憤怒
〈悪魔博士〉
三番目のターゲット、奮戸は、有名私立中学を目指し勉強し、内申点の為にクラス委員長をやっている。
完全な科学崇拝主義で悪魔研究をしている私を嫌悪し、その憤怒を愛娘にぶつけていた。
『この小娘は、ストレスを溜めていて、それを解消する為にデパートに行っている。それを利用する』
〈奮戸〉
またこのデパートに来てしまった。
家からも、学校からも遠い、塾に行く路線の途中の駅から程近い、万が一にも知り合い会うはずの無いこのデパートに。
買い物をするために来たわけじゃない。
玩具売場にやって来た。
そして店員の隙を見て、小さな玩具を上着のポケットに入れた。
暫く探し物をするふりをしてからトイレに入った。
「またやってしまった……」
罪悪感と強い後悔が私を襲う。
だけど同時に激しい動悸を伴うスリルが心地良かった。
最初は、単なる偶然だった。
買い物帰りに通り過ぎた玩具売場にクラスメイトが自慢していた物があった。
クラス委員長の立場上、興味が有っても見に行けなかったので気になっていた。
思わず手に取った時に声を掛けられポケットにしまってしまった。
戻すタイミングを失い、私は、万引きをしてしまった。
ばれるかもと激しく動悸する心臓が破裂するかもって緊張をした。
後で密かに返しに行った時、このスリルと終わった時の解放感に気付いてしまった。
それからだ、私がこんな危険な遊びをするようになったのは。
トイレを出たとき、いきなり腕を掴まれた。
見てみるとサングラスをした怪しい男性だった。
「離して下さい。さもないと大声を出しますよ」
こういった輩には、強気で当たらないいけない弱味をみせたら。
「人が来たらポケットの中の物について教えてくれるかい、クラス委員長の奮戸さん」
背筋が凍り付いた。
この男は、万引きだけでなく、私の素性まで知って居る。
この時点で既に私は、弱味を握られていた。
サングラスの男の命じられるままに私は、男性用トイレの個室に連れ込まれた。
この状況は、かなり危ない。
最近増えてきたロリコン、万引きをネタに厭らしい事をしてくる変態だ。
落ち着くのよ、厭らしい事をしてきた時に叫べば状況は、私に有利、変態が何を言った所で誤魔化せる。
相手の出方を窺っていた私を見て変態が苦笑する。
「安心したまえ、私自身は、君に厭らしい事をするつもりは、無い」
そんな言葉は、信じられない。
「ローリスクで更にスリルがある、ストレス解消法を提示するだけだ」
「非論理的ね。リスクが低くてスリルが高い物何てあるわけ無いわ」
私の答えにサングラスの男が取り出したのは、プラスチック製の震えるピンクの玉だった。
「これは、所謂大人の玩具、詰まりエッチな道具だ」
「やっぱり私にエッチな事を……」
声を荒げる私を遮り、サングラスの男が告げる。
「私は、これを君にあげ、スリルがある使い方を提示するだけだ。それ以上は、しない」
意味が解らない。
「そんな物を渡して私に何をさせるつもり?」
「公衆自慰。万引きより更にスリルがある」
「ふざけないで、そんな恥ずかしい真似が出来る訳無いじゃない!」
睨む私にサングラスの男が冷たく告げる。
「万引きみたいな犯罪行為が出来るのにか?」
興奮が一気に冷める。
「公衆自慰は、他人に解らないようにすれば犯罪じゃない、誰にも迷惑が掛からないストレス解消法だ」
「屁理屈よ、どう考えたって非道徳な行為よ」
私の返しにサングラスの男は、淡々と告げる。
「それでは、君が万引きをやっても構わない道徳的な理由を教えてくれないか?」
そんな物が有るわけ無い。
万引きは、どう言った所で犯罪なのだから。
「頭が良い君だ、止めようと何度も考えた筈だ。でも止められない。だが万が一にも発覚したら、君は、全てを失う」
「公衆自慰だって一緒でしょ」
強い口調で返すがサングラスの男は、苦笑する。
