第七章 それぞれの黄泉路・・・

 ピシャピシャという湿った音がバスルームに小さく響き続けている。
 比良坂は洗い場に胡座をかいており、その股間へ顔を埋めるようにして、静音は正座の姿勢から深く背を折っていた。
 「もっと隅々まで丁寧にやらねェかい。奴隷の奉仕ってのは、後始末まで精一杯に心を込めてこそなんだぜ」
 「は、ハイ・・・」
 すすり上げ、震える声で応じながら、静音は小さく差し出した桃色の舌先を男の巨大な器官に沿って這わせてゆく。


 放出して取りあえず一息ついている男は、しかし相手も平等に休ませる気などは更々無く、インターバルの間にその不潔な残滓を舐め取るよう、無慈悲に命じたのだった。
 もう全く抵抗をあきらめるしかない静音は、後ろ手にされた身体を窮屈そうに折り、慣れない奉仕に彼女なりに没頭しようとする。
 どうせ呵責から逃れる術(すべ)がないのなら、少しでも早く相手が満足するよう、何でも言いなりに従った方がマシだ・・・・そう観念してのことだったが、あまりに惨めな自らの境遇に、涙があふれ出し続けるのをこらえることが出来ない。
 息をする度、体液の生臭さがムッと鼻を突き上げてくるのも堪えがたい不快さである。不潔な小屋に押し込められている家畜の心境もかくやという気がしてくるのだった。


 「ただ舐めるだけじゃなく、すぐにもういっぺん使えるよう上手く刺激しな。分かるか?お前のココみたいに硬くでっかくなるよう、頭を使いながらやれってんだ。ほれッ」
 「むッ・・・」
 むき出しにされたまま、左右に振り分けられるような格好で男の足に乗せられている両の乳房、その先端をつまみ上げられ、クリクリと揉み込まれて、静音の背がギュッと緊張する。
 「クッククク・・・全く、まだまだ元気一杯って風情だな、お前の身体は」
 「うッ、ひあッ!」
 また危うく気を遣りそうになり、思わずキュッとヒップを浮かせた状態になって歯を食いしばる。
 強烈なフラッシュのように襲う官能の向こう側へ、ともすれば細い糸となって吹き流されていきそうな理性を、静音は何とかつかまえ、たぐり寄せようと、豊かな身体を揉むようにくねらせてあえぐのだった。


 「そう必死ンなって我慢しなくてもイイじゃねェか。また気分が出てきたんなら遠慮なくイッて構わないんだぜ。ヨガって奉仕がおろそかになるんじゃ困るからな。ただ、イクときゃイクって報告するのは忘れんなよ」
 「そんな・・平気ですから・・・ちゃんと、御奉仕しますから・・・・」
 涙にふくれた目で訴え、男の下卑た揶揄と自らの忌まわしい肉欲、その両方に抗うかのように、あえて屈辱的な作業に集中していく。
 するうちに、男の持ち物は急速にその硬度を取り戻し、圧倒的なボリュームも回復して、再び照りを増しながら反り返り始めた。
 「フン、よし、後始末はその辺で良いだろう。舐めるのをやめな」
 比良坂に言われ、静音がホッと力の抜けた様子で顔を上げる。 安心して一息つくような心境とは無論ほど遠かったが、グロテスクこの上ない器官を間近に見ないで済むだけでも取りあえず有難かったのだ。しかし・・・・


 「じゃあ次の課題に行くか・・・・ケツを高く上げた格好でこちらへ向けな」
 「え、で、でも・・・・」
 思わず戸惑い、怯えた視線をオロオロとさまよわせる静音に、比良坂は、
 「オイオイ、さっき自分で言ったことをもう忘れちまったのか?」
 嘲笑うような調子で言い、手に持ったままの注入器を見せつけるように掌で弄ぶ。
 「絶対服従を誓ったんじゃねェのかよ。それともまたまた口からでまかせかァ?」
 「いえ、あの・・・お言い付け通りに・・・・」
 顔をクシャクシャに歪めてうなだれると、静音はヒザ立ちの状態になって比良坂に背を向けた。
 相手から意地悪く言われなくとも、とっくに抵抗の意志は萎えている。しかし同世代の少女に比して過剰とも言える性への羞恥心が、静音にどうしても動作のいちいちをためらわさせてしまうのだった。
 それに今命じられたポーズは、つい先日まで無垢だった女体を陵辱という形でこじ開けられたばかりの少女にとって、これ以上はないほどの恥辱を伴うものである。尻込みするなと言う方がムチャなのだが、しかし静音にそれを拒む選択肢が残っていないことも事実なのだ。


