その4
三人の黒人の大男が、地下室に呼ばれた。
「うふふ、すでに面識があると思うけど、紹介するわね。右からダー、ギー、ズーっていうの」
名前を呼ばれると、軽く頭を下げる黒人達。
「あなたをカイル様に従順な奴隷にするために、遠くからわざわざ来てもらったの。わたしのアシストについてもらうわ。この三人はね、淫らの邪神カーリアに仕える神官で、人に淫らの欲望を教えることを使命としているの。そのテクニックは、……うふふ、折り紙つきよ」
その言葉に、ミレルの瞳に反抗の光が宿る。
「あら、生意気ねぇ。逆らうつもり?」
ミレルの反抗的な表情に気づき、問いかけるローザ。
「わたしは、……リーフシュタインの姫、だから……」
「男のクセに?」
その言葉に、ミレルの顔に苦悶の表情が浮かぶ。
「それでも、……姫、だから……」
「やれやれ、強情ねぇ」
それでこそ、堕としがいがあるってものだけど……
ローザは内心ほくそ笑んだ。
「じゃあ男の子のお姫様、どれだけ耐えられるか見ててあげる」
三人に、手で合図をするローザ。
「せいぜい、楽しませてくれよ、ミレル」
投げかけられる、カイルの言葉。
ミレルの表情は歪み、悲しみの表情に変わる。
その様子を見て、邪悪なアイデアを思いつくローザ。
「そうだわミレル、あなたアイマスクをしない?」
ミレルに向けて、優しく微笑むローザ。
「アイ……マスク?」
「そう。目隠しをすれば、少なくともカイル様の姿は目に映らないわ。いらないのなら、別にそのままでいいのよ。ただしその場合、カイル様の顔を見つめながら乱れることになるわね」
「………………」
ミレルは凶暴な視線でローザを射抜いた。
「恥ずかしいでしょ? 違う?」
「…………違わない」
ローザの問いにポツリとつぶやくミレル。
「アイマスク、……して」
そう言った後で、顔を背けるミレル。
そのため、ローザの顔に邪悪な歓喜が浮かんだことにミレルは気がつかなかった。
「じゃあ、目隠しするわね!」
ローザは側に置いてあるアイマスクを手に取った。
ローザは舌なめずりしながら、目隠しをされたミレルを見ていた。
ミレルの白い肢体が、ロウソクの光に照らされている。
まるで、天使のように美しいミレル。
そのミレルの躰に、黒い肉体が絡みついていく……
「うっ…………」
赤い舌が、ミレルの背中をなぞる。
赤い舌が、耳を舐める。
赤い舌が、太股をつたう。
「くっ…………」
黒い手が、ミレルの胸を揉み砕く。
黒い手が、お尻をこねくり回す。
黒い手が、腰をなで上げる。
三人がかりでミレルの躰を蹂躙する男達。
ミレルは翻弄されるがままだった。
「………………」
じっくりと、ミレルの躰に肉の悦楽を覚え込ませていく男達。
ミレルの躰が小刻みに震えだす。
「………………」
触られる毎に反応するその躰。しかし……
「強情な子ね……」
けっして声を漏らさないミレルの態度に、ローザは眉をしかめていた。
……視覚をアイマスクで封じているから、感度は数倍に跳ね上がっているはず。感じていない? いいえ、そんなはずはないわ。それが証拠に……
ローザはミレルの股間に目を移す。
ミレルの股間にある、いびつなちっちゃな男性性器は、次第にピンと尖り始めていた。
それだけでなく、乳首もピンと張りだし始めている。
それは、ミレルが感じている何よりの証拠……
……なのに、声を漏らさないなんて、ホントに強情な子ね。
「ミレル、気持ちよかったら、声を出してもいいんですのよ?」
「………………」
ローザの問いかけにも、沈黙を頑なに守るミレル。
……まあいいですわ。いつまでも保つ訳もなし……
「カイル様、どうぞこちらでくつろいで下さい」
「そうだね」
ローザに薦められるままに、ソファーに腰掛けるカイル。
テーブルをはさんで、ローザも優雅に腰を掛けた。
テーブルには、すでにワインを注がれたグラスが置いてある。
ワインを傾けながら、二人はじっくりとミレルを鑑賞し始めた。
二時間が経過した。
