暫くして、リナ達は最上階の部屋まで到達した。
 大きな扉の前で、リナは立ち止まる。
 扉は凝った意匠を施されていた。
 幾人もの男女が激しく絡み合い、貪りあっている姿の彫刻。
 そして、扉には流麗な字体でこう書いてあった。
 『快楽の寝屋』
 その扉を見て、衝撃を受けるガウリイ。
 ガウリイにはその扉が何を意味しているのかわかっていた。
 部屋の中に何があるのかも。
 しかし、リナはそんなガウリイの様子に気が付いていない。
 顔を真っ赤にして、ゼロスを睨み付けている。
「いったい何なのよ、コレ?」
「なにって……扉ですけど?」
「わたしが言いたいのは、この飾りは何かということよ! こ、こんな……エロい……と、とにかく、説明しなさい!!」
 リナは真っ赤な表情のまま、ゼロスに説明を求めた。
「そうですね。まあ、中に入ってみれば分かるということで」
「……あんたねえ……」
 ゼロスにくってかかろうとするリナの肩に、ガウリイの手が置かれた。
「帰るぞ、リナ」
 ガウリイの声は震えていた。
「ど、どうしたのよ、ガウリイ?」
 リナは意表をつかれた。普段とは違う、ガウリイの余裕がない表情に。
「いいから!」
 リナの腕を引っ張るガウリイ。
「なにすんのよ、ガウリイ!」
 リナは思わず腕を振りほどく。
「ガウリイ、あんたおかしいわよ。どういうこと?」
 リナの問いかけに、ガウリイは重苦しい表情で沈黙した。
「……ガウリイ、なんか知ってるの?」
 リナの心配そうな口調にも、ガウリイは沈黙を保つ。
「ゼロス、どういうことか説明しなさい! じゃあないと一歩もここから動かないわよ」
 リナは視線をゼロスに向ける。
「フフフ、いいですね、その視線。追いつめられた小動物よろしく、恐怖が溢れていますよ」
「ゼロス!!」
「いいでしょう、説明しましょう。この部屋は、ある剣士の持ち物なんです。その剣士は凄腕なんですが、ただ一つ、困った性癖がありましてね。気の強い女の子を調教して、自分の言いなりにするのが趣味なんです」
「……なんですって?」
 リナの言葉がかすれる。
「つまり、この部屋に入れば、リナさんはその剣士に調教されることになっちゃいます」
 うれしそうなゼロス。
「ガウリイでは勝てない相手、というわけね」
 軋るような声でいうリナ。
「それは秘密です」
 ゼロスは静かに言った。
「……帰るしかないか」
 リナは小さくつぶやく。
「リナさん、忘れていませんか? この勝負に降りたら、ガウリイさんがどうなるか」
 涼しい表情でいうゼロス。
「あんた……」
「つまりこういうことです。ガウリイさんを取るか、自分の操をとるか」
「……ガウリイが勝てば、すべてはチャラなのよね」
「当然です。でも、負けたときにはリナさんは……」
「わかったわ!」
 吹っ切れた表情でいうリナ。
「ガウリイ、入るわよ」
「リナ……」
「やってみないと結果はわからないじゃあない? それに……最悪の場合でも、わたしがこの身体を差し出せば、なんとか済みそうだし……でも……まっ、とにかく……が、頑張ってね、ガウリイ!」
 引きつった表情でガウリイに微笑みかけるリナ。
「リナ……」
 耐えられない。
「ガウリイは全力を尽くせばいいから」
 リナが他の男に抱かれるなんて。
「ああ」
 リナはおれのものだ。
「なんて表情してるのよ。結果を恐れちゃあだめ! ガウリイのためなら、わたしの純血なんて、なんでもないから」
 必死になって励ますリナ。
 そのリナの身体を舐めるように見つめるガウリイ。
 ……喰いたい。
「な、そんなに見つめることないじゃない」
 恥ずかしがって、顔を赤らめるリナ。
「だ、だいじょうぶよ、ガウリイ。あんたがしっかりやればいいんだからね!」
 そう、しっかりやらないと。
 カゴの中に閉じこめ、餌付けをし、調教して、おれの手の中で美しく歌うようになるように。
「中に入ろう、リナ」
「うん!」
 リナは明るく微笑んだ。
 何物にも代え難いその笑顔。
 はじめのうちは、微笑んでくれないだろう。だがそのうちに、おれの肉棒をくわえながら微笑むように、変えてやるよ、リナ。
