3
「だから、夏よりも冬の方が優れていると、何度言わせればいいんですか」
琴音、奏、未汐の三人は泊められた寮の一室で、冬と夏、どちらが優れているのかの話題で盛り上がっていた。
「暑さは脱いでもしのげませんが、寒さは着込むことによってしのぐことが可能です」
「でも寒いと朝起きるの辛いよねぇ、ねぇねぇ?」
「そうですねぇ〜。私も冬の朝は苦手ですね〜」
ちなみに琴音の冬派は当然として、奏は夏派。
そして未汐はというと「春が好きですね〜」と第三勢力が生まれ、新展開になるかと思いきや、二人が見事に未汐の意見に耳を傾けないことにより、新興勢力の力は削がれることになったのである。
三人は記事用の取材は片手間で済ませた。
例の生徒の部屋には、夕菜が目を光らせていたので入ることは出来なかった。
どうせ中に入っても何もないのだからと、そちらは諦めるしかなかった。
分かったことと言えば、寮内を抜け出ることは、さほど難しいことではないということぐらい。
話によれば、寮長の見張りの目をかいくぐれば、誰かが告げ口しない限り、咎められることはないらしい。
「まあ、そのぐらいは、これまでの取材から分かりきってたことだけど」
とは奏の弁。
そのとき琴音は、だったら先に言いなさい、と心の中で奏を非難した。
この際知っていることを洗いざらい奏に喋らせて、現在。
「それに、冬には楽しいイベントも盛りだくさんです。例えばクリスマス、それに正月。プレゼントがもらえるイベントは、主に冬に行われるのです」
「えぇ〜、でもでも、夏休みの方が長くて、楽しいよ、よよ?」
「休みが長くて、どうなるというのです?ただ暇を持て余すだけでしょう?」
「えぇ〜、海行くよ、海。ね、ねね?」
奏は未汐に同意を求める。未汐は「ハワイですとか〜、楽しいですよねぇ〜」と同意する。
この様子だと第三勢力は消滅、というよりは夏派に吸収されたようだ。地球温暖化は、どうも春派を吸収してしまうほど影響を及ぼしてしまっているらしい。
これではいけない。なんとしても温暖化現象を私が止めなければ。
「海に行かない日本人はいても、初詣に行かない日本人はいませんでしょう?それだけ冬にある正月というイベントは影響を及ぼしているのですよ。海の日をご覧ください。夏の風物詩、『海』の名の付く日だと言うのに、一体どれだけの人が海に行くと言うのです?」
「私は〜、正月は日本にいないので〜、あんまり初詣に言ったことはないですねぇ〜」
春派改め、夏派の未汐が横槍を入れた。
「…だって」
「普通の感覚とは違うんですよ、この方は」
「そうなんでしょうか〜?」
にこにこと奏に聞く未汐。奏は「まあ、そうかも」と答えた。
「年賀状はどうです?一年の初め、誰もが一度は書く手紙です。それに比べて暑中見舞いのなんと書かないことか。しかも暑中見舞いが途中から残暑見舞いに変わるのですよ。年賀状はいつでも年賀状という名を変えないというのに、なんて分かりにくい制度でしょう。それに『かもめーる』なんてセンスのかけらもないネーミングセンスですよ。信じられません」
「そういえば、暑中見舞い、届いたことないね、琴から、からから」
「書いたことありませんし、奏さんからも届いた記憶はありませんよ」
「私は書かないもん、もんもん」
「そう言えば、年賀状も何度か、明らかに私の年賀状が届いてから書かれたようなものがありましたよね」
非難じみた視線が、奏に送られる。
「細かいな〜、かいなかいなぁ〜」
「では、元日と、数日後私の年賀状を見て、慌てて出したような年賀状、二通届いた年はどうです?細かいことですか?」
「人間、忘れてしまうことってあるじゃない?じゃないじゃない?」
「奏さんは〜、どうでもいいことは、すぐ忘れちゃうものね〜」
「私はどうでもいい存在、ということですか」
「そうなのかもね〜、ねーね〜」
「否定ぐらいしてはどうです」
冗談でも、聞き捨てならなかったようだ。
ま、結局は無駄足だったわけだけど、けどけど。
貴方が最初に言っておけばよかったんです。
ファイルにはあったはずだよ、だよだよ?私の取材記録。
全てはまだ読みきれてません。
でも〜、こういうお泊り会ってぇ〜、なんだか楽しいですねぇ〜。またやりたいです〜。
それは置いておいて、奏さんがすでに調べていたことをまとめてみますね。
うん、うんうん。
退学した女子生徒の名前は、冴崎このか。自主退学したのは9月21日。彼女は小岩井蕩児という男子生徒を、テストの点を理由に虐めていた。
外様は目立つことしちゃいけないってことね、こと、こと。
男子生徒が不登校になったのは6月19日。ずいぶん開きがありますね。
直接的な関係があるかどうか、その辺はわかんないわね、ねね。
でも、蕩児という男性は不登校になってから、一度だけ校内で目撃されたことがある。
確か、7月の一日だけ、目撃証言があったの、あったのあったの。
登校理由は不明。
近所では、夜家を出て行く事が度々あったって話もあったわね、わねわね。
彼本人からの証言はなし。あと、気になることといえば、冴崎さんが夏休みの大半を、寮で過ごしていたことですか…
生え抜きは大抵、夏休みはどっか行くからね、ねね。
そして女子寮については、門限後の出入りは比較的難しいものではなく、男子寮の生徒との逢引目的で行われることがある。
逢引って言っても、どこ行くでも、何するでもなく、ちょっと話するぐらいだけどね、ねね。スリルを味わいたいだけでしょ?でしょでしょ。ま〜、敷地外に出ることは難しいから、店にも行けないし、まさか青姦やる連中でもないしね、ねね。
高い塀に囲まれていますし〜、門には守衛さんも一日いますからねぇ〜。ところで奏さん〜、青姦って、なんですか〜?
親にでも聞いてね、ねね。
いえ、絶対に聞かないでください。
?
