第2話 業火の花嫁 中編
「本当に早紀姉が・・・??」
「おや、お知り合いで・・・ってそうでしたな。彼女はあなたのお父様の・・・」
「小さいころから可愛がってくれた人です。でも、あの人が殺しなんて・・・」
「私もその意見には同意ですよ」
信じられない報告に真は弱々しく首を振る。佐々菜の後継者として育てられた真の周りの大人はいつも真を異常なほど恭しく接してきていた。そんな大人たちの態度が真は胡散臭くて嫌いだった。裏には絶対何かある、幼い真から見ても分かるほどにあからさまな接し方であった。それは明日香たち妹たちも同様で、大人を蔑視するような生活を強いられることとなった。そんな真たちに分け隔てなく接してくれたのが、早紀香であり、美沙香であった。2人は真たちを何の思惑もなく接し、ご飯を食べさせ、遊びに連れて行ってくれた。だから真たちは早紀香たちを姉と慕っていた。そんな早紀香が人殺しなどするはずがない。それが真の揺るぎない思いであった。そんな真の思いに近藤は重々しく頷く。
「??近藤さんは早紀姉のことを??」
「ええ。昔ある事件でちょっと・・・」
湊明日香誘拐事件、真の知らない早紀香の姉明日香が行方知れずになったこの一件を近藤が捜査に携わっていた。そのとき早紀香から話を聞く機会があり、そのときの印象が近藤には今もはっきりと残っていた。そのときの印象から考えても早紀香が生徒を殺したとは考えにくかった。これは近藤の長年培ってきた刑事としての勘であった。
「そうですか・・・でも、早紀姉は・・・」
「残念ですけど、いまは身柄を拘束させていただくことになります・・・」
「ですよね・・・無罪の証拠はなし、逆に有罪の証拠があっては・・・」
真はそこまで言って黙り込むしかなかった。死体に付着した口紅の唯一の保持者、たったそれだけのことだったが、第一容疑者として早紀香の名前を挙げるには十分であった。それを上回る証拠を提示しなければ早紀香の無罪は証明されないだろう。アリバイがあれば話は別だが・・・
「身柄を、ということはアリバイも・・・」
「ええ。それを証明できる人はいないようです・・・」
事件が起こった時間帯、早紀香は準備室にいたと証言しているが、それを証明してくれる人は誰もいなかった。となれば、口紅という証拠で逮捕されるのは時間の問題かもしれなかった。せめて早紀香が犯人ではない、犯人は別にいると証明できればと、真は自分が目撃した現場のことを思い返す。
(被害者は鈍器のようなもので後頭部を一撃、ほぼ即死状態。で、その凶器はまだ・・・)
あの狭いトイレの中で長い鈍器、鉄パイプや金属バットを振り回すのは不可能だ。となれば考えられるのは金槌。しかし血の着いた金槌などどこかに隠してあったとしてもすぐに見つかる可能性が高い。それが未だに見つかっていないところを見ると、凶器は犯人がまだ隠蔽しているか、すでに存在していないか・・・
(凶器をこの世から消す??でも金属を消すにはそれなりの・・・)
真は目を閉じて考え込む。そんな真の頭の中にもう一度事件現場が鮮明に甦る。そんな真はその事件現場にある違和感を覚える。小さな鈍器を振り回して後頭部を一撃し、被害者を殺したはずなのに何でパイプが破砕し、水があんなに溢れていたのだろうか。もし被害者ともみ合っているうちに壊してしまったというなら、トイレの中に争ったあとがあるはずである。
「近藤さん、トイレの中に争った痕跡は??」
「いえ。油断しきった被害者の後頭部をこう、一撃で・・・」
近藤は何かを持つ振りをしてそれを振り下ろす格好をする。その話を聞いた真はますます納得がいかなかった。争った痕跡が残されていたのならトイレのあの水の氾濫は納得がいったかもしれない。誤ってパイプを破砕してしまったかもしれないからだ。しかし、争った痕跡がない以上、犯人が故意にパイプを壊していったと考えるのが妥当だった。
「何か一つ、見落としているような・・・」
「まあ、ここは一つこれでも飲んで・・・」
真はぽりぽりと頭をかきながら繋がらないパズルのパーツを必死になって継ぎ合わせようとする。しかし、どんなに考えてみてもしっくり来ない。難しい顔をして考え込む真に木村がカップに入ったコーヒーを手渡してくれる。それを礼を言って受け取った真はカップの中身を見てまた考え込んでしまう。時期を考えてか、ホットではなくアイスコーヒーであったので氷が浮いていた。その氷がどうにも気になって仕方がなかった。
(凶器は鈍器・・・水の氾濫・・・氷・・・氷・・・そうか!!)