 ガウリイの邪な感情に全く気がつくことなく、リナは部屋の扉を開けた。
 リナの目の前に現れたのは、十人くらいが眠れそうな大きなベッドと、拘束具や拷問具、あるいは、女の子の調教に必要な道具のほとんど、さらに薬品棚まであり、得体のしれない薬品が所狭しと並べられていた。
 おもわず顔を引きつらせるリナ。
 それでも、そのまま部屋の中央まで進み出た。
「が、ガウリイ……お願いだから、勝ってね」
 リナの唇から、思わず言葉がこぼれる。
 しかし、ガウリイの返事はない。
「ガウリイ?」
「……懐かしいな」
「えっ?」
 ガウリイの言葉に不審げな表情になるリナ。
「おれの、剣の師匠の部屋なんだ、ここは」
 苦笑するガウリイ。
「……し、師匠!?」
「そうだ。……何を驚いたような表情をしているんだ、リナ。リナだって自分一人の力で魔術師になったわけじゃあないだろう?」
「そ、それはそうだけど。でも……悪趣味ね。ガウリイの師匠のイメージって、なんとなく、どこかの世界の仙人みたいな感じだけれど」
 リナの言葉に苦笑するガウリイ。
「仙人の中に、剣の達人がいるとは思えないが」
「それもそうね。……って」
 いつもと違い、明確な回答をするガウリイに、違和感を感じるリナ。
「どうしたんだ?」
「ううん、なんでも」
 軽く首を振るリナ。
「でもなんなのよ、この部屋。ガウリイの師匠って、そうとう派手に女遊びしていたみたいね。女として許せないわ!」
「一人だ」
「なにがよ!」
「一人の女のためだけに、師匠はこれだけの設備を整えた」
「……あっ、そう」
 何と言っていいのかわからずに、リナは思わず口ごもった。
「師匠は本当に、自分の奥さんを愛していた。ちょっと普通じゃあない愛し方だったけれども。師匠の奥さんも、完全に師匠にメロメロだったな。なんでも、昔はそうとう生意気で、気が強くて、悪さをしていた魔導師だったそうだけど、おれが会ったときには、すっかり師匠のセックス奴隷になっていたな」
 明るい表情で、明るい口調で、リナに向かってしゃべるガウリイ。
 リナの背筋に冷汗がつたった。
「なにを怯えているんだ、リナ?」
 明るい口調で、欲望に燃える瞳で、リナを射抜くガウリイ。
「お、怯えてなんかいないわ!」
「そうか?」
「で、ガウリイの相手って、その師匠って訳ね。どうなの、勝てるの、ガウリイ!」
「今なら十回やれば、十回とも勝てるだろうな」
「あっ、そうなの」
 思わず安堵のため息をつくリナ。
「何をホッとしているんだ、リナ」
「えっ!? だ、だって」
「今のこの部屋の持ち主は、おれの師匠じゃあない」
 ガウリイは、リナをベッドの端に追いつめていく。
「ゼロスの奴はこういったろう。この部屋の持ち主にリナが調教されてしまうって」
「え、ええ」
 リナの顔に、恐怖と戸惑いが浮かぶ。
 ガウリイの迫力ある視線に縛られて、リナは完全にベッドの端に追いつめられてしまった。
「誰が持ち主なのか、聞かないのか、リナ」
 ガウリイの問いかけに、引きつった笑いを浮かべるリナ。
「な、なんか、聞いたら良くないような気がしてきたわ」
 リナの怯えた表情に満足を浮かべるガウリイ。
 幼い頃のリナならば、自分を蹴倒して逃げていただろう。
 しかし今のリナは、なまじ女として成熟してしまったために、男の欲望に対して敏感になっている。
「食べ頃だな」
 ガウリイはわざと、いやらしい笑いを浮かべた。
 リナは降ってわいたような貞操の危機に、完全に硬直している。
「師匠が新築の屋敷を建てたときに、この部屋のある屋敷はいらなくなった」
「やめて……」
「師匠には子供もいなかったし、親戚も近くにいなかった」
「やめて、ガウリイ!!」
「だから、おれが譲り受けたんだ!!」
 リナに飛びかかるガウリイ。そのままリナをベッドの中に引きずり込む。
「だめよ、ガウリイ! やめて!! このままじゃあ、ゼロスに負けることになるのよ!」
 さかんに暴れるリナ。
「違うな、リナ。お前が負けるのは、このおれだ!」
