〜004編〜


俺の名はアルベルト・ハインリヒ。

004だ。

毎回思うのだが、この夕食時のみんなの殺気は何とかならないかと思う。

まあ、俺たちむさい野郎どもの中に一人だけ美女がいるんだから、まあ、気持ちはわからないでもないが、毎食、彼女の側の席を取り合っているんだから全く大人気ない。

特に009あたりは、平静を装っているつもりなんだろうが、俺の目からみたら露骨以外の何ものでもない。002にしたってそうだ。007あたりは助平爺さん丸出しだよな。005や008も、無口だがなんかそんな雰囲気があるし・・・。006は・・・・彼だけは色気より食い気だな!

全く0011以降の暗殺者の襲撃だってあるだろうに・・・・。

もっとも、それまでのひと時の平和を満喫するってのもいいんだがな・・・。

といっている俺が、今日は何故か003の隣に座っている。

なんか牽制のし合いでここが空いてしまっていたようだった。

まあ、俺はあんまり気にしていないから何処で食おうと関係ないんだがな。

まあ、しかしなんだな。

確かに003は美人だ。

俺の目から見ても魅力的に見える。みんなの気持ちもわかる。

こうして隣に座ると、俺でさえ、ドキリとすることがある。

まだ、あどけなさの残る綺麗な顔。結構ボリューム感のある胸。そして、スカートから覗くすらっとした美しい足。・・・・・。そして知的な考え方と、女性らしい優しさをも持ち合わせる・・・・。まあ、少々気が強いところはあるがな。

ヒルダとはまた違ったタイプだな・・・・。

おっと・・・。003の奴、足を組替えやがった。

ちょっと、待て!俺までドキドキしてきたじゃねえか!

女の香りがする・・・。

ギルモア博士よ!なんで、003はこんなに生々しいんだよ!博士の趣味か!?

俺の体なんかは、ほとんど機械なのに、003は女の香りさえ立ち上るのかよ!

やべえな。意識が003の方に向いたら、なんか息苦しくなってきやがった。

ヒルダ・・・・。

そうさ。俺はもうあいつ以外の女は愛さねえ。そう誓ったじゃないか、アルベルト!