「分かりましたよ、近藤さん!!」
「な、なにがですか???」
ようやく繋がらなかったパズルのピースがピッタリと繋がった真はガッツポーズを取って近藤に声を掛ける。同じくコーヒーを飲んでいた近藤は驚いた表情を浮べて問い返してくる。しかし、真の過去の実績を知っている近藤は真ならこの事件を解き明かせるかもしれないと密かに期待していた。
「まず、犯人ですけど、被害者と顔見知りだと思います」
「ふむ。たしかに・・・争った痕跡がない以上、よく知った仲といえますな・・・」
「ええ。でも早紀姉は被害者の担任であったことも、授業を一度も受け持ったこともない」
「つまり同じ学校にはいても面識はなかった??」
「ええ。教師と生徒という関係はあったでしょうけど、気を許すほどとは・・・」
真の話を聞いた近藤はなるほどと唸る。背後から致命傷となるような一撃を喰らっている以上、被害者が相当気を許していることは間違いない。ただの教師と生徒という関係だけでそこまで気を許すかといえば相とは思えない。しかし、それだけで早紀香が犯人ではないとは言い切れない。
「次に凶器ですけど・・・多分探しても見つからないと思います・・・」
「???何故ですかな??」
「犯人が凶器をすでに処分してしまったからです、あのトイレで・・・」
「!あのトイレで??」
「ええ。最初からあそこで捨てていくつもりだったんですよ。氷の鈍器をね」
真は自信満々に答える。真の言葉を聞いた近藤は大きく頷く。氷を太く固めれば十分な凶器になる。それで殴ってその凶器をそこに放置してゆけば、その凶器は自然に消えてしまうはずである。もちろん、それを早めるためにトイレのパイプを破砕して水を溢れさせたのだろう。溶けてしまった凶器を回収することは不可能に近い。
「なるほど・・・それでは犯人の立証は難しいな・・・」
「でもないと思いますよ」
「??それはどういう意味かね?」
「氷で出来た鈍器なんてそう簡単にはできません。つまり・・・」
「そうか。どこかに保管しておかなければならないというわけか!」
「ええ。でも学校の冷蔵庫に入れていたら誰かに見られる可能性がある。なら・・・」
「保冷バックに保冷剤を入れて持ってきているということか・・・」
真の推理を聞いた近藤は木村にすぐさま保冷バックを持っているものを探すように命じる。木村は頷くとすぐさま部屋から出てゆき、配下の警官に今命じられたものを探すのを手伝わせるのだった。木村が出てゆくと、近藤はまた真の方に向き直り改めて話を続ける。
「しかし、何故そんな凶器を用意したのかね?」
「まあ、始末がしやすいということと逃げやすいというのがあると思います」
「逃げやすい??」
「凶器を水の中に捨てて手袋を外せばそれだけで目撃者に早代わりですから」
「そうか。事件が起こってすぐに誰かに来られても凶器がない犯人は第一発見者・・・」
「そう言うことです。で、警察が来るまでに手袋を始末してしまえば物証はないですからね」
物証がなければ第一発見者は怪しいだけのただの第一発見者に過ぎない。凶器はすでに消えてなくなってしまっているし、指紋や血の着いた手袋も存在しない。保冷バックなどは持っていたからと言ってそれを物証とすることは出来ない。つまり警察には捕まえることは出来ないし、被害者との繋がりが見つからなければそれまでだ。そんな話をしていると、木村が息を切らせて走って戻ってくる。
「どうだった??」
「保冷バックを持っていたのは1人だけ。美鈴里華教諭だけです」
「そうか。で、そのことはなんと?」
「なんでも手作りのプリンを持ってきたとか・・・同僚の教師達はそれを昼食時に食したと証言してます」
「そうか・・・彼女は犯行時どこにいたと?」