「そうでもない。万引きが発覚すれば記録に残り、一生つきまとう。君や両親が望む進学は、絶対に無理だろう。しかし、公衆自慰は、犯罪じゃないから公式な記録に残らない。内申書に公衆自慰した等書かれる事がなく、それを公式の場で指摘すれば相手の方がダメージが大きい。道徳的に不味かろうが、個人の趣味の領域だ。最悪でも、噂が届かない場所に進学すれば君を脅かす物は、無くなる」
確かに理屈は通っている。
「しかし一番の問題は、君がそれでストレス解消出来るかだ。それは、試して見るしかないな」
サングラスの男は、そういって、これ、ピンクロータの使い方を説明した後、私が万引きした玩具を回収する。
「これは、私が子供が間違えて持ってきたと言って返しておく。後は、好きにする事だ」
サングラスの男が去ってから、暫く様子をみていたが戻って来る気配は、無い。
「助かったの? やっぱり万引きは、リスクが大き過ぎる、止めないと」
そう心に決めた。
〈悪魔博士〉
「これで良かったのか? 弱味を掴んでいたのだ、もっと直接的な指示を出した方が早かったのでは?」
私の問い掛けに、別の階の男性トイレで待っていたメフィストが笑みを浮かべる。
『やらされているじゃなく自分からやらせる。それが更なるスリルを与える。それより生気を寄越せ』
「こんな所でやる必要は、無いだろう!」
拒む私に抱きつき耳元で囁く。
『スリルだよ、スリル。その快楽を自分でも知っておくんだ』
ここで何を言おうとメフィストは、止めないだろ。
それどころか、更に過激な事をしてくるに違いない。
そうなれば愛娘の姿をしている以上、愛娘が謂れの無い恥を背負う事になる。
私は、メフィストに命じられるままにトイレで愛娘とセックスした。
〈奮戸〉
あれから三日後、私は、またあのデパートに来ていた。
「今度ばれたら本当に危ない……」
そう言いながらも玩具売場に向かってしまう。
すると、玩具売場には、あのサングラスの男が居た。
これじゃあ出来ない。
女子トイレに入り呟く。
「何を考えているの、やらない方が良いに決まっているのに……」
それに間違いが無いのに私は、胸の苛立ちを抑えられなかった。
そんな時、ピンクロータの事を思い出す。
「これだったら……」
私は、藁にもすがる思いでピンクロータを割れ目に当てる様に下着にいれた。
「アァン……」
正直、自慰は、している。
万引き程じゃないがストレスが解消されるからだ。
でもピンクロータは、自分でするのとかなり違った。
思い通りにならないもどかしく、自分では、躊躇してしまう場合でも無慈悲に動いて来る。
私は、緊張をしながらトイレを出た。
もしもピンクロータの事がばれたらと思うと、胸がドキドキする。
横を通りすぎた人が振り返った。
緊張が高まるが、ピンクロータの刺激は、止まらない。
「お父さん!」
女の子が振り返った人に駆け寄っていく。
気付かれた訳じゃ無かった。
考えてみれば当然だ。
ピンクロータを入れているかどうかなど解るわけない。
なのに、もしかしてと考えてしまった。
私は、そのスリルに驚きながらデパートの中を回った。
人とすれ違う度にばれるかもと考えてしまう。
この感覚、万引きのあのスリルと同じ。
いえ、ピンクロータの刺激を考えれば上かも。
女子トイレに入り下着に触れると濡れて居た。
そのまま私は、ピンクロータを強く押し付ける。
「アァァァン!」
人前だと我慢していた快感への欲求を解放する。
「イクゥゥゥ!」
私は、デパートのトイレで絶頂に達してしまった。
あれから私は、公衆自慰に嵌まってしまった。
暇な時間を見つけては、デパートに行き、ピンクロータを下着に入れた状態で回る。
スリルを感じ、限界になったらトイレに駆け込みピンクロータを押し付け、絶頂する。
その背徳的な解放感が日々のストレスを解消してくれる。
そんなある日、もうすぐイキそうだとトイレに向かうが何処も満室、別のトイレに向かう途中、ピンクロータが絶妙な位置に嵌まってしまった。
出そうになる声を必死に堪える。
周りの人が不自然な私の態度に気付いてしまう。
「お客様、大丈夫ですか?」
店員が話し掛けてきているのに昂りは、治まらない。
「お加減が悪いのでしたら医務室が……」
