二幕 Eine Fee tanzt mit Donner.(訳:妖精は雷と踊る)
狼男事件から2日がたっていた。
ガルムの星雲市の拠点。通称『詰め所』の局長室では錬が事件の報告に訪れていた。
「以上が今回の報告です。局長」
「なるほど、ご苦労だった大上」
椅子に腰掛けるガルム局長である近藤は渋さがにじみ出ておりその雰囲気は研ぎ澄まされた刀のようであるが何処となく温かみのある人物である。
「しかし、今回は辛い事になったな…本来の任務に支障がないと思ってたのだがこんな結果になるとはな…」
「いえ、むしろ感謝してます。自分の手で止められましたから」
「そっか…そういってもらえると少し気が楽になる」
申し訳なさそうに苦い笑いを浮かべる。
「それでその…志乃さんの…件ですが…」
すこし言い辛そうに錬は尋ねた。
「通常なら記憶をある程度操作して日常へ戻すとこだが…」
「やはり一との関係ですか?」
「ああ、下手に操作をすると彼女の精神に過大なストレスをあたえ日常生活に大きく支障をきたすだろうし…それと例の件もあるからな…」
「そうですね…ですがこれ以上の監禁状態は彼女の精神状態にも影響が考えられます」
「そうだな…判った。ある程度の情報開示を許可しよう」
「ありがとうございます」
★ ★ ★
質素な家具にあまり大きくないテーブル。まるで簡素なホテルの一室かすこし豪華な病室とその部屋に入ったものはそう思うだろう。
その少し孤独を感じる部屋で志乃は答えの出ない問いに悩まされていた。
「あの日…みんなで楽しく遊ぶはずが…一が狼男になり錬の黒髪が銀髪に変わると一撃で一を倒して…そしてねこが錬のことをフェンリルって呼んで…それからここに監禁されて…もう分けわかんないよ…」
普段どれだけ気が強かろうとやはり一般的な少女である彼女の心は受け止められない事実であり、信じきれるものでもない。
「私…これからどうなるんだろう…」
考えれば考えるほどいい答えは出てこない。
コンコン--
軽いノックが響くと扉が開きよく見知った人物が入ってきたが、その雰囲気はまるで別人だった。
「ねこ…?」
あまりにも普段とのギャップにあだ名を呼ぶのにも躊躇してしまう。
「志乃『さん』気分はどうですか?」
普段は『ちゃん』と呼ぶ小春が『さん』と呼び感情豊かな表情が今は仮面でもつけてるのかと疑いたくなるほどの無表情さはあまりにも違和感をあたえ別人ではないかと強い疑問を抱かされる。そんな志乃の反応に小春は気にすることなく話を続ける。
「見た限りでは大丈夫そうですね。食事などにも暴食や拒食反応がありませんし、まずは良かったというところでしょうか?」
事務的な口調は志乃の中での別人説を強めおもわず
「偽者!!もしくは、ねこのそっくりさんか双子のお姉さん!!でも私はだまされないわよ。ねこがそんなしっかりとした口調で話す分けないでしょう。ふふふふふ」
そんなことを口走りながらどこか勝ち誇ったように笑みを浮かべる。
「いえ、今の私が本来の私で学校での仕草・言動の方が演技です」
冷静に切り返し話を続ける。
「ねこが猫をかぶってたわけ?でそれを信じろと?」
「信じていただけなくても結構です。事実は事実ですから。まずは、志乃さんの経緯と現状及び機密レベルEランクの情報提供が許可された事を伝えにきました。座っていいですか?」
小春は淡々と話を続ける。
「いいけど…」
「ありがとうございます」
適当に椅子に座る。
「それで許可ってそれは命令している人が居るの?それでここは秘密結社のアジト?一はそこから抜け出して、ねこと錬で追いかけてたとかそういう話?」
志乃はそんな仮説を口にする。もちろん本人は半分は冗談のつもりでだが…
「おおむね間違いはありません」
「えぇぇぇ」
否定されずおもわず志乃は驚きの声をあげた。