まだ早朝というにも早い時間。夕菜、清美、愛の生徒会役員たちが麓のシャトルバス発着場のベンチで、バスを待っていた。
バスの待ち時間はとかく手持ち無沙汰になるもの。
夕菜は髪のセットを気にし、清美は腕組みをして微動だにしない。瞑想しているのだろう。愛は文庫本の小説を読んでいる。
そこに三人の男子生徒がやってくる。大柄の男と、小柄な男に中背の男。
「あ〜、バスの待ち時間って、何かしてないと暇だよな〜」
言うと大柄の男は夕菜の後ろに回り、胸を鷲づかみにした。
「あっ!」
「おっぱいでも揉んで、時間潰すか」
(な、なるほど…男性の興味のある胸を揉むのは、時間つぶしにちょうどいいのかもしれませんわね)
男に制服の中に手を入れられ、胸を揉まれているというのに夕菜は納得し、好きなように揉ませていた。
「俺も、清美さんの胸でも揉んで、時間潰そうっと」
小柄な男が清美の前に立ち、制服をブラごと捲りあげ、乳首を摘んだ。
「くぅ…」
瞑想中の清美の口から声が漏れた。
(彼は時間つぶしに…私の体を使っているだけのこと…気にすることはない…)
「れろれろれろ…」
「はぁっ!くぅ…」
乳首を舌で弾かれるように舐められ、清美は体をくねらせた。
「俺は暇だから、愛ちゃんの体でも観察しようかな」
中背の男が、愛の制服をまくり胸を晒し、またショーツを膝まで下ろし、スカートを捲り、ベンチに座った状態でも、毛が薄いせいで隠しきれていないヴァギナが観察できるようにした。
「やっぱ、女の子の体でも観察しないと、暇で暇でしょうがないもんな」
男は愛の股の間に入り、膝を出来る限り開かせた。
(は、恥ずかしいけど…私だって理由もなく本を取り上げられたら怒るし、理由もなくやめてもらうわけにはいかないよね…マナー違反でもないし…)
「う〜ん、いつ見ても小ぶりなおっぱいだね〜。お、もしかしてちょっと濡れちゃってる?もしかして、見られて感じちゃってるの?」
男の言うように、僅かだがヴァギナを包む薄い毛の先端に、液体がきらきらと光っていた。
「ちょっと、体の観察は構いませんが、静かにしてください」
うるさくする男に愛は注意する。
(で、でもこの人の言うように、ちょっと濡れちゃってる…嫌だな、他の人の体見てくれればいいのに…)
「じゃーさー、このま○こ、舐めちゃっていいかな〜?」
「さっきから何を聞いているんですか?私のま○こに触るのに、なぜ私の許可がいるんですか?それなら、私が本を読むのに、あなたに許可を求めますか?」
「そぉだね〜」
「分かったら静かにしてください。ここにいるのは、あなた一人じゃないんです」
男はにっへっへと気味悪く笑う。
(まったく、暇つぶしぐらい人に迷惑をかけないように…)
ちゅびぃ…
「はぁんっ…」
ヴァギナをぬめっと舌が這い、愛は声を上げてしまった。
「ほら、愛ちゃん、静かにってさっき俺に言ったばかりだよ?」
「ご、ごめんなさい。ぁあん!」
男がヴァギナのビラビラを開き、中に舌を差し込むと、先程よりも高い声を上げた。
「いいよいいよ。その代わりこれから俺がうるさくしても、注意しないでね?」
「そんなの理由に、きひぃ!」
男は剥き挙げたクリトリスを、指の腹でちょんと突く。
「ねっ?」
「わ、わかりましたっ!」
これ以上文句は言えないと、愛は妥協した。
くちゅくちゅ…
じゅっじゅっじゅ…
びちゃ、ぴちゃ…
「はぁん!はっはっはぁん!」
「くぅぅん!ふぅぅん!」
「あぁん、あぁ…あんっ!」
大柄の男は夕菜の制服をまくり、曝け出した胸を後ろから揉み、ショーツは膝まで下ろし、そこにもう一方の手を伸ばし、指で夕菜を犯す。
小柄な男は前から清美の重量ある胸を丹念に舐りあげる。ショーツは夕菜と同じように膝まで下ろされており、こちらも指で清美を犯していた。
中背の男は愛の股の間に顔を入れ、舌をヴァギナに差し入れ、また剥いたクリトリスを舐め挙げ、片手は乳首をくりっくりっと扱いていた。
「みんなのおかげで、退屈せずにバスを待ってられるよな。おい!」
「ええ、全くです!これならいつまでも待ってられますよ!」
「あ〜!マン汁うめぇぇ!」
ぶるるぅぅん――
と、そこにバスがやってくる。
「あ、バスが…」
バスが着てようやく男たちから解放される三人。
バスのドアが開く。
「あ、パンツそのままだと邪魔だね」
「そうだね。邪魔なものは捨てた方がいいね」
「そうですわね」
「ゴミ箱は…」
「いいよ。俺らが捨ててくるから」
「ありがとう」
三人は疑問に思うことなく、その場でショーツを脱ぎ、男たちに手渡した。
「おー、脱ぎたてのパンツだよ〜」
「俺、今度前撮ったビデオ見ながら、これでオナニーしよっと」
「はは。すんなよ、オナニーなんか。溜めて、こいつらに出せばいいんだから」
「今日一日は三人とも、ノーパンだねー」
ニヤニヤと話しながら、男たちもバスに乗り込む。
男たちがバスに乗り込むと、女子たちが一人一人座席の肘掛に手を置き、お尻を高く持ち上げた状態で待っていた。
これが男たちによって教えられた、バスに乗るときの正しい姿勢なのだ。
男たちはニヤニヤと笑いながら、それぞれさっきまで相手にしていた女子の後ろに立った。
男たちは女子の後ろに陣取ると、ズボンを下ろし、ペニスを取り出し、女子のスカートを捲り上げる。
「バスの中は狭し揺れるし、体が触れたりすることもあるよなぁ〜…」
プシュゥッとドアが閉まり、バスが動き始める。
ずっちゅぅ!
「はぁん!」
「ぅぅっ!」
「あんっ!」
バスが動き始めるや否や、三人がペニスを挿入した。
「あ、ごめ〜ん!バスが揺れちゃってさっ!」
「わ、わかってますわよ!わざわざ言うことではありませんわよ!」
ずっちゅずっちゅずっちゅ…
男たちはゆっくりと進むバスの中で、腰を振り続ける。
「あぁ〜!バスが揺れるから、仕方ないよな〜〜」
「んっ!くっくぅ!」
(バスが揺れているんだ…こうやって男根が女陰に入ってしまうことも、仕方ない…!)
ぱんぱんぱんぱん…
じゅっぷじゅっぷじゅっぷ…
三人の男たちが、お尻を突き出した女子たちに腰を打ち付ける。その度肉がぶつかる乾いた音と、ヴァギナからもれる愛液の、濡れた音が響く。
そして
「はぁん!はんはん!」
「んっ!くぅん…んくっ…」
「ぁあん!ふぁん!あっあっぁ…」
三種類の嬌声がこだまする。
「おぁぁぁ!も、もうイくかもぉ〜!!」
「お、俺も、げ、限界っ…!」
「よ、よしっ!イ、イくか、みんなっ!」
「おぅっ!」
「あっあっあっ!」
「んっんっんっ…」
「はぁんはぁん!」
男たちが最後の仕上げのためにペースを上げてゆくと、女子たちの声も切羽詰ったものになっていった。
じゅっぷじゅっぷじゅっぷ…
「よ、よし、イくぞぉぉぉ!」
「膣に出してやるからなぁぁ!」
「たっぷり喰らえぇぇぇ!」
「ひぃっ!」
「んくぅっ!」
「ひぐっ!」
どぴゅるどぴゅぅ…
どっくどっく、どく…
三人は一番深くまでペニスを挿れ込み、精液を流し込んだ。
「あっあっあっ…」
男たちが果てると同時に、絶頂に達してしまった女子たちは、座席に崩れ落ち、ペニスが脈打つたびに、体を小さく揺らしていた。
じゅっ…ぽぉ…
最後まで膣に精液を出し切ったペニスが、糸を引きながら引き抜かれる。
「ふぅ〜、出た出たぁ〜」
ヴァギナからは濃い精液が零れ落ちる。
「でも、ち○ぽ汚れちゃったな〜」
「汚れたち○ぽは、どうするんだっけ?」
男たちが女子に聞く。
「わかってる。汚した娘が口で綺麗にしなくちゃいけないぐらい…」
「汚れたち○ぽでは…学校に行けませんものね…」
「うん…そう…」
女子たちは自分を犯していた男に向き直り、舌をペニスに這わせる。
ぴちゃ、ちゅぱ…
じゅるぅ…
ずずずず…
「ほふぅ…」
丹念に表面を舐め上げた女子たちは、迷わずペニスの先端を咥え、残った精子を吸い上げる。
じゅっぱ、じゅっく…
そしてそのままディープスロートに移行した。
「おっおっおっ…」
「むくぅ…ん、んっ…」
ちゃぴちゃぴ…
女子たちの口から、唾液で濡れたペニスが出し入れされる。ヴァギナからは、未だ精液がポタ、ポタと零れ落ちていた。
「あぁ〜。もうこれで、こいつらのマインドコントロールは完璧だな〜…」
「また新しい獲物探さないとなぁ…」
「こんな学校、このぐらいのことがないと通う意味ないもんな!」
しばらく女子たちがフェラチオを続けていると、ペニスがムクムクと体積を増してくる。
「あぁ〜、もういいよ。綺麗になった、綺麗になった。ありがとう」
ちゅぱぁ…
「いいえ。当然のことですから。また私のせいでち○ぽが汚れてしまったら、いつでも綺麗にして差し上げますわ」
「右に同じ…」
「礼儀ですから」
そういうと女子たちは再び手すりに手を置き、腰を突き出す格好を取った。
「にへへ…じゃ、場所変わるか…」
「朝から三回戦もしなきゃいけないって、体もつかな〜…」
男たちは相手を変え、再び挿入を始めた。
琴音は出窓にひじを置き、うとうとと外の景色を眺めていた。
まちはようやく地平線の先に僅かに見えてきた光に、これから照らされようかという時間だ。
失敗した…
琴音は反省していた。せめて枕を持ってくるべきだったと。
そもそも琴音は枕が変わることも、人の前で眠ることも苦手なのだ。
よほどせめて枕は持ってこようと思っていたのだが、そのことで奏にからかわれるのが癪で、見栄を張って持ってこなかったのだ。
おかげで昨夜からほとんど眠れていない。
それに比べ、未汐と奏は気持ちよさそうに眠っている。
気になることと言えば、いつの間にか未汐が奏の布団に入り込み、奏に抱きつくような形で眠っていることだ。
(いつの間にこうなっていたのでしょうか…?)