 「まったく、やたらいっちょ前以上に育ってるのはオッパイだけだな。オツムの方はてんで物覚えが悪いんだから始末に負えねェよ。ま、そんな体たらくだからこそ捕虜になるようなドジ踏んじまうんだろうが・・・」
 口汚い揶揄を背中で聞き、屈辱に歯を食いしばりながら、静音はゆっくりと身体を前に折っていった。
 ベルト手錠で後ろ手に拘束されたままなので、四つん這いにはなれない。仕方なしに頭を洗い場の床に着くまで下げて、男の言う「ケツを高く上げた格好」が出来上がった。が・・・


 「お上品に足を閉じてちゃ仕方ねェだろうが。ヒザを目一杯左右に割ってみな!」
 「・・・ハイ・・・」
 更なる残酷な要求に、それでもやむを得ず従おうとするが、あまりの恥ずかしさからついモタモタとした動きになる。男はすぐに焦れて、静音の太股の内側に両手を当てると、グイと乱暴にこじ割ってしまった。
 「こうするんだよ、ノロマが!」
 「キャッ!」
 悲鳴を上げながら、しかし抗うことは出来ず、静音は無理やりに取らされたポーズのままで体を固くする。
 目のくらむような羞恥のため、きつく結んだ口元から「うッ、うッ」という発作じみた嗚咽が我知らずに洩れだして押さえようがなかった。それというのも、静音は自身の身に着けている物が今どれほど見苦しい状態になっているのか、イヤでも思い知っていたからである。そして比良坂は、一番触れられたくないそのことを、いきなり容赦なく、ことさらに下卑た調子で突いてきた。
 「こりゃまたド派手なことになってるじゃねェか。まるでションベンでも漏らしたみてェだな」
 「!・・・」
 その言葉に反射的に足を閉じ合わせようとするが、男はそこへ自分の両足を素早く割り込ませ、大股開きのままガッチリと固定してしまった。
 「勝手に動くんじゃねえよ。次の調教課題のために大事な検査をするんだからな。・・・へヘッ、まさにずぶ濡れって風情だ。すっかりブルマの色が変わっちまってるぜ」
 「イヤッ!おっしゃらないで下さいッ!」
 固く目を閉じ、男の揶揄を必死に打ち払おうとするかのように金切り声を張り上げる。両手を縛められ、耳をふさげないことがまるで拷問であった。


 比良坂の言う通り、静音のはいているブルマには局所を中心として大きなシミが広がっており、本来のエンジをほとんど黒と言って良いほど暗い色に見せている。
 シミは更にその面積を広げつつあり、内側からたっぷりと水分が補給され続けていることをあからさまに示していた。
 「まあ、あれだけヨガってイキ狂ったんだ。おツユがだだ漏れなのも無理はねェよな。イヤだイヤだと散々わめいたって、身体の方は泣いて大喜びってワケだ」
 「そんな・・・あッ、何なさるんですかッ!」
 男のゴツイ手がブルマのウェストにかかったのを感じ、必死の形相で首を後ろにねじ向けて叫ぶ静音に、比良坂はさも当然というような口調で、
 「何って、次の調教課題のための検査じゃねェか。お前はこの施設の『備品』であり、将来マーメイドとして売られていくかもしれない『商品』でもあるんだぜ。その商品のイチバン大事な部分を、教育係のオレ様が直接チェックしないでどうするよ」
 「・・・・・・」
 「それにこれから『新婚初夜』を迎えるわけだからな。その用意がちゃんと出来ているかどうか、お前も旦那様に見ていただきたいだろうが、うん?」
 「ああ・・・・」
 やはりこの獣のような男に犯されるのだと知り、底知れない絶望のこもった嘆息が漏れ出す。既にクリスに処女を奪われているとは言え、未だ生身の男と交わったことのない静音にとって、それはチラリとでも想像するだけで気の遠くなる、究極の汚辱であり恐怖に他ならなかった。


