<<8月18日(水)4:30 葦挽樹海・野営地>>

 

明け方、いつもなら東の空を白く染める太陽の姿はなく、じめついた空気とどんよりとした雲が重苦しく天に構えている。
つい先程から不意に吹き始めた強風にばたつく野営地のテントが、いつもより殺伐として見えた。

「ふう、すごい風だな・・」
「関係ねぇ・・うふぁ〜・・寝るぞォ・・オレッチはもう寝る〜」
「ハァハハ!もう腰ガクガクってかァ、スカル!?・・あ、センセは特にぎっくり腰に気をつけて下さいスヨ?」
「・・余計なお世話だ・・」

本日のミッションを終了させたガイ、ダン、スカル、そして矢部の4人が満足げな顔で野営地に戻ってきていた。
また、ダンの方には失神した翔乃が担がれており、その半ズボンの下の内股にはおびただしい量の液体がこびりついている。
無論、それは翔乃を失神するに至らしめた激しい快楽の痕跡だ。

「オウ、時にガイよぅ。オークのやつはどうするよ?」
「ヒャッヒャッヒャ・・い〜いじゃねぇか、ダン!そのうち、無事に野垂れ死ぬだろ♪」
「ああ、そんな事より今日は早く寝ようぜ?・・先生もお疲れのようだしな」
「・・年が年なんでナ」
「ハハハ!センセ、その割にはまた、ずいぶんとご機嫌なセックスだったじゃねぇスか?・・それも教え子相手に♪」
「・・・・」
「こらダン!先生をからかうのはよせ・・って、あれ?」

睡眠前に野営地の点検を行っていたガイが、不意に不思議そうな声を出す。
それに気づいた他の仲間も会話をやめ、どうしたのかと彼に歩み寄った。

「ブロディたち、いないな・・」

小屋の中にいるはずのブロディと里美の姿がなかった。
そこには、アナルセックス独特の異臭が漂っているだけだ。

「あん?どうせ奴のこった、女連れてクソでもしに行ったんじゃねェかァ?」
「そ!そぉ〜んでェ・・そんのまま、ケツプレイに突入してるに決まってるぜェ〜。ほっとけ・ほ〜っとけってェ!」
「・・だな。ま・・じゃ、寝るか!」
「ヘッヘヘ・・オレが最初に小屋の見張りするわ。スカルは3時間で起きろよ」
「んだぁ、ダン!おんめぇ、まぁだぶち込むつもりなのかァ?」
「悪ィか!どうせそのあと、おめぇだってヤるんだろが♪」
「ったく・・元気だな、お前らは本当に・・」

結局、誰もブロディ不在を怪しむ事はしなかった。
本来なら、地上のあらゆる生物が最も敏感に反応すべき『その匂い』も、狂ったような強風が吹き飛ばしてしまっていたのだ。

テント内の寝息と小屋の中の湿った音とが、やがて降り始める雨の音にのまれていくのだった・・


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