一睡もしていないはずなのに、全く気づかなかった。それとも、知らない間に、少し眠っていたのだろうか?
まあ、別に誰の寝相がどうだからと、気にすることではない。
再び窓へ目を向ける。
と、学校へ続く道にライトが進んでゆく。
「?」
人が歩く程度の速度でしか走っていないが、確かにあれはバスだ。
(どうして、こんな時間に?)
気になった琴音はパジャマの上からコートを羽織る。
「…ん…?どうしたの…?」
その音で奏も目が覚めた。
「…って?あれ?未汐…?」
「ふぇ…?」
奏は自分に抱きついている未汐を不思議そうに見た。未汐は眠そうに目をこする。
「いえ、バスが走っているのが見えたもので」
「バス…?」
奏は窓まで歩いてゆく。奏の腰辺りに纏わりついた未汐は、そのままずるずる引きずられていった。
「あ〜…確かに、バスだね…」
学校へ続く道は寮を出て100メートルほどの道を進んだ先にある。しかも道の脇は木々が生い茂っているために、視界が決して良いとはいえない。
しかし木々の間から、僅かにバスのライトが見える。
「ゆっくり走ってるね〜。っていうか、今何時?」
「4時半ですか…」
琴音は携帯を取り出し、時間を確認する。
「なんで走ってんだろ、こんな時間に?」
「それを今から確かめに行こうかと」
「あふ…ん、ちょっと待って、私も行く、行く行く」
小さなあくびを一つして、未汐を引き剥がす。
「ふぇ…奏さん〜、私も〜…」
「来るなら、顔洗ってきな、きなきな」
やれやれ、と琴音はため息をついた。
他の生徒がやるように、裏口から寮を出るが、鍵は掛かっていなかった。
バスが走っていたことを考えれば、この鍵を空けた生徒が関わっているのだろう。
「ほらほら、急いで、いでいで」
「ふぇ…」
奏はふらふらとした足取りの未汐の手を引く。
「大変ですね」
「そうでしょ、でしょでしょ?」
隣を歩く琴音の呟きに奏は、うんうんうんと頷く。
「バスの運転手さんがぁ〜…犯人さんなんですかぁ〜…?」
「どうかな、かなかな?」
「気にはなりますが、事件と関係性は薄いと思いますよ」
「どうしてなんですぅ〜…?」
「バスが動いていることと、生徒の中途退学。どう考えても、関連付けられませんよ」
「ま、まま。早朝に走るバス。それはそれで面白い記事にはなるかな、かなかな?」
「すぅすぅ…」
寝息が聞こえ、二人は足を止めた。
すると鼓を打ったまま、とことこと未汐は歩いて行く。
「歩きながら寝てるよ、この娘…」
「ある意味すごい才能…ですね…」
二人はあんぐりと、口を開けた。
じゅっぽぐっぽじゅっぽ…
「はぁん!ぁあぁん!」
「くぅん!くひぃ!」
「ぁんぁんぁんあんあん!!」
湿った音と女子たちの嬌声がバスの車内にこだまする。
女子たちは三人目のペニスに犯され、首を振り、ただただあえぎ続ける
「くぅぅぅ!いいねいいね!気持ちいぃぃ!」
男たちは腰を打ち付けながら歓声をあげていた。
ペニスがぐっぽぐっぽと出し入れされるたび、ヴァギナからは精液と愛液の混ざった液体が飛び散った。
「うっわ〜!ぐちょぐちょま○こも気持ちいいなぁ〜」
「ちょ、ちょっと待て!誰か来るぞ!!」
一瞬男たちの動きが止まった。
「ちょ、ほ、本当かよ!」
男たちは女子を襲うのをやめ、バスの後ろに集まる。
坂の下から、三人の人間の頭が動いているのが見えた。
「隠れろ!」
三人は座席に隠れる。
「おっさん!逃げろ!!」
「逃げろたって、どうやって…!」
運転席から困惑した男の声が聞こえた。
「いっぺん上まで行って、戻ってくればいいだろ!スピード上げろ!!」
「わ、わかった!!」
「ちょ!こんな途中でやめんのかよ!?」
一人がいきり立ったペニスを収められないことに不満を漏らす。
「今度にしろ、今度!!」
「見えてきましたね」
もうすぐ道を登りきろうと言う頃合、ようやくバスの後姿が見えてきた。
「本当にバスが走ってますねぇ〜」
「ちょっと走ろうか、ろうかろうか」
奏が走り出そうとしたとき、バスもスピードを上げた。
「ちょ、ま、待て!!」
「あぁ〜奏さん〜〜!」
奏は未汐の手を放し駆け出す。未汐はそれを追う。
琴音はだからといって駆け出すでもなく、そのままの歩みを続けた。
と、しばらくして折り返してきたバスが琴音の横を通り過ぎる。行きとは違い、かなりのスピードだ。
運転手の顔を見たが、運転手は手で顔を隠しており、誰かを確認することは出来なかった。
「まぁ〜てぇ〜〜!」
「奏さぁ〜ん!」
バスに続き奏と未汐もやってくる。
琴音はくるっと回れ右をして、バスを追いかける。
程なく走力で勝る奏が琴音に追いつく。
「琴!運転手の顔見た!?見た見た?!」
「いえ、顔を隠していたので…ですが男性でしたね。それだけは確認できました。あと、生徒というような年齢ではなかったかと…」
「了解!先行くね!!行くね行くね!!」
奏が走る速度を上げ、バスを追う。未汐を気にして走る速度を落とす。
「ま〜ぁ〜って〜くぅ〜だぁ〜さぁ〜い〜!」
しばらくして、走っても早歩き程度の未汐が琴音に追いつく。
大丈夫ですか?と聞こうとして目を向けるが、薄いコートの上からでもぶるんぶるんと大きく跳ね上がる胸を見て、ムッとする。
ブラをしていないせいで、揺れは通常の3倍だ。
それに比べて、と目を落とすと、ブラをつけていないのに全く揺れる気配のない胸。
「胸の差が、戦力の決定的な違いではありませんよ」
「はぁぃ…な、なぁんですかぁ〜!?」
琴音は足のストロークを大きくして、スピードを上げる。
「あぁ〜ん!待ってくださいよぉ〜!!」
未汐の声がみるみる小さくなっていった。すこしだけ、すっきりした。
「ぜー、ぜー…」
麓まで降りて、倒れそうになるのを何とか堪える琴音。
「うぷ…」
久しぶりに長距離を走ったせいで吐きそうになるが、何とか我慢。
バス停を見るが、バスの影はなし。バス停から見える門も、閉まったままだ。
門の隣にある守衛室にも人の姿はない。
奏の姿が見えず、琴音は車庫へ向かう。
車庫には三台並んだバスの前に奏と、もう一人中年男性の姿があった。
「あ、お〜い、琴〜〜!!」
奏が手を振る。琴音は奏の下に歩み寄った。
「ちょ、ちょっと君たち〜」
中年の男性が困った声を上げた。頬がこけ、白髪交じりの中年男性。恐らくは守衛の男だろう。
「早く戻らないと、先生に見つかっちゃうよ〜」
「すぐ戻りますよ、ますよますよ。それより、本当にバスは見てないんですか?ですかですか?」
「だから見てないって、言ってるでしょ〜」
琴音は二人のやり取りを尻目に、乱雑に停められたバスに歩み寄る。
「ちょ、ちょっと、君〜…」
守衛が琴音を追いかける。
琴音は気にせずバスの後ろに回り、マフラーに触れる。
まだ温かい。
昇降口辺りの地面を見たが、アスファルトで固めているせいもあって、足跡は見当たらなかった。
「ほらぁ〜、早く戻った方がいいよ。先生には黙っておいて上げるから」
「だって、だってだって。何もなさそうだし、戻ろっか、ろっかろっか」
奏は守衛には見えないように琴音にウィンクする。琴音は、そうですねと素直に従った。
二人は守衛を車庫に残し、その場を離れた。
「で、どうだと思う?思う思う?」
守衛の姿が小さくなったところで、奏が聞く。
「あのバスが動いてましたね。中に誰が、何人乗っていたかは、わかりませんが」
「あの守衛さんは、関わってるみたいだね、だねだね」
「でしょうね」
バスが車庫から学校に向かったのであれば、守衛室のすぐ側を通ることになる。バスが動いていたということは、守衛室にいれば当然わかることだ。
つまりバスが動いていたのにもかかわらず、「見ていない」ということは、嘘をついているということである。
「生徒にせがまれて、バスでも運転させていたのでしょうか?」
