 「話が進まないんです。さっきから副会長が怒鳴るばかりで」
 「そりゃ怒鳴りもしますわよ!新聞に対しては、身に覚えのないことを根掘り葉掘り聞かれて辟易したって苦情ばかり届いてますのよ!そうよ!今日は彼女はどうしましたの!?井口奏は!!」
 「い、いやですね、井口君は今回の件に関しては…」
 「こういう面倒ごとに彼女が関与していないということはありませんわよ!」
 (まあ、よくこういう知性の足りない方が、副会長なんて役職につきたがるものですね…)
 早口で捲くし立てる夕菜には、確かに名家の人間としての品性は感じられなかった。
 (実は貧乏一家、ということがあったりしませんでしょうか…)
 「夕菜…会長の意見も聞こう…」
 血圧の低そうな、低音の声に夕菜の口が止まる。
 声の持ち主はもう一人の副会長、古川清美。ボリュームのある髪をポニーテールにして、腕組みをしたまま目前の光景を今まで傍観していた。
 風格あるそのたたずまいは、まるで女武士である。
 「今のままじゃ…夕菜以外の意見が聞けない…彼女の話も…聞きたいし…」
 夕菜も清美を無視することが出来ないのか、唇を噛んでずかずかと席に戻った。
 座った夕菜を、さっき早稲田と呼ばれた男子生徒がなだめていた。
 そのとき、夕菜の歩く姿と座るときのしぐさが、なにかスカートの中を気にしている様子なのが、琴音には気になっていた。


 「ところで、奏さん。エセ外人って、どういう意味なんです?」
 部室では未汐の淹れた紅茶を飲みながら、生徒会室に向かった二人の帰りを待っていた。
 「ああ、それね、それねそれね。口うるさい、というかやかましい副会長がいるんだけど、けどけど、その娘がハーフなのよ、なのよなのよ。母親がイギリス人で。でも、でもでも、その母親は日本好きで、日本人らしい名前つけられたのよ、のよのよ。でね、でねでね、母親似のイギリス人顔なんだけど、けどけど、まんま日本人の名前。しかもしかも、本人日本でしか暮らしたことないから、からから、日本語しか喋れないの、ないのないの!前に校内で英語で話しかけられてあたふたしてる姿も目撃されて、もう笑い話よ、はなしはなし!」
 「へぇ〜…」
 祐司は外人顔の日本人が、外人に声を掛けられて困っている姿を想像しようとしたが、上手く行かず眉を顰めてしまった。
 「夕菜さんのご実家は〜、海外でも色んな事業やってるみたいなんだけどね〜」
 「やっぱり、ご令嬢なんですねぇ…」
 世界観の違いに、ただただ呟くしかない祐司。
 「そりゃそうよ、そうよそうよ。所詮生徒会なんて、派閥の長の寄せ集めだもん、もんもん。派閥の人間かき集めて、票集めして、してして、他の有力派閥には、立候補しないように圧力かけたり、たりたり?ま、まま、そうやって集まった生え抜きの代表が、今の生徒会なのよ、なのよなのよ」
 「なんかわかんないですね、そういうの…」
 普通の学校と比べると、かなり違うようだ。
 「祐坊はそういうの、疎いからね、からねからね」
 見くびられたような気がして、ちょっとだけむっとしたが、顔には出さなかった。
 「それにしても〜、琴音ちゃんは〜、すごく行動的でビックリしちゃいました〜」
 「ああ。あの娘は負けず嫌いっていうか、凝り性っていうか、いうかいうか」
 「言い出すときかないんですよ。負けず嫌いって言うのも、昔かくれんぼしたときに、鬼になったら、絶対皆見つけるまで帰ろうとしなかったし、暗くなったからって隠れた子が出てくると、泣き出すんですよね」
 「へぇ〜。かわいい〜」
 未汐はぽんと手を叩き、のほほんとした笑顔を浮かべた。
 「あの娘、私に『勢いだけで動きすぎです』なんて言ってるけど、けどけど、自分の方こそ勢いでやっちゃうのよね、のよのよ。よっぽど危険だって、だってだって。そーいえば、それでだよね、よねよね?祐坊怪我したの、したのしたの?」
 「怪我?」
 祐司は思い当たる節がなく、きょとんとした目で奏を見返した。
 「そうよ、そうよそうよ。子供の頃、靴を取られたって、野良犬追いかけてさ、ささ。犬と取り合いになって、なってなって、犬に噛まれそうになったとこ、祐坊が助けたじゃん、じゃんじゃん」
 「ああ、ありましたね、そういうの」
 