 手際よくリナの服を脱がしていくガウリイ。
 ベッドの端に、花びらのように舞い散る、リナの服。
 あっというまに、リナは生まれた時の姿にされてしまった。
「な、なんで!?」
 あまりにも、あっさりと服を脱がされたことに衝撃を受けるリナ。
 さらに、全裸の躰を男であるガウリイに見られていることで、ショックで硬直してしまう。
 そんなリナを、ベッドに押し倒すガウリイ。
 ガウリイは内心ほくそえんでいた。
 リナが唯一自分から逃げだせるチャンスを、自ら捨て去ったことに。
「……いやっ!」
 ベッドの上で、ガウリイの下で、ようやくリナは我に返った。
 しかし、……すでに遅すぎた。
 必死に暴れるリナ。
 しかしその抵抗は、ガウリイにとっては心地よい刺激でしかなかった。
 なぜなら、ガウリイはリナを完璧に近い状態で組み伏せていたからだ。
 そのため、リナがいくら暴れても、ガウリイの胸から逃れられなくなっていた……
 ガウリイは、リナを完全に仕留めた喜びに浸っていた。
 あとはリナの抵抗力を徐々に削いでいき、無力になったところで一発きめればいい。
 これからの予定にガウリイの心は沸き立った。それと同時にリナに対して憐憫が沸き起こる。
 リナはいまだにじたばたと抵抗し、体力を消耗している。ガウリイの望み通りに。
 この状況下では最悪の行動だった。
 この手のことに慣れた女だったら、とりあえず男に為すがままになる振りをして、油断させたあとで、相手の急所に一撃して逃げ出しているに違いない。
 おそらく、リナも冷静であったらそうしていただろう。しかし、今のリナは完全に錯乱していた。
「はなせ! 放しなさい! ひきょうもの!! 女の子を力ずくでなんて、最低よ! このっ……」
 リナは叫び、もがく。
 ガウリイはわざと返事をしなかった。
 会話をすることにより、リナが理性を取り戻すのを恐れて。
 それからかなりの時間が経過した。
 ようやくリナの表情に理性が戻る。
 ……リナの顔色は青い。
 自分の体力が、取り返しのつかないほど消耗しきっていることに気がついて。
「やれやれ、やっとおとなしくなったか」
「ガウリイ……」
 ガウリイは勝利者の表情でリナを見下ろす。
 その圧倒的な自信に、リナは打ちのめされた。
「リナ、ひとつ相談があるんだが」
「な、なによ」
「じぶんから、身体を開いてくれないか?」
「そ、そんなこと、できるわけないでしょう!」
 リナの頬に赤みがさす。羞恥と怒りに。
「初めては痛いぞぉ。特におれの逸物は大きいからな。半端じゃなく痛いはずだ」
「…………」
 ガウリイの言葉に、さらに青ざめるリナ。
「なに、簡単なことじゃあないか。全身から力を抜いて、おれの為すがままになればいい」
「……いやよ」
 リナはきっぱりと拒否した。
「ふふ、そういうと思ったよ」
「えっ」
 リナは混乱した表情を浮かべる。
「強情なリナを引き裂き、自分のものとする。ふふ、たまらないな」
 嗜虐者の表情を浮かべ、リナを見るガウリイ。
 その歪んだ表情に、リナは恐怖を覚えた。
「……狂ってる」
「うん?」
「狂ってるわよ、ガウリイ!」
 リナは叫んだ。
「……いったい、誰が狂わしたんだか」
 ガウリイはリナの瞳をのぞき込む。
「リナが悪いんだぞ。こんなに魅力的な女になるから。男ってのはな、気の強い、魅力的な女性を言いなりにしたいもんなんだ」
「そ、そんな……」
「せいぜい抵抗してくれ、リナ。あっさり墜ちてしまったら許さないからな。リナには時間をかけて、おれの愛情をその躰に刻み込んでいく予定なんだからな」
「勝手なことを!」
「まあ、それはさておき、記念すべき一回目だ。しっかりと意識を保つんだぞ」
 ガウリイは、自分の唾液をリナの股間に塗り込めた。
「いやよ……」
 リナの言葉を無視し、凶器とも思えるその肉棒を、リナの股間にあてがうガウリイ。
「いくぞ!」
 メリメリメリ……
「ひっ、痛い、いたいようぅ!」
 リナの悲鳴が部屋中に響く。

「おいおい、まだ先っぽがはいったくらいだぞ? まったくしょうがないな」
