1_和恵


 勇者様とあたしが出会ったのは、物心が付く前だった。
 勇者様は、優しく何時も笑顔であたしと遊んでくれていた。
 あたし達が十を過ぎた頃、大人達が暗い顔をし始めた。
 魔王が現れたのだ。
 魔王の名前は、淫堕の魔王。
 人々を淫欲に溺れさせ堕落させて支配していく魔王。
 多くの人や国が魔王の手で堕落させられ、世界は、混乱の渦に陥れられた。
 勇者様は、魔王を倒す者として選ばれた。
 周囲の人間は、意外そうな顔をしていたが、あたしには、勇者様が勇者である事に違和感など無かった。
 ただ、勇者様独りで危険な旅に行かせたくなかったあたしは、一緒に旅に出る事にした。
 様々な困難、その中であたし以外の女性も勇者様を愛する様になった。
 そして勇者様は、愛の女神から授かった玉にあたしを含めた六人の聖女の愛を注ぎ魔王を封じて世界を救ってくださった。
 勇者様は、世界の勇者様になってしまった。
 そう、もうあたしだけの勇者様じゃないのだ。


 あたしが目を開くとそこは、いつもの部屋の天井。
「これって昔よく見た夢……」
 小さい頃は、よく見てた気がそんな夢。
 そして出てきた勇者は、勇君にそっくりだった。
 夢の中のあたしは、勇者様の事を本当に愛していた。
 でも、勇者様は、世界の勇者様、誰か一人の物になる訳が無かった。
 それでも夢の中のあたしは、勇者様を心の底から愛していた。
「起きないと」
 体を起こそうとした時、足の根元に軽い痛みを感じた。
「まだ少し痛い……」
 でもこの痛みは、全然嫌じゃなかった。
 だって勇君と一つになれた証だったから。
 家を出た所で勇君とばったり会う。
「おはよう」
 挨拶をすると勇君は、顔を赤くして慌てて返してくる。
「お、おはよう」
 昨日の事を思い出しているのかも。
 胸の奥からあふれ出しそうな程に幸せな気分だった。
 夢の中のあたしが手に入れられなかった、あたしだけの勇者様と結ばれた。
「早くしないと遅刻しちゃうよ」
 そういってあたしは、勇君の手を握って歩き出した。


 その日の放課後、勇君は、ボランティア部の部活で遅くなるらしく一緒に帰れなかった。
 本当は、あたしも同じ部活に入りたかったけど、家事があるのでそういう訳にも行かなかった。
 あたしは、夕飯の買い物を済ませてマンションに戻ると管理人室の前で声をかけられた。
「藍田さん、ちょっとこのDVDの事で話があるのですが?」
 そういって差し出されたのは、昨日、ポストに入っていた同じ外装のDVDだった。
 勇君との初体験に浮かれていて忘れていたが、あのDVDは、どう考えても非合法としか思えない。
 そんな物を観るだけでもいけない事な気がしてきて、あたしは、言われるままに管理人室に入ってしまう。
 そして見せられたDVDに入っていたのは、信じられないものだった。
「こ、こんなのおかしいです!」
 あたしは、叫んでいた。
 DVDに映っていたのは、あたしと勇君との初体験の様子であった。
 それも、あたし達が見たDVDと違い、前後の様子が省かれたそれは、まるで勇君があたしがレイプされている様に見えてしまう。
 ノイズが入る音声がそれを助長している。
「これが近所や学校にばら撒かれたら大変でしょうね?」
 管理人さんの言葉にあたしは、恐ろしくなる。
「そんな事になったらあたしもう……」
 膝から力が抜けて、そのばに崩れるあたし。
「藍田さんは、大丈夫ですよ。レイプされただけの被害者だ。でも鋭由くんは、違うでしょうね。もしかし たら少年院に入る事になるかもしれませんね」
「そんな、勇君は、そんな事してません。あれは、合意の上での事です」
 あたしの主張に管理人さんが肩を竦める。
「これを観た人がその言葉を信じてくれるでしょうか?」
「あ、あたしが、そう言えば……」
 俯き、切れ切れになりながらのあたしの主張に管理人さんが呆れた顔をする。
「そんな顔で言われて誰が信じる? 君が優しいって有名だから幼馴染の若さゆえの暴走を庇ってると思われるのがオチだ」
「そんな事は、ありません。本当の事を言えば信じて貰える筈です」
 あたしは、必死の主張も直ぐに否定される。
「ニュースで自分がやってないとか、違うんですって主張ってまともに信じてもらえてないくらい解るだろう。真実なんて関係ない、世間の奴等は、自分の面白いと思う事をさも真実の様に広げるのさ」
 違うと言いたい、でもあたしは、知っている。
 テレビに良く出ていた時、ちょっとした事で悪く言われ、どんなにお父さんが否定しても信じて貰えなかった。
「でも彼氏を助けるもっと確実な方法がある」
「本当ですか?」
 あたしの問い掛けに管理人さんがDVDを見せながら言う。
「これが流出しなければ良い。それは、俺の気持ち次第だ。そうだな、君が俺の性欲を満たして満足させてくれればこんな遊びは、止めてあげるよ」
 背筋に悪寒が走った。
ここに至り、この管理人の目的が解ってしまった。
「最初からそのつもりだったのですね?」
 あたしが睨むと管理人は、あっさりと頷く。
「そうだ。だから管理人の立場を使って隠しカメラをつけておいたのさ」
「最低です」
 あたしの言葉に管理人が笑みを浮かべる。
「そうだな。そんな最低の男に抱かれるのが嫌だったらこのまま帰って良い」
 指差した出口を見るあたしの耳元で耳元で管理人が囁く。
「まあ、そうしたら君の大切な彼の一生は、台無しになるけどな」
 進みかけた足が止まる。
「もしも、彼を救いたかったら、向うのは、隣の部屋だ。そこにベッドがある。そこに裸になって横になるんだ」
 今まで生きてきた中で一番難しく、最悪な選択だった。
 それでもあたしは、選択するしかなかった。


