その18



 ミレルの調教に使われていた地下室。
 いまそこには母親であるアリシアが繋がれていた。
 かがされた睡眠薬の薬効で、いまだ目を覚まさないアリシア。
 その豊満な躰は、すでに調教台の上に拘束されている。
 その周囲には、アリシアを堕とす為に用意された道具がところ狭しと並べられ、
 さらにそれを取り囲むように、アリシアから、すべてのプライドを剥ぎ取る為の仕掛けが置かれていた。
「こうしてみると、かあさまも意外に可愛いですわね。うふふっ」
 その瞳に妖しい情熱を宿し、含み笑いをするミレル。
 そんなミレルの言葉に、苦笑を浮かべるカイル。
「寝ていればね。目を覚ました後は大変だろうけど」
「まあ、そうでしょうね」
 カイルの言葉に軽くうなずくミレル。
「それにしても、よくここへ連れてこれたものよ」
 ガリウスは思わず感心した。
「どういう方法で連れてきたかは知らぬが……」
「そう言われれば確かに。アリシアは警戒心が強かったはずだけど」
「それは、ひ・み・つ」
 おどけた口調でこたえるミレル。
「そんなこと気にしてないで、まずは楽しみましょ!」
 ミレルは楽しげに微笑んだ。
 その傍らで、顔を青ざめさせているローザ。
 ローザは三人の黒人から、事の顛末を聞かされていたのだ。
 ……この子は、もう、わたしの手に負えない……
 ミレルに一抹の恐怖を感じるローザ。
「ねえローザ、あなたもそうした方がいいと思うでしょ?」
「は、はい、ミレルさま……」
 ローザに流し目をしながら語るミレルの言葉に、あわてて答えるローザ。
 その額には、うっすらと汗が浮かんでいた。
「ミレル……さま?」
 ローザの口調にいぶかしげな表情をするカイル。
「あっ、ほら、わたしがにいさまの女になったから、気をつかってくれてるのよね、ローザ?」
「はい、その通りですわ」
 ミレルの言葉に頷くローザ。
「そうか?」
 なんとなく違和感を感じるカイル。
 カイルは思わずミレルを見つめた。
「あんっ、恥ずかしい……」
 そんなカイルの疑問の表情に、従順な肉奴隷の表情で恥ずかしがるミレル。
 ……気のせいかな? 一瞬、ミレルがローザを従えているように感じたんだけども。
 軽く首を振るカイル。
 そんなことはあるはずがないか……
 思わず苦笑するカイル。
 ミレルがローザの激しい調教に屈服してしまったのを、カイルはミレルの躰を貪ることでしっかりと感じ取っていた。
 実際、カイルの目の前に映るミレルは、淫らな肉奴隷姫そのもの。
「……気のせいだな」
「なんですの、にいさま?」
「いや、なんでもない」
 可愛らしく首をかしげて問いかけるミレルに、カイルは思わず苦笑した。
「さて、アリシアに起きてもらうとするか」
 カイルの言葉にローザは頷くと、アリシアの口元に気付け薬の瓶を持ってくる。
 蓋を開けてしばらくすると、アリシアの目蓋がうっすらと開いてきた。
「あなたは……だれ? 見覚えが……」
 虚ろな表情でローザを見つめるアリシア。
 その瞳の焦点が合わないうちに、ローザはガリウスと入れ替わった。
「ククク、起きたか、アリシアよ」
「あっ……あなたっ!」
 驚きの声を上げるアリシア。
 アリシアの意識は急速に覚醒した。
「なぜあなたがここにっ? ミレル、ミレルの手でわたしはっ!」
 思わず叫ぶアリシア。
 その様子に、クスリと笑うミレル。
「かあさま、ミレルはここにおりますわ」
 アリシアに対して極上の笑みを浮かべるミレル。
 しかしその瞳には、暗い激情がたゆたっていた。
「ミレルっ!!」
 驚愕の叫びを上げるアリシア。
「お前、母親であるこのわたしに、なんということをっ!」
「それをいうなら、とうさまにたいして、かあさまは何をしようとしていたのかしら?」
 いたずらっ子ぽく問いかけるミレル。
「とうさまに対してあんな重大な裏切りをしておいて、それでいてミレルを責めるなんて、納得できません」
 落ち着いた声で淡々と語るミレル。
 しかしその言葉に、アリシアの顔は激しく引きつった。
「あなたっ! ミレルから何を聞いたのかは知りませんけど……」
「ククク……」
 アリシアの言葉に、苦笑を漏らすガリウス。
「あ、あなた……」
「アリシアよ。ミレルはワシの命を受け、お前を捕まえたのだ」
 ガリウスの言葉に、アリシアに向けて可愛らしくお辞儀をするミレル。
「まさかこのワシが、お前の反逆心に気づかぬとでも思っておったのか?」
 アリシアの顔に、愕然とした表情が浮かぶ。
「それにしても失敗したのう、アリシアよ。ミレルを使って時間稼ぎとはなかなかいい考えだったが、いかんせん、カイルの元に預けすぎだわい。おかげさまでミレルはほれ、今ではこのようにカイルの従順な肉奴隷よ」
「ま、まさか?!」
 ガリウスの言葉に、絶望の表情が広がるアリシア。
「偽りではないぞ? 本当に、カイルの命令には何でも従う、下僕へと成り果ておったわ。わっはっはっ」
「いやん、とおさま、もうっ!」
 ガリウスの言葉に、恥じらうミレル。
「そんなっ!」
「信じられないかい?」
 邪悪な笑いを浮かべるカイル。
「じゃあ、証拠を見せてあげようか、アリシア義母さん」
 楽しそうな笑みを浮かべると、ミレルに振り向くカイル。
「服を脱げ、ミレル」
「はい、……にいさま」
 従順にうなずくと、服を脱ぎ始めるミレル。
 そのあまりに手慣れた自然な動作に、アリシアの驚愕は深まった。
 言葉を失ったアリシアの前で、全裸になるミレル。
 ミレルのドレスや下着が、まるで花びらのように床に散っている。
「あんっ、ちょっとさぶい」
 かすかに躰を振るわせるミレルを、背後から抱きしめるカイル。
「あっ……」
「ふふっ」
 右手をミレルの股間に伸ばすカイル。
 カイルはミレルのワレメを、アリシアに見せつけるように指で広げて見せた。
 その動作はあまりに自然で、カイルの行為を幾度となく受け入れてしまっていることを物語っている。