「顧問の新体操部の様子を見に体育館へと向っていたと・・・それは生徒達も目撃しています」
木村は聞き込んできたことをすらすらと近藤に語って聞かせる。美鈴の担当は1年で3年の被害者と面識はないという。顧問も新体操部なのでラグビー部の被害者と顔をあわせることはないに等しかったらしい。一生徒として面識はあってもそれ以上の関係も、面識もないに等しいということだった。その話を聞いていた真は大きく頷く。
「じゃあ、僕のほうでそれは調べてみますよ」
「できますか?そんなことが??」
「ええ。それじゃあ、わかったら連絡しますので・・・」
「あ、そうだ、真君!!」
「??なにか?」
「湊早紀香先生だけど、諸月の奴が身柄を押さえてしまって・・・」
木村が急いで戻ってきた理由の一つはこれであった。口紅のことを知った諸月が手柄を焦ったのか、勝手に早紀香の身柄を拘束してしまったのだ。口紅だけでそんなことをしたらまずいことは近藤も分かっていた。だから慎重に捜査を進めていくつもりでいたのだが、親の七光りでこれまでも強引な捜査を繰り返してきた諸月はそのことが分からなかったらしい。もしかすると今回も強引に早紀香を犯人に仕立て上げて立件してしまうかもしれない。先ほどの諸月の印象からそんな事を感じた真はしばし考え込んだが、すぐに部屋から出てゆこうとする。
「僕は先ほど言ったように美鈴先生のことを調べてみます」
「しかし、よろしいんですか?諸月のバカが無理矢理立件してしまうかも・・・」
「大丈夫ですよ。多分今頃明日香にぶん殴られている頃でしょうから・・・」
真はふっと笑うと部屋を後にする。そんな真の笑みの意味がわからなかった近藤と木村はお互いの顔を見合わせて首を傾げるのだった。因みに早紀香はその日のうちに証拠不十分として釈放された。諸月には大量に始末書、父親からの御小言、そして頬に真っ赤な紅葉がプレゼントされたという。
「麗、麗はいるか?」
真はドアを開け部屋の中に入ってゆく。部屋の中は薄暗く人の気配はまるで感じられない。ただ部屋の各所に設置されたモニターが不気味に光っているだけだった。真は頬をかきながらドアを閉め、部屋の中に進んでゆく。部屋の置くには一際大きなモニターがあり、そこには大きな椅子がぎしぎしと音を立てていた。足音を忍ばせて歩み寄った真は椅子の中を覗き込む。そこではメガネをかけた少女がうつらうつらと眠りこけていた。年のころは13,4歳、まだ幼さが抜け切れていない顔立ちをしていた。真は笑みを浮べてその少女の寝顔をじっと見つめていた。
「うにゅぅぅ・・・・お兄ちゃん・・・しゅき・・・」
心地良さそうな寝顔を浮べた少女はそんな寝言を口にする。真はそんな寝言に苦笑いを浮べる。このままこの寝顔を見続けていたい気もしたが、今は優先しなければならないことがあったので、少女の鼻を摘んで起こしに掛かる。息苦しくなった少女は表情を歪め、やがてうっすらと目を開ける。
「んんっ・・・お兄ちゃん??」
「起きたかい、麗?」
真はまだ寝ぼけ眼の妹に優しくキスをしてやる。ようやく意識がはっきりとしてきたのか、麗は真にひしと抱きつきその胸元でゴロゴロと喉を鳴らしてその喜びを表現する。しばらく麗のしたいようにさせていた真だったが、やがて自分の用事を切り出す。
「麗、悪いけど調べてもらいたいことがあるんだ・・・」
「何をですか?それにそんなに慌てて・・・」
「早紀姉が殺人犯にされかかっている。この事件をなんとしても解決しなくちゃならないんだ」
「早紀おねえちゃんが??うん、分かった。で、何を調べるの??」
「小山田陽または美鈴里華2人に関わる過去を洗い出して欲しい」
「???そう言う仕事は真菜華ちゃんのほうが・・・」
