その3

京子たちの率いる校内のスケバングループは、駅近くの商店街に繰り出していた。



京子「よおし、みんな。あのお店でほんの小手調べをしてみるんだよ。」



おーっという歓声のもと、グループはとうとう、貴金属店になだれこんだのである。中年の女性店員がひとりフロントで応対にあたっていた。



店員「いらっしゃいませ、あ、あなたたちは…。」
京子「うふふふ。このお店にあるもの、ぜんぶいただくわね。」
店員「あの、いったいどういうごようで…。」
京子「みんな、やっちまいな。」
店員「ちょっと、あなたたち、あっ。」



制服姿の一団に戸惑っていた店員が、急に表情をこわばらせた。



京子「うふふふ。みんな、髪の毛先でこの程度のガラスなんか、かんたんに割ることができるから、なかから宝石をもっていきな。」
七絵「くくくく。」



いわれたように、グループのメンバーが髪をガラスにさすと、みなひび割れはじめて破片が床に散らばっていった。



店員「やめなさい、なにをするの、だれか来て。」



奥のほうで休んでいた女性店長もあわてて出て来たが、しょせんかなう相手ではなかった。ただでさえ恐ろしいスケバングループが、より強力な妖怪になっている。



七絵「じゃまするんじゃねーよ。」
店員「ああ…。」
店長「警察を呼びましょう。あっ。」
京子「よけいなことすんじゃねー。」



京子に腹部を蹴飛ばされて、電話をかけようとした店長は倒れてしまった。


その店長の身体の上に馬乗りになった京子は、店長の首に自分の垂らした長い黒髪を舞わせて、両側から毛先を刺し、首から血が出てもだえはじめた。その恐ろしい場面を見ていた傍らの若い女性店員も、呆然として腰を抜かしていた。その間にもガラスケースを次々に壊して宝石などをグループのメンバーたちは漁っていた。



店員「きゃあーっ!やめて。」
京子「おめえもうるせーんだよ。」
店員「ううっ。」



その店員も蹴られて床に倒されてしまった。



京子「こいつは…ひょうっとしたらつかいものになるかもな。」



京子は、若い店員に対してもまた髪の毛で首を刺したが、息の根は止めずに首に流れ出ていた血をなめていた。



外では、七絵が見張り役になっていて、店内ではなにも起こっていないように見せかけていた。




美佐「はっ、あのお店から京子さんたちが…。」



京子たちの怪しげな様子をつきとめようとして、美佐は少し距離を置きながら追っていたが、やはり恐ろしい事件が起こったことを察知した。
美佐は、貴金属店のなかに入って、ガラスケースが無残に割られ、破片が飛び散ってなかのもののほとんどが盗まれていることを目にした。



美佐「まさか、このなかの宝石などを、あの人たちが…。」



そして、傍らで倒れていた女性店長の姿を発見し、美佐は起こそうとした。



美佐「もしもし、しっかりしてください、はっ。」



美佐の後ろから若い女子店員が迫っていた。



店員「その人は、そのままにしておいたほうがいいのよ。いつも口うるさい店長で欲が深いから、いっしょに仕事がやりづらいと思っていたところよ。」
美佐「えっ?あっ。」
店員「ふふふふ。」



店員は、髪の毛を頭の上にまとめていたが、その髪の毛が解かれて舞い上がりはじめた。そして、美佐の身体を目がけて襲いかかりはじめた。



美佐「ちょっと、なにするんですか。」
店員「黒井美佐だね。わたしたちの邪魔者、覚悟をおし。」
美佐「や、やめてください。ああっ。」



美佐は、しかたなく女子店員の攻撃を身をかわしてよけたが、このままではほんとうに殺されると思って傍らにあった客用の丸いすを持ち上げて店員を目がけて投げつけたのであった。



店員「ううっ。」



その店員は倒れた。京子に襲われて毒針髪の仲間にされていたのである。
店員の髪の毛先によってガラスが割れたため、倒れた店員の髪を美佐はたしかめてみた。



美佐「なんておそろしい…、この人の髪の毛は、先が毒針になってる。わたしのことを狙う魔者がまた近くに…。」



美佐は、たしかに周囲に何かしらの異変が起こり続けていると感じていた。







そのころ、毒針髪の張本人である増美は悪魔の首領となっている雅耶とラブホテルの一室で戯れていた。互いに服や下着はすべて脱いでいて増美は相変わらずの女学生のような三つ編み姿で、雅耶のアンダーヘアーのあるところをなめさせられていた。