「健気だね」
 管理人は、あたしの裸を弄るように見回す。
「見ないで下さい」
 手で顔を覆うあたし。
「これからセックスされるっていうのにかい?」
「……」
 目に涙が溜まっていく。
「存分に楽しませてもらう」
 そういって管理人は、あたしの割れ目を指で弄り始める。
 おぞましさに鳥肌が立った。
「早く、始めたらどうですか?」
 顔を背けながらそう主張すると管理人が含み笑いをしながら言う。
「もう始めているさ。君達がしていたガキのセックスじゃないんだ。前戯からたっぷりとしないとな」
 管理人の指は、粘着的に割れ目を弄る。
 嫌悪感しか無かったそれに別の感覚が生まれ始めている事に気付きあたしは、戸惑う。
「そろそろ感じ始めたみたいだな」
「そんな事は、ありません!」
 否定するあたしの顔の前に管理人は、指を見せてくる。
 その指は、濡れていた。
 管理人が指を広げるとネバーと広がっていくそれがなんなのか、理解したくなかった。
「さて、次は、舌で味あわせてもらう」
「な、何を言ってるの?」
 理解できない言動にあたしが驚いている間にも管理人は、股間に顔を埋め、舐め始めて居た。
「き、汚い! そこは、おしっこが出る場所だから舐めないで!」
 あたしの主張は、完全に無視された。
 管理人は、長く、ザラザラした舌で最初、割れ目の表面を舐めていき、指で刺激しながら割れ目を広げ、中まで舌を入れてくる。
「だ、駄目!」
 あたしの言葉など関係なく、管理人の舌は、あたしの中を蹂躙していく。
 自分の内側から舐めあげられる、そんな今まで体感した事のない刺激は、あたしの体を疾走して頭まで駆け上がっていった。
「アァン」
 声が出ていた。
 無理矢理されていると言うのにあたしは、気持ちよくなっている。
 それが信じられなくって、信じたくなくって首を必死に横に振る。
「こんなの嘘よ、こんな訳ない」
「そうかな、ここは、感じているって主張しているぞ」
 そういって管理人は、割れ目の上にある豆を指で刺激した。
「アァン!」
 敏感過ぎるそれへの刺激に再び声が漏れてしまう。
 管理人は、自分の反応を理解できないあたしを追い詰めるように指と舌で満遍なくあたしのあそこを弄り回した。
「も、もう、止めてください。これ以上されたら……」
 言葉が途中で止まるあたしに管理人が聞き返してくる。
「どうなるんだ?」
 言える訳が無い。
 こんな状況でイッてしまうなんて。
 でも、その瞬間は、もう直ぐそこまで来ているのが本能で解る。
 だからこそ、必死に堪えて我慢した。
「そろそろ一回イカせてやろう」
 そういって管理人は、豆を吸い上げた。
 あたしは、口を押えた。
 そうしなければはしたない声が漏れてしまうから。
 あたしは、脅迫者である管理人にイカされてしまったのだ。
「一回で終わると思うなよ。最低、十回は、このままイカせるからな」
「十回!」
 驚愕するあたしを他所にそれは、再開され、実際にされてしまうのであった。