 おもわず吸い寄せられるように、ミレルの股間を見つめてしまうアリシア。
 アリシアは、さらなる驚きに打たれた。
「みっ、ミレルっ、あなたっ……」
 再び絶句するアリシア。
 カイルは左手でチャックを下ろすと、みずからそのイチモツを取り出した。
 そして、背後からミレルのワレメへと肉棒をうずめていく。
「あうっ、はうんっ、長くて、太いのぉ……あうっ、やかれる、躰の内側から、灼かれちゃうよぉ……」
 アリシアの眼前で繋がる二人。
 カイルの欲望をたぎらせた肉棒を、おいしそうに銜えるミレルのワレメ。
 それは確かに、女性しか持ち得ない器官であった。
「うふふ、驚いた、かあさま? ミレルはお兄さまが望む姿になったんだよ!」
 豊かになった胸を誇示しつつ、腰をゆっくりと淫らに振るミレル。
 それと同時にカイルの肉棒が、ミレルの愛液で濡れ、テカテカに光り始める。
「はうっ、……うふふ。ローザのおかげでミレル、本当の女の子になったんだよっ!」
 さらに、見せつけるように腰を振るミレル。
「もちろん、子供も産めるようにしてもらったんだから!」
「ミレル……」
 絶句するアリシア。
 その表情は青ざめ、その瞳は虚ろになっている。
 まさかの現実に、アリシアの精神は大きなダメージを受けたのだ。
「あっ、はうっ、……にいさま、ミレルで、いっぱい感じて、くださいねっ! はうっ……」
「前で犯されるのも、すっかり病みつきになったようだな。ククク」
「あん、にいさまの意地悪……」
 そう言いつつも、腰の動きを止めないミレル。
 さらに突き上げを激しくするカイル。
 やがて二人は頂点を極めた!
 そして、そのままの姿でしっかりとミレルを抱きしめるカイル。
 ミレルのワレメからカイルの白濁液が、ミレルの愛液と混じって滴り落ちる。
 完全に肉奴隷に堕ちたミレルの感触を楽しみつつ、アリシアの方に顔を向けるカイル。
「わかったかい、アリシア義母さん。もうミレルを使って王国の復興なんてできないことが、ククク」
 楽しげに笑うカイル。
「ミレルは完全に僕の躰に溺れてくれたよ。もう、僕のいうことは何でも聞いてくれるんだ。本当だよ。本当に、どんな命令でも従うんだ。ククク……」
「ごめんなさい、かあさま。ミレルはもう、にいさまの欲望処理の道具なの。お兄さまの逞しいモノがないと生きていけないの。ごめんね……」
 圧倒的な優越感に浸りながら、語るカイル。
 言葉では謝りながら、馬鹿にしたような口調でせせら笑うミレル。
 アリシアは完全に打ちのめされていた。
「さて、とおさま。とおさまに逆らった愚かなかあさまに、まずはどんなお仕置きをしましょうか?」
 わくわくした表情でそう言った後、舌なめずりをするミレル。
「わたしが思うに、まずは浣腸あたりがいいのではと。かあさま、プライドが高いですから、一番効く責めだと思いますけど?」
「だが、そうなると自殺を図るのではないのか?」
 心配そうに問い掛けるガリウス。
「大丈夫ですわ。だって……」
 邪悪な笑みを浮かべるミレル。
「わたしがにいさまの下僕になった以上、いまや旧リーフシュタイン王家の残党をまとめられるのはかあさまだけ。かあさまが死ねば、自動的に後継者はわたしになり、そうなると王家の残党がどうなるか、かあさまはよく理解なさってますもの」
「ふむ、なるほど」
 ミレルの言葉に、思わず同意するガリウス。
「ねえ、かあさま、死ぬなんてしませんよねぇ? だって、そうなったらリーフシュタイン王家の復興なんて、未来永劫訪れなくなるんだから」
「ミレルっ!!」
 恐怖と驚き、悲痛な叫びを上げるアリシア。
「うふふ、せいぜいリーフシュタインの誇りを守ってくださいね。簡単に堕落したらミレル、ぷんぷんって怒っちゃいますから!」
 そう言うミレルの瞳に映るアリシアは、
 敬愛すべき王妃ではなく、
 愛する母親でもなく、
 屈服されるべき相手、仕留めるべき獲物として映っていたのだった。


→進む

→戻る

王国の闇の中でのトップへ