わからなくともただ無我夢中で
それが功を奏する事もあると信じて
Please fight! My Knight.
第7章
『三月兎の鍵尻尾』
1、
語り ピンゾロ
戦いの後、基地に着いたのはその日の夕方だった。急げば何とかなるものだ。とにかく傷ついた副隊長を早く安全な所で休ませたかったからな。狼騎士団のザガロ隊の力を借りて、急いで戻ってきた。しかし誤算だったのは、エリス先生がいなかった事だ。パオラ殿を送って行かれたのだろうとは思うが…しかし、副隊長は妖しい薬を大量に塗布
されたのだ。医師であるエリス先生の診察を、一刻も早く受けさせてあげたいのだが…。
「…仕方が無いか」
私は副隊長を副隊長室のベッドに寝かせると(毒消しに使った薬の効果だろうか、よく眠っている)、小会議室に向かった。今回の大元の指令である”赤の救援隊”から得た情報の件、戦闘の件、バレンシア王国の親善大使の件、パオラ殿の件…報告書に纏める前にはっきりしておかなければならない事が、とにかく多い。多過ぎる。
「ルイジマン草は…ロックロックに取りに行かせよう」
私はまだ痛む背を「んっ…ててて」と伸ばすと、廊下を歩き始めた。
2、
語り カメラアイ
「…なるほど。事情はわかったよ。パオラ、とにかく無事でよかった」
時同じくして、ここアリティア城玉座の間では、マルスによるパオラへの尋問…というよりも事情聞きが行われていた。メンバーは変わらずマルス、シーダ、ジェイガン、ミネルバ、ハーディン、ドーガ…そしてエリスとパオラ、である。
「ふむ…パオラ殿を拉致した犯人は、一体何を目的としていたのでしょうな…」
ジェイガンは訝しげる。パオラが苦しむ事で利があるのは旧アカネイア貴族派だが、それならもっと陰湿で効果的な方法…具体的には、例えば、これだけの美女だ。自分達の手元に置いて、調教陵辱を与え、性奴隷に堕とすとか…を取る可能性が高い。しかし実際は、逆に自由を与えていると取れなくもない状態にしているのだ。となると犯人は
彼らでは無い…もしやパオラの自作自演では?と暗に言っているのだ。と、その時シーダが口を開いた。
「ジェイガン参謀。私は、この度の事件の首謀は、やはり反統一アリティア派によるものだと考えます」
「ふむ…王女、よろしければその根拠となるお考えを明かしてはいただけまいか?」
シーダが口にした反統一アリティア派…旧アカネイア貴族と言っていないのがミソか…首謀という自分の意見とは反する意見に、とりあえず食いついてみるジェイガン。
「シ−ダ、僕もその考えを聞いてみたいな」
「はい、マルス様、ジェイガン参謀。これは女の浅知恵と切り捨ててもらって構わない憶測ではありますが…私は、こうやってパオラさんを簡単に自由の身にさせてみせる事で、私達統一アリティアが、ある種身内にとても甘いと…
かつての仲間だからこそ信じ、警備を疎かにしていたと、民衆に印象付ける為にやったのではないかと思うのです」
「なるほど、印象操作で切り崩しを図る、か…皆、どう思う?」
マルスの問い掛けに、しばし各々の考えを脳内で展開する一同。と、ミネルバが口を開いた。
「…おそれながらマルス王子、シーダ王女…私はその論に疑問が湧きました」
「疑問…?…シーダ」
「ええ、構いません。所詮は女の浅知恵による憶測ですから…参謀補佐、その疑問とは?」 「その論に対しての疑問は1つ…”パオラはなぜ娼館に連れられて行ったか”です。自由の身にさせるのが目的とあらば、その様な自由とは真逆の立場に身を置かせる事に矛盾が生じます。ましてや娼館…庶民も足を運ぶ場所に、パオラが居させられていると噂が広がれば、事情を知る者達にとっては逆に”刑罰を重くした”と取られるでしょう」
「確かに…そうですな」
ミネルバの意見に唸るハーディン。
「マルス、ここはパオラ殿を発見・保護したというピンゾロ隊長の報告を待ってはどうでしょうか?今ある情報だけで理由を推し量るのは得策ではないと、私は考えます」
エリスが珍しく意見を言う。彼女はシーダの次に強い第11混成部隊に対する発言権を持っている(第11混成部隊はシーダ直属の部隊ではあるが、エリスも部隊の主治医として、医療・衛生・魔法等、専門知識の要る分野の事柄に対処するため、という名目で意見する権利を持っているのだ)。
