(第五夜)


小百合「くくくく。」
吉美「くくくく。」
美佐「みんな、いったい、またわたしのことを誰かがわなにかけるために…。」
美佐のまわりにいる女子生徒たちの表情が急に不気味になり、美佐を取り囲み始めるのであった。女子生徒の頬にはくっきりとさそりがまるでタトゥーのように浮かび上がっていたのである。
小百合「おほほほ。美佐の命もあと少しね。」
吉美「そうよ、おまえはもうすぐ死ぬのよ。」
美佐「こうなったら、しかたないわ。」
美佐は天井を目がけて飛び上がっていた。蛍光灯が壊れ、その破片が取り囲んでいた女子生徒たちのうえに勢い良くふりかかったのであった。
吉美「ぎゃあ。」
小百合「ううっ。」
女子生徒たちがうずくまっているすきを見て、教室の外に抜け出た美佐だった。
しかし、廊下に出てもまた別の女子生徒たちが美佐の行く手をふさぐのであった。
美佐「この学校の女の子たち、みんな…。」
美佐の通っていた女子高の生徒たちはほとんどがさそりの毒に侵されていたのである。
次々に美佐をめがけて女子生徒たちが攻撃してきたが、そのたびに撃墜して逃げ惑う美佐であった。
美佐「なにものかのしわざね。」
美佐はなかなか学校の外から出られなかった。
その間にも、さそり人間をふやしていこうとする恐ろしい計略が実行に移されようとしていた。

雅耶「おほほほ。美佐もしばらくあの学校から出られることはないわ。」
昌子「そしたら、この後はどうしましょうか。」
昌子の三つ編みにしていた黒髪をほどいて背中から櫛をかけて雅耶がとかしていた。雅耶も自分の髪の毛を学校に通っていた時のように耳もとにヘアゴムをとめて三つ編みにしていた髪形になっていた。
雅耶「あなたの仲間をふやすのよ。あなたはそのなかで女王になれるのよ。」
昌子「女王に?」
雅耶「そうよ、さそりの女王よ。」
昌子「それば楽しみでございますわ。」
雅耶が昌子の髪をとかし終えて、またもとの三つ編みに結い直していた。
雅耶「ふふふふ。あの男の子を使って今度は小学校を乗っ取るのよ。」
昌子「女子高の次は小学生ね。子供たちもさそりになるのね。」
雅耶「そのとおりよ。」
雅耶が昌子の髪を編み終えると、自ら着ていた服を脱ぎ始め、下着もずらして露骨な女の下半身をあらわにするのだった。
雅耶「さ、ここをおなめ。」
昌子「はい。」
雅耶「おほほほ。あなたは女のわたしから見てもハアハアしてしまうぐらいきれいだわ。」
昌子「わたしも。雅耶さまの身体を味わってみたくてたまらないです。」
雅耶「うふふふ。」
雅耶が昌子の編んだばかりの髪をなで始めると、昌子が雅耶の下半身をなめ始めていた。なまめかしいレズ行為が行われようとしていたのである。

昌子の命令を受け、咲男も二本の三つ編みの髪を垂らした女学生の姿のままで小学校の裏側まで来ていた。
咲男「ふふふふ。あそこが女子便所のようだな。」
そのまま飛び上がって窓から便所に入っていったのであった。
女子便所の一室にちょうど小学六年生の児童、里内悦子(さとうち・えつこ)が入っていた。咲男の好みどおり髪の毛を長くしていて、両側の耳もとに白いヘアゴムをくくってツインテールにして垂らしていた。悦子が用足しをしようと下着をずり降ろしたところに、背中から咲男がとびついていた。
悦子「うっ、うぐぐ…。」
咲男「ふふふふ。おまえからまずさそりにしてやろう。」
悦子「きゃあ、だれ?」
咲男は悦子の両方のおさげ髪をそれぞれの手でわしづかみにして、自らも着ていた女学生用の制服のスカートを脱ぎ、性器を悦子の腰にあてはじめていた。悦子の首にかみつきながら、精液もとびださせて興奮するのであった。
咲男「くくくく。」
悦子「いやー!」
だが、一瞬のうちに悦子の表情はこけ、顔にはさそりの絵がタトゥーのように浮かび上がり、一瞬がくっとなったかと思うとすぐにうつろな表情で目覚めるのであった。
便所を出てうつろな表情のまま悦子は教室に戻っていた。しばらくは何事も起らなかったが、やがて教室の外の天気が急に悪くなり、雨雲が発達して雷が鳴ると教室も停電になった。その時、悦子が急に長いおさげの髪を舞わせながら立ち上がるのであった。
悦子「くくくく。」
他の女子児童「悦子さん、急にどうしたの?きゃあーっ!」
悦子の姿が恐ろしいさそり人間に変わっていた。あわてて他の児童が逃げ惑うなか、ひとりの男子児童である岩越弓男(いわこし・ゆみお)が悦子の手につかまっていた。
弓男「うわーっ!」
悦子「うふふふ。あなたもさそりになるのよ。」
悦子につかまり、髪の毛をかぶせられてがぶっとかみつかれると、弓男も倒れ、さそり人間に変身しながら起き上がってまた別の女子児童を襲いにいくのだった。
弓男「くくくく。」
和江「きゃーっ!」
弓男は、大沼和江(おおぬま・かずえ)の一本の三つ編みにまとめていた髪をわしづかみにして背中から襲っていた。倒れた和江も、三つ編みの髪を舞わせながら立ち上がって他の者に襲いかかりはじめていた。
全員「きゃーっ!」
さそりのウィルスがあっというまに広がり始めていたのである。

女学生の姿になっていた咲男は、そのまま昌子の家に戻っていた。この姿のままではもちろん自分の家に戻ることなどできないだろうと考えていたためであった。
咲男「はあはあ、あっ…。」
戻った家のなかには、あの三人のさそり少女たちが待っていたのであった。
美幸「あら、お帰り。」
芳子「まあ、三つ編みしてるわ。」
久美子「ほんとだ、よく似合う。」
さっそく、少女たちに髪の毛を咲男はひっぱられていた。
咲男「待って、みんな、ほら、着ている服ぬがないとあなたたちと遊べないでしょ。」
美幸「まあ、遊んでくれるんだわ。」
芳子「うれしい。」
久美子「やっぱり、男の子がいないとね。」

美佐は、依然として女子高のなかで他のさそりにされている女子生徒たちと戦っていなければならなかった。
美佐「はあはあ、だんだん疲れてきたわ、こんなことでは…。」
小百合「うふふふ。どうしたのかしら。」
吉美「もうあきらめるかしら。」
美佐は、実際に多くの敵と戦うことで、だんだんと力を消耗しているようであった。
美佐「このままでは…。」
小百合「おほほほ。この学校にいる生徒はみんなさそりになったわ。」
吉美「もう、おまえしか人間はいないんだよ。」
素顔なら、美しい長い黒髪やおさげ髪の少女たちが、すっかり悪魔と化していた学校であった。
美佐「いったい、この子たちをどうしたら…。」
はたして、美佐はこのピンチをぬけだせるのだろうか。


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