麗は真のお願いに妹の1人の名前を挙げて答える。過去の事件について調べるならば芸能界に籍を置く真菜華の方がより早く、詳しく調べられるはずだった。それは真も十分に承知していた。
「真菜華にはもう調べるようにお願いしてある。それとは別にお前にも調べて欲しいんだ・・・」
「別に構いませんよ。でも・・・」
「ご褒美が欲しいんだろう?ちゃんと前払いであげるよ」
真のお願いに麗は大きく頷く。その程度のこと麗には造作もないことだった。しかしそれをただでやる気はしなかった。最近ご無沙汰だった兄との再会に麗の心は大いに喜びに満ち溢れていた。それは真も感じ取っていた。そして同じ事を真菜華からもお願いされている。こちらはまだ顔をあわせていたにので後払いになってしまっているが・・・
「本当ですか?じゃあ、すぐに・・・」
「いいよ、麗・・・さ、目を閉じて・・・」
「んっ・・・」
真の呼びかけに答えて麗は目を閉じる。その麗の薄いピンク色をした唇を真の唇が塞ぎ込む。真の熱を唇から感じ取り、麗は熱い吐息を漏らす。そんな麗の体をさらに熱く燃え立たせるように真の舌先が麗の口の中に入り込んでくる。その舌を麗はなれた仕草で受け入れる。二人の舌と舌が妖しく絡み合う。
「んんっっ、ちゅばっ、あはぁぁっっ・・・」
舌と舌が絡み合い、唾液と唾液が交じり合う。ただのキスだというのに麗の体はもう燃えそうなくらいにまで熱くなっていた。体の奥底から燃え立つような熱さはそこから込み上げてくる欲望を限りなく増大させる。もっとキスをしたい、いやもっと自分を貪って欲しい。そんな淫らな欲望が止め処なく込み上げてくる。それを押さえ込むことは麗には出来なかった。だから真の足に跨った股座を真の太股にこすり付けていやらしく腰を振る。半ば無意識の内にしていた行動であったが、真をその気にさせるには十分であった。
「キスだけでそんなに燃え立っちゃうなんて・・・麗もエッチになったね・・・」
「麗がエッチになったんじゃありませんよ。お兄ちゃんだからエッチになれるんです!」
「嬉しいよ、麗。じゃあ、もっとエッチになって・・・」
真は一度唇を離す。絡みあった唾液と唾液がいやらしい糸を引いてお互いの間に名残惜しそうに橋を掛ける。腰を動かすのをやめようとしない麗をからかうような言葉を投げかけると、麗は首を振ってそれを否定する。自分がエッチになれるのは真だけ、真にだけは自分の全てをさらけ出せる。麗はそのことを知っていた。そしてそれは他の妹たちも同様であることも。少しでも大好きな兄と一緒にいたい、ただその一心で真に甘えてくる。そんな妹の態度が真には嬉しくも恥ずかしくあった。そして異母妹とはいえそんな妹に手を出す自分が恥ずかしく思えた。
「恥ずかしいなんて思わないでいいよ、お兄ちゃん・・・」
「麗??」
「明日香ちゃんも他のみんなも、お兄ちゃんだからすべてを捧げられるの・・・」
「・・・・・・」
「お兄ちゃんだから抱かれても後悔しないの。だからおにいちゃんも後悔しないで・・・」
「・・・・・分かったよ、麗・・・」
麗の言葉に真は頷くと、麗に身を包む衣服を一枚一枚丁寧に剥ぎ取ってゆく。その間に麗は自分の周りに配置されたキーボードを駆使して真に頼まれたことを検索してゆく。いくつものコンピューターが同時に起動し、麗の手足となって麗の求めるものを探し出してゆく。
「っんっっ・・・美鈴里華に関することで幾つかヒット・・・」
「はやいね・・・その調子で頼むよ・・・」
「うん・・・あんんっっ!!」
キーボードを操作する麗は検索に美鈴里華の名前を見つけ、そこから彼女に関する情報を引き出してゆく。その間に真は麗の衣服を全て剥ぎ取り、生まれたままの姿で椅子に座らせる。そして自分も前屈みに座ると、麗の肉付きの薄い胸に顔を埋めてゆく。年齢的ことを考えても麗の胸の肉付きは少なかった。そんな麗の胸を真はスキだったし、麗自身気にしていなかった。気にしたところで大きくなるものでもない、まだまだ先はあるという考えからだった。そんな麗の胸を真は両手で包み込み、優しく傷付けないようにしながら揉みしだいてゆく。