 せまいリナのあそこを自分の肉棒でこじ開けるガウリイ。
 ガウリイ自身にも強烈な苦痛があるはずなのに、平然と微笑んでみせる。
「い、た、い、ほ、本当に痛いのよ!」
 リナはガウリイに訴えかける。
「わかったよ、リナ。やさしくしてやってもいい」
「ほ、ほんと?」
「ああ、リナがおれの奴隷になるって誓えばな」
「…………」
「ふっ」
 ズンッ、メキメキ……
「いやあーっ!」
 あまりの苦痛に涙を流すリナ。
「ほら言えよ、リナ。ガウリイ様の奴隷になりますって」
「い、や、よ」
「このまま処女膜を失っていいのか?」
「だれが、あんたなんかに!」
 ズンッ、ズンッ
「ひいっ、うえっ、あおっ」
 リナは白目をむいて、気を失いかける。
 そんなリナの頬を、手のひらではたくガウリイ。
「おいおい、リナ、気絶するなよ。まだ処女を失ってないぞ」
 ガウリイは、薄ら笑いを浮かべながら、リナに言った。
「いやっ……もう……やめて、……お願い……ガウリイぃ……」
 弱々しいリナの口調に、背筋に快感が走るガウリイ。
 世界一、気が強くて、強情で、美しい少女に、あと少しで、自分の物である刻印を刻むことが出来る……
「リナ、いくそ!」
 ズンッ、ズンッ、ズンッ、ズズズッ……
 ガウリイの猛り狂った凶器が、リナの処女膜に襲いかかる。
 ガウリイの攻撃に二度は耐えたリナの処女膜も、三度目にはついに破られ、ガウリイの肉棒の餌食となった……
「ひぃ、あっ、ひいっ!!」
 リナはその瞬間気絶した。
 ガウリイはようやく苦痛のうめきを漏らす。
 まったく濡れていないあそこに、強引にねじ込んだのだ。ガウリイも相当の苦痛を感じていた。
 ゆっくりとガウリイは、リナの体内からペニスを引き抜く。
 そこには、リナの処女を奪った証拠である、鮮血が付着していた。
「ふうっ」
 一息つくとガウリイは、傍らに散乱しているリナの衣類の中から、パンティを取り出した。
 ピンク色のフリル付きの可愛らしいパンティ。
 ガウリイは無造作に、それで自分のペニスに付いている血を拭い落とした。
 さらに、リナの股間から流れ落ちている鮮血を、丁寧に拭っていった。
「おめでとうございます、ガウリイさん」
 いつしか、傍らにゼロスが立っている。
「失せろ! ……お前の望み通り、リナは『無力化』した。文句は無いだろう!!」
 すうっとゼロスの目が細くなる。
「おやおや、まるでリナさんを犯した原因をわたしのせいだといいたいようですね」
 ゼロスは人差し指を軽く振った。
「だめですよ、人のせいにしちゃあ」
「貴様!!」
「だって本当のことでしょう、ね?」
 ゼロスの言葉に、今度は沈黙するガウリイ。
「リナさんを犯すときのあなたの表情、素敵でしたね。そう、まるで僕ら魔族のようでしたよ」
「いいから失せろ!!」
「そうですね。目的はほぼ達しましたし、リナさんの断末魔の感情という、極上品も頂きましたし。そろそろおいとましましようか。あっ、そうそう」
 ゼロスは錫杖を軽く振った。
 すると、リナの股間から流れ落ちていた血の流れが止まる。
「リナさんを回復させておきますね。すぐにでも、リナさんを『使う』ことができるように」
「……礼はいわないぞ」
「フフフ、どちらでも。いずれにしても、頑張ってくださいね、ガウリイさん」
「ああ、お前が書いた筋書きというのが気に入らないがな」
「フフフ、では……」
 ゼロスの体はその場で空間にとけこむように、消えていく。
 ガウリイは手にした血塗れのリナのパンティを、透明な瓶の中に封入する。
 その後で、棚の中に置いた。
「とりあえず、初物は頂いたわけだよな」
 ガウリイの口元から、笑みがこぼれる。
 気を失ったリナを、満足そうな表情で見るガウリイ。
「さて、次の段階に移るとするか」
 ガウリイはそう言うと、壁に掛けられた拘束具を取り外す。
 黒いなめし皮と、金属製の鎖で作られたそれは、周囲に禍々しい雰囲気を醸し出していた。
「まずは、両腕っと」
 ガウリイはリナの両腕を背後に回し、しっかりと拘束する。