「訂正するなら、国家公認非公開組織『ガルム』の施設です」
「非公開組織ガルム?」
「はい、私たちは今回のような事件に対処する極秘特殊部隊なのです」
まるでフィクションのような話を真面目な顔で継げる。
「それで一を追って学校に入学したと?」
「いえ、私たちの入学は別件です。ただ結果とし私たちに一さん…つまり狼男への対処命令が下ったということです」
「なるほどね…でも、なぜその話を私に?」
当然の疑問である。
「錬さんと私から上層部に掛け合いました。元来ならある程度の記憶操作で日常に帰っていただくのですが志乃さんは場合は一さんとの付き合いが長いですので記憶操作を施した場合日常に大きな支障をきたす事と監禁状況下の精神的ストレスの緩和に繋がると判断したためです。経緯と現状は以上ですが質問はありますか?」
志乃はまだ納得はいかない部分もあるがある程度考えをまとめ話し始めた。
「まずは、一はどうしてるの?」
「今は能力を抑えられて病棟にて監禁されています。もっとも体は動かない状態ですが」
「病棟てそんなに酷いの?」
「命に別状はありません。ただ、錬さんの一撃は内部にダメージを与え、そうすることで一さんを止めたのでその後遺症との事です」
「そう…でも、一はどうなるの?まさか殺されるということは…」
「それはありません。それなら治療する必要はありませんから、今後は罪を反省させ構成の後その能力の活用法の教育をうけることになります」
そう聞いて少し複雑だがほっとした。
「次は能力って?」
「一般的にいえば超能力という表現が解かりやすいと思います」
「それはなんとなくわかるけど…でも、狼男になったりするのはどうして?」
「一さんの場合の能力は獣化能力、これにより感覚と肉体が強化され再生能力も得てました。姿、形などか一時的に進化すると考えてもいいのですがその点はいまだ不明ですので狼男に変身する能力とだけ理解してください」
「うん、わかった。次は錬の能力はなに?ここまできたらとことん聞くわよ」
志乃の瞳が好奇心で輝く、だが
「すみません。それは答えられません」
小春は申し訳なさそうに断わった。
「どうして?」
「そういう規則ですので」
「そっか規則ならしかたないわね」
「では、そろそろ時間ですので…」
小春はそう告げて立ち去ろうとする。
「最後に一つだけ、私でもその能力って使えるの?」
背後からかけられた言葉に小春は足を止め数秒かん沈黙する。
「可能性はあります…けど…無いほうが幸せだと思います…」
振り返らずそう答え部屋を出るてしばらく歩いたところで、メールの着信を継げる軽快な音楽が携帯電話から流れと取り出し手早く操作をすませ内容を確認する。
そこには次のように書かれていた。
緊急
星雲港に停泊中のメリジェーネ号にて人身売買が行われているとの情報あり。背後に能力者の組織が関与している可能性あり、至急向われたし
沖田
その内容を確認すると小春は今まで仮面のような表情が若干の怒りと悲しみを秘めた表情へと変わり駆け出していた。
★ ★ ★
豪華客船メリジェーネ号。会員制の豪華客船として世界各国を回っている。その会員には各国の要人もいるために税関もフリーパスと優遇されている。
「と、表向きはこんな所です」
埠頭へやってきた小春に沖田は状況説明を始めた。
「実際は、それを利用した人身売買。それも能力者となりえる確率が高い少年、少女を取引の対処としているようです」
「その情報はどこから?」
「監視部からです。監視対象の1人が拉致されたの報告があり、ケットシーが調べていました」
監視部とは能力者になる可能性のある人物の状況をその名の通り監視する。むろん一切の接触はない。
「ケットシーですか…」
「ええ、彼のインビジブル(透明化)は諜報活動にはうってつけですからね。そこでピクシー貴方の任務ですが…」