こんな体に・・・・。他の連中はともかく、俺は・・・俺は脳神経以外は全て作り物だ。

性器らしきものはくっついているが、こんなまがい物で何ができるのかはわからねえ・・・。

俺なんかに愛される女の方が不幸だ・・・。

それに・・・・ヒルダ・・・・。

あれからどれだけの時が流れたか知らないが、俺にとってはほんの数ヶ月前だ・・・。

忘れられねえ・・・・。

俺は服の上から胸元にあるヒルダの指輪を掴んだ。

ヒルダ・・・・。













「ヒルダ!」

俺はその日、部屋に喜び勇んで入っていった。

部屋の中にはヒルダが待っている。

ショートヘヤーの愛らしい笑顔。

「アルベルト。」

俺のことをその澄んだ瞳で包んでくれる。

「やったぞ!ヒルダ!君を西へ連れていけるぞ!」

俺はヒルダの喜ぶ顔が見たかった。

「アルベルト!じゃあ・・・・!!」

ヒルダの顔が大輪のように輝く。

「ああ、動物園の猛獣を運ぶ仕事だ。このトラックに君を乗せていく。今夜だ!」

俺はヒルダの体を抱き寄せながら、彼女に言う。

「今夜・・・・今夜行けるのね・・・・・。ああ・・・・アルベルト、やっと、やっと私たち幸せになれるのね・・・・。」

ヒルダは俺にきつく抱きついてくる。俺もそんなヒルダに応えてやる。

「ああ、そうさ。俺たち・・・自由になれるんだ!」

「ああ・・・・。アルベルト・・・・嬉しい・・・・・・・。」

ヒルダがキスを求めてくる。

ヒルダの目が閉じられる。

俺はその愛らしい唇に優しく自分の唇を重ね合わせる。

柔らかいヒルダの唇・・・・。

もう何度もこうして唇を合わせているが、決して飽きのこないこの感触・・・・。

今夜が無事に終われば・・・・・俺たちはいつでも何の心配もなくこうしていられる・・・・。

ああ・・・・愛しいヒルダ・・・・。

「んんんんん・・・・・ああ・・・・アルベルト・・・・。」

唇の間から息を漏らしながら、ヒルダがうめく。

彼女は俺にさらに強く抱きついてくる。

彼女の柔らかい豊かな胸が俺の胸の中でつぶされていく。その感触も心地よい・・・。

俺は彼女の腰に手を廻し、優しく愛撫をする。

「・・・んん!・・・・はあぁぁぁ・・・。」

ヒルダが吐息を漏らす。

俺は唇を彼女から離すと、彼女の顔をよく見る。

ヒルダも潤んだ目で俺のことを見返している。

「・・・はあぁ・・・・、アルベルト・・・・。」

彼女には、もう言葉はなかった。ただ、俺を見つめ、俺の名を呼ぶだけだった。だが俺には、彼女が何を求めているのか、よくわかっている。

俺は彼女を再び抱きしめ、今度はその首筋を唇で優しく愛撫する。

「・・・あああ!はあ!」

ヒルダが軽くうめく。

俺は右手で(まだマシンガンの手ではない!生身の手だ!)彼女の背中を優しく撫でまわし、そしてその後、その手を彼女のセーターの中に侵入させる。

温かい彼女のぬくもりが伝わってくる。きめの細かいヒルダの素肌の感触が、とても気持ち良い。そのまま俺は背中の感触を楽しむ。

指が彼女のブラジャーのホックにあたる。俺はそれを片手で巧みにはずす。

「はあ・・・・・・。」

ヒルダがその瞬間、小さく息をはく。その様子がとてもかわいい。

俺は右手で彼女の体を支えながら、もう一方の手で彼女の豊かな胸を軽くタートルネックセーターの上から掴む。

「・・・・・・あ!はあ!」

ベージュのセーターが俺の手のひらの中でしわしわになる。

「あ!あ!あああ!アルベルト!はあああ!」

俺はゆっくりと、そして優しくヒルダの胸を揉み解していく。セーターの中でブラジャーがずり上がっていく。手の感触から、ごわごわしたブラジャーのそれがなくなる。

「あああああ!ああ!いい!アルベルト・・・・はああああ!!!」

ヒルダの声が少し高くなってくる。

柔らかい・・・・。セーターの上からでもヒルダのそこは俺の手に吸い付いてくるようだった。

支えている右手で感じるヒルダの体温が熱くなってきた。

ヒルダは俺の肩にぶら下がるようにつかまっている。

俺はその肩を優しく掴み、体を離すともう一度彼女の顔を見る。

どうしたの?と言いたげにヒルダは俺を見る。その知的な青い目はすでに潤んでいる。こういう彼女も愛おしい・・・・。

俺は再び彼女の求め通りに唇を合わせる。そして今度は舌を侵入させる。

「んんんんん!!はあぁぁんん!!」

ヒルダもそれを待っていたかのように、俺の舌に彼女の舌を絡ませてくる。

柔らかい・・・・。何かがとろけて行くような、そんな気持ちの良い感覚であった。

口の中が二人の唾液でいっぱいになる。それでも俺もヒルダもお互いの口を貪り続ける。

「はああああああ・・・・!アルベルト!いいわ!ふうう・・・んんんんんんん・・・・・・!」

俺は彼女の口を、舌を貪り続けながら、腰を抑えていた右手を下にゆっくり滑らしていく。

柔らかい尻の上を撫でる。

軽いバウンド感がある。

「んんんんんん・・・・・はああああ・・・・・・。」

俺の愛撫に合わせるかのようにヒルダの腰が軽く振られる。

俺はその手をスカートの中に侵入させていく。

「はあああ!!!」

ヒルダがうめく。

内腿の感触がいい!