 「男の身体を、ましてオレの持ち物を受け入れるためには、潤滑油が十分以上に溜まってる必要があるからな。・・・まあお前の場合、要らん心配のようだが・・・」
 品のない揶揄を続けながら、比良坂はブルマをクルリと剥くように引きずり下ろし、嫌がる静音の足を乱暴に持ち上げて、左足だけをブルマから抜き取ってしまった。
 ブルマは小さく丸まった格好で右のヒザ辺りにまとわりつき、股間には純白のショーツだけが残される。・・・いや、元は純白であったと言うべきなのか・・・・
 「こりゃあ一段とものスゲェな。ほとんど一面、濡れてスケちまってるじゃねェか」
 舌なめずりをしそうな声で言いながら、男のボッテリと太い指が股間を撫で上げてきた。
 「やッ、あッ!・・・」
 電撃にでも触れたかのようにヒップが跳ね、悲愴な泣き声が上がる。
 男の言葉通り、ショーツはグッショリと水気を含んで下腹部に貼り付き、火照った肌の色をありありと透かして見せていた。湧き出た愛の汗を存分に吸ったそれは、もうほとんど下着としての用を為していない。


 「フン、どう見たってスキモノの素質十分の身体だぜ。土手全体がふくれてモッコリせり出しちまってよ、まるで中にチンコでも入ってるみてェだ」
 「そ、そんな・・あうッ!・・・」
 あまりに下品な言葉の攻撃に、思わず上げかけた反駁の声も、秘部をジワリと押しつぶすように刺激してくる指の動きによってあえなく中断させられてしまう。
 静音の局所は、心ならずも確かに揶揄されたような状態になっており、ピッチリと貼り付いたショーツの布地を内側から押し破りそうに、恥丘がそのボリュームを甚だしく前方へ増していた。
 淫らな熱に沸騰した血流が次から次と大量に流れ込み、その部位を熱くパンパンに腫れ上がらせているのだ。
 しとどに濡れた布は、包んでいる女体のディティールも全く覆い隠すことが出来ずにクッキリと浮かび上がらせてしまっている。
 肥大したサヤ状のふくらみが堪えかねたように大きく左右に割れ、その奥にぬめり光っている鮮やかなコーラルピンクの内臓が、怯えきったようにヒクヒクと脈を打っているのが何とも惨めであった。


 「綺麗な色が透けてるな。直接中身も見せてもらうぜ」
 「イヤッ、許して下さいッ!」
 あまりに頼りない一枚とは言え、それでも身にまとった最後の「防具」を剥ぎ取られる恐怖に、切羽詰まった悲鳴が吹きこぼれる。男はニンマリと残酷な笑みを浮かべて、
 「そんなビショビショのモノをこれ以上履いてたら、お前だって気分が悪いだろうが。さあ、バッチくなったパンツをヌギヌギしようね・・・」
 わざと幼児をあやすような口調で相手を貶めながら、重たく濡れた布を無情に引きずり下ろしていく。
 やがてブルマ同様にショーツがヒザの位置で丸められ、湯気の立ちそうに熱を持った女体があからさまになると、比良坂はヘエという顔つきになって愉快そうな声を上げた。
 「ハハ、何だ、こんな風にされちまってんのか・・・」
 「くくうッ・・・・」
 何を言われているのか瞬時に悟り、食いしばった静音の口元から絞るようなすすり泣きが漏れ出す。


 男がからかったのは、静音の女性器そのものの状態に他ならなかった。
 淡く、どこかまだ幼さすら感じさせる恥毛に縁取られて、それとはひどく対照的な器官が生々しく存在を誇示している。
 元々やや大ぶりだった静音の肉芽だが、今やそれは一種インモラルな迫力を覚えるほど、惨たらしく変形させられてしまっていた。
 フードはすっかり押しのけられ、肥大した本体の根本を、粗略な割礼でもされたかのようにきつく巻いている。
 その本体は大人の指先ほどもあるだろうか。一度下に向けて伸び出した後、上に強く反っているため、肉唇の合わい目を大きく左右にこじ割る格好になっており、何とも下卑た風情である。
 固く尖った先端は光を放って見えるほどピカピカに充血し、細かく震えていて、クリットと言うよりは、その奥にある何らかの内臓器官がメスで切開、露出させられてでもいるかのような異様さだ。


