その23
一歩歩くごとに、悶え、のたうつアリシア。
その度に、首につけた鈴が、
チリリン、チリリン……と、涼やかな音を奏でる。
首元から伝わる鈴の音。
それは、アリシアが淫らに悶えている証。
人という存在から、家畜へと堕ちてしまった証。
「はうっ」
チリリン……
「あうっ」
チリリン……
「ひいっ」
チリリン……
……鈴が、鳴る。
それは、アリシアが人という存在から決別させ、家畜としての生を祝福する歓迎の音色。
みずから進んで家畜に堕していくことに絶望を覚えつつも、それでも歩くしかないアリシア。
体内ではじけるラブリージェムにおぞましい快感を与えられ、どうしようもなく感じてしまうアリシア。
いつしかアリシアは、股縄の食い込みに、深い悦楽を覚え始めていた。
「そ、そんなっ?! ああっ……」
砕けていく腰、震えるひざ、股間へ食い込んでいく縄。
「ああっ、たまらないっ……」
前に突き出すはずの腰が、いつしか前後へとゆらゆらと動き始める。
そして、みずから股間に縄をきつくこすりつけるアリシア。
「ああっ、いい……はうっ」
口元から、こぼれだす涎。
それを自分の舌で舐めつつ、ひたすら股間に縄をこすりつけていく。
「ほらほら、途中でさかってないで早く歩きなさい!」
パシン!
アリシアの尻がローザによって叩かれる。
それによって思い出したかのように、前に一歩進むアリシア。
「はうっ!!」
そして、またそこで腰が砕け、深く股間に縄を食い込ませてしまう。
「ひいっ! はうっ……」
アリシアは、股間に深い悦楽を感じ、再び縄に股間をこすりつけ始める。
「うふふ、まったくグズな王妃だこと」
アリシアの耳元で嘲笑するローザ。
ローザが用意した陥穽へ、抵抗することなくズルズルとはまりこんでいくアリシアをあざ笑う声だった。
アリシアの体内におさまっているラブリージェルは、すでにかなりの大きさまで成長し、深く、深く、アリシアの前の穴と後ろの穴をえぐっていた。
もっともその動きは次第にゆるやかなものになってはいたが。
ラブリージェルは膨張時の圧力を利用して、跳ねるように作られたアイテムである。
それゆえ、ある程度膨張してしまえばその圧力は弱まり、それと共に動きは失われていく。
そして最後には、その形を維持することができなくなり、不定形のジェルに変化してしまうのだ。
作成者であるがゆえに、その欠点をローザは知っていた。しかし……
「ほらほらしっかり歩きなさいっ! 前と後ろを引き裂かれていいの?」
ビクン、と、アリシアの躰が硬直する。
アリシアが、そのアイテムの欠点を知るはずもない。
躰を引き裂かれる恐怖に、ただただアリシアは怯えていた。
「あっ、ああっ、いやぁ! とって、お願いだから、とってぇー」
懸命にローザに懇願するアリシア。
その態度に、ほくそ笑むローザ。
「ふふっ、とって欲しいの? でも、あなたの言うことを聞く必要もないし……」
「そ、そんなぁ?!」
ローザの言葉に、悲鳴を上げるアリシア。
「でも、そうね。……わたしの言うことを聞いてくれたら、抜いてあげることを考えてもいいかなぁ?」
舌なめずりしながらアリシアを見つめるローザ。
「な、何でも言うことを聞きますから」
懇願するアリシア。
「そう? じゃあ、反乱に関与した貴族達の名前を言ってもらおうかしら?」
「えっ?!」
「聞こえなかったの?」
妖しく微笑むローザ。
「そ、それは……」
激しく顔を引きつらせるアリシア。
確かに、アリシアは反乱の協力者である貴族達の名前を知っていた。
知ってはいたが、それを口にするということは、リーフシュタイン復興に対する重大な裏切り行為以外の何者でもない。
躊躇するアリシア。
そう、たとえ殺されたにしても、アリシアには絶対に口にすることが出来ない事だった。
「あら、しゃべらないの?」
小馬鹿にした口調で語りかけるローザ。
「ふんっ、いっとくけどね、すでに反乱貴族が誰なのか調査は完全に終わってるの。このわたし直々の調査でね。あなたに聞く理由はただ一つ、あなたが本当に素直になったかどうかの確認のため」
「………………」
ローザの言葉を聞き、懸命に頭を働かせようとするアリシア。
しかし絶え間ない快感は、アリシアの思考能力をほとんど麻痺させていた。
「いいのよ、わたしは。引き裂かれるのはあなたなんだし。言っても、言わなくても……」
「ああっ……」
アリシアの表情が、歪む。
そして、そのまましばらく時が流れた。
「本当に、グズ王妃ねぇ」
わざと気分を害した声を出すローザ。
「気分が変わったわ。もう質問に答えなくていいから、歩きなさい!」
冷徹なローザの声に、躰を震わせるアリシア。
「あっ、あの……」
「歩けと言ったのよ、わたしはっ!」
パシィン!