「んくっ、これといって事件に関する記述はない・・・あんっ・・・」
美鈴里華のことを調べ上げる麗はそこに記載された情報に真が求めることがしるされていないことを確認しながら作業を進めてゆく。そんな麗の体を体を真の舌が這いずり回る。白い肌に幼い体付き、そんな麗の肢体を真は丹念に舐め上げてゆく。そんな真の舌の動きに麗は体を震わせて反応する。反応しながらもての動きは止まらない。
「ふあぁっ・・・か、家族構成から・・・んんっ、調べなおしてみるね・・・」
「ああ、頼むよ・・・」
顔を真っ赤に染め上げながら喘ぐ麗は正面からの検索に限界を感じる。そこで検索の範囲を広げて美鈴里華のことを調べ上げてゆく。先ほどまでよりも奥の情報が画面に映し出され、その中から必要なものだけが残されてゆく。さらにそこから新たな情報を見つけ出し、広げてゆく。そんな作業を繰り返してゆく。その間に真の麗の小さな胸のツボミに舌を伸ばしてゆく。まだわずかな固さしか持っていないつぼみを舌先で転がしながらゆっくりと口に含んでゆく。軽く吸い上げながら舌先で転がしてやると、徐々につぼみは大きく固くなってくる。
「んんっっ、ああああっっっ・・・」
「可愛いよ、麗・・・」
ころころと固くなった乳首をざらざらとした舌で舐め上げてやると、我慢できなくなった麗は大きな声を上げて喘ぐ。そんな麗の姿が愛しくて、真はさらにその肢体を舐めまわす。両の乳首は痛いほど張り詰め、真っ白な肌はピンク色に染まり、じっとりと汗が肌に張り詰めていた。そんな麗の体を貪りながら、真の手は徐々に舌へと延びてゆく。
「麗、少し力を抜いて・・・」
「お兄ちゃん・・・」
「大丈夫、すぐに気持ちよくしてあげるから・・・」
真の手がどこに伸びてゆくかを感じ取った麗の体に力がこもる。それは麗の体に触れる真にも伝わってきた。力がこもったために麗の命の泉への道は硬く閉ざされてしまっていた。そこを無理矢理こじ開けるつもりは真にはなかった。麗の体を優しく撫で回し、その緊張を解いてゆく。そして優しく語りかけ、体の力を解してゆく。麗の体から徐々に緊張がほぐれ、きつく閉じられていた両足がゆっくりと開かれてゆく。真は麗の腰や背中を撫でながらそのまま手を滑らせてその両脚の間に手をもぐりこませてゆく。真の手が自分の股座に入ってくると麗の体はまた一瞬固くなる。
「大丈夫、すぐに気持ちよくなるから・・・」
「・・・・うん、お兄ちゃん・・・」
麗がまた緊張すると察した真はその耳元でそっと囁く。その言葉に安心したのか麗の体から固さが消えてゆく。麗のまたの間にもぐりこんだ指先が白い下着に覆い隠された麗の秘所に触れる。じっとりと湿り気を帯びた秘所に指先が触れると、麗は甘い声を上げて悶え始める。そんな裏らをもっと気持ちよくしてあげようと、指先で下着をこすりあげる。
「ふぅぅっっ、あああっっっ!!」
指先で布地越しにヴァギナを擦りあげてやると、麗は顔を朱に染めて悶え始める。その声に呼応するかのようにヴァギナを覆い隠す布地を濡らす蜜の量も増してくる。最初は指先に感じられる程度の湿り気だったが、擦り上げるほどに置くから蜜があふれ出してきて下着を濡らしていった。やがて下着はびっしょりと濡れ潤い、指で擦りあげてやるだけでもクチュクチュという音が響くほどであった。それだけ麗が感じてくれている、そう思った真は秘所を撫でる指を下着の裾からその下へと潜り込ませてゆく。すでに十分なほど潤った秘所は甘い蜜を湛えて真の指を迎え入れる。その誘いに乗るように真は指先を直にヴァギナの中に滑り込ませてゆく。