「…姉上のおっしゃる通りだ。この話はここまでにしよう。パオラ、君が行方不明だった間の事に関しては、僕が責任を持って対処する。大丈夫、君達姉妹の頑張りを無駄にはしないし、悪い様にもしない。…ただ、またしばらくは軟禁させてもらうし、今度は警備も強化するよ。…構わないかい?」
パオラは頭を下げたまま、答えた。
「はい。寛大なるご処遇、誠にありがとうございます、マルス様」
3、
語り カチュア
「………ん…?ここは…」
目を開けると、見慣れた天井。ここが副隊長室で、自分がベッドに寝かされている事に気付くまで、数秒。
「……あ、そうだ…私…」
今日あった事が瞬時に思い返される。ズキリと、少し、頭が痛んだ。
「私……あんな奴らに……されて………ううっ……」
涙が、溢れてくる。ぽろぽろ…ぽろぽろ…とまって、くれなくて…まるで、全身を…涙で洗い清めているかの様に…とまって、くれなくて…。
「マルス様……マルスさまぁ…っ……!!」
…そのまま、ひとりベッドで声を上げず泣き続けた…。
4、
語り ピンゾロ
小会議室にいるのは私と、キャブ、大使団代表のセリカ殿、そして南北に情報を得に行った収集部隊の代表2人、そして狼騎士団のザガロ殿。ちなみに他の大使団の方々には大会議室で休息してもらっているし、捕えた黒騎士団の面々はとりあえず空倉庫に放り込んである。さて、まず話す事といえば…
「さて、”赤の救援隊”からの情報だが…黒騎士団がほぼ壊滅した今、それほど重要ではないかな」
「待ってくれ、隊長!」
この話は軽く流そうとしたその時、南の港に情報収集に行った隊の代表から待ったがかかった。はて?”赤の救援隊”はカダインに来たから、彼らに報告する様な事は無いはず…と、ザガロ殿が苦虫を噛み潰したかの様な形相で、話を促した。
「ビラクが来て無い…その事と関係あるな?」
「はい…ビラク様…ビラク隊は、港に到着する前に全滅しました」
「何っ!?」
「やはりか…!」
私は耳を疑い、ザガロ殿はぎゅっと拳を握り締める。狼騎士団一個部隊が…黒騎士団残党と互角以上であろう騎士団が、全滅だと!?
「我々が基地へと戻る途中…その現場を見てきました…。筆舌に尽し難い…凄惨たる、状況でした…」
「相手が誰か、わかるか?」
もし、その相手がこの基地を…この部隊を狙って来たら、一溜りもあるまい。そんな凄腕集団が…凄腕、集団!?
(…まさか、彼女らか…!?)
そんな…いや、”その可能性が一番大きい事を否定する材料は無い”!!
『コーチか…いいね。今の契約が終わったら考えさせてもらうよ。でも、それまで敵対する事が無ければね』
あの夜の言葉が頭をよぎる。運命は、そう甘くは無い、か…!!
「…ピンゾロ隊長、俺達ザガロ隊はもう行く。ビラク隊の件…ハーディン将軍に伝えなければならない」
「えぇ…道中、お気をつけて。今だ、その相手がこの辺りにいる危険性は高いですから」
「ああ。”赤の救援隊”からの情報報告、伝えられなくてすまん。だが、捕えた黒騎士団は連れて行くし、その件についての報告もさせてもらう」
…その言葉を最後に、ザガロ殿は会議室を後にされた。私は、気を取り直そうとして、次の議題に取り掛かった。
「さて…セリカ大使殿、あなたのお話をお聞かせ願いましょう」
5、
語り カチュア
…一しきり泣いた後、私はお風呂に入る事にした。この汚らわしい身体を、例え少しでも、一刻も早く清めておきたかったから。私はタオルと着替えを用意すると、別館にある女性風呂に向かう為に部屋を出た。…でも
『おい、聞いたか?副隊長、黒騎士団に捕まって…』
『惨めなもんだよな、全く…』
『あー、くそ。俺も参加したかったぜ…』
『所詮はアバズレかよ…』
『本性は淫乱女か…』
…痛い。廊下で隊員の皆とすれ違う度、そんな風に思われている、噂されている様な気がする。心が…痛い。嫌、やめて、そんな目で私を見ないで…!!
「っ…!」
私は一目散に駆け出した。私は…私は、好きであんな目にあった訳じゃない!!
6、
語り ピンゾロ
「…と、いうわけで、私達はアカネイア大陸…統一アリティア王国へとやって来た訳です」
「なるほど…魔法の消失、ですか」
セリカ殿は(おそらく)事の一部始終を話して下さった。魔法の消失か。海を隔てれば魔法体系も大きく変わる。
私は元・風来坊だからな。色々な国に行った。だから、バレンシアの魔法というのがこの大陸の物とは違う事に驚きは無い。しかし…消失、だと?個人レベルで一時的に魔法が使えなくなる事例はよく見て来たが…全員が、ずっと?