「辺りかなぁ〜?かなかなぁ?事件とは関係なさそうだけど、それはそれで面白い記事かも、かもかも」
「これから調べる気ですか?野次馬根性と、あの会長に言われかねませんよ」
「奏さぁ〜ん!琴音さぁ〜ん!どこですぅ〜!?」
バス停の前で、不安げな未汐が大声を上げ、二人を探していた。
「あ〜、未汐〜!ここ、ここぉ!」
奏が未汐に駆け寄る。未汐は奏の姿を確認すると、ぱっと表情が明るくなった。
やれやれ、と琴音は肩を竦めた。
その様子を、山に隠れながら観察する男たちがいた。
「おい、あれって新聞部の…?」
「まずいよ。見られたんじゃないの?」
男たちは不安に表情を曇らせた。
「さあな。とにかく、バス通学はしばらく休みだな」
「えぇ〜。マジかよ…」
「一番の楽しみなのに…」
残念がる声。
「仕方ねぇだろ。まあ、あの三人のマインドコントロールも上手く行ったし、しばらく静かにしとこうぜ」
「新聞部はがきっと調べに来るよ…?」
「そっちはそっちで、なんとかするさ」
祐司はいつもより早く登校し、部室へ向かった。琴音たちの取材の結果が気になったからだ。
「でぇ〜、バスをみんなで追いかけたんですよぉ〜」
「なるほどねぇ、確かに変な話ではありますねぇ…」
「おはようございま〜す」
部室では大和に未汐が今朝の出来事を話しているところだった。
琴音は自分の机に座り、眠そうにノートパソコンで文章を打っていた。ノートパソコンは、部の備品だ。
奏はメモ帳を開き、何か思案している様子。
「おはようございますぅ〜」
「あの、何の話ですか?」
「バスを見たんですよ、今朝」
モニターから目を離さず、琴音が答えた。
「バス?」
「なんでも早朝にバスが走ってたらしいですよ。学校のシャトルバスが」
「目撃した時間は朝の4時半。バスの運行する時間じゃないからね、からねからね」
「それと、事件は何か関係があるんですか?」
「たぶん、直接的な関係はないかと思います」
「早朝バスの怪!いや、深夜運行するバス!の方がいいかな、かなかな?」
「怪談には時期的に早いですよ」
勝手に記事にしたときの見出しを考える奏を、琴音がたしなめた。
「いいのよ。実際記事にするのは夏にするから、からから。しばらくはこっちの取材に力入れよっかなぁ〜、かなかなぁ?」
「それに、犯人の目星は大体付いているんですし、怪も何もないでしょう」
「へぇ、誰が運転してたの?」
祐司が聞く。
「恐らく守衛さんです。他に生徒も乗っていたでしょうが」
「なんでそんなことを?」
「運転でもさせていたのでしょう。バスを運転したいなんて、子供みたいな話ではありますが」
「ストレス発散にしては、ずいぶん徐行してたけどね、けどねけどね」
「それは構いませんが、寮生活の記事は、大丈夫なんですか?」
大和が気にしていたことは、バスや事件のことではなく、例の寮生活の特集記事だった。
生徒会の前で書くと言った手前、記事にしなければまた何を言われるか分かったものではない。
「大丈夫です。私が書いてますから」
さっきから琴音がノートパソコンに向かっているのは、寮の記事の為だった。睡眠が足りないために順調、とは言えないが来月分の記事だ、今から書いて間に合わないことはないだろう。
「なら、構いませんが」
大和は扇子で頭を掻いた。
「バスが走ってたって!?」
突然、ガラッとドアを開け、息を切らした康介が走りこむ。
「いつ見たんだ!?犯人は見たのか!?事件との関連はっ!?」
今にも掴みかかる様な勢いで、奏に詰め寄る。
「ちょっとちょっとちょっと、康介落ち着いて、ついてついて!」
「どうなんだ!?」
「た、確かにバスは見たけどさ、ささ、事件との関係性はまだわかんないのよ、よよ」
ふと、康介の動きが止まる。
「…そうか…」
康介は落胆の表情を浮かべ、自分の椅子に座り、ふぅっと長い息を吐いた。
「でもまあ、まあまあ、バスの犯人と事件の犯人、同一犯ってのも、面白いかもね、かもねかもね」
「じゃあ、やっぱりバスの犯人と事件の犯人は、一緒!?」
康介は飛び上がった。
「ま、今晩当たり校長室にでも忍び込んで、守衛の経歴でも、調べようかなって、かなってかなって」
「守衛?守衛が犯人なのか!?」
「主犯か、共犯か、それが問題かな、かなかな?」
「あの…井口君…」
背中を扇子で掻く大和が、おずおずと口を開く。
「忍び込むとか、そういうこと言われると、止めないわけに行かないのですが…」
「あ、はーい!はいはーい!忍び込みません、ませんません!」
奏は元気よく手を上げて答えるが、明らかに心のこもっていない形だけの言葉だ。
「本当、頼みますよ…」
苦笑いしか出てこない大和。琴音はもくもくと文章を打ち続けていた。
二時間目の体育の授業。祐司はトラックを走らされていた。
トラックの横では、女子がソフトボールをしている。
祐司は走りながら欠伸を一つ噛み殺した。
昨日は琴音のことが気になってよく眠れなかったからだ。
女子生徒が強姦され、学校を辞めたと言うのだ。もし犯人に出くわせば琴音だってただで済む保証はない。
(奏さんなら、襲われても逆に殴り倒しそうだけど…いや、でももしそうなったら、僕が助けに…)
などと考えているところに女子生徒の「危ない!」という声が聞こえた。祐司が顔を上げると、白いソフトボールが視界を覆った。
ゴン――
じゅっぷっじゅずじゅっちゅ…
「ふぅん!ん、んぐっ…」
保健室ではカーテンを閉めたベッドの上で、二人の男子が桜花を前後から犯していた。
「あ〜、くそっ!朝は中途半端なところで終わっちまったからな」
「まったくだよ。朝出せなかった分を出しとかなきゃ、収まりつかないよな」
「ふぅん、んっ、んぐ…」
ヴァギナを犯していた男子が手を回し、クリトリスを弾く。
「くふぅん!」
刺激に、桜花は体をくねらせた。
「おっ、ぎゅっと締まった!ぎゅっと締まった!!」
「あ〜、俺もま○こがよかったな〜」
口を犯していた男子が、胸に手を伸ばしながら羨ましそうに見る。
「んくっ!」
乳首を摘みあげると、桜花が体を引く。
「いいじゃん。先生の口も気持ちいいだろ?」
「だったら変われよ。俺がま○こに入れるからさ」
「へへ、じゃんけんじゃんけん」
「それより、言ってたゴールデンウィークの合宿、どうすんだろ…?」
「さあな。新聞部次第じゃねぇ?嗅ぎつけられたら、動けなくなるし…」
「せっかく楽しみにしてたのにな…」
と、廊下から話し声が聞こえた。男子たちから血の気が引く。
「ちょ、ど、どうすんだよ!」
「と、とにかく桜花に服着せろ!そしたら隠れるぞ」
「お、おう!」
「あれぐらい避けろよな、垣内」
祐司はクラスメイトに肩を貸され、保健室に向かっていた。
「ちょっと、ボーっとしててさ」
つつ、と濡れたハンカチで瞼の上を押さえたまま答える。
「それよりごめん、わざわざ…」
「いいっていいって。お互い外様同士、仲良くやろうぜ」
お互い一般入試生という心安さからか、自然と笑顔になる。
「失礼しまーす」
「あら?ケガ?」
保健室に入ると、乱雑に白衣を着る桜花が迎えてくれた。
胸元から、胸が覗き見える。
「こいつソフトボールぶつけちゃって」
クラスメイトは祐司を桜花の前に座らせながら、視線はしっかりと桜花の胸元を見ていた。
耳元で小さく「ひゅー」と声を上げる彼に、祐司は苦笑いを返す。
「じゃ、俺戻りますんで、よろしくお願いします。後でな、垣内!」
祐司に手を振ると、いい物を見たと呟きながら、クラスメイトは保健室を後にした。
祐司はそれを見送ると、桜花に向き直る。これから消毒液でもかけて、ガーゼで抑えるのだろう。
「それじゃあ、まず触診をするから、ベッドに来て」
消毒液が滲みて痛いだろうか、という祐司の心配をよそに、触診を主張する桜花。思わず裏返った声で聞き返してしまう。