 「ちょっと見、まるでクリキャップでも嵌められてるみたいだな、ええ?さんざネンネぶっておきながら、ここにはオレの竿と良い勝負のすげぇモンが付いてるじゃねェか」
 「そんな・・・それもチップが・・・バイオチップで・・・・」
 嗚咽混じりに漏らす弱々しい抗議の声を、比良坂はせせら笑って、
 「またぞろ『バイオチップのせい』かよ。だがな、どう言い訳をしたって、今のお前の身体がとてつもなくイヤらしいモノになっちまってるって事実はどうしようもないんだぜ」
 「・・・・・」
 「何度も言うが、お前には立派に素質があったんだ。だからこそ身体がチップを受け入れたんだよ。乳もアソコも、淫らの固まりみたいな細胞と共生することを望んだんだのさ。こんな風にな!」
 「ひッ!」
 男の指が肉芽をつまみ上げ、滑らかな体液をヌルヌルとまぶすように刺激してくる。
 「コリコリに固くなってるな。舌を突き出してるみたいで可愛いぜ」
 「触らないでくださいッ!そこだけはどうか・・あッ、ひアアアッ!」
 たまりかねたような悲鳴が上がり、腰が激しく跳ね踊った。
 体内の性感という性感がビッチリと詰め込まれた上、無防備にむき出されているその急所を狙われては、静音に自らの肉体を一瞬でも押さえ付けられる道理がない。バイオチップはまだ活性の高い増殖段階にあり、まさに制御の効かない状態なのだ。


 「そらまたアガリだ。申告はどうしたい?」
 「い・・イキます・・・イキ・・まひた・・・・」
 「フン、よしよし・・・」
 血を吐くように言って再び激しく泣き崩れる静音を、比良坂は背後からグイと抱え起こし、父親が子供と遊んでやるような格好で、胡座をかいた足の上に座らせてしまった。
 「あ・・・」
 肌の密着する薄気味悪さに狼狽え、後ろ手にされた身体を弱々しくもがこうとするが、無論男の腕の中から逃れられるわけもない。せめて脚だけでも閉じ合わせようとしたが、それも強力(ごうりき)で手もなく折り畳まれ、男同様に胡座をかいた格好に開脚されてしまう。
 これまでに増してあられもなく丸見えにされてしまった女体の中心・・・その入り組んだディティールをいちいち確かめるかのように、比良坂の野太い指が這い込み、ネチネチとなぞり始める。
 「イイぞ、何度イッてもまだまだお代わり希望って感じだな。後から後からヨダレが湧いて止まらないじゃねェか」
 「ご、ごめんなさい、ごめんなさいッ・・・」
 「何を謝ってる?オレは褒めてるんだぜ。マーメイドに相応しい、とびきりに淫乱な身体だってな。ホラ、もっと味わってみなよ」
 柔らかく濡れた内臓の襞が左右にかき広げられ、ツヤツヤと光る膣の入り口が露出させられた。
 そのフチは官能のリズムに合わせてヒクヒクと収縮を繰り返しており、それにつれ、男の言ったように、透き通った愛の汗が咳き込むように噴き出してくるのが見える。


 「ううッ、やッ、ダメぇえ・・・」
 自らの肉体をどうにも御せない絶望から、しゃくり上げ、イヤイヤと必死に身を揉む静音を、男は組んだ足の上でクルリと回転させ、今度は向かい合う格好で抱え込んだ。
 野卑な内面のギラギラと透けて見えている顔が静音の間近に来る。
 「身体中水気タップリで、すっかり準備完了だな。これ以上タレ流しも勿体ねェ。今オレ様のもので栓をしてやるからな」
 「か、堪忍してください・・どうかそれは・・・堪忍・・うッ」
 必死に許しを乞う唇が、男のヤニ臭い口できつく塞がれた。同時にこじ入れられてきた舌が静音の舌に固く絡み付き、ジンと痺れるような官能を送り込んでくる。
 「ふッ、ううッ・・・」
 異性とのファーストキスがこんな惨たらしい形で、というのもショックだったが、別にバイオチップを植えられているわけでもない舌までが、今や快楽を貪るための装置と化してしまっていることが静音を愕然とさせた。
 (どうして・・・こんなことまでが心地よく感じられるなんて・・・。私、どうなるの?本当に気が狂ってしまうの?・・・やだ、怖い、誰か、誰かァ・・・・)
 激しい動揺と恐怖、そして屈辱感とがない交ぜになり、静音の思考能力が一瞬真空状態となる。比良坂はそれを見透かしたように彼女の腰をヒョイと持ち上げ、いきり立って天を指している醜悪な器官の上へ無情に落とし込んだ。
 「いィヒあァーッ!!」
 魂消るような、としか言いようのない凄まじい絶叫が、天を仰いだ静音の紅唇から迸る。
 未だ完熟と言うには遠いが、ヒーメンを失い、十分以上に潤いを溜めて交合に備えていた少女の局所は、不意を突かれたこともあって、呆気ないほどスムースに男の剛槍を受け入れてしまっていた。
 「はめ・・ふァ・・・おぉはァアアアアッ!」
 重く濡れて位置を下げていた子宮口に亀頭が突き当たり、押し破るかのようにそこをこじった瞬間、静音は手もなく達し、ワケの分からない叫喚と共にカッと目を見開く。
 比喩でなく視界が失われ、一瞬間をおいてそれが回復すると同時に、新たな官能の津波が下腹を突き上げ、すぐさま次のオルガへと若い肉体を押し流していくのだった。