店員に触られた瞬間、私は、イッてしまった。
人前で、恥ずかしい。
今すぐ消えてしまいたい。
「いま警備の者が来ます!」
私のただならぬ様子に店員が慌て周囲もざわめく。
「軽い貧血ですから気にしないで下さい……」
私は、逃げる様にその場を後にした。
「危なかった……」
人気がない場所に移動し、息を吐いた時、ピンクロータが止まって居る事に気付いた。
「電池切れ?」
「その通りだ。それは、埋め込み式だから、もう使えないな」
サングラスの男が現れた。
「つけていたの!」
「偶々だと言っておこう」
そんな偶然有るわけない。
「それより、これが代わりのロータだ」
差し出してきたのは、手にある奴より長細く、まるで割れ目の中に入れろと言わんばかり形だった。
サングラスの男は、ピンクロータを回収して去っていった。
〈悪魔博士〉
「ここまで嵌まる物なのか?」
驚く私にメフィストは、外だと言うのに体を絡ませて来る。
『万引きが止められないなんて破滅願望がある証拠、雪だるま式にエスカレートする』
「外だぞ」
忠告する私のあれを触りながらメフィストが微笑する。
『何、傍目からは、仲が良い父娘にしか見えないさ』
嫌悪感がストレスになる私であった。
〈奮戸〉
私の公衆自慰は、エスカレートした行った。
デパートだけだったのが通学中にもなりはじめ、交換される度に長くなるロータは、割れ目の中に入っている。
そして今日、普段なら授業が始まる前に取り出しているロータをトイレが空いてなかったので入れたままだ。
授業が始まってもロータの振動が気になって集中出来ない。
鯛田先生の声が遠くに聞こえる。
少し慣れてきたと思ったロータの振動が何時もより強く感じる。
普段は、気にならない振動音がやけに大きく聞こえて、クラスメイトに聞こえてしまうかもと考えてしまう。
しかし、そんなスリルが私を昂らせる。
「……奮戸さん」
そのせいか、鯛田先生に呼ばれているのに気付くのが遅れた。
「はい!」
慌て返事をする私に怪訝そうな顔をする鯛田先生。
「この問題、解るわね?」
多少うわのそらだったからって、学校で出題くらい簡単に答えられる。
でも今は、無理だ。
ロータの刺激でイキかけている状態なんだから。
「まさか、あんな問題も解らないの?」
誰かが陰口をたたく。
駄目だ、ここで解らない何て言えない。
「解ります」
私は、快感を堪えながら黒板に向かう。
チョークをとって答えを書こうとした時、ロータの振動が激しくなった。
不規則に振動が変化していたがこんな時に激しくならなくてもいいのに。
「奮戸さん?」
鯛田先生が心配そうに声を掛けてきた。
書かないと気付かれてしまう。
私は、遠退きそうになる意識を集中して答えを書いて行く。
「正解です」
鯛田先生のその声を遠くに聞きながら私は、席に着くと今更振動が弱まるのであった。
休み時間と同時に私は、トイレに駆け込んだ。
「……」
ハンカチを口に噛みながら私は、ロータを動かし、自慰をした。
その時の絶頂は、今まで感じたどれよりも激しく解放的だった。
〈悪魔博士〉
『完全に公衆自慰中毒だ、あれ以来授業中でもロータをつけっぱなしだ』
メフィストが楽しそうに告げるが私は、カラクリを知っている。
途中からロータには、中毒性の媚薬を塗って渡してある。
毎日の様に使っていれば薬の中毒症状がでて止められる訳がない。
『さて次からは、これだ』
メフィストが取り出したのは、男性器の形をした小ぶりバイブレーターだった。
『クラスメイトの前でロストバージンさせてやろう』
最悪の未来を愛娘の顔で語るメフィストにどうしようもない憤りが生まれる。
〈奮戸〉
サングラスの男が差し出した物を見て私は、大声を出す。
「こんな物が使える訳ない!」
それは、男性器の形をしていたのだ。
「おかしな事を言う。使用用途は、今までと同じサイズもそんなに違わない。ただ形が少し違うだけ」
「その形が問題よ!」
怒鳴る私にサングラスの男は、あっさり背を向ける。
「使う使わないは、君次第だ」
私の手には、男性器の形をしたそれが残された。