「ひいっ!」
ローザのスパンキングに、ガクリ、と躰が傾くアリシア。
その瞬間、みずからの体内に食い込んだラブリージェルの大きさを意識してしまう。
引き裂かれる! と、アリシアが感じた瞬間、アリシアの心の中にある何かが壊れた。
「あの、答えます。答えますから、抜いて下さいっ!」
「……気分が変わったと言ったのよ、わたしは」
「お願いです! 後生ですからっ!! 抜いてください、お願いしますっ!」
「ふんっ、いまさら言ってもねぇ……」
冷酷な声でつぶやくローザ。
「わたしは、グズな奴隷は嫌いなの」
「ああっ、そ、そんなことをいわずにぃ……。これからどんな命令にもすぐに従いますからっ!」
「本当に?」
「あっ……」
みずからが口走った言葉に衝撃をうけるアリシア。
それでも、躰を引き裂かれる恐怖の前に、アリシアは屈した。
「はいっ、……め、命令に、従いますから、お願い……」
最後はか細い声で懇願するアリシア。
「ふうんっ? まあいいわ。じゃあ、さっきの質問に答えなさい。偽りは許さないわよ」
両腕を組み、冷酷な笑みを浮かべてアリシアを見つめるローザ。
そんなローザの前でアリシアは、観念した表情を浮かべて、ポツリ、ポツリと反乱貴族の名前を述べていく。
やがて、名前を読み上げるのをやめるアリシア。
「それだけなの?」
ローザの問いに、コクリとうなずくアリシア。
「数がすこし足りないようだけど、まあいいわ」
肩をすくめるローザ。
「じゃあ、しっかりと歩きなさいね」
「そ、そんなっ? ぬ、抜いてくれるのではなかったのっ?!」
「わたしは、『考えてもいい』と言っただけよ」
「そ、そんなっ!」
恥辱と憎悪の表情でローザを見つめるアリシア。
「あら、なに? その表情は? まさか、わたしに逆らおうっていうんじゃないでしょうね?」
ローザの言葉に、動揺するアリシア。
「いいのよぉ、逆らっても。ほら、抵抗したらどう? 抵抗してはいけないって、わたしは一言もいってないし。ほら、逆らってみせなさいよっ!」
言葉でアリシアを打ち据えるローザ。
「ゆ、許してください……」
怯えた小動物の目で、ローザを見つめるアリシア。
次第に食い込む縄、膨れあがるラブリージェム。
躰も、心も、ドロドロに溶かしてしまう被虐の快楽と、躰を引き裂かれる恐怖の前に、アリシアのプライドは完全に粉砕されていた。
だたひたすらに、ローザに許しを請うアリシア。
もはやアリシアは、ローザに従うしか道がなかった。
「どうしたら、抜いていただけるのでしょうか? お願いします、教えて下さい……」
その言葉に、ローザの口元に邪悪な笑みが浮かぶ。
「そうねぇ? 今度は、反乱軍の軍資金の保管場所なんか聞きたいわねぇ」
「はい……」
微かにうなずくと、唯々諾々と軍資金の隠し場所を述べるアリシア。
「ふふっ、次は、旧リーフシュタインの重要機密とか?」
「は、はい……」
心が屈したアリシアは、ローザの質問にただひたすら答えていく。
その度ごとに、心をまる裸にされていく感触を味わうアリシア。
深い絶望を抱きつつ、それでもアリシアは、逆らうことができなかった。