雅耶「うふふふ、そうよ。その調子、もっとよくおなめ。」
増美「ハアハア…。」



雅耶も自らの床につくまで届くほど長く、またボリュームのある前髪を増美の首にかけ、また増美の二本にまとめられている三つ編みのおさげ髪の毛先をわしづかみにして引っぱっていた。



雅耶「おほほほ。女王のわたしと、おまえも女のようなかっこうになってセックスできるなんていいご身分よ。おまえもこんなことしているなんてわかったら中学の時のクラスメートにあわせる顔がないわね。ほんと、おまえはおちんちんだけりっぱについた女のくさったけだものよ。」



増美の男の性器もぴくっと動き、精液も少し出てきている。言葉責めにも飽きたらず、雅耶に全身奉仕する増美であった。男の性器を露骨にたたせながら、女学生のような超長い三つ編み姿の増美は、すっかり身も心も女らしくなってしまっていた。



増美「ああ、女王さま…。」
雅耶「うふふふ。いずれにしてもおまえは、もとのように帰ることはできないのよ。」







貴金属店から大量の宝石を盗んだ京子らスケバングループは、また自分たちのアジトのような朽ちた倉庫に戻り、自分たちの身体にそれらを身につけていたのである。



七絵「うふふふ。こんなにたくさんの宝石を身につけていたら、となりの学校のスケバン連中もみなうらやましがり、あたいたちの手下にすることができますね。」
京子「宝石を餌にしなくても、みんな仲間にするのよ。あたいたちはその中心。」
七絵「ところで、黒井美佐はどうしますか?番長。」
京子「ああ、あんなやつなど、早いところ始末するんだよ。」
七絵「このあと、どうしますか?」
京子「とりあえず、今日は解散。ふふふふ、少しずつまわりに手下を作ってみてもいい。」
七絵「まだ、番長ほど髪の毛が長くないとむずかしいです。」
京子「ふふふふ。そうか。でも、髪をいちどに伸ばす方法もあるんだよ。」



七絵が、京子の長い髪の毛をヘアブラシで盛んにとかしている。七絵は、片手にやはり貴金属店から盗んできた、丸い玉が十個ほど取り付けられていた髪飾りを手にして京子にさしだしていた。



七絵「これも持ってきたんだけど、やっぱり番長のような長い髪の毛の人でないとつけられないと思うので渡します。」
京子「そう、ありがとう。」
七絵「わたし、この髪飾り、番長の頭にさしますね。」



七絵は、京子の前髪をまとめて持っていた髪飾りで束ねて後ろにおろした。七絵に髪を整えられながら、増美の命令通りに京子はとにかくどうやって仲間をふやせばよいかと考えていた。







夕日も沈みかけて少し暗くなっていた。
スケバングループの少女たちは、それぞれひとりずつ分かれて何事もなかったかのようにみな家路についていった。家族の者は、少女たちがみなその日恐ろしい妖怪の仲間になっていることにまず気づかなかった。



番長の京子も、貴金属店から盗んできた高級な髪飾りを後頭部にとめながらも、かばんを下げた制服姿でふつうの女学生のようにして帰っていたが、その後ろ姿を偶然見かけて興奮していた、美保智文(みほ・ともぶみ)という、小学六年生の男子児童がいた。



智文「いいな、あんな長くてきれいな髪の毛、それにきれいな髪飾りで半分束ねて、できたら自分もあんなふうになりたい。」



男の子でありながら、こうして女の子のするようなことに憧れを感じてしまうまた弱々しい性格の子であった。事実、半ズボンのなかから性器が勃起しはじめていた。



その、智文と京子との間が距離がだんだん近づいてきて、角を曲がったところで京子が智文のほうを振り向いていたため、智文は驚いてその場に立ちすくんでいた。



京子「坊や、なにか用?」
智文「あ、あの…、ごめんなさい。」



智文はすぐに反対方向に逃げようとしたが、京子に片腕をつかまえられてしまった。京子もすでに智文の半ズボンのチャックが少し開きかけている、つまり勃起しているのを見抜いていたのである。