 「どうだい、気分は?」
 残酷な笑みを浮かべて比良坂が言った。
 「グラマーなだけにこっちの方は大味なのかと思っていたが、どうしてなかなかの持ち物じゃねェか。ツブツブが巻き付いてくるような感じが堪らねェな、うん?」
 「えあァッ!」
 抱えられた腰を意地悪く揺すり上げられ、まさに急所を射抜かれたかのような悲鳴が上がる。
 突き入れられたモノが身体を貫き通して口から飛び出るのではないか・・・そんな馬鹿げた錯覚が、アクメに麻痺した理性にはとてつもない実感を伴って感じられた。
 無論破瓜されて間もない女体にとって、相手の長大に過ぎる肉体が負担でないわけはなく、だからそんな錯覚、苦痛も覚えるわけだが、汚れた人工細胞、それに日々盛られている媚薬とが、もはやそれに増す異常な快感を静音の下腹部に充満させていた。しかも、囚われ、レイプされているという身の上では、その快楽を能動的に楽しむことなど出来るわけもない。
 静音にとってそれはやはり、無理やり口に押し込まれる超高級料理であり、嚥下を拒んでも胃の府に落ちてくる禁断の味であり、自分を否応なく変質させていく異界の毒であったのだ。
 「うッ、む・・・ああッ!」
 何とか身体を外そうと必死に試みるが、後ろ手に縛められていては腰を浮かせることすら出来ず、むしろ藻掻くことでかえって性感が増す結果となってしまう。


 「これでお前にとっちゃ、オレが『初めての男』ってワケだよな。嬉しいかい?うん?」
 「イヤ・・もう、うッ・・・許して・・・許ひてくださ・・あッ、ひッうッ!・・・」
 男の揶揄によって、自らの肉体にまた一つ消すことの出来ない醜悪な履歴が刻まれたことを知り、静音の嗚咽がまた一際大きくなった。
 既に一度放出している比良坂は余裕タップリに腰を使い、胡座の上の少女に悲鳴を上げさせながら、相変わらずのニヤニヤ笑いで、
 「遠慮せずにじっくりと楽しみな。と言っても楽しみすぎてオツムがお留守になっちゃ困るがな。さっきから大事なことを忘れてないかよ?ええ?」
 「あ・・むッ・・・」
 「申告だよ!何遍もイッてんだろうが!ヨガリすぎて脳味噌がスッカラカンになっちまったのか?ああ?」
 「あうッ!・・・ごめ・・さい・・・いヒまひた・・私、イキまひ・・うぅッ!・・・」
 「何遍イッたのかッつってんだよ!数も勘定できねェほど気持ちがイイのかァ?」
 「な、何度も・・あッ!・・ゆ・・ひて・・ゴメ・・さい・・ゴメなさい・・ゴメンなはいィィい・・・・」
 オルガの連続でまともな思考能力など発揮しようもなくなっている哀れな虜囚を、男はそれと知りながら無情に追い込み、追い上げていく。もはや静音には、呂律の回らない舌でひたすらに詫び、赦しを乞い続けるしか為す術はなかった。