「へっ?触診?い、いや、俺、ケガで…」
手を引かれ、ベッドに寝かせられる祐司。
意外な展開だ。外傷に触診をするといわれたのは、もちろん初めての経験である。
「舌の感触でどこが悪いのか調べるの」
「は、はぁ…」
桜花はベッドのカーテンを閉め、寝かせた祐司に跨るようにして、ベッドに座る。
「だから、私の敏感なところを、あなたの舌で舐めてね」
言うと突然桜花が服を脱ぎ始めた。
「へ、へぇぇぇ!?」
祐司が悲鳴にも似た、驚きの声を上げる。
「保健室では静かにしなくちゃ駄目よ!」
服を全部脱ぎ終えた桜花が注意する。
「こ、声も出しますよ!ちょ、ちょっと!何やってるんです!!」
先ほどまで犯されていたヴァギナから、愛液がとろとろと溢れ出し、陰毛を濡らしている。
祐司はその淫靡な姿に、思わず生唾を飲む。
「ほら、乳首を舐めて」
桜花が祐司の目の前に、自らの胸を差し出す。乳首はすでにツンと立った状態だ。
祐司は空気に飲まれ、おずおずと舌を差し出した。
ちゅび…ちゅば…
「ぁっ…ふぅん、だめよ、もっとちゃんと舐めて」
「ちゃ、ちゃんとって…」
祐司は乳首を咥え、円を描くように乳首に舌を這わせる。
「ふぅんっ!そうよ。そんな感じに舐めて」
ちゅっちゅば、ちゅっちゅ…
「はぁん。あぁん!」
言われるがままに乳首を舐め続ける祐司。時々上目で桜花の様子を確かめるが、声を上げ、眉を顰める表情から、感じていることは明白だ。
(こ、これからどうなるんだろう…)
困惑しながらも、さっき見た桜花のヴァギナが脳裏に映り、むくむくとペニスが起き上がる。
「んっんっ…いいわぁ…もう分かったわよ…」
「は、はぁ…こ、これからはどうすればっ!?」
祐司の声が裏返る。桜花が祐司のペニスに手を這わせたのだ。
「う〜ん、やっぱり悪いのが溜まってるみたいね〜」
「ちょ、ちょっと!せ、せんせっ!?」
再び祐司の頭の中を桜花のヴァギナの映像が支配した。
桜花は慣れた手つきで、制服のズボンを下ろし、ペニスを剥き出しにする。
まるで苦しい拘束具から開放されたかのように、完全に勃起した状態のペニスがひくひくと存在を誇示していた。
「な、いったいなにをっ!?」
「これから治療をするわね」
「ち、治療って、ぼ、ぼくはソフトボール頭にぶつけてっ!!」
「この中に悪い血が溜まってるから、先生がそれを口で吸いだしてあげる」
「話聞いてください!!」
じゅっぷぅ…
「むぁぁん…」
「あぁ…」
拒否しながらも、ペニスを咥えられると急に祐司は大人しくなってしまった。
その諦めた姿は、肉食動物に襲われた小動物に似ていた。
じゅっぷじゅっぷ…
「んっんっんっ…」
「あぁ…んっ、くっ…!」
祐司は未だ童貞の身。もちろんフェラチオの経験も皆無である。
もし誰かに見つかったら、という恐怖心はあったが、初めて味わう快楽に理性が消えてゆく。
「ん、んふぅ…」
じゅば、ちゅば…
「あっあぁ、せ、センセイ…」
桜花の口の動きに合わせて、腰が動いてしまうのは男の性か。
「も、もう…センセイ、だ、だめですっ…!!」
「ぷはぁん…悪い血は全部、私が飲んであげるから、構わず口の中に出してね」
じゅぶぅ…
それだけ伝えると、再びフェラチオが開始される。
じゅっぷじゅっぷ…
「くっ、うぅ…」
祐司の我慢はなけなしの理性を保つためか、それとも少しでもこの快楽の時間を引き延ばすためか。祐司自身どちらか分からなかった。
半分以上理性を失い、快楽を追い求めようと腰をスライドさせる祐司には、チャイムの音もドアが開いた音も聞こえてはいなかった。
「せ、センセイ!で、出ちゃいますっ!」
「ふぅぅん!!」
「あぁっ!?」
「祐司さん、一体何を…」
シャッ…
「へっ?!」
どびゅるどびゅぅどびゅ…
「んっんっんっ」
ごっくごっくごっく…
なんと間の悪いことか。ちょうど祐司が桜花の口内に果てたところに、琴音がやって来たのだ。
「あっ…」
祐司は硬直するが、射精が止まるわけではない。
桜花がその量と濃さで、苦悶の表情を浮かべながら出された精液を胃の中に収めていくが、飲みきれなかった分が口の端から漏れてくる。
そうでなくとも、祐司のペニスの動きで、射精しているのは明らかだ。
固まる祐司と琴音。
「な…一体何を…」
「ちょ、ち、ちが…ぁあっ!」
ずずず、と尿道に残った精液を吸い上げられ、祐司が声を漏らす。
琴音の頬がひくつく。
「ぷはぁ…ずいぶん一杯溜まってたわね。これからはちょくちょく、出しに来た方がいいわよ。希望があれば、おま○こで吸い出してあげるから」
これが止めの一言だった
「だ、出すってっ?!希望って!?あ、ちょ、琴!!」
琴音は冷たい視線だけを残し、無言で保健室を去ってゆく。
祐司は慌ててズボンを履き、琴音を追いかけた。
「くっそ〜…俺たちは結局最後まで出来なかったのに、なんであんなやつが…」
隣のベッドの下に隠れていた男たちがぼやく。
「いいか、このことは他の奴らには内緒だぞ」
「わかってるよ」
「おら、桜花のマインドコントロール解くぞ」
「ええっ?またお預けかよ!?」
「仕方ねぇだろ!見つかるぞ!!」
「ちぇっ…」
「ちょ、ちょっと待てって、琴!」
祐司が廊下を、ヅカヅカと進んでいく琴音の肩を掴む。
「触れないでください、汚らわしい」
琴音はそれを振りほどいた。
「だから、あれは誤解だって!」
「なるほど。では何をどうしたらああいう状況になるのか、私の誤解が解けるように、一から説明してみてください」
琴音が足を止める。祐司は息を整えて、ゆっくり言う。
「いいか。俺は体育の授業でソフトボールのボールが当たったんだ、ほら、ここ!」
祐司は前髪を掻き揚げ、血の滲む傷を見せた。
「で?」
「それで保健室に行ったら、治療の為にって言われて、あんなことになったんだよ!」
「……よほど打ち所が悪かったんですね」
軽蔑を込め言い放つと、もう話すことはないと言わんばかりに琴音は再び廊下を進み始める。
無理はない。本当のこととは言え、誤解を解くどころか、誤解を深めるような内容だ。
「ちょ、ほ、本当だって!!」
「寄らないでください、変態」
追いすがる祐司を、冷たくあしらう琴音。
「本当にそう言われたんだよ」
「いい訳なら、もう少し上手くしてください」
「い、いや、俺にだって何がなんだかわかんなくて、いきなり胸舐めろとか…あんなことも…」
「それは一体何の治療ですか?あなたは彼女に何を求めたというのです」
「知らないよ!俺は本当に何もしてないんだ!」
「ええ。される側でしたからね」
「い、いや、確かにされてたんだけどさ…で、でもあれはさ」
「構いませんよ。またお相手していただけばいいではありませんか。せっかくのお誘いも頂いたんですから」
確かに、最後に桜花が残した言葉は、祐司を誘うものだった。
「い、いや、もう保健室には行かないよ!ってゆうか、行けないよ、あんなことの後じゃ…」
「私は教室に着きましたので、これで」
クラスに着いた琴音は、祐司に対して一礼をした。
「あ、ちょ、まだ話が…!」
「垣内さんも早く教室に戻られた方がいいですよ。もうすぐチャイムもなりますから。では」
琴音がドアをピシャッと閉めると同時に、チャイムが鳴った。
「あぁっ!もうっ!!」
もどかしさで声を上げる。だが祐司の声は、チャイムにかき消された。
休み時間、琴音はことごとく祐司を避けていた。
何か調べたいことがあると言っては、祐司の遠くへ、遠くへ行ったのだ。
おかげで祐司に弁明するチャンスが訪れないままに、放課後になった。
HRが終わると、祐司は一目散に部室にやってきた。部室で琴音を待ち構えるつもりだ。
(よしっ!琴音が着たら、ビシッと言ってやる!ビシッっと!!)