「ふふっ、よく答えてくれたわね。じゃあ、抜いてあげる」
数々の質問に答えた後で、ローザはアリシアに対してそう告げた。
ホッとすると同時に、みずから裏切り行為をおこなったことに、心をさいなまれるアリシア。
それでも、アリシアはどうしようもなく、安堵感に包まれていった。
やがて、ローザの手により引き抜かれる二本のラブリージェム。
それは床に落ちると、そのまま床を転がっていった。
おぞましいばかりの圧迫感からの解放に、安堵のため息をつくアリシア。
「ふふっ、だれが休んでいいっていったの?」
「なっ?! ひ、ひいっ!」
再び、体内で激しく何かが跳ねる。
それは先ほどまで感じていた感触に酷似していた。
「ほら、早く歩く! ぐずぐずしてたら、また大きくなっちゃうわよ。うふふふ」
情け容赦なく、再びラブリージェムをアリシアの体内に埋め込むローザ。
アリシアはただ、甘受するしかなかった。
精も根も尽き果てた風情のアリシアを見つめるガリウス。
「ククク……」
目の前で繰り広げられるアリシアの痴態に、満足げな笑い声を上げていた。
ローザの手によって、アリシアは従順になるように調教されてしまっていた。
ただひたすらに、ローザの命令に従うアリシア。
そして今、アリシアは縄の上でフェラチオの特訓を受けさせられていた。
「ほらっ、もっと気合いを入れて舐めなさいっ!」
張り型を、アリシアの喉の奥へと押しやるローザ。
「ふぐっ?! ふぐはぐ……」
懸命に、舌をつかうアリシア。
特殊なゴムを素材として作ったその張り型は、本物と変わらぬ質感をもち、アリシアを責め立てる。
舐めているうちに、不思議な気分になっていくアリシア。
……だめ。いけない、の。でも、もっと舐めたい。
舐めたいの、本物を。ご主人様のものを。
きっと、もっと、おかしな気分になれる。
そうしたら、すべてから解放されるような気がする。
ああっ、舐めたい、ご主人様のを、舐めたい……
アリシアの瞳が光を失って虚ろになってゆく。
「あら? 気持ちいいの? うふふ、そうなの?」
張り型を尽き入れつつ、婉然と微笑むローザ。
「ようやく自分が何者かわかってきたようね。ふふっ、もうラブリージェムのことなんか忘れて、気持ちよくなっているみたいだし。でも、忘れちゃあだめよ? いくら気持ちがいいからって、時間がたてば自分がどうなるのかを」
……ああっ、そう、引き裂かれるの、もっと、もっと舐めないと、引き裂かれるの。
舐めるの、舐めるの、命令通りに舐めるの……
ローザの言葉に、口の動きを激しくするアリシア。
「ふふっ、本当に素直でいい子になりましたわねぇ。褒めてあげますわ! 褒美として、またラブリージェムを入れてあげますからね」
……ああっ、
内心、歓喜のため息をつき、足を大きく広げるアリシア。
は、はやくっ、早く新しいの、ちょうだいっ!
内心そうつぶやいて、アリシアは身悶えする。
「うふふ……」
ラブリージェムが引き出され、そして幾度目かになる挿入がおこなわれる。
ああっ、激しいっ、コレ、いいっ!