「次に、両足だな」
 リナの足は折り曲げられ、そのまま皮ベルトで固定されてしまう。
「仕上げは首輪だな」
 黒い皮の首輪を首にかけられ、ベッドの端から伸びている金属製の鎖で止められてしまうリナ。
 次にガウリイは、棚から透明な液体の入った瓶を取り出した。
 手のひらに液体を垂らした後、じっくりと両手に擦り込んでいく。
 さらに、股間にそそりたつ逞しいペニスにもたっぷりと注いだ。
 それが終わると、リナに近づくガウリイ。
 気を失っているリナの股間に手を伸ばし、ゆっくりとまさぐっていく。
 処女を失ったとはいえ、リナの割れ目は堅く閉じられている。
 割れ目に指を添わせ、ゆっくりと撫で上げるガウリイ。
「ううんっ……」
 リナの口から呻き声が漏れる。
 リナの意識はまだ朦朧としているようだ。
 ガウリイはゆっくりと、リナの股間をまさぐる。
「うっ、くっ……な、なに?」
 リナの意識が次第にはっきりとする。
 それとともに、自分の置かれている状況に気がつくリナ。
「な、なんなのよ、これは!!」
 リナの叫び声が辺りに響く。
「やっとお目覚めかな、姫君は」
 ガウリイは揶揄するように、リナに話しかける。
 リナの股間をまさぐる手は止めずに。
 股間から訪れる甘い痺れに戦慄するリナ。
 それは確かに、“快感”だった。
「うっ、くっ……」
 思わず歯を食いしばる。
「おやおや、まさか、もう気持ちいいなんていうんじゃあないだろうな?」
 ガウリイは欲望にたぎった瞳でリナを見る。
「そ、そんなこと、あ、あるわけないじゃない!!」
 顔を真っ赤にして否定するリナ。
「そうだよな。身体中を拘束されて、股間をまさぐられて気持ちよくなるなんて、そんな変態じゃあないもんな、リナは」
「あっ、あたりまえでしょう……」
 必死に否定するリナを眺めるガウリイ。
 ふっ、よく言うよ、気持ちいいくせに。でもこれなら予想より早く堕とせるかな?
 そう心の中でつぶやくと、満足げな笑みを浮かべるガウリイ。
「な、なによ」
「いや、リナを墜とすのに、時間が掛かりそうだなと思ったんだ」
「わ、わたしがあなたのものになるなんて、そんなことは絶対にないわ! だからこの拘束を外して!!」
「なにをいまさら」
 哄笑するガウリイ。
「すでに一度、リナの身体はおれのものになったんだ。あとは一回が二回、二回が三回になっていくだけ」
「そ、そんな……」
 絶句するリナ。
 今の状況では、ガウリイの言葉どおりになってしまうことに気がついたのだ。
「まあ、そのうちリナの身体と心は、完全におれのものになる。フフフ、その日が待ち遠しいよ、リナ」
 ガウリイの言葉に、必死に首を振るリナ。
「じゃあ、次はリナのおっぱいを楽しむかな」
 ガウリイは、リナの股間をまさぐっている右手をそのままに、リナの胸へ左手をあてがった。
 ひやりとした感覚を感じるリナ。
 まさかそれが、透明な液体のせいだとは気がつかない。
 ガウリイが用意した透明の液体は、純度の高い強力な媚薬だった。
 触れただけでも皮膚に浸透し、女性に性的な興奮を催させる。
 内服させれば、どんなに貞淑な女性でも、性奴隷に墜ちてしまうという代物だった。
 また、これを塗り込めてセックスをすれば、もはや、他の男とのセックスでは満足できなくなるという、いわくつきの禁制品……
 それでなくても、ガウリイの逸物は女を狂わすのに、十分な力をもっている。
 リナは、自分自身が知らないうちに、断崖絶壁の崖っぷちに立たされていた。
 ガウリイは執拗にリナの胸をもみ砕く。
 その度に、リナの胸は次第にしこっていく。
 赤く染まり、ピンと立つ、リナの乳首。
 それをさらに指先で、こねくり回すガウリイ。
 リナの右の乳房は、完全にガウリイのテクニックの前に屈した……
「あっ、……あんっ」
 リナのかわいらしい唇は半開きとなり、そこからリナの唾液がつたい落ちる。
 下の口からは蜜があふれ、あれほど堅かった割れ目がゆるゆると開き始めていた……
「ふふふっ、そうか、リナはこっちより胸が弱いのか。じゃあ……」