まだ鍵の閉まったままの部室の前で、復唱する。しかし肝心の、何をビシッと言うかについては、白紙のままだ。
「おや、今日はやけに早いですね」
鍵を持った大和が、一番に来ていた祐司に驚く。
「ええ、はい。ちょっと」
「何か、ありました?やけに気合が入っているようですが?」
「ええ、はい。ちょっと」
鍵を開け、二人は揃って部室に入った。
「おはようございまーす」
しばらくして、奏がやってくる。
奏は腕組みをして、鬼気迫るような形相で席に着く祐司に驚く。
「え?なになに?祐坊、なにかあった?あったあった?」
「ええ、はい。ちょっと」
奏は頭の上に「?」マークを浮かべ、大和に視線を送り、説明を求める。
大和はアメリカ人よろしく、「わからない」とジェスチャーを送った。
「おはようございまぁ〜す」
またしばらくして、未汐がやってくる。
「あれぇ〜?なんだか祐司さん、怖いですよぉ〜?」
「ええ、はい。ちょっと」
未汐は祐司に何があったのかと、視線で大和と奏に聞く。
だが二人はアメリカ人よろしく、「わからない」というジェスチャーを送った。
「おはようございます」
「おはようございます」
「ええ、はい。ちょっと」
「?」
またしばらくしてやってきた康介と太一は、わけが分からないと大和、奏、未汐の三人に視線を送る。
三人はアメリカ人よろしく、「わからない」というジェスチャーを送った。
いくら待っても琴音は姿を見せず、仕方なく揃ったメンバーだけで今日の連絡事項だけを伝え、散会となった。
「祐坊。ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど、けどけど」
「すみません、奏さん。俺にはやることがあるので」
「そ、そう?そうそう…」
祐司の有無を言わせない様子に、奏はおとなしく引き下がる。
「じゃ、未汐に頼むことにするね、するねするね?」
「すみません。そうしてください」
奏と未汐がまず部室を後にした。
「じゃ、俺ら取材行ってきます」
続いて康介と太一がいなくなる。
残ったのは大和と祐司の二人。
パタパタと気まずそうに、大和の仰ぐ扇子の音だけが響く。
「…垣内君は、どこかに行かないんですか…?」
「待ってなくちゃ、いけないので」
「はぁ、そうですか…」
パタパタ…
部室が白から赤に染まり、照明の灯る時間になっても、琴音は姿を見せなかった。
「ただいま戻りましたー」
「ましたぁ〜」
「って、祐坊。まだ帰ってなかったんだ?」
「ちょっと、琴のやつ、待ってるんで」
まったく、いつになったら来るんだよ、あいつは!!勝手に人のこと誤解しやがって!人の話はちゃんと聞けよ!あんなことぐらいで怒りやがって!!
「あれ?でも琴ならさっき、バス停で見たよね?」
「ええ〜。もう帰るみたいでしたよぉ〜」
「なぁにぃぃぃ!!?」
耳をつんざく様な祐司の声が部室中、いや旧校舎中に響き渡った。
窓ガラスにひびが入り、机にあったノートやファイルが飛び散る。
「すみません!俺も帰ります!!」
祐司は散乱した部室を気に留めることなく、砂埃を撒き散らして去っていった。
「……この窓ガラスの修理は…新聞部持ちなんですかねぇ…」
「さぁ…?」
また生徒会に怒られるのか、と大和は扇子で頭を掻いた。
走る。
走る走る走る。
「琴ぉぉぉぉ!!」
祐司は下校中の生徒を避け、あるときは突き飛ばし、バス停まで一目散に走り抜ける。
しかし僅かに間に合わず、着いたのはバスの尻がちょうと坂に隠れる頃だった。
登下校の時間は3台のバスがフル回転しているとは言え、このタイミングなら走って山を降りた方が早い。
「琴ぉぉぉぉ!!」
走る。
走る走る走る。
鬼気迫るその走りは、あたかも世界のトップアスリート。もう少しで光の見える領域に達してしまいそうなぐらいだ。
だがそれも、山の中腹を過ぎた辺りで力尽きた。
「はぁ…はぁ…くそっ!何やってんだよ、俺は…」
自分の体力のなさに情けなくなる。
琴音とは保育園に入る前からの付き合い。こんなことでギクシャクしたまま終わらせてしまいたくない。
そもそもあれは先生が無理やり襲ってきたのであって、自分には一切非はないはずだ。
気持ちよかったけど。
そりゃぁ、自分が誘ってああなったとか、無理やりさせたとかならわかるが、あの場合悪いのは自分ではないはずだ。
気持ちよかったけど。
どちらかと言えば、自分は被害者に当たる立場のはずだ!