「んんんっっ、あああああんんんっ!!」
指先を濡らす湿り気と厚い肉圧が真の指を迎え入れる。その感触を確かめるように真はゆっくりと麗の膣内へと指を滑り込ませて行く。指が麗の膣内に入り込むたびに麗の口からは甘く、憂いを帯びた声が漏れてくる。そしてその喘ぎ声の端々にもっと、もっとと真を求める声が加わってくる。その声に答えるように真は指を麗の膣内にもぐりこませ、その中をゆっくりと指先でかき回してゆく。かき回しながら膣壁を指先で擦りあげ、麗が喜ぶように愛撫してゆく。その真の指使いに麗の声はさらに大きく、艶を帯びてゆく。体は快感に飲み込まれながらも麗の手の動きは止まらない。
「はぁぁっっ、もっと、もっと、もっとぉぉぉっっっ!!!」
真の愛撫を受けれながら麗はさらに大きな声を上げて悶える。悶えながらその指の動きはさらに加速してゆく、検索されてゆく情報は山のようにつもり、麗はその中から真が求める必要なものだけを残してゆく。そんな麗を褒め称えるかのように真の愛撫は加速ししてゆく。噴出した愛液が指を伝って椅子までも濡らして行く。
「そろそろ・・・・いくよ?」
「・・・・うん、お兄ちゃん・・・」
麗のヴァギナから指を引き抜くと真は、麗に自分のいきり立ったペニスをむき出しにし、それを麗の潤いきったヴァギナにこすり付けてゆく。溢れ出す愛液がペニスにへばりつき、にちにちとイヤらしい音を奏でだす。その音と股間から聞こえてくるいやらしい水音に麗の体は興奮度が増して行く。股間から感じられる熱いものを自分の中に入れて欲しい、そんな欲望が麗を突き動かす。突き動かされた麗は自分から股を開き、下着を脱ぎ捨てる。そして椅子の肘掛に両足を乗せ、両足を大きく広げて真を誘うように腰をくねらせる。その誘いに乗って真とはびくびくと血管を浮かび上がらせて戦慄く肉棒を麗の股座の中心部に捻じ込んでゆく。すでに処女膜はなくなり、何度も真の肉棒を受け入れてきた麗の膣道は真をすんなりと受け入れる。
「あああんんっ!!!お兄ちゃんのが、お兄ちゃんのが!!」
「んっ?麗、もしかして入れただけでイっちゃった??」
麗は真を受け入れて絶叫する。膣壁を押し広げて収まるそん感触が心地よくて仕方がなかった。根元まで肉棒捻じ込んだ真は自分を取り巻く膣壁のうねりに首を傾げる。締め付けてくるだけではなく、小刻みに震えているのが良くわかった。その感触に真は麗が挿入しただけで絶頂に達してしまったと推測した。それを問いただすと、麗は恥ずかしそうに頷いてくる。
「だって・・・久しぶりだった・・・から・・・」
「そうか、ごめんね、ご無沙汰しちゃって・・・」
「お兄ちゃん・・・」
「その代わり今日はたっぷりと可愛がってあげるからね!!」
「ああんんっっっ!!すごい!!お兄ちゃんのが一番奥まで届いてる!!」
じゅぼじゅぼと真の肉棒が麗の秘肉を激しく出入りする。奥から引き抜こうとすると、カリがヒダヒダをめくり返し、肉壁を刺激する。ヴァギナから抜け落ちそうになるくらいまで引き抜くと、そこから一気に最奥まで肉棒を押し入れる。勢い良く抉り込まれた肉棒は麗の命の泉の入り口を激しくノックする。その荒々しくも愛に溢れた真の攻めに麗は感極まった喘ぎ声を止め処なく漏らす。そんな麗を抱きしめ、真はさらに激しく麗を求める。
「んんあああっっ!ダメ、ダメ・・・お兄ちゃん、もう来ちゃう・・・」
「もう、限界??」
「うん、だからお兄ちゃんも・・・いっしょに〜〜〜!!!」
「いいよ、ほら、派手にイくんだ!!!!!」
「ひぎぃぃっっ!!お、奥が、奥が・・・あああああああああっっっっっ!!!」