徹底的に弄ばれているミレル。
ミレルの躰は体液と唾液で徹底的に汚されていた。
徹底的に揉みぬかれた躰は、男達が与える刺激に、確実に反応するようになっている。
淫らな責めに反応する、その白い肢体。
しかし、
「………………」
ミレルはいまだに声を漏らしていなかった。
三人の高度なテクニックを駆使した責めに懸命に耐え、決して声を漏らさないミレル。
カイルの表情は次第に不機嫌なものに変化していった。
それ以上に不機嫌なのは、ミレルを責めている三人の黒人だった。
その白い肢体は確実に開発されつつあるのに、未だに快楽の鳴き声をあげないミレル。
そのあまりの強情さと意志の堅さに、次第に焦りと怒りを膨らませていた。
「コノッ!」
ついに、一人が癇癪を爆発させてミレルを殴ろうとする。
「おやめっ!」
次の瞬間、ローザの鋭い制止の声が、地下室に響き渡った。
「お前たちを呼んだのは、獲物を傷つけずに飼い慣らすため。忘れたのっ!!」
「ス、スマナイ……」
殴ろうとした腕を止め、おびえた声で謝る黒人。
「ふうっ、ダーともあろうものが、冷静さを失うなんて。なんて子なの……」
予想を遙かに上回る強情さを見せつけたミレルに、失意の混じった感嘆の声をあげるローザ。
「うちの館にくる子がみんなこうだったら、商売あがったりだわね」
「……ローザ」
「わかっております、カイル様」
カイルの呼びかけに、軽くうなずくローザ。
「お約束どおり、完全に調教してみせますわ。ただ、かなり時間がかかりそうですけど」
ローザは思わず嘆息した。
「きれいで可憐な花とばかり思ってましたけど、筋金入りの芯の強さですわね」
「……僕も意外だったよ」
不愉快な表情でワインを傾けるカイル。
「ミレルを少し侮っていたかもしれない。あのアリシアのように簡単に肉欲に溺れるとおもってたんだけどね」
カイルの言葉に、ミレルの躰がビクッと反応する。
「淫らな奴隷人形に仕立て上げて、僕の性欲処理の道具として、飼ってやろうと思ったのに……」
「……にいさま」
震える声でつぶやくミレル。
その躰は小刻みに震えていた。
「仕方がない。今日はミレルの躰をいじって遊ぶことにする」
ビクンッ、と、ミレルの躰が跳ねた。
「申し訳ございません」
「次の時までは、ちゃんと料理しておくんだぞ、ローザ」
「はい」
カイルの言葉にローザは深く頭を下げた。
三人の黒人達は、ミレルの躰を巧みに洗い上げていく。
うなじ、胸、腰、足……
お尻の穴まで洗われるミレル。
「………………」
それでも、ミレルは悲鳴を漏らさなかった。
無念そうな表情でミレルを洗い上げる男達。
ミレルをふきあげると男達は、ミレルを純白のベッドの上へと連れて行った。
ミレルは四肢をベッドの端に固定された。
革紐は外され、代わりに白いシルクの布で拘束されるミレル。
無垢の状態で白いシーツの上に横たわっていた。
「これは、本当はあなたとカイル様の初めての時に用意したものだけど、まあいいわ可愛い子ちゃん。カイル様に遊ばれなさい」
その言葉が終わらない内に、裸になったカイルがミレルにのしかかっていく……
「ひゃあうっ!!」
ミレルの口から、悲鳴がこぼれた。
「あら?」
意表を突かれるローザ。
ローザの目の前で、ミレルはカイルに蹂躙されていく。
「ひっ、ひゃっ、ああっ、やんっ……」
先ほどとは打って変わって、カイルに指で触れられただけで甘い悲鳴を上げるミレル。
あっというまに絡み合っていく、二つの肢体。
「あらあら、今度はずいぶん脆いじゃない? まるで、躰の芯を抜き取られたかのよう」
予想外のミレルの反応に驚いたのはローザだけではなかった。
「ずいぶんあっさりと感じてくれるんだね? まだ躰をまさぐったばかり。本番はこれからなのに」
カイルの言葉に、ミレルの顔は上気した。
「にいさまの、エッチ! ひゃあっ?」
カイルの指が、軽く乳首を撫でる。
「こんなので感じるなんて、エッチなのはミレルじゃないのか?」