気持ちよかったけど。
「…確かに…気持ちよかったんだよなぁ…」
ブロロロロ…
「えっ?」
後から発車したバスが、自分の隣を通り過ぎて行った。
「って、ちょっと待ってぇぇぇ!!」
慌てて祐司も走り出した。
「ああ、名振さんね」
校門前では、守衛室にいる男性に話を聞く琴音の姿があった。
「どういう方です?」
「どういうって…まあ、別に私らも交代の時間にちょっと話するぐらいだから、別にねぇ…」
守衛は困った表情を浮かべ、質問に答える。
「誰か生徒で、仲が良いといった話は聞きませんか?」
「さてねぇ?ここにいるとたまに挨拶してくれる生徒はいるけど、そりゃただ単に礼儀がいいだけだし。第一夜勤の名振さん知ってる生徒、そんなにいないんじゃないかな?」
「夜勤なんですか、あの人は…」
「ああ。そう。三交代でやってるからね。名振さんは夜の10時から翌朝6時まで」
ふぅん、と琴音は腕組みして考える。
「休日は、どうなってるんですか?」
「週休二日で、シフト制でやってるよ。休みの日は、他から人呼んでね」
「では、土日が休み?」
「ってわけじゃないよ。休みの日も学校は開いてるから…え〜っと、名振さんは水曜、土曜が休みか」
守衛はシフト表を確認して、伝える。
「一応前もって申請すれば、特別にそれ以外の休みとかも取れるけどね。遊びに行くときとかは、連休の申請出すんだよ」
「いつ頃から、そのシフトなんでしょうか?」
「う〜ん。もう一年は変わってないと思うよ」
「そうですか…」
「しかし、そんなこと調べてどうするの?」
「まあ頼まれ事ですから、どうするのかは、私にはわかり兼ねます」
自ら調べ始めたことなのに、琴音は平然と嘘をつく。そう言っておいた方が変に詮索されずに済むからだ。
「でも、あんまりあの人には近づかない方がいいよ。特に女子生徒さんはね…」
「?どういうことです?」
守衛は、いや、ね、とちょっと言いにくそうに琴音に耳を貸すように言う。
琴音は守衛に耳を向ける。守衛は口に手を当て、琴音にだけ聞こえるようヒソヒソと話した。
「こういうことあんまり言っていいのか…あの人の趣味がね、どうもAVとか制服モノ一杯持ってるみたいでさ。いつか犯罪起こすんじゃないか、ってちょっと心配してるんだよ。ほら、制服姿の女子高生が、一杯いるわけじゃない?半年前の噂のこともあるし…」
「そうですか…わざわざありがとうございました」
AVと言われ、保健室のことを思い出し、気分が悪くなったため、少し棘のある口調になってしまった。
それを守衛は、やっぱり女子高生に、その手の話はまずかった、と自分のせいだと、反省していた。
守衛室から離れ、琴音は一人で情報を纏める。
今朝の守衛の名前は名振強。守衛室にいるのは深夜の時間。一年前にはすでに守衛をやっていた。
交友関係は不明だが、女子高生に対して異常な執着心を持っている可能性がある。
今朝のバスの件に関して、関係していることは間違いないとして、性癖と、彼のあの言動を考えれば、事件に関してもなんらかの情報を握っている可能性も捨てきれない。
「と言っても、不明な点が多すぎますからね…」
情報が明らかに欠落しており、想像の域を出ない現状に愚痴が零れた。
「それと、早朝のバスは…」
「こ、琴…おぉぉぉ…!!」
呼ばれて振り返と、息も絶え絶えといった状態の祐司がふらふらと坂を下りてくる姿があった。
琴音は気にせず、足早にその場を去る。
「あ、ちょ…ちょっと…!!」
もうとっくに限界は超えたはずの祐司がラストスパートを仕掛け、琴音に追いつく。
「ほ、ほっていく…な、よな…」
ぜぇぜぇと肩で息をしながら、琴音に話しかける。
そんな祐司を無視し、琴音は携帯を操作していた。
「ちょ、ちょっとは俺の!」
ピンポロロ〜ン
祐司の携帯が鳴る。携帯を開けると、琴音からのメールが届いていた。
メールを開ける。
『変態とは口も聞きたくありません。』
無題で届いたメールにはただ一言、それだけが書かれていた。
隣にいるのに、わざわざメールで意見する琴音の態度に、祐司もカチンと来る。
今度は琴音の携帯が鳴る。届いたのは祐司のメール。
『変態変態って、何があったのか聞きもしないでなんだよ、その態度は!!』
あの状況で、まだ何を言い訳することがあるのか。どうして言い訳ばかりで、謝ると言うことをしないのか。
今度は琴音がカチンとする番だった。
『何があったのかはちゃんと見てましたよ。気づきませんでした?私があの場所にいたこと。』
『その前後のことがあるんだよ!全部見てたわけじゃないだろ!何でもかんでも知ってるみたいなこと言いやがって!!』
『あの場面を見れば充分ではないですか。なんなら今度、セフレ募集のサイトでも御紹介して差し上げましょうか?』
『いらねーよ!そんな気遣いするぐらいなら、俺の話に耳を貸せ!全部お前の誤解なんだよ!!』
『最初に言いましたよね?変態と話したくはないと。ちなみにメールするのも嫌です。顔も見たくありません。これからは私の半径10メートル以内に近づかないでください。よろしくお願いします。』
『何だよ、その言い方!相手にしてもらえる男がいないから気が立ってんじゃないのか?』
『何でそういう話になるんですかっ!やっぱり変態の思考回路は常人とは違うようですね!』
『そうやって決め付けて話もしないって言うのが、お前の言う常人の思考回路なのかよっ!』
『少なくとも、性的干渉に短絡的に結び付ける変態的な思考よりは、よっぽど常人だと思いますよ!変態変態変態!!』
『貧乳貧乳貧乳!!』
「誰が貧乳ですかっ!」
「誰が変態だよっ!!」
「「ふんっ!」」
結局その後は一言も交わさず、家まで帰ることになった。
「はぁぁ…何やってんだ、俺…」
家に着いた祐司は、結局仲直りどころかさらに怒らせる事態になったことに、自己嫌悪に陥っていた。
ベッドにうつ伏せになり、顔を枕にうずめる。
「そりゃあんな場面見られたら、言い訳したところでムダかも知んないけど…でも、話聞いてくれたっていいじゃんか…」
自己嫌悪を追い払おうと、顔をぐいぐいと枕に押し付ける。
と、その枕の感触に、桜花の胸の感触を重ねてしまった。
「軟らかかったなぁ…おっぱいってあんな感触なんだなぁ…乳首もこりこりって…」
そのことで自己嫌悪に陥っていたはずなのに、ペニスがムクムクっと自己主張を始めた。
「ちょっとぐらい…感触まだ、残ってるうちに…」
一回だけだから、と自分に言い聞かせ、ペニスを掴む。
目を瞑り、桜花のフェラチオを思い出しながら、扱く。
ペニス全体を包む、生暖かい感覚。そしてぬめっとした桜花の舌が自分のペニスに這い回る感触。
ペニスを咥え、卑猥に間延びした桜花の口元。
服を脱いだときに見えた桜花のヴァギナも思い出す。
完全に濡れそぼって、準備万全だった。
ビデオではモザイクが掛かっているけど、本物はあんな感じなんだな。
ああ、せっかくならあっちでして貰えばよかった。希望があればって言ってたし、もしかしたら今度行けば、ヤらせてもらえるのかも…
ずっずっず…
あぁ〜、もったいなかったな〜。やっぱり口でするよりも気持ちいいんだろうなぁ…
せめてもっと近くで見ればよかった…指とか入れたり…クリトリスってどんなのなんだろ?
おっぱい舐めててたときもすごく気持ちよさそうに喘いでたから、やっぱま○こ弄ったら、もっと乱れてたんだろうなぁ…惜しかったなぁ…
祐司に絶頂が近づく。
でもいいよな。今日は飲んでもらったんだし。口の中の感触も覚えたし、しばらくはこれで…
そろそろイくな…先生、精子飲むとき、どんな顔してたっけ?
『変態』
「うわっあ!?」
もうすぐでイくという瞬間、急に琴音の顔が思い浮かび、阻止された。
「はぁはぁ…な、なんで…」
まるで悪夢を見たかのように、体中に汗が吹き出て、鼓動が激しい。
「そ、そうか、確かイったときは琴音の顔見てたんだ…」
桜花の口に射精した瞬間、そのタイミングで琴音がやってきて、自分が射精している間はずっと琴音の顔だけを見ていた。そのことに思い当たる。
「あぁ〜〜!もうっ!何やってんだよ、ホント!これじゃあ本当にただの変態じゃないかっ!」
しかし多少硬さは失ったとはいえ、まだペニスは立ったままだ。
せっかく始めたのに、途中で辞めてしまうことほど苦痛なことはない。
これは生理現象、これは生理現象、と何度も自分に言い聞かせ、再びペニスを握る。
「一回出せば、もう今日は終わりだから…」
しかし桜花を想像しても上手く行かないとなると…
か…奏さんかな…?