「わかりました。その事を共同研究する件、私もマルス王子宛に一筆したためましょう」
「ありがとうございます、ピンゾロ隊長殿。それと…お1つ、聞かせていただいてかまいませんか?」
「ええ、答えられる範囲でならば」
「では…カチュアさんの事についてお聞かせ下さい。彼女はここに来て…どうですか?幸せ、ですか…?」
…そう、来たか。彼女と副隊長は戦友と聞く。彼女は、副隊長の置かれている立場をわかっている…?!
「キャブ、ロコン、キューゲム…悪いが外で待機してくれ。大使殿と、2人で話がしたい」
7、
語り カチュア
隊員の皆の視線が怖くて、厩舎本館を飛び出した私。でも、ここでは私以外は全員男性で…逃げ場は無くて…。
(嫌だ…いや、いやいやいやいやぁっ!!)
ただガムシャラに、走った。厩舎別館の、女性用浴場へ。今はただ、四方八方からの視線を、遮りたかった。
バタンッ!!
「はぁ、はぁ、はぁ…」
急いで脱衣所に入り、扉を閉める。ようやく、世界が閉じられた気がして、ほっとする。息を、落ち着かせて…。
(…!そういえば、この服…!!)
男達に蹂躙された時、着せられたままだった服…!!まだ、奴らの手の熱が、残っている様な気がして…!!
「いやぁぁぁっ!!」
ビリビリィッ!!
破り去る。脱ぎ去るのではなく、破り去る。こんな服、二度と、身に纏いたくない…!!この後の事なんて、どうでもいい。早く、悪夢の痕跡を断ってしまいたい…。
「身を、清めなきゃ…」
私は身体拭きの小さなタオルを持って、浴室へと入って行った。
8、
語り ピンゾロ
「幸せかどうかは…正直言って、わかりません。ですが…私は、副隊長を守りたい、これ以上不幸にはしたくない…そう思っています。…守れなかった、今でも」
「それは…どうしてですか?」
…さすがは神官。人の心に、直接聞いてくるのがわかる。
「それは…私が大嘘吐きの偽善者だからですよ。だから副隊長を守れなかった…なのに今も守りたいと思っている。
はは…我ながら笑えます。自分は”悪魔”だと自称しているのに」
「でも、あなたは”人”として生を受けた。最初から悪魔として生まれる人なんていません」
「どんな生まれだったか…その記憶はありませんよ。ただ、物心付いた時にはもう、私は悪魔だった。それは揺るぎ無い事実…どんなに足掻いても、私はずっと悪魔だった。だから副隊長を守れなかった」
そうだ。忘れてはならない…自らの手でたくさんの幸せを壊した事も。
「それでもまだ、あなたはカチュアさんを守る事を諦めてはいない。守りたいと思っている」
「…偽善から出た台詞ですよ、ただの…」
そう、所詮は台詞…滑稽な猿芝居。ただ、己に酔っているだけの…。
「いいえ。私にはわかります。それはあなたの本心だからこそ出た言葉。自分の事を悪魔だ偽善者だなどと、嘘ぶくのはやめて下さい。あなたは充分に頑張りました…もう、許されてもいいはずです」
「それを決めるのは私じゃない」
「ええ、だから私が決めます。私はあなたの過去を知りません。ですが、あなたは許されていい。あなたを許します…これでは不満ですか?」
ああ、不満だ。不満だとも。不満で…目から、涙…が……。
「…これで、隊長さんにカチュアさんを託す事ができますね。どうか、彼女を”救ってあげて下さい”。あなたなら…罪を許されたあなたなら、できるはずです。お願いします。私の親友を…カチュアさんを…幸せにしてあげて」
9、
語り カチュア
チャプ…
少し熱めの湯船。でも、それでいい。疥癬の治療には熱いお風呂に浸かるのがいいと聞く。私の肌に残った感触も…良く似た物だと思う……思いたいから。
パチャ…ジャバーッ…
手桶を湯船に入れて、かかり湯をする。こんな汚れた私を、湯船が受け入れてくれるとは思えないから。
パチャ…ジャバーッ…パチャ…ジャバーッ…
「ふぅ…」
頭から何杯も湯を被り、ようやく一息吐く……でも、感触はまだ取れなくて。
「気持ち、悪い…気持ち悪いのが取れないよぉ…セリカぁ…」
ぎゅうっと、身体を抱く私。確か…セリカが何か、してくれた…ような。
「お薬…って、言ってたような気が…」
私は、まだ忌まわしい記憶が色濃く残るソコに手をやる。ひょっとして…と、思ったから。
「セリカが…治してくれた…?」
私のおぼろ気な記憶が真実ならば、セリカがココに何かをしてくれた気がする。私は、思い切ってソコに指を……差し入れた。
「痛っ…」
異物を受け入れる準備の整って無いソコは、私の指をも遮り、痛みをもって応戦してきた。…仕方が無い。こう、なったら…。
「自分で…慰めて……んっ」
自慰の効果は、いつもより早く現れてきた…どうして?奴らに塗られた薬の効果が残っているの?それとも…私が本当はいやらしい娘だから…?