おもわず歓喜の涙を流すアリシア。
「ふぐっ、はぐっ、はむっ、ひぐっ……」
張り型をくちにくわえたまま、腰を激しくゆするアリシア。
もたらされる快感を、ただただブタのように貪ってゆく。
それは、誇り高かった王妃の無惨な残骸、極上の肉奴隷の、美しくも淫らな姿だった。
行程はまだ半ば、
アリシアはさらなる痴態を、ガリウスの前で晒さなければならなかった。
……永遠に近い時間が過ぎ、やっと縄を渡り終わったアリシアは、ガリウスに抱かれていた。
腰を振り、ただひたすらにガリウスの肉棒を貪るアリシア。
前の穴で受け入れ、そして、後ろの穴で受け入れる。
あるいは、鍛え抜かれたその口で。
正常位、後背位、座位、あるいは四つん這いで……
ただひたすらに腰を振るアリシア。
しかし、アリシアの中に刻み込まれた淫らな肉の欲望は満足せず。
いやそれどころか、抱かれれば抱かれるほど、ますます欲しくなっていく。
アリシアはついに、快楽世界の住人へと生まれ変わっていた。
自分の娘であるミレルと、同じ世界の住人へと。
押さえられない肉の疼きに、ただひたすらに灼かれるアリシア。
そのことにアリシアは、無上の喜びと、言いしれぬ開放感を味わっていた。
「ああっ、ご主人さまぁ! アリシアのすべてを捧げます。捧げますから、もっと、もっとくださいっ……」
「ククク、可愛い奴め。そんなに欲しいのか? ほれほれ、たっぷりと喰らわしてやるぞ」
すっかり肉奴隷の色香を身にまとったアリシアを、ひたすら突き上げるガリウス。
「ああっ、いいっ、とっても、いいっ……」
腰を振り、ガリウスのイチモツを体内でこすりあげるアリシア。
それに伴う快感を、ひたすらに貪ってゆく。
アリシアの穴という穴はすでに、溢れんばかりに白濁液を注ぎ込まれていた。
その躰を精液で白く染めながら、うっとりとした表情を浮かべるアリシア。
そして、その可憐な手をガリウスの肉棒に伸ばし自らの中に導き、あるいは、その小さな唇で肉棒にキスをする。
むせかえるほどの淫臭が、いまや花の香り以上にかぐわしく感じるアリシア。
「ああっ、すごいっ、ご主人様の、すごいっ!」
ただひたすらに肉欲に溺れていくアリシア。
いまや全身で、ガリウスに奉仕している。
「……肉奴隷アリシアの誕生ね」
そんなアリシアの痴態を見て、ほくそ笑むミレル。
「さすがはローザ。あなたの手にかかったら、気高い王妃もあっというまに、肉欲の奴隷ね」
「おそれいります」
ミレルに向かって軽く頭を下げるローザ。
「けど、それにしては異様なまでの乱れようね。何か使った?」
ミレルの言葉に、邪悪な笑みを浮かべるローザ。
「これを少々……」
差しだされた瓶のラベルを見て、微かに苦笑するミレル。
「な・る・ほ・ど。これはわたしが作った……」
「そうです。『悪夢への誘い』」
ニヤリと笑うローザ。
「これを使って恐怖心をたっぷりと増幅して差し上げましたわ。人は恐怖に襲われたとき、何かにしがみつきたくなるもの。ましてやそれが、広く、暖かく、たくましい殿方の胸であれば、むしゃぶりついてしまうのは女の性というもの。見て下さいませ、アリシア王妃のあの安堵に満ちた表情……ふふっ、自分のすべてをさらけ出し、自分のすべてを主人に捧げることで得られる至福の安堵感。ああなったらもう、主人にどんなことをされても逆らうことはできませんわ」
「そうね」
ミレルの頬が、被虐の色に染まっていく。
「そうなのよね、逆らえなくなって、命令に従うことが快感になってしまうのよね」
「ふふふ、そうだね」
裸で立っているミレルを、荒縄で縛り上げているカイルが囁く。
「こうやって僕に躰を差しだしているミレルの表情って、本当に嬉しそうで、気持ちよさそうだものね」
「いやんっ、にいさまぁ……」
甘ったるい声を出しながら、それでも縛られやすいように、躰を差し出すミレル。
「ククク……」
ひたすらミレルに縄化粧を施していくカイル。
「あんっ、縄がこすれて気持ちいい……」
うっとりとした表情でつぶやくミレル。
その表情は、肉奴隷としてガリウスに抱かれているアリシアの表情そのものだった。
「ふふっ、思い出してきたかい、縄の味を?」
「はい、にいさま」
コクリとうなずくミレル。
主人に対する媚びを、たっぷりと示しつつ。
「ククク……たまらないな、その表情。さて、二人で楽しもうか?」
「は、はい」
うなずくミレルに首輪をかけ、引き手をもつカイル。
「じゃあ僕たちは隣の部屋で楽しむから。あとはよろしく、ローザ!」
「わかりましたわ。楽しんでくださいませ」
「ああ、久しぶりに、たっぷりと楽しませてもらうよ」
カイルの言葉に顔を赤らめるミレルを連れて、部屋を出て行くカイル。
それを見送るローザ。
「本当に、仲のよろしいこと。うふふ……」
ローザは一瞬、妹を思いやる姉の表情を浮かべたあと、そう呟いたのだった。
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