以前にも奏を相手にしたオナニーは何度か経験している。しかも今回はフェラチオの経験をした後だから、よりリアルに想像できそうな気がした。
やっぱり、奏さんの口の中、気持ちいいだろうなぁ…
裸の奏が自分の前にいる場面を想像する。ヴァギナは今日見た桜花のものを参考にしているので、もう準備万端の状態だ。
奏が自分の前に蹲り、ペニスを咥える。奏の口内の暖かさが、祐司のペニスを包む。
「奏さん…」
奏は大事なものであるかのように、ゆっくりとペニスを根元まで飲み込んでいった。
「あっ、か、奏さん…」
奏は頭を前後させ、祐司の性感を高めてゆく。
そして奏自身もペニスを待っているかのように、ヴァギナを濡らしてゆく。
奏は時折上目遣いで祐司の目を見る。はやく欲しいと言っているようだ。
その表情と、卑猥に間延びした口元が祐司を加速させる。
「か、奏さん、も、もうっ!」
『変態』
「うわっあ!またぁ!?」
再び琴音が最後の最後で邪魔をした。
「ちっくしょう!何の恨みがあるんだよ、お前は、お前は!」
祐司の見当違いの怒りは、すべて枕にぶつけられた。
ひとしきり枕を殴りつけ、怒りは収まったが、股間の怒張は収まっていない。
どうするか。このまま違う人で何度やっても同じような気がする。
「あ〜あ〜!だったら琴でヌいてやるっ!」
琴音で最初からやれば、途中で琴音に邪魔されることはないだろう。
なぜなら、邪魔をすべき琴音は自分の足元でペニスを咥えているのだ。それなら邪魔できるはずがない。
「へっへ…琴、待ってろよ…」
今日の全ての怒りをぶつけんと、邪悪な笑みが零れる。
琴音が相手のオナニーはこれが始めてだ。
祐司は目を瞑り、ペニスを握り、琴音の裸を想像した。
……
…………
反応すらしなかった。
「はぁ…何やっているんでしょうか、私は…」
同じ頃、琴音もベッドに雪崩れ込み、自己嫌悪に陥っていた。
「でも、悪いのはあっちですよね…学校であんなことを…」
保険医、桜花の姿を思い出し、むかむかとする。
自分とは違い、大人の肢体。
「祐司さんは女性の中身を見るんじゃなかったんですかっ!!それがなんで、あんな誰とでもやるような淫乱女となんですかっ!!」
バスッ、バスッと枕を祐司に見立てて殴りつける。
「あ〜、もうっ!!」
止めとばかりに両の拳を振り下ろし、そのまま脱力して枕に顔を埋めた。
再び保健室の光景が脳裏に浮かぶが、今度は桜花の姿がない状態の映像だった。
祐司の体…子供の頃は一緒にお風呂に入ったこともあったが、今になって見た祐司のペニスはすでに大人のものに成長していた。
それはそうだ。もう10年分の成長を、祐司はしているはずなのだから。心も体も成長する。
年齢的に、そういうことへの興味が強い時期。
「…そういうことしたいのであれば…私に言ってくれればいいのに…祐ちゃんとなら…」
ふと、子供の頃の呼び方が口をついた。
「私、そういう経験ないけど…」
体が火照る。
手を胸に這わせる。
貧乳、つるぺたと揶揄されるが、手を這わせれば僅かに膨らみが確認できる。
それに、そんな大きさでも感じることは出来るのだ。
「ふぅぅん…祐ちゃ…」
祐司を思い浮かべ、優しく、傷つけないように胸を愛撫する。
祐司は決して自分を傷つけることはしないから、愛撫は優しくしてくれる。
「はぁん…祐ちゃん…くぅ!」
優しく乳首を摘む。痛めないよう、感じる程度の軽い力でだ。
「もうちょっと強くしても…大丈夫だよ…」
想像の中の祐司に語りかける。祐司は「じゃあ」と乳首を甘く噛む。
「ふぅん!」
「かわいいよ、琴…」
祐司が耳元で甘くささやく。
「ゆ、祐ちゃん…」
二人はキスを交わす。唇を合わせるような子供じみたキスではない。舌と舌を絡ませ、お互いの唾液を交換する大人のキスだ。
「はぁん…」
キスの間も、自分を感じさせようと祐司の愛撫は止まらない。
「琴、そろそろ…」
「待って、祐ちゃん」
ヴァギナに手を伸ばそうとする祐司を制する。
いつもならこの辺りから祐司の愛撫が下半身に移るのだが、いつもとは違う趣向で進める。
「今日は、私から…」
恥ずかしいが、告げる。祐司の目を直に見れない。「えっ?」っと祐司の困惑の声が聞こえる。
「ゆ、祐ちゃんのが、舐めたい…」
フェラチオをする想像は今回が初めてだ。それだけ昼間の光景が衝撃的だったのだろう。
それに、桜花には負けたくなかった。
祐司をベッドに座らせ、ズボンを下ろす。大きく張り出したペニスが、自分の鼻先でヒクヒクと脈打っていた。
「琴、大丈夫?」
祐司の気遣う言葉が聞こえ、その優しさに琴音は小さく頷いた。
「祐ちゃんのだから、大丈夫…」
祐司の体の一部だ。それが一体どんな場所であっても、汚らわしいなんてことはない。
「は、初めてだから、上手く行かないかもしれないけど…」
おずおずと舌を出し、祐司のペニスに這わせる。
「うっ…」
祐司は目を瞑り、腰を引いた。
琴音が丹念にペニスを舐め上げると、祐司の息が荒くなってゆく。
感じてる?祐ちゃん、私の舌で?
じゅぷ…
「ぁぁっ!こ、琴!!」
ペニスを咥え、全体を口で包み込む。
一旦ペニスを根元まで飲み込み、ゆっくりカリ辺りまで引き抜く。そして再びゆっくりと根元まで飲み込む。
祐ちゃん気持ちいい?琴の口の中、気持ちいい?
上目遣いで祐司に訴える。
「こ、琴…」
苦しそうに答える祐司。
祐司のペニスがまた体積を増す。
また大きくなった…気持ちいいんだ、祐ちゃん。
そんな祐司に愛おしさを感じ、いくら抽挿が苦しくなっても、無理してまで根元まで飲み込む。
ペニスの先端が喉奥に当たり苦しいが、それも我慢する。
祐ちゃんだからするんだよ、こんなこと。他の人には絶対しないよ。
じゅっじゅっ…
「ぅぅっ…あぁ…」
祐司が快楽に腰を動かし始める。だが決して相手を傷つけるようなものではなく、あくまで琴音を気遣ったゆっくりした、優しい動きだった。
いいよ。大丈夫だよ。もっと動いてくれても。祐ちゃんにだったら、何されても大丈夫なんだから…
「ん、んぐっ…」
触発され、琴音もストロークを早くしてゆく。
じゅっじゅっじゅ…
「あぁ!そ、そんなにしたら琴!」
祐司が切羽詰った声を上げる。
いいよ。大丈夫だよ。全部飲んであげる。祐ちゃんのだもん。全部受け止めてあげるっ!
さらに速度を上げ、祐司を昇り詰めさせる。
「琴!もうっ!」
来てっ!
どびゅるぅ、どびゅぅ、どびゅっ…
「ん、んっぐ、ぐん…」
ごっくごっくごっく…
自分のフェラチオに感じてくれたのか、すごい量の精液。だが、零さないよう、出されるたびに喉の奥へ流し込んだ。
桜花になんか負けたくなかったから、全てを飲み干す。
「琴、大丈夫?」
「んぐっ…ぷぁぁ…」
最後の一滴まで飲み干し、ペニスを離す。ツツゥっと口とペニスの先に糸が引いた。
「祐ちゃんの、おいひぃ…」
祐司の全てを受け止めたい一身で、口内にまとわり着いた精液までも舐めとる。
もう、あんな女のとこ行っちゃ駄目だよ?私が全部受け止めてあげるから。私になら、いくら出してくれたっていいんだよ?祐ちゃんだったら、いつだって…
声には出さない。しかし意図を汲み取ってくれたのか、祐司は自分を抱きしめてくれた。
そして「愛してる」と言って口付けてくれた。
…
……
疲れてベッドに横になる琴音。胸を晒し、右手には愛液がまとわりつき、きらきらと光っていた。
「……私…最低…」
結局さらに自己嫌悪に陥る琴音だった。
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