「そんな事ない…そんな事…ない…」
口を突いて出る否定の言葉。でも、それと同じくらい蜜は溢れてきて、私の指をねっとりと濡らす…。その蜜に導かれるかの様に、私の指は奥へ、奥へと徐々に侵入を始める…。
「ん…くぅ……は、入って……あ」
…やがて感じた、指先に当たる肉膜の感触。
「あ……った……よかった…う、うぅっ……」
純潔の証は、あった。けど…これはニセモノ…私がマルス様に捧げたかった物じゃない…。その現実が、重くのしかかってきて…。
「マルス様…許して…マルス様ぁ…はぁ、はぁ……」
……湯煙の中、私は愛する男性の名を呼び、自慰に耽った。現実から、一刻も早く目を逸らしたくて…。
「んんっ…マルスさまぁ…ゆるして……」
私は前のめりに倒れた。腰だけを上げたままの、恥ずかしい体制…でも、止められない…。
「うん…っ…い、いぃ…きもちいい……」
ビクゥッン!!…プシャァァァァ…
大きく跳ねる腰、白くスパークする目の前。もう、達してしまった。情けない姿勢のまま、おしっこが漏れる。でも、まだ止められない。一回だけじゃ、止まらない…私は半分無意識に、再びソコに指をやった。と、その時、
〜♪
「…!!」
脱衣所に誰か来た!私は慌てて手近にあったタオルを口に含み、声を殺す。自慰を止める事なんて、考えられなかった。挿れっぱなしの指が、勝手に動いて…。私はそのまま芋虫が這う様に、無様な姿勢でズルズルと床を這った。
こんな所、見られたくない。今は奥へ、人目のつかない所へ…。
『わー、さっすがお姫様も入るお風呂ね!基地の割に豪華〜!』
誰かが入って来た。誰?聞き覚えのある声だけど、思い出せない。というか、頭の殆どの思考回路が考える事を拒んでいた。熱く潤う身体の一点からの快感に、ただただ流されたくて…。
「ん…んんー……」
(誰?早く、早く出ていって)
入口から見て中央に設えられた浴槽の反対側。そこで、ぐっと声を押し殺す。でも、天井を向いた腰はビクビクンと跳ね上がり、次の絶頂が近い事を知らせてくる。…私は知っている。これだけでは、済まないと。これから立て続けに波は来る。こうなったら指は離せない。声を…我慢する事は出来るの…?
10、
語り ピンゾロ
私達はキャブ達を再び会議室に招き入れると、”赤の救援隊”の件について情報を取り纏めた。これはすぐ終わり、あと残すは副隊長の姉上…パオラ殿の事のみとなった。私はセリカ殿に退室いただき、キャブ達も解散させた。これは、私一人でやるべき問題だ(副隊長か?…今の副隊長には荷が重い事柄だろう。姉上が娼館にいた事など…)。
「…日深夜、マケドニア南の港街にて偶然彼女を発見し…」
私はマルス王子に提出する報告書を纏めていく…おそらく、これは私が直接持って行く事になるだろう。第三者にパオラ殿の事が漏れない様に…。アリティア城、か…アルツはうまい事やっているだろうか。一応、養父としては気にかかる。
「…養父、か」
報告書をあらまし書き終え、ふぅ、っと一息吐く。孤児だったアルツを引き取ったはいいものの、住む所はおろか食い扶持すらままならなくて、そのまますぐに城へあずけた私に、それを自称する資格があるものかどうか。
「やはり…誰に許されても悪魔は悪魔のままですよ、セリカ殿…」
副隊長を幸せに?私がか?…私が、そんな事をできる訳が無い。副隊長の事を思えばこそ。できて、不幸にしないくらいだろう…いや、それすらもおこがましいと今日思い知った。せいぜい、死なせないくらいしかできはすまい。
副隊長の味わう生き地獄…そこから救い上げてあげる事すら、難しい…。
「………隊長室に戻って…アレをやるか」
私は誰に聞かせるでもなく、そう呟くと席を立った。…このまま、出口の見えない心の迷いに付き合うよりかは、余程楽だ…。
11、
語り カチュア
(早く…早くいって…)
私はグチュグチュと、恥ずかしい所に突き入れた指を激しく動かした。でも、私の願いも虚しく、入ってきた人が出ていく様子も(当たり前だ)、私の身体の芯が快感で満たされる様子も、無い。
(どうして…どうしていってくれないの…)
たっぷりと水気と唾を吸い込んだタオルを口に、くぐもった声すら押し殺しているというのに…どうして、状況は一向に良くならないの?こんな、恥ずかしい格好…誰にも見られたくないのに…。
「ふ〜んふ〜ふふ〜ん♪」
浴室に入って来た人は、湯船に浸かる前に身体を洗っている。今ならまだ、時間はある。なのに、私の身体は指だけでは足りないと言ってくる。もっと、もっととせがんでくる…。
(まさか…ひょっとして…お尻で…?)