 望まぬ絶頂の連続は、あたしの心と体から抵抗する力の奪っていった。
 呆然としているあたしの前にそれがそそり立つ。
「ここからが本番だ」
 管理人は、そういってそれをあたしの割れ目に押し当てる。
「う、嘘……、そんな物を入れられたら、死んじゃう」
 管理人のそれの大きさは、勇君のそれとは、全く別物に見え、冷水を浴びた様に一気に恐怖が蘇ってくる。
「安心しろ、その為に十分に前戯をしたのだから」
 それが強引に押し込まれてくる。
「い、嫌! く、苦しい」
 それは、あたしには、大き過ぎる。
 少し入れられただけなのに、ギチギチであたしを圧迫してくる。
「む、無理です! もう抜いて下さい!」
 あたしの懇願を無視され、それは、ゆっくりとであるがあたしの中に捻じ込まれてくる。
 それが奥まで到達した時には、あたしのお腹は、不自然に盛り上がりを作っていた。
 吐き気すら感じる圧迫感にあたしは、脂汗を流して拒絶する。
「苦しい、駄目! もう限界です!」
 これ以上、このままで居たら死んでしまうと本当に思った。
 その時、新たな刺激が発生した。
「な、何を?」
 困惑するあたしに管理人が愉しげに告げる。
「苦しいだけでは、大変だろう。気持ちよくさせてやろうと思ってな」
 そういって管理人は、あたしの胸を揉みあげる。
「き、気持ちよくなんて……」
 否定の言葉を口にしようとした。
 でも、体は、正直すぎる。
「もうこんなに乳首が立ってきたぞ」
 管理人は、固くなってきたあたしの乳首を容赦なく攻め立てる。
 股間を襲う圧迫感の逃避か、あたしは、その刺激、快感に侵食されていく。
「ハァァン」
 吐息が漏れる、あたしの乳首に遂に管理人の口がのび、しゃぶりつかれてしまう。
「しゃ、しゃぶらないで!」
 それがどんな結果を及ぼすかなんて、さっきまでの事で十分に想像が出来た。
「アァァァン!」
 そして想像通り、乳首から与えられる快感にあたしは、声をあげてしまう。
 それに合わせる様に管理人を腰を回すように動かす。
 あたしの中で微妙に動くあれがあたしを中から刺激していく。
 違和感としか言い様のないそれが胸からの快感にジワリジワリと侵食されていく。
「こんなのおかしい、こんな訳無いのに……アァァァン!」
 あれの快感にあたしは、再び昂ぶっていく。
 考えたくも無かったが、あたしは、管理人のあれで達してしまいそうになっていた。
 拒絶する心と相反するように昂ぶり続けるあそこがそれを感じた。
 脈打ったのだ、管理人のあれが。
「そ、それだけは……」
 絶望にも似た思いの中、管理人のあれがあたしのなかに熱い飛沫をぶちまけた。
 その強烈な刺激であたしは、イッてしまう。
 強制された事でイクなんて考えもしなかった。
 あたしは、止めなく零れる涙を止められないまま呟く。
「もう終わりですよね? 離れて下さい」
「冗談を言うな。誰が一回で終わりにするか」
 そういうと管理人は、腰をゆっくりと前後に振り、あれをピストン運動させ始めるのであった。
「そ、そんな。だって男の人は、出したら終わりだって」
 困惑するあたしの考えと相反して、管理人のあれは、自ら出した物を潤滑油代わりしてスムーズに動き、あたしのあそこを再び昂ぶらせていく。
「も、もう限界です! 許して!」
 あたしの涙ながら訴えなど通じない、一度覚えた快感は、容易に染込んでいく。
 管理人が二度目のそれを行った時、あたしもまた達していた。
 割れ目の隙間から白い液体がどんどん溢れ出す光景は、多分一生トラウマになるだろう。
「もう終わりですよね?」
 縋るようなあたしの問い掛けは、行動で否定された。
 激しく前後を始める管理人の腰。
 衝撃様な刺激があたしを襲う、それが快感と理解出来た時には、あたしは、達する直前に居た。
 三度目のそれと共にあたしは、叫んでいた。
「アァァァン!」
 絶頂しまう体の叫びだった。
 そしてようやく管理人のあれが抜き出される。
 安堵の息を吐いたあたしだったが甘かった。
「うつ伏せにするぞ」
 管理人は、そういってあたしをうつ伏せにするとその状態で再び入れてくるのだった。
「嫌! もう十分でしょ! これ以上、あたしを汚さないで!」
 泣き叫ぶあたしにも管理人は、容赦なく腰を動かしてくる。
 あたしは、そのまま様々な姿勢で管理人に入れられ、出される度に達してしまった。



 管理人の蹂躙の中、はっきりとした意識を無くした私が正気に戻ったのは、自分のベッドの上だった。
「……夢?」
 しかし、股間に違和感があった。
 確認するのが怖かった。
 長い長い葛藤の後、あたしは、確認した。
 あたしのあそこから止め処なく溢れている白いそれを。
「いやー!」
 あたしは、絶叫した。


 あたしは、シャワーを浴びながら思った。
 このマンションが完全防音で良かったと。
 そうでなければ隣の家の勇君にあたしの絶叫を聞かれてしまっていた。
 あそこが真っ赤になるほど洗う。
 もう綺麗になった筈なのに、またあれが零れ出してくるのじゃないかと思うと洗う手が止められなかった。
 不安と嫌悪感に包まれたまま部屋を出てベッドに戻る。
 ベッドのシーツを汚すそれを見て涙が再び零れ出る。
 あたしは、そのシーツをゴミ袋に入れて、夜中にも関わらずゴミ捨て場に持っていった。
 部屋に戻るとあたしは、カーテンを閉め、毛布を頭から被って震えるしか出来なかった。
「あたし、穢されちゃったよ。もう、勇君と愛し合う資格なんてないよ」
 そう思うと胸が張り裂けるように痛く、ただただ涙が溢れてくる。


 どれだけそうしていただろう。
 玄関のチャイムが何度も鳴らされていた。
 あたしは、ふと自分の携帯の履歴を見た。
 学校を休んでしまったあたしに友達からメールと電話があった。
 その中でも勇君からのは、いっぱいあった。
 そして鳴り止まないチャイムが誰なのか思いついた。
 あたしは、管理人から受けた激しい行為で悲鳴を上げている体に鞭をうって玄関に向った。
「和恵ちゃん、その顔……何かあったんだね!」
 ずっとなき続けていたあたしの酷い顔に勇君にそう断言されてあたしは、顔を背けた。
「和恵ちゃん、何があったのか言って!」
 言える訳が無い。
 勇君だけには、言えない。
「お願い、今日は、今日だけは、帰って」
 そんなあたしを勇君は、抱きしめキスをしてくる。
「僕は、和恵ちゃんが大好きだ。何があってもそれを忘れないで」
 そういって帰っていく勇君。
 唇から広がる温かさにあたしは、生きている事を実感した。