 ガウリイは股間から右手を引き抜き、両手でリナの胸をもみ始める。
「あんっ、だめぇ、そんなことしないで、ガウリイ!」
「感じるのか、リナ? 素直に気持ちいいっていったらどうだ?」
「そ、そんなことないもん……き、気持ち悪いだけだもん……」
「おまえの身体は正直なのにな」
 ガウリイはリナの股間に目をやった。
 そこは、いまではパックリと開き、ガウリイの長大な肉棒を誘い込もうとしている。
 リナの視線も自分の股間に移動し、瞬間、リナは真っ赤になった。
「いやっ、そんなのいやっ!」
「なにがいやなんだ? 感じて、下のお口がぱっくりと開くような、かわいらしい身体がいやだっていうのか?」
「…………」
 ガウリイの羞恥責めに、リナはもはや言葉もでない。
「ほんとに可愛いよな、リナは。だからこそ、すべてをおれのものにしたくなる」
 ガウリイは再び、その肉棒を、パックリ開いたリナの股間につきつけた。
 その瞬間、リナの顔は青くなり、身体が緊張で小刻みにふるえ始める。
 あまりに強引な処女喪失は、リナの躰に恐怖心を植え付けていた。
「なにを緊張しているんだ、リナ」
「な、なにって……」
「もうおまえは処女を失ったんだ。苦痛はもうお終い。あとは気持ちよくなるだけさ。お前はもう少女じゃあない。生殖行為に快感を感じる、雌になったんだ」
「め、雌に?」
「そうだ。知らなかったのか? まあ、リナらしいといえるが」
 苦笑しながら、でたらめな解説をするガウリイ。
 本来、処女を失ってすぐに、セックスに快感を覚えるようになるわけはない。
 時間をかけて慣らしていくうちに、快感を覚えるようになっていく。
 しかし、ガウリイにはリナを感じさせる自信があった。
 特製の媚薬が、リナの身体を狂わせることに確信を抱いてたのだ。
「さあ、力を抜けよ、リナ」
「うん、……て、いくわけないでしょうが!」
「なんでだ?」
 ガウリイは真剣な瞳でリナを見る。
「えっ!?」
「おれはお前のことが好きだ。愛しているといってもいい。それも、すべてを貪り尽くしたいほどに」
「うっ」
 リナの瞳の中にとまどいがあらわれる。
「リナは、おれのことが嫌いなのか?」
「こ、こんな、恥知らずなことをしていて、よくもそんな!!」
「リナがさせたんだ」
「な、なにを……」
「おまえ、おれが勝負に負ければ、その身体、知らない奴に投げ与えるつもりだったろう?」
「…………そ、んな、こと、し、しないわ」
 今度は、リナの瞳に動揺が走る。
「嘘だ! おまえはおれのためなら、命さえ差し出してくれるだろう。嬉しかったよ、リナ」
 やさしくほほえむガウリイ。
「ずるい、ずるいよ。そんな笑い方するなんて……」
 リナの目から涙がこぼれ落ちる。
「すまない、リナ。だけど、お前が他の奴に抱かれてもいいという決意をしたとき、おれが思ったことを教えてやろうか? リナの身体はおれのものだ。他の誰にも渡すわけにはいかないって、そう思ったんだ」
「が、がうりい……」
「そう思ったら歯止めがきかなくなった。お前の純血が他の奴に奪われると思っただけで、おれは耐えきれなくなった。他の奴のものになり、他の奴に抱かれることを想像するだけで耐えることの出来ない自分に気がついた。だからこそ、お前を強引に抱いた」
「…………」
「抱くだけじゃあなく、お前のすべてをおれのものにしようと思った。おれの手で、淫らな悦びをたっぷり教え込み、おれなしでは生きていけない女にしようと思った。あらゆる手段を用いて、おまえをおれの為すがままになるように、調教しようと思った。リナを自分のものにするために」
「勝手なのよ……」
 リナの口調から、力が失われていた。
「リナ、おれのことが嫌いか?」
「……好きよ、み、認めたくないけどね……」
「なら」
「でも! このまま、あなたのものになるのは、プライドが許さないわ!!」
「なら、そのプライドを打ち砕くだけだ」
「なっ!?」
「ふふっ、まずはこのおれの自慢の逸物で、すこしずつ砕いてやるよ。さて、始めるかな」
 ズンッ!