「内部に潜入し売買対象になっている人々の救助、および組織の情報の入手ですね?」
「はい、今回の任務は貴方とあと後続一名が当たることになっています。ごめんなさい私もいけたらいいのですが…」
「海上の船に敵に気づかれずに乗り込むことができるのは私だけですし…それに沖田さんの能力は…」
「はい、私の能力だと、乗り物の中での使う訳にはいきません…」
「了解です…では…」
そういうと小春は水面をまるでスケートでも滑るかのように滑走し始めた。それを見送る沖田の携帯が鳴る。
「はい…えっ…後続は彼に?で、でも……彼は…回せるのが彼だけなんですね…了解です。局長…」
携帯をきると沖田は深いため息をつくと少女の向かった先に視線を向け
「ピクシー…ごめんなさい…」
そう呟いた。
★ ★ ★
豪華客船には似つかわしくない狭くて簡素な通路。むろん乗客のために用意されたものではない。このような船ではその優雅な雰囲気を損なわないために従業員用の通路が設けられている。
その通路では
「撃て撃て」
黒服をきた男たちが通路いっぱいに広がりサブマシンガンを撃ち硝煙と跳弾の火花が通路を埋め尽くす。その通路をかける小さな影は太股につけたポーチからパチンコ球を取り出し
「シルバーインセクトレギオン(銀蟲軍弾)」
呟くと銀色の礫はその全てを吹き飛ばす規則正しい軍隊のように突き進む。
「くっ…こちら…第3拠点とっぱされまし…ぐわっ…」
その事体を報告していた男の頭と通信機に礫に押し潰される。
「…かなり手間を取ってしまいました…急がないと…」
小春は一呼吸を置いた。
ほんの少し前に船には順調に潜入した小春であったが予想以上の警備に発見されてしまいしかたなく応戦するはめになった。本来なら、ここで撤退すべきなのだが小春にはそれが出来なかった。いやしたくなかったのである。なぜなら小春もいま囚われている少年少女と似たような境遇だったからだ。今から10年前、当時6歳だった小春は両親を事故で失い叔父のところに引き取られた。それから小春は地獄の日々だった。最初は優しかった叔父…しかし、この叔父はとんでもない鬼畜だった。まだ幼い小春を自身の欲望のはけ口に使い毎日毎日犯し、挙句の果てには小春を売り飛ばし、小春はどことも知れない組織でひたすら性の道具としての調教とその過程で発見された能力者としての資質を開花される地獄の特訓を受けされた。そして、12歳になる頃には感情は持たない都合のいい人形のようになっていた。だが、その生活は錬との出会いが大きく変え今にいたった。
パーティー会場
そこでは卑しいブタが仮面をつけてテーブルに飾られた裸体の少年、少女を眺めていた。その会場ではブタたちは愉しそうにブロンドの髪で顔を半分隠し真っ赤な胸の大きく開き深いスリットが入ったドレスを身に纏った妖艶な女性と話していた。
「ミスターZiでは、こちらにサインを…」
「ああ、判ったよ。クイーン」
仮面をつけたブタは渡された書類に目を軽く通すと簡略的なサインを済ませる。
「クイーン、ご報告が…」
黒服を着た彼女の配下が耳打ちする。
「そう、判ったわ……でも、その力…気になるわね…」
しばらく思案をめぐらせると
「そうね…では、お客様には余興ということで二階席へ移って貰いましょう」
この会場では演劇や治外法権的な環境を利用したコロシアムとして利用されることもあり体育館のような構造になっている。もっとも、装飾などは言うまでも無く豪華ではあるが
「かしこまりました。そのように…現在応戦中の者達にも伝えます。ですが、誰に相手を?」
「ふふふ、久しぶりに私が戦うとするわ…愉しい余興になるわよ」
「御意に…」
そういって黒服は下がった。
「皆様――」
クイーンが良く通る声が会場に響いた…
小春は通路をかける。敵を倒しながら、ひたすらに…
(誘われてる?)