京子「うふふふ。坊や。あたしから逃げられると思う?後ろからこっそりハアハアしながらついてきたの、わかっているのよ。」
智文「はっ、あの…。」
京子「うふふふ。こわがらなくていいから。あたしと遊びたければいいわよ。あたしのこと、好きになったんでしょう。」



京子はふだんは女番長としての男言葉ばかり使っているが、こうして男の子を誘うためにやさしい少女のふりをしているのである。



智文「ごめんなさい、かんべんして。」
京子「そうはいかないわ。あんたのやったことはもうストーカーよ。あんたはお仕置きを受けなければならないのよ。わかった?」



おびえる智文は、もうじたばたせずに京子の言うお仕置きというものを受けなければ、無事に離してくれないと思い、だまってしたがうことにした。



京子「うふふ。観念したわね。そこの茂みにはいりましょう。」



その道の横にあった公園のとなりにある、森のなかに智文は京子に手を引かれて入っていった。そして、少し深く入ったところで智文は倒されてしまった。



智文「あっ。」
京子「くくくく。」



京子の目ににらまれて、倒された智文は身動きができなくなってしまった。そして、ふくらんだ半ズボンのチャックをすべてあけられて下着から手をまさぐられ、勃起していた性器をとうとう下着やズボンの社会の窓から露骨にとりだされてしまったのである。



京子「うふふふ。」



京子は、倒れている智文の身体に前かがみになって背中におろしていた自分の長い髪の毛を二分して両肩から垂らし、その髪の毛を舞い上がらせて左右から智文の性器を目がけて刺させたのである。毛先が恐ろしい毒針になっているため、智文はもだえ苦しんでいた。



智文「あっ、ああ…、いたい…。」



同時に、もちろん智文は精液もどくどくっと大量に出していた。



妖怪の毒針髪になった者の髪は、京子のような長くて量が多くなっているとそれだけ針が無数に集中して相手の身体を刺すため、余計に相手は痛みを感じて毒がまわるのである。さらに、この少年のように女の長い髪の毛を見て興奮していたために、その勃起していた性器を刺されると自分の身体も相手とその興奮した部分が同じようになってしまう、つまり、智文の場合は髪の毛が京子と同じように長くなってしまうのである。もし、興奮の対象がおっぱいでもあれば、男の子のおっぱいがその女並みに大きくなってしまうところである。これは、女が男を襲う時だけに限られる特有の変身なのである。また、あまり針を強く打つと相手が死んでしまう可能性もあるため、下僕にするためには適度に毒をしみこませるだけでよい。もちろん、殺したいと思えばそのまま刺し続けることもできる。ちなみに、京子ほど長くない髪ではまとめても量が少なく、またひとつの方向にまとめられない髪は、たとえば坊主頭のような短い毛では痛みはあっても効き目は薄いのである。



こうして、いったんがくっと倒れた智文は京子に身体をうつぶせにされて髪の毛が背中のほうにじょじょに伸びていき、お尻を覆うほどにまでなってしまったのである。







さらにその夜、また塾帰りとみられる少女たちが途中で分かれ分かれになってひとりずつになっていた。そのうちのひとりが髪の毛が長く、ふたつに分けてそれぞれ耳もとに白いリングのヘアゴムを二重にはめて三つ編みを結い、また毛先にピンク色のヘアゴムをちょうちょ結びにして腰のところでとめていた。おさげを分けるヘアラインもはっきりと見られていた。その少女は河内美玖(かわうち・みく)といって智文より学年がひとつ下の小学五年生だったが、通う小学校は隣の学区で異なり、したがって智文とは面識がなかった。



京子「さ、坊や、あの女の子を襲って仲間にするのよ。」



うつろな表情で、智文は肩からひろげた長く伸びたばかりの黒髪も背中に引きずらせながら首をたてにふっていた。



そして、美玖の背中に近づいて、左右の三つ編みの髪の毛のなかほどをわしづかみにしてひっぱると自分の髪を左右の肩から舞わせ、美玖の首に左右から毛先を刺させたのであった。



美玖「きゃあーっ、だれ?いたい!」
智文「くくくく。」
京子「うふふふ。」



自らの手下にした少年にさっそくべつの少女を仲間にするために襲わせ、後ろから不気味な笑いを手で口にあてながら浮かべていた京子であった。


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