 翌朝、あたしは、制服を着ていた。
 平気な訳じゃないし、体も本調子とは、言えないそれでもこれいじょう勇君に心配をかける訳には、いかない。
 あたしが家を出ると勇君が待っていた。
「……おはよう」
 おずおずとそう言ってくる勇君にあたしは、笑顔で答える。
「おはよう。もう大丈夫だから」
 そう告げると勇君が真剣な顔でいって来る。
「無理しなくても良いよ。僕は、傍に居るから何でも言ってよ」
「だから大丈夫だって」
 あたしは、勇君の優しさに背中を押されて学校に向う。
 昨日の無断欠席の謝罪をして普段と同じ学校生活をし、勇君と一緒に下校。
 他愛の無い会話、しかしマンションのロビーで見てしまう。
 あたしを犯し尽くした管理人の姿を。
 硬直するあたし。
「和恵ちゃん!」
 勇君の声にあたしは、慌てて笑顔を作る。
「なんでもないわ」
「本当に?」
 真摯な勇君の問いかけにあたしは、顔を見続ける事は、出来なかった。
 勇君は、あたしのその態度に何か気付いたと思う。
 あたしの家の前についた時、勇君が言ってきた。
「まだおじさんは、帰ってきて無いんだよね?」
 それが何を意味しているかは、明白だった。
 でも、あたしは、穢されてしまっている。
 俯くあたしに勇君が言う。
「僕は、何があっても和恵ちゃんを愛している。それを信じて」
 その言葉を聞いた時、あたしの中で何かが解けた。
「和恵ちゃん、泣くなんて、僕とそういう事するの、そんなに嫌だった!」
 慌てる勇君にあたしは、涙を拭いながら微笑む。
「嬉し涙。あたし、勇君を好きで良かった」
 この時、あたしは、どんな事になっても勇君が居れば大丈夫だと確信できた。
「お父さんが居ないけど、今日は、体育があったからシャワーを浴びるから一度帰って着替えて来て」
「わ、解った」
 顔を赤くして自分の家に戻っていく勇君の手と足は、同じ方が前に出ていた。


 シャワーを出ると丁度勇君が尋ねてきた。
『和恵ちゃん!』
 顔を真っ赤にした勇君をバスタオルだけの格好で向い入れるあたし。
「和恵ちゃんその格好……」
 戸惑う勇君にあたしは、微笑する。
「勇君は、全部見るんだよ?」
「そうだけど、なんと言うか……」
 困った顔をする勇君が可愛い。
 あたし達は、あたしのベッドの上に行く。
 あたしは、バスタオルをとって生まれたままの姿を勇君に晒す。
 そんなあたしを見て勇君が呟きを漏らす。
「……綺麗だ」
 顔が熱くなる。
「もう、勇君たら」
 勇君は、興奮した様子でズボンを脱いであれを取り出し、あたしのあそこに当てる。
「行くよ?」
「……来て」
 あたしの言葉に合わせて勇君のがあたしの中に入ってくる。
 初体験の様な痛みは、無い。
 管理人にされた時みたいなあたしを飲み込むような刺激も無い。
 そこにあったのは、勇君の優しい温かみだけだった。
「和恵ちゃんと一つになってるんだね?」
 あたしは、強く頷く。
「うん、勇君を感じてる」
 涙が勝手に出てくる。
「痛かった?」
 心配そうにする勇君にあたしは、首を横に振る。
「違うよ。好きな人との行為ってこんなに幸せな気分になれるんだと思ったら涙が出てきちゃったの」
 その言葉を聞いて勇君の顔が一瞬辛そうになる。
 多分、あたしの身に起こった事をはっきりとじゃないにしても察したんだと思う。
「和恵ちゃん。何度でも言うよ。僕は、何があっても和恵ちゃんが大好きだって」
 そういって腰を動かす勇君。
 あたしは、ただ、自分の中に勇君のそれを感じ、幸せな時間を満喫した。
 そんな時間も終わりが来る。
「もう限界だ!」
 あれを抜こうとした勇君に抱きついて言う。
「このままで良いよ」
「でも、そんな事をしたら……」
 躊躇する勇君にあたしが答える。
「勇君が良いの、勇君じゃなきゃ嫌なの」
「……解ったよ」
 そして勇君の熱い思いがあたしの中に広がっていった。
 暫く、そのままで居たかった。
「勇君、もう七時だよ、早く帰らないとおばさんが心配するよ」
「……そうだよね」
 名残惜しそうにしながら勇君が帰っていった。
 あたしは、お腹の奥に感じる勇君の残滓に幸せを感じているとチャイムが鳴った。
「何か忘れ物でもしたのかしら」
 あたしは、バスタオルを巻いて玄関の扉を開けた。
「随分と刺激的な格好をしているな」
 幸せな気分は、一気に消えていった。
 そこに居たのは、管理人だった。
 閉めようとするドアに足を挟み管理人があのDVDを見せてくる。
「今、このDVDの映像が流れて誰かが確認に来るまでに君の中から彼の痕跡が消せると良いな」
 さっきまであたしを幸せにしていた温もりが一転して全てを破滅に導く物になってしまった。
「解ってるな」
 管理人の言葉にあたしは、逆らう事は、出来なかった。