おぞましい。考えたくない。自分で、お尻を慰めるなんて。そんなはしたない女の子になったなんて…でも、あの時、黒騎士団によって私の身体が開発されたとするなら…。
「……ん……」
私は、思い切ってそこに…不浄の穴に指を近付けた。穴が、ヒクヒクと蠢いているのが指先に伝わる。…マルス様
ごめんなさい…私…こんなに…
ツプッ…
「!…んふんっ……!」
こんなに…いやらしい娘です…ごめんなさい…ごめんなさい…。指も、涙も、止まらない…止まらないよ…。
12、
語り ピンゾロ
チクチクチク…
ふぅ…和む…。やはり裁縫という物はいい。シビアなリアルをほんの一時忘れさせてくれる。こう見えても私は、手先の器用さには自信がある。昔取った杵柄という奴かな。隊員達の繕い物も、殆ど私がやっている。
「ふむふむ…これくらいは必要かな…」
ジョキジョキジョキ…
エリス先生の書かれた身体測定表を見ながら、布地を採寸する。隊員達の衣装も、時間が許せばだが、こうやって私が作っていたりする事もある。…正直、あまり評判は良くないがな(そりゃそうだ。こんなオッサン手作りの衣服など、誰が好き好んで着るものか)。まあ、今回はちょっとだけ毛色が違う代物に挑戦しているのだが…。
「…気に入ってくれるといいがな」
チクチクチク…
後は糸を留めて…と、出来た。初めて作ったながらに良い出来栄えなので、つい頬がニヤニヤしてしまう。さて、完成記念にリンゴでもひとつ…と、その時
バンッ!!
「いたいた、隊長さん!!大変だよ!!」
いきなりの濫入者は、大使殿の連れの…えぇと、クレア嬢だったか。そのクレア嬢が、ずんずんと私の所にやって来ると、いきなりむんずと腕を掴んだ。
「な、何が大変なのか、きちんと説明を…」
「副隊長のカチュアって子が大変なの!早く行ってあげて!!」
「わ、わかったから離してくれ。あと色々説明してくれないか」
副隊長が大変、だと?何があったんだ…?
13、
語り カチュア
…気が付くと、私は副隊長室のベッドで寝かされていた。ズキリと痛む頭を押さえ、経緯を思い出す…そうだ、あの後…私はイク事が出来た。そして倒れ込んでしまい…そこをクレアさんに見つかって…。
(不幸中の幸いだったのは、クレアさんがただの湯中りだと思ってくれた事ね)
私はほっと胸を撫で下ろし、身体を起こ…した所で気が付く。
(そうだ…私、服を破いてしまったんだ…)
呆然とする私。あああ、なんて事しちゃったんだろう。思わず頭を抱えてうずくまってしまう。下着は身に付けているけれど、今着ている服はパジャマだ。そして、着替えの服は洗濯していてまだびしょ濡れであったりする。…ハハハ、何やってるんだろ私。
「これじゃ…副隊長失格だよね…」
自分の能力を過信して、一人で突っ走って、むざむざ敵の手に落ちて、…されて、被害妄想に取り憑かれて、服まで破いちゃうんだから…本当、自分が情けない。情けないよ、姉さん…エスト…。…と、自己嫌悪してる場合じゃない。とりあえず誰にも見られない様にドアの内鍵を掛けて…服が乾くまで仮病を使おう。とりあえずベッドの毛布を
頭から被る。傷ついた身と、疲れた心に、暗闇と静寂は心地いい。と、その時だった。
…ドンドンドン!
『おおーい!!副隊長、大丈夫かぁーっ!!?』
た…隊長!?思わぬ訪問者に、ドキリと胸が高鳴る。どうして、隊長が…?
14、
語り ピンゾロ
扉を叩き、大声で中にいる副隊長に声をかける。だが返事は無い。倒れているのか?
ドンドンドン!
「副隊長ー!聞こえるかー!?聞こえたら返事してくれー!!」
クレア嬢の言うには、副隊長は風呂で湯中りを起こして倒れたとの事。黒騎士団に盛られた薬の影響か?!ならば一刻を争う事態だ。
『た、隊長!?隊長が、どうしてここに?!』
中から副隊長の驚いた声が聞こえた。ふう、どうやら意識は戻っているらしい。だが、油断ならない。
「副隊長が風呂場で倒れていたと聞いてな!体の方は大丈夫なのか?」
『ええ、はい。何とか…』
弱々しい口調の、何とか…か。しかし、黒騎士団の奴らに使われた薬の内容と効果も分からぬ今、その言葉を鵜呑みにするのは危険か。やはり、直接様子を見なければ。
「副隊長、入るぞ」
『ちょ、ちょっと待って下さい!!』
売って変わって、慌てた声を上げる副隊長。そして、私がドアノブを回そうとしたその時、
ガチャン!!
