その6


 ミレルは空中に宙づりにされていた。
 両腕は、腕輪を使って後ろ手に拘束され、両足は、大きく股を開くようにしてつり下げられている。
 上等なシルクの布で作られたつり下げ具は、ミレルの躰を優しく宙づりにしていた。
 躰にまとわりつくシルクの布の拘束に、抗おうとするミレル。
 しかし、シルクの布の呪縛は、ミレルの抵抗を完全に封じていた。
 無抵抗な姿のまま、宙づりになっているミレル。
 その心は、ローザが手にしたものを見て、絶望に覆われていく……
「それではミレル、まずは浣腸からしてあげますわ。腹の中の汚い物を洗いざらい掃き出して綺麗になってもらわないといけませんから。うふふ……」
 大型シリンダー浣腸を手にして、婉然と微笑むローザ。
 すでに中には大量の液剤が充填されていた。
「すでに、あなたの体温まで暖めてあるわ。すぐに浣腸液があなたの躰に馴染むようにね。それと、出来るだけあなたの体力が消耗しないようにするために」
 得々と語るローザ。
 それを見つめるミレルの表情が、厳しいものへと変わった。
 決意を秘めた目で、ローザを見つめるミレル。
「あら、なんなのその目は? まるで今にも自殺をはかりそうな恐い目。まさかそんなことはしないでしょう、ミレル? まさか、カイル様を裏切って、死ぬだなんて・こ・と!」
 ビクッ、……と震えるミレルの躰。
「まさかそんなことはしないわよね? カイル様を裏切って死ぬだなんてこと! ……ああそうか、わかったわ。このわたしに屈しないという意志を示しているだけなのよね? なんといっても、あなたは姫君なんだから。うふふ……」
 ミレルの表情に浮かんだ、絶望が深くなっていく……
 カイルの名前を使い、ミレルの心の奥底に、呪縛の糸を織り込んでいくローザ。
 ローザが織り込んだ心の呪縛に絡め取られ、ミレルの『恥辱より死を選ぶ』という意志は、完全に封じ込められてしまった。
 ふふっ、本当に可愛い子。死ぬほどカイル様のことが好きなのね。でも、そこがあなたの最大の弱点。さあ、たっぷりと調教してあげるわよ……
 ……つぷっ、
 手にした浣腸の筒先を、ミレルのアナルに差し入れるローザ。
「くっ?!」
 歯を食いしばって、悲鳴をこらえるミレル。

「ふふっ……」
 婉然と微笑みながら、ピストンをじわりじわりと押していく。
「ひいっ?! あぅっ?!」
 ミレルの口から悲鳴が漏れ出す。
 しかし、すぐに歯を食いしばって悲鳴をこらえるミレル。
「うふふ。浣腸も慣れてくると、やがて病みつきになっていくの。そして最後には、自ら欲しくなっておねだりするようになるのよ、ミレル」
「そ、そんなこと、ない……」
 自信たっぷりに言い切るローザの言葉に、否定の言葉を口にするミレル。
「そうかしら? まあいいわ。いずれわかることだから。うふふ……」
「あうっ?!」
 最後の一押しを、一気に押し切るローザ。
 ちゅぽん……
 ミレルのアナルから、浣腸の筒先が抜かれた。
 すかさずアナルストッパーをねじ込むローザ。
「ひいいっ?!」
「くすっ、薬が効いてくるまでしばらく時間がかかるから、栓をしておいてあげるわ」
「……あっ」
 躰の中から沸き起こる変調に、思わず躰を震わせるミレル。
「もっとも、早く出したいと言うのなら、すぐに抜いてあげるけど? ミレル?」
 ローザの言葉に顔を背けるミレル。
 その反抗的な態度に、なぜか余裕の笑みを浮かべるローザ。
 ふふっ、ホントは早く吐き出したほうがいいのよ、ミレル。なんといってもあなたの体内に注ぎ込んだのは、普通の浣腸液ではないのだから……
 邪悪な笑みを浮かべるローザ。
 あなたの腸の中を、淫らな器官へと作り替えていく為のおクスリ入り。あなたが我慢すればするほど、おクスリは腸壁にじわじわと染み込んでいき、あなたの躰をとっても感じる躰へと変えていくの。うふふふふ……
 内心、ほくそ笑むローザ。
 そんなローザの目の前で、必死になって便意に耐えるミレル。
 しかし時は無情にも過ぎていき、効果を発揮してきた浣腸液の責めに、ミレルの躰は確実に屈していく。
 ……そして、ついにミレルの我慢は限界に達してしまった。
「あうっ……」
 虚ろな表情でローザを見つめるミレル。
 その躰は、完全に弛緩しきっている。
 ただ下腹部だけが、排泄の為の小さな律動を繰り返すのみ。
 それは、みずからの便意の前に敗れ去ったミレルの、あまりにも無惨な姿だった。
 もはやローザがアナルストッパーを一抜きするだけで、ミレルは汚物をまき散らすことは確実だった。
「よく頑張ったわね、ミレル。いままでここまで頑張った子なんていない。さすがは姫君だわね」
 ミレルを賞賛するローザ。
「きっと、カイル様もあなたのことを誇りに思うわ」
 その言葉に、虚ろなミレルの表情に赤みがさす。
「あなたは精一杯頑張ったって、カイル様に報告しておいてあげるから」
 アナルストッパーに手をかけるローザ。
「さあ、楽になりなさい、ミレル。……あなたを責める人は誰もいない。こんなに頑張ったんだから……」
 スポン、
 ……ブリブリ、ドドド、ドババババ、ブリブリブリ、ドババババババ……
 異臭が、部屋の中に漂い始める。
 下に置かれた金ダライの中へとまき散らされていく、ミレルの排泄物……
 ミレルは力無く、排泄の快感を貪っていた。
「……あっ、ああっ」
 虚ろな表情で、艶めかしい声を上げるミレル。
 その口元からは、涎がつたい落ちていく。
 ふふっ、まずは第一段階はクリアー……っと。これでもうこの子も死ぬなんていう気はおきないでしょうね。そんな気力なんて、腸の中のものと一緒に流れ出ちゃったはずだから。うふふふふ……
 湯の張った洗面器の中から次の浣腸を取り出し、タオルでお湯を拭い取っていくローザ。
 ……もうあなたはわたしの調教から逃げられない。わたしは捕まえた獲物を逃がすような素人ではないわ。あなたはもはや為すすべもなく、カイル様の性欲処理の道具となっていくのよ、ミレル……ふふっ、うふふふふ……
 排出が終わり、肩で息をしているミレル。
 ローザはそんなミレルに近づくと、容赦なく浣腸の筒先をミレルのアナルに差し込んでいった。


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