「ひうっ、ふぐっ、ひぃあっ、やぁっ……」
ミレルの返事を待たず、今度は腰を撫で上げるカイル。
ミレルは翻弄されるがまま、悲鳴を上げていた。
「な・る・ほ・ど。……もしかしてあなた、カイル様に抱いて欲しいなんて思ってたんでしょ?」
「そ、そんなことない。あっ、いやっ」
ツツツツツ……
「ひゃうっ?!」
「ククク、脇腹をなぞられただけなのに、いい声で鳴く……」
満足げな、カイルの声。
「ホントに、なんていやらしい鳴き声。まるで、カイル様を誘っているかのよう……ううん、誘っているのよね、ミ・レ・ルちゃん?」
「そ、そんなっ?! ひゃうっ、ひっ、あうっ……」
ローザの言葉に反論する隙も与えられず、躰をまさぐられ、鳴かされてしまうミレル。
ミレルの痴態を、ローザは楽しげに見つめていた。
「あの三人の責めに屈しないからどんなに芯の強い子かと思えば、カイル様に抱いてもらえなかったのが不満だったのね。なんてエッチな子……」
「そんな、ミレルはエッチな子じゃあ……ひゃぐっ、ひいっ、ひゃっ……」
「嘘おっしゃいっ! だったら何なの、その淫らな鳴き声は? もっと、もっとってねだるようなその甘い鳴き声はっ?!」
「ひゃぐっ!!」
ついに股間をまさぐられ、躰を弓なりにして跳ねるミレル。
その痴態に、三人の黒人達の股間にあるものが堅くそそり立っていく。
それを目ざとく見つけるローザ。
「あなたたちはもういいわ。隣に行って好きな娘達を犯してなさい。ミレルの調教の方針については、また後で連絡するわ」
「ワカッタ」
残念そうな口ぶりでそういうと、部屋を立ち去っていく男達。
その後ろ姿を見ながら、微笑みを浮かべるローザ。
「うふふ、なんて淫らな鳴き声。声だけで彼らをあんなにも興奮させることができるだなんて、なんて子……」
まったく、男の子にしておくのが惜しいわ。
内心つぶやくローザ。
……そうね、男娼なんてもったいない。いっそのこと女の子に変えてしまえば! でも、『あれ』は危険すぎる。そうとう強靱な意志をもった子じゃあないと……
しばしミレルを見つめるローザ。
ローザの目の前で、ミレルの股間をなぶるカイル。
「本当にいい声で鳴く。ミレルが男の子でなかったら、速攻で僕のモノをぶちこんでやるのに!」
「にいさま……」
カイルの言葉に絶望の表情を浮かべるミレル。
「そんな、そんなの、ミレル、あっ、ああっ、ひいっ」
「僕のより小さいのに、すごく感じるみたいだね。やっぱりミレルはあのアリシアの血を引いてるよ」
「ひいっ!! か、かあさまの名前は出さないでぇ!」
「何でだ? 僕にレイプされているのに、喜んで感じているはしたない姫なんだよ、ミレルは。いまさらアリシアを気にすることはない。今の姿を見れば、捨てられるよ、ミレルなんて!」
「あっ……」
「でも僕は捨てない。アリシアが捨てても、僕は捨てない。だからミレル、アリシアのことなんか忘れて、僕のモノになれっ!!」
「ああっ、ひいっ、そんなのっ、勝手すぎるよ、にいさまぁ」
ミレルの胸を揉みあげ、お尻を揉み砕き、背中の筋をなぞり、股間を弄ぶ。
その度ごとに、ミレルの躰は自らカイルの躰に絡みついていく。
それは、ミレルの欲望の自然な発露だった。
『いけない』と思い、拒もうとするミレルの心。
しかし、ミレルの躰は自らが欲する欲望に忠実だった。
その痴態をじっと観察するローザ。
いける、かな? 辛うじていけそうな気がする。でも、もっと強い意志、ううん、欲望を持たせないと駄目ね。それには……
「今ある姫としての意識は邪魔ね。……邪魔かしら? ううん、うまく利用することができるかも」
頭の中で、ミレルの調教の手順を思い浮かべるローザ。
「うふふ、そうね。時間はたっぷりとあるし。まずは、男娼としての喜びを仕込んでいくというのもありね」
ローザは淫らで邪悪な微笑みを、その口元に浮かべたのだった。
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