…鍵を掛けられた。
「おい、副隊長!どういう事だ?!」
ドアを叩き、そう問い掛ける。
『帰って下さい!今は、誰とも会いたく無いんです!!』
誰とも…か。私には女心という物がわからんが、副隊長、何があったんだ…?!
15、
語り カチュア
「お願いです、一人にして下さい!」
ドンドン、ガチャガチャ、ドアが音を鳴らす。隊長が私の体調を気にかけてくれているのはわかる。でも、今のこんな汚れたはしたない私を見られたく無い…誰にも、誰にも!
『いや、放ってはおけない!ここを開けるんだ、副隊長!』
まだ居るの?まだ、立ち去ってくれないの!?どうして?こんなにも、嫌なのに…!私はドアに全体重をかけて、ぐっと押さえ込んだ。このままでは、鍵ごと叩き破られそうな気がして…。
「帰って!お願いです、もう帰って!私の事なんて放っておいて!」
私はみっともなく泣きべそをかきながら、ドアの向こうの隊長に必死に訴える。
『……副隊長、今、ドアの前に居るのか?』
「…はい。でも、絶対に鍵は外しませんから!」
……不気味な、静寂。長い長い時間が過ぎた気がした、その時。
『……そこを離れろ、副隊長』
隊長の、今まで聞いた事の無い鋭い口調が、ドアの向こうから響いてきた。
16、
語り ピンゾロ
手元にあるのは、副隊長の見舞いに持ってきたリンゴと果物ナイフ、そして…。だが、コレがあれば何とかいける
…その、はずだ。
「離れたか?副隊長」
『………』
返事は、無言。しかし、気配で離れてないのがわかる。
「怪我をしたくなければ離れろ!今すぐにだ!」
…それでも、離れる気配は無い…仕方がない!
「警告はした。どうなってもしらんぞ…」
私は深く腰を落とし、逆手に果物ナイフを持って…
月光斬!!
ドアと壁の隙間にナイフの刃を入れ、跳び上がる勢いでもって蝶番を下から上に切り裂く!!ドアは副隊長の重みを受けて、こちら側に倒れてくる。私は倒れてきたドアの先端に着地し、脚で倒れる位置と方向を調整。押しつぶされるのを回避した。副隊長はパジャマ姿でドアにもたれかかったまま、通路側に倒れ込んでくる。よし、成功だ!
「決まった…!この技、”秘め技・月光林檎(ダイアナゴールド)”とでも名付けるかな」
私はナイフをクルクル回すと、鞘に収めた。
「…できれば、もう使いたく無いがね」
「い…嫌ああああああああああああっ!!!」
私と目が合うと、這ったまま部屋の隅へと逃げる副隊長。部屋の通路中に、副隊長の絶叫が木霊した。
17、
語り カメラアイ
その頃、ここ旧マケドニア南の港の宿では、レイミア達が旅立つ準備をしていた。
「run oyi kos uku duk cal…悪いね皆、ちょっと抜けさせてもらうよ」
「そういう約束だもんね、仕方無え」
「saq omu zer cel…へえ、あの聞かんぼのシリアにしちゃ、えらく物わかりのいい!こりゃ雨が降るね」
「どーいう意味だコラァ!!」
「こーら、シリア。女の子がそんな乱暴な物言いしないの。…でも痛手ですわね。ミーナさんが抜けられるなんて」
今にもミーナに掴みかからんとするシリアをたしなめながらそう言葉をかけるシャリル。『レイミア隊が一ヶ所に留まる事になれば、独自に動かせてもらう』それがミーナが入隊する時に提示した条件だから仕方が無い。レイミア達は、クライアントの指示である場所に潜伏する事となったのだ。
「noq eqo zeq ezu sit une wos eye muj uye…それじゃココノ、『ワー
プ』を頼むよ。場所は…ヴェルダンとアグストリア、グランベルの国境付近。頼めるかい?」
「……(コクン)」
相変わらず口数の少ない(しかしその感情は仕草や表情に見て取れる)ココノは、ミーナに向かって頷いた。そして服の袖から1本の杖を取り出すと、長距離『ワープ』のチャージに入る。
その様子を見ていたレイミアとネネは、クライアントが持ってきた通航手形を前に話し合っていた。
「これがあればすぐにでもアリティアへの渡航が可能となる…ですか。レイミア、いい物を貰えましたね」
「フン…どうもキナ臭い感じもするけどね」
レイミアの意外な見解に少し怪訝な顔をするネネ。
「大した茶番かもしれないねぇ…あのクライアント、そして”第3軍”か…探りを入れる必要があるかもしれない。
クライアント本人と”第3軍”がどれ程繋がっているのか……」