感極まった麗は限界を訴える。そんな麗の求めに応じ、真はラストスパートに入る。それまで以上に激しく、早く肉棒で突き上げ、麗の体を限界まで押し上げる。そして自身もまた限界へ向けて登りつめてゆく。その激しい攻めに限界ぎりぎりまで登りつめた麗にとどめとばかりに子宮の入り口にめりこむほど、激しく肉棒を突き上げる。その瞬間、麗の体は大きく反り返り、全身を強張らせて極みまで達する。結合部からは大量の蜜が噴出し、真の股間を濡らして行く。絶頂を迎えたヴァギナは激しく収縮し、真の肉棒を締め上げる。それが引き金となり、真もまた麗の中に己の欲望を解き放つ。
「あああっ、お兄ちゃんのが・・・いっぱい・・・」
麗はそう言ってまだ自分の子宮にあふれ出してくるものを感じ取るように自分の下腹部を愛しそうに撫で回す。しばし絶頂の余韻に浸り、2人はキスを交し合い、お互いのぬくもりを確かめ合う。やがて真の肉棒が麗の秘肉から引き抜かれ、自然と2人の距離が離れてゆく。
「それで、麗。なにかわかったかい??」
「ええっと、小山田陽については数年前に暴行傷害事件を起こしてます」
「??そんな話、聞いたことないな・・・」
「証拠不十分で釈放されたみたいですよ。学校側ももみ消したみたいですし・・・」
「なるほど・・・で、美鈴里華については??」
「それが、彼女についてヒットした案件によると美鈴里華は2年ほど前から意識不明のまま入院中みたいです」
「な・・・なに??」
麗の言葉に真は目を丸くして驚く。美鈴里華は二年前から意識不明で入院中、それが事実ならば今自分たちの学校に来ている美鈴里華はいったい誰だというのだろうか。しばし考え込んだ真は先ほどの小山田陽の暴行事件についても考える。この二つの事件が繋がっている可能性を・・・
「麗、小山田と美鈴の事件はほぼ同時期に?」
「いいえ。小山田の事件の方が一年程早いです。被害者も男性ですし・・・」
「そうか・・・」
真の疑問を麗は即答で否定する。麗が調べた以上、嘘はないだろう。こうなると二つの事件は別の事件、つながりはないと考えるのが妥当だろう。そこで真はまず、美鈴里華のことについてだけ集中して考えようとする。今自分たちの学校にいる美鈴里華が誰なのか、何の目的があってここに来たのか、そしてどうして小山田陽を殺さなければならなかったのか。
「・・・・・・・・・」
深く考え込む真の意識は深い闇の中に埋もれてゆく。その中で足掻き、もがき、真実という光の糸を手繰り寄せようとする。そんな真の推理を邪魔しないように麗はじっと真を見つめていたまま黙り込んでいた。しばしの沈黙ののち、真の推理は真実と言う光の糸を手繰り寄せてゆく。そんな真の推理を打ち破るかのような携帯の呼び出し音が鳴り響く。
「もしもし・・・ああ、明日香か・・・どうかしたのか?」
『・・・・・・・・』
「!!!本当か?分かった、すぐに行く!!」
明日香からの電話に真は表情を緩めながら聞き返す。すると携帯の向こう側から聞こえてくる声はかなり上擦った焦った声であった。その声の告げる事実に真の表情は曇ってゆく。すぐさま、携帯を切ると、傍らに放置してあった上着を手に取ると麗の部屋から飛び出してゆこうとする。そんな真を麗が呼び止める。
「どうかしたの、お兄ちゃん??」
「美沙姉が誰かに刺されて重傷だって・・・」
真の慌て振りに首を傾げる麗に真は重々しく答える。美沙香が刺された、その事実に麗もまた衝撃を受ける。呆然とする麗を宥めながら、真はいったい何が起こっているのか、真実にたどり着けない苛立たしさを感じていた。感じながらこの一件に深いかかわりを持つ女、美鈴里華のことを思い浮かべるのだった・・・
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