 さっきまで勇君と愛し合ったベッドに管理人が腰を掛けていた。
「さて、始めようか」
「好きにしたら良いわ」
 抵抗は、諦めた。
 あたしがどんなに抵抗しても管理人は、あたしを犯すだろう。
「良い覚悟だ。その覚悟に敬意を表して、最高のエクスタシーを味あわせてあげよう」
 そういうと管理人は、あたしの胸と割れ目を同時に弄り始めた。
 あたしは、口を噤み、顔を背ける。
 認めたくないが、管理人のテクニックは、凄い。
 あたしの乳首は、あっと言う間に勃起し、勃起した乳首をしゃぶられたら、強く感じてしまう。
 しかし、十回連続でイカされた時と違い、今夜は、イキそうになる直前でそれが止められた。
 それを数回行った後、管理人は、あれを取り出し、挿入してくる。
 圧迫感は、ある。
 でもそれ以上にあたしを捕らえて離さないのは、強烈な快感だった。
「……アァン!」
 声が漏れてしまった。
 焦らされ続けた体は、あっと言う間に昂ぶっていく。
「一発目だ!」
 勇君のを押し出さんばかりにぶちまけられるその衝撃であたしは、絶頂を迎えた。
 達して脱力するあたし。
 でも、解っている、これで終わりじゃない。
「さあ、続きだ」
「待って、少しで良いから時間を……アァァァァン!」
 あたしの言葉を無視して管理人の腰が動き、刺激してくる。
 イッたばかりだというのに次のその瞬間がもう目の前まで迫っていた。
「イクときにイクって言えばもっと気持ちよくなれるぞ」
 そんな事を言える訳が無い、二度目の衝撃もあたしは、歯を食いしばり堪えた。
 しかし、まだ終わらない。
 容赦なく動き続けるそれに新たな絶頂が迫ってくる。
 二度の絶頂に力が入らないあたしは、恐怖した。
 そして恐れた瞬間がやって来た。
 三度目の衝撃にあたしは、声をあげる。
「イクゥゥゥ」
 頭が芯から真っ白になって何にも考えられなくなって居た。
 管理人が帰った後、正気に戻ったあたしは、自分の身に起こった事に怯え体を震わせる。
 しかし、あたしには、勇君が居る。
 その思いだけがあたしを支えるのであった。


 その後も管理人は、あたしの脅迫し、犯した。
 それも勇君と愛し合った後、その幸せを壊すように、あたしを徹底的に犯す。
 あたしは、勇君との繋がりを信じ、耐え続けた。
 そして開放の時が訪れた。
 いつもの様にあたしを犯していた管理人が疲れ果ててベッドに倒れているあたしの枕元にDVDを放り投げてきた。
「コピーは、無い。安心しろ」
「いきなりどういうこと?」
 今までいくら求めて渡そうとしなかったそれをこんなに易々と渡すなんて正直、信じられなかった。
 管理人が失笑する。
「なに、難しい話じゃない。ただお前の体に飽きただけだ」
「あたしの体に飽きた……」
 何故か胸が痛かった。
 でもそんな痛みは、気のせいに決まっている。
「もうあたし達に関わらないって事よね?」
 確認するあたしに管理人が答える。
「ああ、飽きた女を脅迫なんてリスクを犯してまで抱くつもりは、ないさ」
 その言葉通り、管理人の方からあたしの部屋に現れる事は、無くなり、あたしは、平和な日々を手に入れた。


「愛しているよ和恵ちゃん!」
 そう良いながら勇君は、腰を振る。
 自分の快感だけを求める単調な動きのまま勇君は、あたしの中で出した。
 荒い呼吸のままあたしに倒れ掛かる勇君。
 管理人が飽きたと言われてから何度目の勇君とのセックスだろう。
 しかし、これってセックスって言って良いのかあたしは、解らなくなっていた。
「和恵ちゃんどうかしたの?」
「何でもない。それより勇君は、もう良いの?」
 あたしが聞き返すと満面の笑顔で答えてくる。
「和恵ちゃんは、素敵だった」
 その不純物が無い笑顔は、好きだった。
 でも今は、胸の奥に苛立ちが起こる。
「そうだ、今度の日曜日、映画を観に行こうよ。きっと楽しいよ」
「そうね、きっと勇君との映画鑑賞は、楽しいよね」
 映画鑑賞だけは、楽しいと思う。
 勇君が帰った後、燻り、あたしを苦しめる満たされない性欲の炎を鎮める為に自分の手で胸やあそこを弄る。
「アァン! もっと、もっと激しく、奥まで欲しいのぉぉぉ!」
 そんな時、あたしの頭にあったのそれ、チンポは、勇君のでは、無かった。