俺の手に吸い付いてくる。気持ち良い・・・・。いつまでもこうしていたい・・・・。

俺はしばらく内腿を愛撫した後、その手をゆっくりと上にずらしていく。内腿と内腿が重なるヒルダの微妙な部分に指を這わせていく。

「ああああああああ!!!!ひいいいいい!!!」

ヒルダはもう俺の唇を貪れなくなっていた。

「ああ!アルベルト!アルベルト!はああ!」

下着の上から彼女の微妙な亀裂の部分をゆっくりと、そして優しく撫で上げる。

そこはもう熱い熱を持ち、そして湿っぽかった。

俺ももう我慢できなかった。

俺は下着の隙間から指をその中に侵入させ、ヒルダの大事なその部分に触れる。

「はああああああ!!」

ヒルダが声をあげる。

指で入り口を少し開けてやると、中からどろどろとした熱い液が流れ出してきた。

「はああああ・・・・・アルベルト。・・・・私・・・だめ・・・・。」

熱い液体が流れ出すと同時に、彼女の体はもう力が入らなくなってしまったようだった。

俺に全体重を預けてくる。

潤んだ目で俺にねだる。

愛しい!

俺を狂わせてしまうのではないかと感じるほどの激しい愛おしさが俺の体に満ち満ちてくる。俺は彼女をきつく、激しく抱きしめる。そして、彼女のスカートと下着を優しく脱がしてやる。

