12

 
 リナが目を覚ましたのは、昼近くになってからだった。
 すでに、狂おしいまでの快感が無くなり、股間にガウリイが残した感触を感じる。
「なんか、自分が女だって、思い知らされたような、気がする……」
 甘ったるい、舌足らずの声で、呟くリナ。
 その声の中に宿る、過剰なまでの色気に、リナはため息をつく。
「はあっ、これがガウリイが言ってた、『とろみ』か。この声で、ガウリイに媚びるようになるんだろうな、きっと」
 リナは自分が決定的に、何か別の生き物に変えられたことを悟った。
 リナの身体の奥底から、欲望が沸きだしてくる。
「ううん、だめ、なんか、欲しい……」
 ふと気がつくと、リナの右手だけが拘束を外されていた。
「ああん、いけない、いけないけど……」
 リナは自ら右手を股間に伸ばし、いじり始める。
「ああっ、きもちいい……」
 初めてのオナニーに酔いしれるリナ。
 いまのリナはセックスの喜びを貪るメスと化していた。
「あん、あん、あんっ……」
「気持ちよさそうだな、リナ」
「ああっ、がうりい……」
 ガウリイは、リナから死角となるところで、気配を消してリナを観察していた。
「気持ちいいの、気持ちいいけど、ガウリイにして貰った方が、もっと気持ちよくなれるの」
「フフフ、そうか?」
「そうなの、そうだから、リナの身体、使って、がうりい」
 ズンッ
「いいっ、いいの」
 ガウリイはペニスをゆっくりと抜き差しする。
「ううっ、り、リナ、一晩でだいぶ締め付けが旨くなったな」
「そうよ! だって、ガウリイのこと考えながら、何回も、何十回も、何百回もイッたんだから」
 巧みにガウリイのペニスを締め付けるリナ。
 やがて、お互いに溶けあう感覚に溺れる二人。
「ああっ!!」「おおっ!!」
 二人は、同時に絶頂に達した。


「よかったよ、リナ」
「わたしも」
 甘い吐息をつきながら、同意するリナ。
「もう一度……ねっ?」
 リナは甘えた声でおねだりする。
「そうだな。……いや」
 ガウリイはそういうと立ち上がった。
「あんっ、もうっ」
 リナは不満そうな表情で、可愛く拗ねる。
 ガウリイは道具置き場にいくと、ひとつの道具を取り出してきた。
 そして、それをリナの前に見せつける。
「……縄?」
 そう、それは、荒縄だった。
「どうして欲しい、リナ」
 欲望にたぎった目で問い掛けるガウリイ。
 リナは、ガウリイの意図を察した。
「あっ、そんなっ、ああんっ」
 躰をくねらせるリナ。
 そんなリナの恥じらいを楽しげにみるガウリイ。
「さあ」
「うっ、……縛って、ガウリイ、私を……」
「ククク、しょうがないな」
 そういうと、ガウリイはリナを巧みに縛り上げていく。
「ククク、これからリナにマゾの喜びをたっぷりと教えてやるよ」
 きっちりと縛り上げられたリナを満足そうに見るガウリイ。
「あっ、そ、そんな……」
「おや? エッチな汁が染み出してきたぞ。素質は十分のようだな」
 ガウリイはさっそくリナの身体を犯す。
「ああんっ、あん」
 何の抵抗の術も無いまま、ガウリイに蹂躙されるリナ。
「フフフ、悔しいか? 悔しいだろう、リナ?」
 腰を揺すりながら、ガウリイが問いかける。
「くっ、くやしい、くやしいよ。いやだ!」
 乱れまくるリナ。

「そうだ、もっとくやしがれ。気の強い女ほど、堕ちたとき、最高のマゾ奴隷になる」
 余裕の笑みを浮かべるガウリイ。
「いやだ、いやだ、いやだ……」
 泣きながら首を振るリナ。
 けれど、リナの腰は、確実に律動を繰り返していた。
「はああっ、ううっ、あんっ、いい、いいけど……だめっ……」
 甘く溶け崩れていくリナ。
「ククク、それそれ、もっと腰を振るんだ!」
 煽り立てるガウリイ。
 やがてリナは、縛られて初めての、絶頂を迎えた。
 それは、背徳的でおぞましく、そして、あまりに気持ちよかった。
 ……ああっ、わたしは、ガウリイという狩人に仕留められた、哀れなけもの。
 躾けられ、調教されて、ガウリイの家畜になるの……
 リナの心の奥底に、甘い痺れが宿った。


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