 勇君との濃厚なラブシーンがあった映画を観て、盛り上がった気分のままあたしの家に来た勇君とセックスをした。
 いえ、やっぱりこれは、セックスじゃない。
「もう遅いから、また明日ね」
 満ち足りた顔で帰っていく勇君。
 そう、勇君は、満足している。
 だってあれは、勇君のあたしの体を使ったオナニーなんだから。
 管理人とのセックスは、違う。
 確かにそのセックスは、強制された物だったが、管理人は、あたしを感じさせ、イカせてくれていた。
 勇君は、ただ自分が気持ちよくなる為だけの物。
 そんな物であたしが気持ちよくなるわけが無かった。
 あたしは、勇君の性欲の残滓を太ももに滴らせながら部屋を出た。


「何の用だ? もう終わった関係の筈だぞ?」
 管理人室について言われた言葉は、間違いが無い。
 でも、あたしは、否定する。
「関係ないわけ無い! あたしの体をこんなにしておいて関係ないなんて言わないでよ」
 あたしは、羽織っていたコートの前を広げた。
「発情してるのが俺の所為か?」
 管理人の言葉にあたしは、ビンビンに勃起した乳首を弄り、愛液で濡れた割れ目を擦りながら言う。
「そうよ! 貴方があんな凄い快感をあたしの体に刻み込んだんじゃない。それなのに飽きたなんて言わないで!」
 悔し涙が零れていく。
 自分を犯していた相手にこんな痴態を見せているんだから当然だ。
 でも、もう限界なのだ。
「イキたいの! もう中途半端な快感じゃ足らないの! 貴方のチンポが欲しいの!」
 愉快そうに笑う管理人。
「良いだろう。最初に約束してやろう。俺は、お前の心など要らない。お前の愛情は、大切な彼氏の物だ。それで良いな」
「当然です! あたしが愛してるのは、勇君だけです!」
 あたしの返答に管理人が言う。
「良い答えだ。それじゃ、誓うが良い、決して接吻をしないと。キスは、彼氏だけの物だと」
「誓うわ!」
 あたしが誓うと管理人は、あたしを管理人室のベッドに押し倒し、チンポを入れてくる。
「アァァァン!」
 蕩けた。
 今まで満たされなかった物で満たされていくのが解る。
 激しい腰の動き、でも勇君のそれと違い、あたしが感じる所を的確に掴んだその動きは、あたしをどんどん気持ちよくさせていく。
「これよ、この快感が欲しかったの! もっと、もっと突いて!」
 あたしは、更なる快感を求めて自らも腰を振った。
「気持ちよくなりたいか?」
 管理人の囁きにあたしは、激しく頷く。
「なりたい! もっと気持ちよくなりたい!」
「限界まで我慢するんだ。考えろ、お前は、愛の無いセックスをしていると。そんなセックスでイク事に抗うんだ!」
 管理人の言葉にあたしは、思い出す、あの激しい快感を。
 今、あたしは、好きでも無い男のチンポで気持ち良くなっている。
 それがどんなに勇君に対する裏切りなのかと。
「凄い、いけないと思えば思うほど、気持ち良いのが大きくなるぅぅぅ!」
 昂ぶる快感と勇君への罪悪感、それがせめぎ合い、絶頂にストップが掛かる。
「駄目、だめ、ダメェェェ! 気持ち良いのが止まらないぃぃぃ! 最低で最悪なのにあたし、あたし……」
 そして、遂にその瞬間が訪れる。
 管理人のチンポの脈打ちに胸が引き裂くような心の苦痛とこれから訪れる最高の瞬間を求めて弾けそうな心臓。
「イクゥゥゥ!」
 あたしは、目の前が真っ白になる様な絶頂を迎えた。
 激しい絶頂にあたしが体を痙攣させる中、管理人のチンポは、再び動き出す。
「アァン、またしてくれるんだ?」
「態々聞く必要があるのか?」
 管理人の言葉にあたしは、首を横に振り、腰を振る。
「いっぱい出して、あたしの中の欲望の火が燃え尽きるまで」
 その日のフィニッシュは、騎乗位で、あたしは、自ら腰を上下し、管理人の射精を自ら受け入れるのであった。