敵の動きは明らかに誘っている。道を進むたびに後方では機械音が聞こえる。頭の中にある構造からそれは可動式の壁が動いた物だと推測でき、敵の攻撃に殺気も感じられない。それでも突き進むしか小春には道は無かった。
「ここがゴール…」
誘いにのってたどり着いたのは階段の前だった。だが小春は躊躇せず階段を駆け上った。
「ようこそ…侵入者さん」
上った先にいたのはスポットライトに照らされたクイーンが待ち構えていた。
「…貴方は…」
クイーンの姿を見た瞬間、小春の血が凍りつくようなおぞましい感覚に囚われた。
「ふふふふ、やはり貴方だったのねキティ…銀色の礫を操る小柄な少女ときいてまさかとは思ったわ。組織の裏切り者…ブラッディー・キティ。私のカワイイ子猫ちゃん。まさか貴方とまた会えるなんて嬉しいわ」
妖艶な仕草で髪をかきあげる。
「見える?この傷…」
隠されていた顔には深い傷がついていた。
「貴方がつけたこの傷、治さないでいたのよ。貴方の残してくれた置き土産です物」
小春はクイーンの一挙一動を見逃すまいとただ黙って見つめる。
「ふふふふふ…さて、お話はここまで、お客様もお待ちだからそろそろ始めましょうかね。子猫ちゃんのお仕置きショーをねっ」
シュッという鋭い風きり音が聞こえる。咄嗟に小春は姿勢を低くして構える。紙一重で小春の背後の入り口に深い傷が刻まれる。
「感は鈍ってないみたいね。それでこそ甚振りがいがあるわ。でも、次はどうかしら?」
クイーンは優雅に手を振るう。
「シルバービー…」
小春は素早くポーチの中から銀色に輝く針を引き抜くと投げる。針はまるで蜂のように機敏な動きでクイーンとの小春の中間で何かを地面に突き刺す。突き刺したものはなんともいえない奇妙なカブト虫のようなものだった。
「腕を上げたわね。私の能力『グレート・マザー』を見切るなんてね」
誉めながらも余裕の態度は崩さない。
「でも、最弱のテラー・ビートルを破ったところではね。次はこの子はどうかしら?」
再び手を構える。
「させない…スパイラル・スネーク(螺旋縛蛇)」
小春の手首につけていたリストバンドから輪のついたワイヤーが伸びクイーンの手首に絡みつく。
「あら、腕を上げたわね…でも、シャドーマンティス…斬って頂戴」
影から伸びた蟷螂のカマがワイヤーを切る。
(このタイプの能力に距離をとって戦うのは不利…)
小春はポーチからクナイを取り出し一気に間合いを詰めようとする。
「いい判断ね…でも…」
影から再び蟷螂のカマが伸び今度はクイーンの手の平を傷つけると赤い雫が飛び散る。
「血から出でよ…テラー・アーミー」
赤い雫が一気にふくらみ兵へと姿を変え会場を埋め尽くす。
「さーどうするのかしら?この兵隊達はさっきまでのと質が違うわよ」
「問題無い…昔の私と同じじゃない…」
小春の体が浮かび上がる。
「この船を取り仕切ってる貴方を倒す」
空中を滑走しクイーンとの距離が縮まろうとする。
「馬鹿ね。飛んだところで…テラー・アーミー、迎撃なさい」
血から生まれた兵士達は顔を小春に向けると小春を捕らえようと腕を文字通り伸ばす。伸びる手から空中を縦横無尽に避ける。しかし、その腕の数は尋常でなくその質量は小春の退路を断ち
「チェックメイトよ」
「しまっ…」
遂には小春を捕らえ地面へと組伏した。
「ふふふふ、さーお仕置きの時間よ。テラー・アーミー、まずは身体検査よ。全部引き剥がして」
その言葉に従い兵たちは下着一枚残らず剥ぎ取り小春の裸体をあらわにする。
「これで、貴方は何もできないわね。貴方の能力、手に触れて思念を物に流さないと発動しない限定型の能力。これで何も出来ないわよね?それじゃー久しぶりにお仕置きね」