 
 「へくちっ!」
 生徒会室に琴音のくしゃみがこだました。
 「大丈夫ですか?」
 大和が心配する。
 「いえ、ご心配なく」
 風邪を引くようなことはしていないのだが、と琴音は不思議に思った。
 「それで、記事に寮のことを書きたいから、宿泊許可を、ね…」
 生徒会長、西園寺命が琴音の書いた書類に一通り目を通し、言った。
 「はい。次号の特集にしようと私が提案しました」
 「部長の大和は、その提案を呑んだ?」
 「どうなんでしょうか…呑んだといえば、呑んだと言うか…許可さえ下りれば、面白くはあると思うのですけど…」
 「大和も寮生だろう?男子寮じゃ駄目なのか?どうしてわざわざ女子寮に?」
 「好評であれば、男子寮の特集も組むつもりではありますが、今回女子寮を取材するのは、我が新聞部の新聞が男子生徒よりも、寧ろ女子生徒に読まれているという現状があるからです。その判断は活動に即したものだと考えます」
 「その判断のせいで、迷惑している生徒もいますのよ!」
 怒鳴る夕菜を、命が目で制止する。夕菜はぐっと堪えて、席に着く。
 やはりスカートの中を気にしているようにお尻の位置を何度か調整していた。
生理中か何かか。それならば機嫌が悪いのも頷ける、と琴音は一人納得した。
 「夕菜が言っていることもそうだが、読者の希望に即しているというのなら、この学園の大半は寮生だ。寮生が寮の特集なんて、読むものかな?」
 確かに正論ではあるが、揚げ足取り以外の何者でもない。何が何でも許可は出さないというような態度だ。
実際のところ、特集記事も屁理屈なのだが…
 だが命の態度に琴音の闘争心が、メラっと燃え上がる。
 「確かに、その通りです。ですが私がこの学園に入って、といってもまだ数日ですが、一番に感じたことは、恐れながら、寮生と自宅通学、特に一般入試枠で入って自宅通学をする生徒との距離です。彼らは付属から来た生徒のように、親しい友人もおらず、寮生のように、自宅に帰ってから友人を作るようなチャンスはありません。それは精神衛生上好ましくないことと考えます。もし今回の特集が通れば、自宅通学の生徒が寮生の生徒をよく知り、友人を作るきっかけになると考えます」
 「そんなの、ただの屁理屈ですよ、会長!」
 「僕も、副会長と同意見です!」
 「この特集は学校にも、生徒会にも有益なものです。是非宿泊許可を」
 脇から投げかけられた野次にも動じず、最後まで堂々と言い抜ける。
 命は頬杖を付きながら、ふん、と頷く。
 「なるほど。確かに、その特集記事の取材であれば、問題はなさそうだけどね。生徒会としては、例の噂に対する野次馬根性かと疑ってしまってね」
 「例の噂といいますと?」
 琴音はあえてとぼけて見せた。
 「知らないはずはないだろう?君たちの部員が良く調べてる、半年前に自主退学した女子生徒のことだよ」
 「話は聞きましたが、半年も前の話ですので、私はあまり詳しくありませんので」
 「今回の取材とは、一切関係ない?」
 「断言します」
 琴音が言い切ると、命はにやっと笑った。
 「なるほど。それを聞いて安心した」
 「会長!そんなの口だけに決まっているじゃありませんか!!」
 「口ではなんだって言えますよ!」
さっきから野次を飛ばしているのは夕菜と早稲田ばかりだ。清美にいたっては「うんうん」と感心している節もある
 「とはいえ、寮のことは生徒会がどうこう言う立場には無いしね。寮長と交渉してはどうかな?」
 複数の人間で囲んで、萎縮させながら意見を述べさせ、その上で判断しない生徒会の態度に、少々うんざりする。
 「それは、生徒会としては許可を出した、と判断してもいいわけですね?」
 「どうだろうね。ただ、生徒会として判断できる事項ではない、と言ったまでだ。寮長にはこちらから連絡しておくよ。後で頼みに行くといい」
 大和と琴音は一礼をし、生徒会室を出た。
 
 
 「大したものですね、皆川君は」
 帰るすがら、大和が琴音に話しかけた。
 「そうでしょうか?」
 「そうですよ。普通あんな風に敵に囲まれた状態で、あそこまで堂々と出来ませんよ」
 「部長は、何も出来ませんでしたからね」
 「いやはや、面目ない…」
 大和はいつものように、扇で頭を掻いた。
 
 後で寮長に話を持っていくと、「生徒会が許可を出せば」と言われたので、琴音が「許可は出ました」と言って通した。


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