 それからあたしは、再びあの生活に戻った。
 勇君との中学生としては、すこし進んだ恋人関係とそれが終わった後の管理人との激しいセックス。
 しかし、今度は、長く続ける事は、出来なかった。
『ごめん、今日も部活なんだ』
 電話口から聞こえる勇君の謝罪。
「良いよ。部活頑張ってね」
 そう答えて電話を切った後、あたしは、ベッドに横になると自然とオナニーを始めて居た。
「もう一週間もセックスしていない」
 管理人とのセックスは、勇君の性欲処理の後、それがあたしの自ら定めたルールだった。
 勇君の性欲処理で昂ぶった体を慰める、だからあたしは、勇君が一番大切。
 そう思い続ける為に必要なルールだった。
 それなのに、あたしは、セックスをしたくて仕方なかった。
 管理人とのセックスは、凄かった。
 やる度に自分がこんなにいやらしかったのかと思わされ、次にやる時は、どうなるんだろうと考える、それだけでオマンコが濡れてくる。
 今も、オナニーをしながら考えていたのは、管理人とのセックスの事だった。
 そんな時、玄関のチャイムが鳴った。
 あたしが出るとそこには、管理人が居た。
「管理人として連絡事項があってきました」
 あたしとセックスする時とは、違う、管理人として顔を見せていた。
「どうぞ中で」
 そんな長くない話、このまま聞いてもいい筈なのにあたしは、中に入れた。
 ゴミ出しやマンション内外のトラブルについて幾つか注意点の連絡。
 紙もあるので、詳しく説明を受ける必要もないそれを聞いている間、あたしの視線は、管理人の股間に集中していた。
「連絡は、以上。そちらの用事が無ければ帰るが?」
 その瞬間、もう一つの顔が現れた。
 あたしは、唾を飲み込む。
 そんなあたしを見て愉快そうに近くのソファーに座り、ズボンのチャックを開いて勃起したチンポを取り出す管理人。
「やるんだったら、お前の口でしゃぶってからだぞ」
 あたしの舌が管理人のチンポに触れるまで長い時間が掛かった。
 しかし、一度、チンポのいやらしい味を触れたらもう止まらなくなっていた、喉まで使って管理人の大人チンポをしゃぶりあげ、濡らす。
「上手になったものだ、ほら褒美だ」
 あたしの口の中で吐き出される大量のザーメン。
 喉に粘りつく違和感に鼻を直撃する雄の匂い。
 もう、我慢なんて出来ない。
 あたしは、割れ目に自ら開き、管理人のチンポを自ら咥え込み、腰を上下させていた。
「すっかりチンポ中毒だな」
「アァァァン! 全部、貴方の所為でしょう。良い、いい、イイィィィ!」
 よがるあたしの腰を管理人が掴み、その動きを押さえ込まれた。
「な、何をするの?」
「お前さ、自分で作ったルールを破っただろう?」
 管理人の問い掛けにあたしは、戸惑う。
「な、なんの事?」
「否定するか。まあ、構わない。それじゃ、誓いの方は、どうだ。もしもこのままセックスを続けたかったら、お前の方からキスをしてこい」
 管理人の言葉にあたしは、驚愕する。
「い、いきなり何を言うんのよ!」
「お前は、自分の作ったルールを破って彼氏を裏切った。それでも彼氏が大切なら、何があっても誓いだけは、敗れないよな」
 管理人の言葉は、納得できる物だった。
 そう、言って無くてもあたしは、自分で作ったルールを破った。
 それは、勇君への裏切り、その裏切りを間違いだとしたいのならキスをしないそのルールだけは、破ったらいけない。
 それなのにあたしの体は、快感を求めて必死に腰を動かし続けている。
 その行為が中途半端に快感を高める。
 裏切ったと言う罪悪感もあり、絶頂に達する事は、出来ない。
「もう止めるんだったら、管理人の仕事もあるから早く決めてくれ」
 時間制限が加わった。
「こんな中途半端で止めるなんて無理。でもあたしが愛してるのは、勇君だけ!」
 完全にパニックに襲われるあたしに管理人が告げる。
「愛より素晴らしい物が目の前にある。解るな?」
 認めたくない。
 でもその言葉が理解出来てしまった。
 あたしは、管理人の唇に自らの唇を押し当てた。
 その瞬間、管理人が何者なのか知ってしまった。
 唇を離してあたしが呟く。
「淫堕の魔王、勇者とあたし達聖女と同じ時代に転生していたのね」
 管理人、いや淫堕の魔王が愉快そうに告げる。
「そうだ、勇者とお前達に力を封じられ、散々苦労させられたぞ。だが、それもこれからの楽しみの為の物だとしたら、ちょっとしたスパイスだったと思える。さあ、どうする?」
 魔王は、最初から自分を封じたあたしを淫らに堕ちす為に計画して、実行に移したのだ。
 魔王が復活したら、どれだけの人々が苦しみ、勇者の転生である勇君に危険が及ぶ。
 それが解っていた。
 でもあたしは、腰を上下させる。
「魔王様、もっと、もっと、もっとあたしを気持ちよくさせて下さい」
 全ての事がどうでも良いと思えた。
 だってもう知っているのだから、このまま魔王様とセックスしてれば最高に幸せになれるって。
「良いだろう。存分によがれ!」
「アァァァン! 魔王様のチンポサイコーレスゥゥゥ!」
 あたしは、子宮を突き上げられ感じてしまう。
「誓うのだ、我が僕としてこの世界の全てを淫らに堕とす手伝いをする事を!」
「誓います! 誓いますから、魔王様のザーメンであたしをイカせて下さい!」
 あたしは、自ら胸をもみ上げ、乳首を捻り上げ、さっきまで魔王とディープキスをする。
 長いディープキスを終え、お互いの舌の間にねっとりした糸を伸ばしながら離れた魔王様が告げた。
「褒美だ、ザーメンを受けて、その身に封じた我が力を解放しろ!」
「い、い、イクゥゥゥ!」
 マグマの様な灼熱のザーメンにあたしは、今までの中で最高の絶頂に達するのであった。