 ガウリイのペニスが、リナの中に進入する。
「ひっ!?」
 びくっ、と、リナの身体が飛び跳ねる。
 ガウリイは一気に貫こうとする欲望を抑えて、入り口付近で、じわじわと前後に抜き差しを始めた。
「ひいっ!?」
 鋭い痛み。やがてそれは媚薬の効果で、いつしか快感へと昇華してゆく。
 一寸刻みで進入していくガウリイの肉棒。
 じっくりと感じさせて、たっぷりと溶け崩れるほどに、責め立てる。
 少しずつ、ガウリイの肉棒に馴染み、屈服していくリナのあそこ。
 ガウリイはそれを確認しながら、一寸刻みで深く、深く、進入していく。
「ひっ!? いやっ、そんなの! だめっ、アアッ……」
 リナは自分の躰に、刻印が刻まれていくのを感じていた。
 ガウリイの肉棒によってもたらされる、甘い陶酔と、壮絶な快楽に酔いしれるリナ。
 強力な媚薬はその効果を遺憾なく発揮し、まだ二回目であるにも関わらず、リナに男の味をたっぷりと味あわせていた。
 そしてついに、ガウリイの肉棒は、リナの躰にすべて埋没してしまった。
 ガウリイは自分の逸物の先で、リナの子宮の内壁をゴリゴリと擦りあげる。
「ひいっ!? あっ……ああっ?!」
 ガクッ、
 リナの頭が垂れ下がった。
 ただ単に気絶したのではない。
 あまりの快感に、“イって”しまったのだ。
「ふっ、ふうっ、けっこう手こずったな。でもこれでリナは……くくっ」
 喉の奥で笑うガウリイ。
 ガウリイはいったんリナから離れると、媚薬を口に含み、リナのところに戻ってくる。
 そして、だらしなく開いたリナの唇に、自分の唇をあわせた。
 そのまま口移しに、媚薬を流し込むガウリイ。
 ……ごくん
 リナの喉が鳴った。
 その音は、ガウリイにとって、勝利の響きだった。

「あっ、……ううん……な、なにを飲ませたの、ガウリイ」
「だだの水さ」
 ガウリイは軽い口調で言う。
「それにしても、リナがこんなに淫乱だとは思わなかったな」
「……えっ……」
「やっぱり、リナを力ずくで犯してよかったよ。リナの身体は、初めての男に屈服してしまう、とんでもなく淫乱な躰だからな」
「なっ、そんなこと……」
「フフフ、さて、三回目はどうかな? だいぶこなれてきたし、そろそろリナも自分から腰を使い始めてもいい頃だ」
 ズンッ、ズズズズッ……
「あふうっ、ああっ、あんっ」
「フフフ、いい声だ、リナ」
 ガウリイは、深く抜き差しを始めていく。
 それとともに、リナの腰も、いやらしく動き始めた……
「あふっ、な、なんでっ、わたしのからだ、だめっ、いうことをきかない!」
 リナの必死の声が響きわたる。
 ……さすがだよ、リナ。ふつうの女の子なら、今頃理性の欠片すらなくなっているはずだ。
内心感嘆するガウリイ。しかし……
「リナ、それはお前が淫乱な女の子だからさ。はっきりと認めるんだ。そうしたら、楽になれるぞ」
 さらにリナを追いつめていくガウリイ。
 内服させられた媚薬の効果で、リナの躰は淫らに染まる。
「あっ、はあっ、いやっ」
 リナはガウリイのペニスの動きにあわせて、腰を突きだし始めた。
 ……墜ちたな、ふふふ
 勝利を確信するガウリイ。
「いいっ、あああーっ!!」
 ひときわ大きな声を上げると、リナの意識は果てしない快楽の園へと飛んでいった。


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