俺とヒルダはソファーの上に倒れこむ。

俺は彼女に優しくキスをしながら、ズボンを脱ぐ。

俺のモノももう限界だった。

「アルベルト・・・・・・。ああ・・・・来て・・・・・・。」

ヒルダが恥ずかしげに俺をねだる。しかも、その後そんなことを言ってしまった自分を恥じ入ってしまう。

ああ・・・・愛しいヒルダ・・・・・。

俺は、ゆっくりと彼女の中に入っていく。

「はああああああ!!・・・あああ!!・・・・・・・あああああああああああああ!!!」

ヒルダが歓喜の声をあげる。

熱い!中で俺のモノも溶けてしまいそうだった。

ヒルダのきめの細かい襞が、俺に絡みついてくる。

その感覚はこの世のものと思えないような、そう、至福の感覚であった。

「はああああ!アルベルト!いいわ!いいの!はああああひいいい!」

俺はゆっくりと動かし始めた。

本当はすぐにでも激しく動きたい、そんな欲望が体の奥から湧きあがってくるのを必死に抑えながら、ゆっくりと動いた。

ヒルダの中は本当に気持ち良い・・・・。幾層にもなる襞の一枚一枚が、優しく、しかししっかりと俺のモノを包み込む。もう何度も体を交えているが、少しも飽きることない。

「あああ!アルベルト!私たち!私たち!ひとつになっているのね!」

ヒルダが俺に強くしがみつきながら叫ぶ。彼女はその“ひとつ”という感覚に至上の喜びを感じているようだ。

「ああ、ヒルダ。俺たちはひとつだ。」

「ああ・・・・嬉しい・・・・嬉しい!アルベルト!はああ・・・・あああああああああ!!!」

このひと時の平和、このひと時の幸せを、俺たちは逃したくなかった。そして、激しくお互いを求めた。

「はああああああ!・・・アル・・ベルト、わた・・・ああ・・私もう・・・だめ!はあああああ!!」

そういう俺ももう限界だ。

「ヒルダ!ヒルダ!いくぞ!」

俺は激しくヒルダの腰に自分のそれを撃ちつけた。

「はああああああ!!!いい!いい!はあひいいい!ひいいいいいいいいい!!!」

ヒルダが絶頂を迎える。

ヒルダのそこがきゅううううっと俺のモノを激しく掴む。

とたん、俺はヒルダの中に思いのたけを放っていた。

「ああああ!はああああ!!アルベルトォォォ!!!」

俺の腕の中でヒルダが激しく痙攣する。

俺もそんな彼女を、力の限り抱きしめる。

彼女の襞がさらにきつく、しかし優しく俺のモノを締め上げる。

「ウッ!」

思わず声が出てしまう。

俺はさらに射精した。

「はああああ!あああああああぁぁぁぁ・・・・・。」

俺の腕の中でヒルダの力が抜けていく・・・・。

ああ・・・・ヒルダ・・・・・。愛しいヒルダ・・・・。













それが最後だった・・・。

その夜、“壁”は越えられたものの、ヒルダは・・・・・。

そして俺も・・・・・・。

あのときのようには、人のぬくもりをもう感じられない・・・。

気付くと、俺は食うのも忘れ、首から下げたヒルダの指輪を手にとり眺めていた。

フフ・・・いけねえ、いけねえ。つい感傷に走ってしまったな。俺らしくもねえ・・・。

だが、ありがとうな。ヒルダ。お前のおかげで、変な劣情から抜け出せたぜ・・・・。

俺はヒルダの指輪をつけたネックレスを服の中にしまおうとした。

「あら、004。それ、なあに?」

隣の003が俺の様子に気付いてしまったようだ。

それはそうだ。一人食うものも食わずに、こんなものを眺めていれば、変だと思うよな。

だが、この想い出は誰にも触れてほしくはねえ・・・・。

「いや、何でもねえよ。」

俺はそっけなく答え、指輪をしまおうとした。

「あら、綺麗なものじゃないの。ちょっと見せてくれたって・・・・。」

003が一寸むくれながら、でもまだ見たそうに俺の様子を窺っている。

これだから、女の子は困る。人には見せたくない物だってあるんだ。

「うわあああああああああああああああ!!!!!」

突然、俺の斜め向かいに座る009がでっかい声を上げた。

みんなの注目が009に集まる。

「あっ・・・・。いや・・・・そのう・・・・、ああ、この唐揚げ美味しいね!006!」

009が何かごまかしている。また、変な妄想でもしてやがったか、こいつは。

フフ・・・、だが今日のところは助かったぜ、009.

「アイヤ〜!さすが009、よくわかるアルね。」

「あら、本当。006、これ何の唐揚げなの?」

003が006と話をはじめる。俺の指輪の話も、どこかへ飛んでしまった。

「それは田鶏(デンチィ)アルね。今日のメインあるよ。精力つくアルよ。」

はあ〜ん、デンチィねえ。どんな材料か想像もつかんが。

「田鶏?デン・・・チィねえ・・・・・。なんだっけなあ・・・。」

009が考え込む。まあ、日本と中国じゃあ、似たようなもん食ってんのかな。

俺はそのデンチィとかいうものを口に入れてみる。

魚か?いや、鶏か?

なんか、一寸ピリッとするな・・・。

「なんか、怪しいもん食わせようってんじゃねえのか、また。」

007が006をからかう。

「何を言うね!これは栄養も満点あることよ!」

006が応える。こいつら二人はまるで漫才のようだ。

「ま、俺としては美味くて精がつくものなら何でもいいがね。」

俺が何気なく言った途端、003と爺さん方を覗くみんなの視線が一瞬だが、俺の体を貫く。

な・・・なんだ!こいつら!

特に008あたりは元ゲリラだけあって、鋭い殺気まで感じた。

そうか・・・“精”がつくってか・・・・。

まったくこいつら・・・・どいつもこいつも、色めきやがって。

まあ、確かに003はいい女だけどな。

ヒルダがいなければ・・・・・俺だって・・・・。

ヒルダ・・・・。

俺は、ヒルダの幻影を追い払い、目の前の料理を食うことにした。













続く


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