 「いくらペコペコ米をつこうが、言いつけに従わなかったことにはペナルティが必要だな。言っただろ?オレは優しくはないんだよ」
 比良坂は言って、手に持ったままだった注入器を再び静音の眼前にかざした。
 「注射の時間だ。これで少しでも物覚えが良くなるとイイがな」
 「ひッ、いッ!!」
 恐怖に目を見開き、静音は目の前の忌まわしい器具から少しでも離れようと上体を反らすが、無論そんなことは抵抗とすら言えない空しい動作に過ぎない。
 まくり上げられた体操着の裾から絞り出されるように前方を指しているバストに器具が押し当てられ、アッという間もなく左右それぞれの肉房に薬液が注入されてしまった。
 「ああッ!」
 悲鳴と共に身を仰け反らせる静音を、比良坂は気に入りのオモチャを慈しむかのように胡座の上で弄び続けながら、
 「さて、どれだけ大した薬効があるのか興味津々だな。アゲットから話を聞いただけで、この新薬を試すのはオレも初めてなんだ。まあお前のオッパイに植えてある新種チップと対になってる薬なんだから当然だがな。んッ?・・・」
 オヤッという表情になって視線を落とす。
 比良坂の言う「薬効」が、驚くべき速さで少女の肉体に現れ始めていた。
 たった今薬液を打ち込まれたばかりの乳房が、まるで男の腹を押し戻そうとでもするようにムクムクとふくれ上がりつつある。ただでさえ尋常ではない大きさに変質させられているそれらがさらにボリュームを増す様は、まさに怪しくも淫靡な光景としか言いようがない。


 「こりゃあ脅威の効果ってヤツだな。アゲットが自慢タラタラなのも分かるぜ。なあ?」
 「ふッ、ひううッ!」
 ピンと乳首を弾かれて、静音は咳き込むような泣き声と共に背を丸め、歯を食いしばった。
 変異はその乳首付近にも現れていて、まず乳輪部分が通常の数倍にも面積を増した上、乳房から大きく盛り上がり、そこからさらに乳首がキリキリと固く、高く絞り出されている。
 色味も急速に血のどす黒さを加えており、それにつれ一帯の毛穴が皆大きく盛り上がって、周囲に脂肪の粒をプツプツと浮かせ始めているのが異様であった。
 元々の、豊満に過ぎる乳房に不釣り合いなほど清楚な色形はすっかり消失し、今や一種グロテスクと言っても良い外観を呈し始めている。


 「さあ見せてくれ、効果のクライマックスってヤツをな。もう辛抱たまらなくなってきてるんだろうが、ええ?」
 言いながら比良坂は、依然膨張を続けている桃色の紡錘をズシリと掌に受け、とても包みきれない熱い肉を指の間からタップリとこぼしつつ、乳房を丸ごとむしり取ろうとでもするかのような乱暴さでグイと揉みしだいた。
 「ぎあッ」
 獣じみた叫喚を上げ、静音は後ろ手にされた不自由な上体をガクガクと震わせる。
 「イヤ、イヤ・・苦ひいの・・お願いです・・触らはいで・・・苦ひ・・ダメ・・もうダえです・・・」
 新たな涙をボロボロこぼし、身を揉むようにして赦しを乞う少女の体内では、彼女をまさに断末魔へと運ぶ凄絶な感覚が荒れ狂っていた。
 あまりに強烈すぎて、もはや苦痛としか思えないエクスタシーの奔流が、神経を焼き尽くすようにして全身からバストへとなだれ込んでくる。
 それは乳房を内側から強く突き上げ、破裂しそうに膨張させていく具体的な力とさえ感じられ、静音はそれに引きずられ、必死に引き戻すかのように胸元を前後させて喘ぐのだった。
 一方肉の楔(くさび)を打ち込まれたままの女体の芯も、相変わらずの異常な官能に奥の奥まで満たされており、痺れるようなアクメを間断なく脳髄へ叩き付けてくる。まるで性器官としてのプライドを乳房と争ってでもいるかのようだ。
 「もうあメ!・・来ちゃいます!・・上がってくるの!ゆひて・・もう許ひてくだはい・・後生ですから・・も・・どか・・うッ、ああッ!・・」
 何が「上がってくる」のだか、意味不明のことを泣き叫びながら身もがく静音の目が不意にカッと見開かれ、仰け反らせた上体がブルルッと痙攣したかと思うと、大きく振り出された乳房の先端から何かが猛烈な勢いで放射状に迸った!
 「ィぎャああああーッッ!」
 凄まじい叫喚を上げる静音の身体、そして向かい合った格好の比良坂の裸身にもそれは存分に降り注ぎ、ヌルヌルと粘く皮膚を覆っていく。