「…?レイミア、話が見えないのですが」
「…ああ、気にかける事は無いよ、ネネ。地獄の鬼共は余程私にこの世で地獄を味あわせたいらしい…ってだけさ。
さて、ミーナを見送り次第、私達もここを立つとしようかね」
努めて明るく振舞うレイミア。だが、長年の相棒であるネネは薄々勘づいていた。
(レイミア…まだ、この運命から救われたいのですね)
18、
語り カチュア
「ふーんふーふふーん♪」
鼻歌を歌いながらリンゴを切り分ける隊長。どうしてそんなに明るく振る舞えるの?私は、こんなに辛いのに…。
ドアは隊長が斬ったので、通路から部屋の様子が丸見えだ。私は、ベッドから毛布を引きたくると、それにくるまって外からの視線を遮っていた。
「…出来た。うむ、初めてにしてはなかなかの出来栄えじゃないか?このウサギリンゴ。副隊長、一切れどうだ?」
「…いりません」
「そうか。でも、今日は何も食べて無いんじゃないか?何か口にしないと体に悪いぞ。一切れだけでも」
「…何も食べたくないです」
グウゥ〜…
なんで、このタイミングで鳴るのよ…私のお腹…。
「……食べるかい?」
さっきまでの剣幕やおちゃらけた雰囲気とは違う、心から優しい、隊長の声。私は、それに導かれる様に、毛布から片腕だけを出した。
「…一切れ、下さい」
「ああ」
トン…と、手のひらにウサギリンゴの感触。腕を引っ張られるか、毛布を引きたくられるかと思ったけど、隊長はそんな事しなかった。
「……」
無言で、手のひらのリンゴを見つめる。不格好なウサギリンゴ。皮が残っている。耳の先が取れている。でも、優しさの感じられるウサギリンゴ。
シャク…
無言で噛る。甘酸っぱさが、口の中に広がる。美味しい…。特別美味しい訳じゃないけど、不思議と美味しい…。
媚薬を盛られ、好き放題にされ、無理矢理飲まされた精液より、やっぱりこっちの方が美味しい…。
「隊長…」
「ん?」
「私、ここに来た時…副隊長に任命された時、頑張らないと、って思ったんです…」
「…うん」
「姉さんの事…妹の事…色々理由はあったけど、頑張らないと、って思ったんです…」
口を突いて、自然に言葉が出る。隊長は、そんな私の話を、黙って聞いてくれる。
「だから、隊長の留守を預かっている間…指令が来た時も、頑張らないと、って思って…私なりに頑張ったんです」
「……」
「でも、結果はああで…みんなに心配と迷惑を掛けて…セリカを助けに行ったのにセリカに助けられて…隊長にも助けられて…”ありがとう”の前に”情けない”って思ってしまった自分が…本当に情けなくて…」
「……」
「それに…ここに居る事が怖くなって…みんなが私を狙ってるんじゃないかって…それで逃げて…でも…」
「…副隊長……この部隊から、抜けるかい?」
「えっ…」
隊長の、優しい…でも意外な言葉が、私の心を抉った…。
19、
語り ピンゾロ
「お姉さん達の事もあるだろうけど…それはそれ、これはこれだ。無理する事は無い。怖いのなら、怖いでいいじゃないか。逃げたって、いいじゃないか。独りで何もかも背負い込む事は無い。誰だって、得手不得手や限界はある。
…それに、こんな男ばかりの部隊に、女の子は副隊長だけだなんて、やはりおかしい。それに今回の件だ…もう無理だって、言っていいと思う。話は私がうまく取り持ってあげるから…正直に言ってくれ。もう、限界なんだろう?」
…これでいい。いや、もっと早くにこうするべきだったんだ。いつもこうだ。私は、いつも後手後手だ。後悔ばかりだ。だが、今はこうしかできない。副隊長を守るためには…これ以上ここに居させては、いけない。
「……隊長ぉ」
グスっと、鼻をすする音がかすかに聞こえた。泣いて、いるのか…?
「私……ここに、居たい…この部隊で、居たいです……確かに怖かったけど、それでも、楽しかったから…ここに、居たいです…」
副隊長が、震えている…それでも残る恐怖?それとも…別の感情で?
「……いいのかい?今度は…もう、助けられないかもしれない。今回みたいな幸運は、今回限りかもしれない。それでも…」
「それでも…私、第11混成部隊副隊長ですから」
ハラリと、毛布が落ちる。そして現れた、決意の双眸。副隊長っ…!!
「ウサギリンゴ…もう一つ、食べたいです」
くぅぅ…と、副隊長のお腹が鳴る。ははは…そうか。強いな。強い子なんだな、副隊長は…!