翌日、私は、何も入れずに学校に行った。
それが普通の筈なのに苛立ちがつのる。
授業中に騒ぐクラスメイトがロータを使いはじめる前と同じ、いやそれ以上に神経に障る。
「静かにして!」
私の怒声に教室が静かになるが多くのクラスメイトが露骨に嫌悪感を表す。
その日だけで以前の数倍のストレスを感じた気がした。
帰ると使うまいと思っていたアレで自慰をしていた。
「前のより奥に来てる、処女膜に当たってる……」
軽い痛みがあったが処女を失うかもと言うストレスが私の快感を高める。
「アァァァン! こんなの駄目なのに気持ち良いぃぃぃ」
私は、処女膜が破れない限界まで押し込んでいた。
「イクゥゥゥ!」
頭が真っ白になり、さっきまであったストレスが消えていた。
翌日、私は、あれを入れて登校してしまう。
万が一にも男性器の形をした物を入れて登校しているなんてばれたら、今まで以上に言い訳のしょうがない。
小学生の癖に男性器の形をした物を入れてくる変態だと学校中の噂になるだろう。
そんな事になったら自殺するしかない。
なのに、そんなスリルが私を否応なしにに昂らせる。
休み時間の度にトイレで自慰を繰り返した。
「次は、体育……」
さすがに抜かないと不味い。
「委員長、鯛田先生が用事あるそうです……」
クラスの中でも善良で本人には、問題ない真供鴉さんに言われて私は、鯛田先生の所に行く。
「奮戸さん、この頃ボーとしてる時があるけど大丈夫? 悩み事があるのなら相談して」
おかしく思われていた。
そう思うと更に気持ち良くなってしまう。
「ちょっと遅くまで勉強していたもので……」
適当に誤魔化す。
「あんまり根を詰めないのよ」
鯛田先生に頭を下げる。
「ご心配をお掛けしてすいませんでした」
一応お礼を言ってから教室に戻るがトイレにあれを抜きに行く時間は、なかった。
このまま体育を受ける、座っているだけでも大変なのに、運動何て出来る訳がない。
入れている事がばれてしまったらと考えた時に振動が強くなる。
「アァン……」
感じ過ぎて声が漏れてしまう。
「大丈夫ですか? 体調が悪いのでしたら、保健室に行きますか?」
真供鴉さんが心配そうに声を掛けてくるが、体育の欠席は、内申書に悪いから出来ない。
「……大丈夫、少し目眩がしただけだから」
私は、そうごまかし、あれを抜かないまま体育に出る事になった。
今日の体育は、体育館で跳び箱だった。
取り敢えず、常に動き続ける球技でない事は、助かった。
それでもただ立ってるだけでもきつかった。
「委員長の番ですよ」
後ろの真供鴉さんに言われて慌て跳び箱に向かって駆け出す。
そして、跳び箱に手を突いたタイミングであれの振動が最高になってしまった。
手から力が抜け、跳び箱に全体重をかけて跨がってしまう。
「……」
激痛が走った。
体操着に紅い染みが広がる。
騒然とした。
「奮戸さん、何処から出血してるの!」
鯛田先生が駆け寄って来たが答えられる訳がない。
だって男性器の形をした物を入れていて、胯間を痛打して処女膜が破けたなんて。
しかし、ばれるのも時間の問題だった。
「委員長も初潮が来たんだ……」
真供鴉さんの勘違い、しかしそれを利用するしかない。
「鯛田先生、そうだと思うので保健室に行ってきます」
「一人で大丈夫?」
心配そうな鯛田先生を言いくるめ、私は、その場を後にした。
〈悪魔博士〉
『あれ以来、かなり吹っ切れた様だ、授業中に何度もアクメしている』
メフィストが愉快そうに次のバイブレーターを品定めしている。
「もうまともな生き方は、出来ないな」
私の呟きにメフィストは、割れ目を拡げて言う。
『これで三人目だ。順調に進んでいる。これからも順調に進める為に生気を寄越せ』
「解っている」
幾度交わろうが無くなることない罪悪感を抱きながら愛娘の割れ目に突き刺す。
『やはり生身の方が気持ち良いぞ』
私が苦しむ様を楽しむメフィストであった。
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