パチンと指を鳴らす。すると兵たちか溶け合いまるで赤いイソギンチャクのように形を変えると小春の四肢を触手で絡めとリ大の字にする。その姿をブタたちがこれから始まるショーに胸を膨らません餌を食らう。
「流石に、抵抗はしないわね。それとも期待してるのかしら?」
その言葉に触手が反応したのか小春の肌をそっとなでる。
「それじゃ再教育といきましょうか?」
触手は小春の敏感なところばかりゆっくりと重点的に責める。小春の体はそのかつて味わった刺激に反応する。何とか声を押し殺しその刺激に小春は耐えつづける。
「どうすればいいかは知ってるわよね?昔、散々教え込んであげた物ね。懐かしいわ…最初の頃は泣き叫んで…我慢できなくなるまで責めたてたわよね。そうそう、初潮が来たときは中出し100人、あれも面白かったわね。またやってみる?今度は危険日に…」
30分がすぎた頃
「こんな……まけ…でも…体が…はん…いや…もう私は…昔…ちが…」
小春の意識が朦朧となる。
「もう、限界かしら?ほら、昔教えたとおりにすればいいだけなのよ。かわいい子猫ちゃん」
だが、小春の心はかつてつけられた深い傷が開こうとしたときだった。
ギュゥゥゥゥゥゥゥ――
豪華客船に似合わない爆音が響くと窓ガラスが全て割れ突風が吹く。
「何事?」
「この…のう…くは…」
全員が周りを見回す。
「そこまでだぜ。ベイベー!!」
「上?」
クイーンが上を見上げると天窓のところに三日月をバックに金髪の少年がエレキギターを構えていた。
「何もの?」
「何ものだと…はははははは、遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。古今無双の色男。雷帝トールとはオレのことだッゼ」
手に持ったギターを激しくかき鳴らす。その音に呼応するかのようにギターから電光が迸る。その行動に全員が唖然となると
「ず、ずいぶん面白い子ね…自分から能力をばらしてくれるし…まあーいいわ。きなさい…テラー・ビートル」
異形のカブト虫がクイーンの周りを飛び回る。
「いきなさい。かわいい子達」
亜音速でカブト虫がトールへと向う。
「オレの熱い音をそんなに聞きたいのか?いいッゼ。先ずは一曲目きいてくれ『Gale
sudden peal of thunder』」
ギターを弾くとそれに黄色い稲妻が飛び出し確実に亜音速のカブト虫を焼き払う。
「ひゅーミュルニルは絶好調だッゼ。そして、あんたの能力は理解したッゼ。あんたの能力はクリエイト(創造)系の一つサーバント・サモン(従者召喚)て奴だろ?」
「そうね。貴方達のつけた分類だとそうなるのかしら?貴方の能力は電気のそのギターを使って操ってるのかしら?それともそういう道具を作り出す能力という所よね?」
「まーそんなとこだ…さてと二曲目いってみようか『One purple thunder spark』」
曲調が変わると今度は太い紫の雷が小春を捕らえているイソギンチャクを貫く。
「ピクシー。大丈夫かいベイベー、まってなすぐにけりをつけてやるッゼ」
「あら、次はどんな曲を聴かしてくれるのかしら?」
クイーンは余裕の表情をくずさない。
「なら、聴きな。オレのビートを行くッゼうぉぉぉぉぉぉぉぉ『Major earthquake
of thunder』」
激しいサウンドともに電撃が乱舞し無秩序に会場全体を暴れまわる。
「少し、まずいわね。シャドー・シェルフィッシュ」
影から生まれた貝でクイーンは自身だけは守るが会場にいた観客は電撃で撃たれ、照明はショートし電球が破裂していく。制御系にも影響したのかスプリンクラーも作動し会場は水浸しにした。