 驚くほど大量の、それはクリーム色に輝く母乳であった!
 最前注入された薬液は、乳房に植え付けられた新種のバイオチップに真の機能を発揮させる誘発剤だったのだ。その機能とは、乳腺を異常発達させ、母乳を急速かつ爆発的に生産させるというものである。
 薬液は脳下垂体にも影響を及ぼし、泌乳刺激ホルモンの大量分泌を促す。つまりたとえ妊婦でなくとも強制的に母乳を放出させられてしまうのだ。
 さらに・・・・
 ビュッ、ビュッ、ブビュブブブブッ!!
 まるでゴムチューブから練り物がひねり出されるような異音と共に母乳が迸るたび、
 「ひあッ!うッ!・・ぎゃッ、あッやーッ!!」
 静音は後ろ手にされた身体を狂おしげによじり、震わせて、それこそ断末魔さながらの絶叫を張り上げる。それは放出される母乳が、行きがけの駄賃よろしく、この世のものとも思えない凄絶な性感で女体を蹂躙してゆくからだった。この忌むべき効果故に、彼女は薬液の注入をあれほど恐れたのだ。
 もしも静音が男性の射精感覚を知っていれば、丁度それを数万倍にも倍増したような絶頂感が、まさに自らの肉体を苛んでいることが分かっただろう。
 もはやそれは快感などと呼べるものではなく、熱せられた鉄棒のように硬質の実感を伴った官能が、乳腺を激しく摩擦し、焼き焦がしながら突き抜けていくような凄まじい感覚だった。


 「こりゃスゲェや。おっとと、垂れ流しにしとくのは勿体ねェな」
 絶え間なく吹き出す母乳の圧倒的な量に呆れつつ、比良坂はその奔流を受け止めるように乳房へとむしゃぶりついて、
 「むほッ、甘ェ!」
 ウソだかホントだか、とにかく下卑た口調でそんなことを言いながら、肥大化した乳首を強く吸い、舌を巻き付け、コリコリ噛み絞ったりと、執拗に刺激を加え続ける。それが静音の性感をさらに抜き差しならない高みへと追い上げ、女体の芯が蠕動、収縮するリズムを激しくして、男の官能をも増す結果となるのだった。
 「おうおう、堪らねェな。まるで両側からローラーでたぐり込むみたいに締め付けてくるぜ。初手からこのくらい男を悦ばせられりゃ上等だ。やっぱ素質あるぜ、お前さん」
 「やッ、もうヤ・・ヤダよォ・・・たふけて・・・恵麻里さん・・助け・・くだはい・・ヤダ・・・たふけてェ・・・・」
 この世ならぬ凄絶なアクメに打ちのめされ、もはや幼児のように泣きじゃくりながら、静音はここに囚われてからもう何度目になるだろう、パートナーに対する必死の救出願いを叫んだ。
 ムダとは分かっていても、その名を呼ぶことが理性を繋ぎ止める最後の糸であるかのように、我知らずに口をついて出てしまうのだ。


 「まァだお友達に助けて欲しいってか?いい加減あきらめろよ。その娘も今はクリスの腹の下で汁だらけになって、意地汚くお代わりをねだってる頃だろうぜ」
 「う、ウソですッ・・そん・・・ひッ!ふあッ!」
 「おっと、お前の身体ン中があんまりイヤらしく動くもんだから、こっちももう辛抱堪らなくなってきたぜ」
 急速に登り詰めた様子で息をせわしくし、比良坂は静音の背を抱え直すと、
 「さあいくぜ。ミルクのお返しにコチラもタップリ飲ませてやるからな!」
 その言葉と同時に、男の豪槍はビクビクとたくましい脈を打ち、次いで汚れた濁液を再び大量にほとばしらせた!
 生身の異性を初めて受け入れさせられたばかりの静音の胎内に、それは猛然と叩き付けられ、一杯に跳ね返り、子宮の隅々までを熱く満たしてゆく・・・
 「イはッ!アアアアアーッ!!」
 絶叫と共に身を仰け反らせる静音の乳房から、まるで受け取った精への返礼ででもあるかのように激しく母乳が噴き出し、比良坂の顔面を打つ。
 同時に、哀れな奴隷少女はその精神の最後のテンションを失って、汗と涙、そして母乳とでヌルヌルに汚れた身体を、力尽きた殉教者のように、男の太い腕の中へと預けていった・・・・


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