「今日は、親友が家に来ているみたいだな」
 魔王様がマンション内の部屋を監視するカメラの映像を見ながら確認された。
 あたしは、しゃぶっていた魔王様のチンポから口を離して答える。
「はい、小学校時代からの親友、鳥尾(トリオ)優斗(ユウト)とゲームをする約束になっています」
 魔王様は、ニヤリと笑われた。
「そんな親友が自分の彼女とセックスフレンドになっていたらさぞ勇者は、絶望するだろうな」
 愉しげな魔王様のチンポが脈打ち、フェラを再開していたあたしの口の中に射精された。
「魔王様のザーメン、ドロドロと喉に粘りついて、飲みきれないほどいっぱいで最高です」
 あたしは、口の端から零れるザーメンを拭って、その指をしゃぶりながら立ち上がる。
「お任せ下さい。魔王様から授かった力を使って魔王様が気に入る展開にしてみせます」
 あたしは、そう誓い、鳥尾くんが家を出る頃を見計らってエレベータで上がっていく。
 エレベータの扉を開き、鳥尾くんが驚いた顔をする。
「藍田、そういえばお前もこのマンションだったな」
「うん。勇君と遊んだ帰り」
 あたしの言葉に鳥尾くんが楽しそうに答える。
「そんな所だ」
 そんな鳥尾くんの手を掴んであたしが魔王様に揉まれて女らしさが増した体を押し付ける様にして耳打ちする。
「ちょっとあたしの部屋に寄っていきませんか?」
「な、なんだよ」
 顔を赤くする鳥尾くんにあたしが微笑む。
「ちょっとお願いしたい事があるんです」
「お願い? 勇太じゃ駄目なのか?」
 鳥尾くんの問い掛けにあたしが頷く。
「はい。勇君じゃ駄目なんです」
 怪訝そうにしながらも鳥尾くんが了承する。
「解ったよ」
 こうしてあたしは、鳥尾くんをつれて家に戻る。
「それで用事って……何、服を脱いでるんだよ!」
 動揺する鳥尾くんに見えるようにあたしは、制服を脱いで下着姿になる。
「自分の部屋に帰ったんだもの着替えるのは、当然でしょ?」
「だったら先に言えよ、着替え終わるまで廊下で……」
 出て行こうとする鳥尾くんの手を掴みあたしが言う。
「良いんだよ。あたしのお願いは、この方がし易いんだから」
「お、おいなんなんだよ?」
 戸惑う鳥尾くんにあたしが辛そうに言う。
「実は、あたし勇君にバージンを捧げたの」
「まあ、そんな気は、していたけどな」
 勇君の親友だ、気付いていてもおかしくないだろう。
「だったら、どうしてこんな事をするんだ?」
 少し責めるような視線になる鳥尾くんにあたしが言う。
「勇君、セックス下手なの」
 いきなりの言葉に鳥尾くんが唖然とする。
「セックスが下手って、なんだよそれ!」
 あたしが真剣な眼差しで言う。
「勇君って素直でそっちの知識も殆ど無いせいか、いつもいきなりチンポを入れて、自分のペースで腰を振って一回射精して終わりなの」
 複雑な顔をする鳥尾くん。
「あの馬鹿、だから少しは、エッチな本も読めって言っておいたのによ」
「鳥尾くんだったら、あたしが苦しんでるの解るよね」
 あたしの訴えに鳥尾くんが複雑な顔をする。
「そりゃー女だって性欲あるだろうし、そんな一方的なセックスされたら困るよな」
 あたしは、深く頷き答える。
「でもあたしは、勇君を愛している。だけど体も満たされたいの。鳥尾くんだったら、勇君の彼女を寝取ろうなんて考えないよね? あたしとセックスするだけの関係になっても勇君を傷つけない為に秘密にしておいてくれるよね?」
「そ、それは……」
 困惑した表情を見せる鳥尾くんのあたしの下着を見て勃起したチンポをズボン越しに扱きながらあたしが上目遣いで尋ねる。
「体が熱くて、辛いの……」
「藍田!」
 鳥尾くんは、あたしをベッドに押し倒し、勃起しすぎて中々でないチンポを悪戦苦闘する。
 そんな姿を観てあたしは、微笑む。
 多分、普通だったら、鳥尾くんも勇君を裏切るようなこんな真似は、しなかっただろう。
 でも普通じゃない。
 あたしが魔王様から授かった力、ヒートアップは、男女問わず、あたしが触れた人間を欲情させるのだ。
「いくぞ!」
 そう宣言して、ようやくとりだせたチンポをあたしの割れ目に押し当て、一気に挿入してくる。
「アァン!」
 喘ぐあたしの胸を愛撫しながら鳥尾くんが中学生レベルで必死にあたしを感じさせようとし、そしてあたしの中に射精する。
「もう一回出来るよね?」
 あたしの問い掛けに頷いた鳥尾くんは、その日、結局五回もあたしに射精した。
 精根尽きた様子でベッドに倒れこむ鳥尾くんにあたしが念を押す。
「勇君には、内緒だよ」
「解ってるよ。勇太を悲しませられないからな」
 その彼女とセックスしておきながら親友顔、いい面の皮だ。
「これからもよろしくね」
「ああ、任せておけ」
 そういった鳥尾くんは、親友を思いやる顔などしていない。
 それは、あたしとのセックスを期待する助平な男の顔だった。
 あたしは、鳥尾くんをロビーまで見送った後、魔王様にご褒美として何度もオマンコにザーメンを射精して頂くのであった。


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