「ずいぶん派手にやってくれたわね。お客様もあんなに苦しんでるじゃない可哀想に」
あたりを見回しながら被害を確認する。
「思ってないことを口にするのはどうかと思うッゼ」
「ふっ、そうね…でも、これで貴方の能力は使えないわよ水浸しのここじゃ使えないわよね?使えば子猫ちゃんまで痺れちゃうもの」
「確かになっ。でも、ピクシーをあまり舐めないほうがいいッゼ」
「なんですって?」
クイーンが小春のほうに視線を向ける。小春は倒れこみながらその手は水溜りにつけていた。
「水糸の…棺おけ…」
水が細い糸のようになるとクイーンの手足を貫き棺おけの形づく
「これは…まさか、この子能力は固体のみのはず…」
「そして、こいつでと止めだッゼ」
天窓から飛び降りギターを振り下ろす
「やってくれるじゃない。でも…テラー・パピヨン」
まだら色の蝶が舞うとクイーンの姿を覆い尽くす。蝶が消えた後はその姿は無く
「今日のところは私の負けね…子猫ちゃんにトールだったわね。この借りは返させしてもらうわ…それじゃーね」
何処からとも無くクイーンの声が響いた。
「逃げられちまったッゼ…ピクシー大丈夫か?」
地面に降り立ったトールは小春の容態を確認する。
「ト…ル…ごめん…い…もう…ダメみたい…」
「お、おい?」
抱き起こそうと近づこうとしたが足がもつれて倒れこむ。
「な、なんだ?って…ワイヤが足に絡んで…これって、おいピクシー」
「ごめんなさい…もう体が疼いて…」
「ま、まさか…おい、不味いって!!」
裸体の少女はいつの間にワイヤーを手にとっおりゆっくりと立ち上がるとトールの動きをワイヤーで封じ込めるとズボンのチャックを下ろし男根を手にとる。
「ごめん…なさい…でも、こうしないと…頭がおかしく…なりそ…すぐだから」
「お、おい…ぐっ」
小春は男根に舌を這わせるとしゃぶりつくと喉の奥までくわえ込むと喉で扱き始める。
「まずっ…お、ピ…うっ」
その絶妙のテクニックであっという間にイかされてしまい。トールは小春の喉奥に射精されてしまったが、その精液を一滴残らず飲み干していた。
「今度は、こっち…」
「ま、まて…今イったばかりで」
「ごめん」
「うぉぉぉぉぉ」
小春はトールの男根を秘裂にあっさり呑みこむと激しく腰を動かし始めた。
「はぁはぁ…いい…きもちいい…イって…私も…落ち着くから…」
「いや、流石に…」
トールは必死に自制しようとするが男の本能が抑えられるわけも無く。あっさりと小春の中に出した。
「ごめんなさい…まだ…収まらないみたい…このまま…」
「えぇぇ…おい…ピクシーいい加減に…」
そんな虚しいトールの言葉だけがこだまし続けた。
★ ★ ★
「なるほど、結果はわかりました。拉致されていた人たちも救出できましたし、船も押収できましたが…背後の組織はあの組織ですか?」
「はい…テラー・クイーンもいたことから間違いないかと」
船から脱出した小春は沖田に報告をその場でしていた。
「それはわかりましたけど…」
「…」
2人の会話がとまり白目をむいて倒れているトールに視線が向く。
「も、燃え尽きた…ゼッ」
たまにうわ言を口にしている。
「ずいぶんやりすぎた見たいですね」
ナニがあったのか察している沖田はそう声をかけるしかなかった。
「すみません…抑えられなくて…」
顔を赤くして小春は謝る。
「しかたないわ。とりあえず治療はしておくから帰って寝なさい」
「了解しました」
そういい残し小春はその場を後にした。
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