「あんな不格好なウサギで、いいのかい?」
「はい。ウサギリンゴが…いいです」
「あっははははは!!そうか!わかった、今すぐ作るよ、ウサギリンゴ。どんどん食べてくれ!」
こんなに心の底から笑ったのは、いつから振りだろうか…?
20、
語り カメラアイ
…さて、その時副隊長室と同じ階の隊員達はというと…
「っしゃ!副隊長に笑顔が戻った!」
「よかった〜。俺達、嫌われた訳じゃなかったんだな!」
「な?黙って様子見してて正解だったろ?」
「くぅ〜、やっぱいつもの副隊長が一番可愛いぜ!」
「ウサギリンゴを美味しそうにかじってる副隊長がマジ可愛い件について」
「俺のウサギリンゴも食べてもらいたい!!」
「…蝶番の代え、あったかな…」
興奮する隊員達を尻目に、ドア修復の事を考えるササだった。
21、
語り カチュア
「そうだ、副隊長に渡したい物があるんだ」
「はひ?」
ウサギリンゴを頬張りながら答えてしまう私。さっきまでの心の鬱積が、嘘みたいに晴れていた。隊長は私に、青い布の束を見せてくれた。服…?
「…港で買ってきた。副隊長に似合うと思ってね。スカートじゃなくてパンツ式だけど…これなら、そのー…何だ、中が、見えて…しまうことも無いと思ってな」
渡されたのは、いつも着ている服によく似たデザインの、しかしミニスカートがショートパンツになっている服。
隊長…わざわざ、私のために?
「…ありがとうございます、隊長。喜んで着させてもらいます…とりあえず、医務室あたりで」
「あ…そうだな、ドアは…すまない」
「いえ…心配して下さった結果ですから」
そう言うと私は、貰った服をぎゅっと抱きしめた。ほんのりと、暖かい気がした。
「それと…お守りだ。”三月兎の鍵尻尾(マーチラビット・キィ・テイル)”という、異国のお守りだな」
三日月の形をした尻尾の兎を象った金属の飾り。尻尾の先が、鍵の様になっている。これも…私に?
「御利益は…私には必要無いけれど、副隊長には必要な事、だな。もしよかったら、これも受け取って欲しい」
私に必要な事…何だろう?でも、受け取っておいた方がいいと思う。そんな気がする。
「ありがとう…ございます」
「大事にしてくれ。きっと、その兎の鍵が、運命の扉を開く鍵となる」
暖かな、空気が流れる。私は、気付かない内に、ポロポロ涙をこぼしていて…
『副隊長泣かしてんじゃねーぞクソ隊長ッ!!』
突如、通路から聞こえた大勢の声。外を見ると、人、人、人…
「二人っきりでイイ雰囲気作りやがってコンチクショウ!」
「抜け駆けは許るさんぜぇ〜隊長ぉ〜ぐりぐり〜」
「痛!痛!放せ、やめんかコラ!」
「副隊長!ウサギリンゴのご用命はぜひともこの私めに!」
「ファーゴ!てめぇも抜け駆けかっ!!」
「纏めてシバけシバけー!!」
「おおう!!」
「副隊長〜助けてくれ〜」
「あは、あははは…」
やっぱりいいな、この基地。アットホームで、暖かい。
「やっと笑ってくれましたね、カチュアさん」
「そーそ、一応あたしのライバルなんだから、うじうじしてちゃダメ!張合い無いもん」
「セリカ…クレアさん…」
「やはり、私の見込んだ通りの方でしたね」
「?…誰のこと?セリカ」
「ふふ…ナイショ、です♪」
22、
語り カメラアイ
「面をお上げ下さい」
ほぼ同時刻…ユグドラル大陸、アグストリア王国領・ノディオン城の玉座の間。
「随分と遠い所ご足労でした、トラキアの土竜の騎士」
玉座には、長いブロンドの髪の気品高い女性。その脇には、近衛兵らしき騎士。そしてその視線の先には…うやうやしく跪く、鉄仮面姿の小柄の旅の騎士の姿が。
「このラケシス、確かにメッセージをお受けしたとあなたのクライアントにお伝え下さい。…どうしたのですか?」
鉄仮面の騎士は「いいえ、それはできません」と、重く首を横に振る。
「そうですか…今はクライアントの下へは行けないと…」
コクリ、と頷く鉄仮面の騎士。
「ラケシス様、ここはやはり…」
「いえ、私はこの方を信用します。それに、私が動く事でこの状況を打破できるのなら、こんなに嬉しい事はありません。それに」
ラケシスと呼ばれた女性は、心配と不信を露にする傍らの騎士に強い眼差しを向けて、宣言する。
「私はただのお飾りではありませんよ、イーヴ」
第7章
『三月兎の鍵尻尾』 終わり
次回、Please fight! My Knight.
第8章
『間者にメイド、もしくは翼〜Endless Altz』に続く。
炎の御旗。悪魔の剣はその明(あか)を受けて煌くか?
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