(7)
何処とも知れないこの部屋にアリシエルが囚われて数日が過ぎていた。
もっとも哀れな美姫には既に時間感覚は無かったかもしれない。彼女の拘束はこの間1度も解かれず、訪れるものと言えばおぞましい触手生物だけだったからだ。窓のないこの部屋で時間間隔を計る手段は、触手生物がやってくる回数だけだった。触手生物は4時間のインターバルを置いて王女の元を訪れ、2時間にわたって全身を触手で嬲り抜いた。悶え続けて疲労し、気絶同然の僅かな仮眠の後にまた嬲られる。感覚的にはいつまでも休まず嬲られているのとそう変わらない。
「んぉおおおっ……んむぅうううっ……」
蠢く触手に全身に粘液を塗り延ばされながら、アリシエルは自分が発狂もせず、嬲り殺されてもいない事実を心底不思議に思った。それどころか体は繰り返す触手凌辱に順応し始めている。体中の性感帯をぬるぬると刺激され続けて、黒髪の美姫はぞくぞくと湧き上がる官能を必死で否定しようと苦悶していた。
やがて今回の凌辱が終わり、少女をすっぽり包み込んでいた触手生物が華奢な裸身から離れてぐちゅぐちゅと這い去る。
「――――ふぅうう〜〜…」
鎖にぶら下がるようにぐったり脱力する美少女。
凌辱の度に精神は痛めつけられていたが、肉体的にはむしろ快調と言えた。強制的に飲まされている粘液に高い栄養価があるのは間違いない。
実のところ、件の触手生物は魔物ではなく、人工的に生み出された魔造生物だった。分泌する粘液には慎重に調整された様々な効能があったが、囚われの王女にそうと知る由はない。
無駄とは知りつつ触手の玩弄に悶え抵抗し続けたため、アリシエルは疲れきっていた。またしばしの休息を得ようと瞳を閉じる。
――だが、彼女を襲う魔辱は今、次の段階へ進められようとしていた。
はっ、はっ、はっ――
る……るる……ぅるる……
「――?」
微かな異音を聞いて、少女は顔を上げて周りを見る。
「!?」
いつの間にか現れたいくつもの黒い影が、繋がれた高貴な少女を取り巻いていた。
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