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 あぐらのまま転ばされてしまったような恥ずかしい姿勢のまま、女刑事は滑らかな肩を上下させながら苦しげに呼吸する。その吐息はすでに火のように熱く、ライトで照らされた身体は汗と粘液でヌラヌラと光っている。広い倉庫の中でそこだけにスポットライトがあたったように、白い肌が浮きあがっていた。
「へへへ……見てみろよ、自分のをよおっ」
 秘肉をえぐり、かきまわす巧妙な舌技から開放されて一息ついた女の髪が掴まれ、ライトに顔を向けさせられる。挌闘者としてもかなりのレベルにあるエミリーの柔らかい体が仇となっていた。目の前には両足首があり、そのすぐ下には真っ赤に充血した牝肉が震えている。土手高の、白い肌をふわりと包む茂みの中でヌラヌラと光る肉が覗いている。
「い……いやあっ」
 思わず目をつぶってしまった女の頬が叩かれ、怯えを滲ませた目線が前に動くと大きく見開かれた。信じられないものを見る表情だった。男の一人が耳に口を寄せてささやく。
「そう、あれは動態カメラさ」
 見なれぬどちらかといえば不細工な、しかし精緻な作りの機械が彼女を見つめていた。滅多に見ることのない機械だが、これは確かに動態カメラだった。
 複数のカメラとセンサーを組み合わせ、対象の画像と同時に各種スキャンデータまで採取するという動態カメラは通常学術、研究用途で使われている。だが、用途の中には非合法な用い方も存在する。本人の許可を得ずに許可された意外の目的で使用すること一般が違法だが、実際には多くはたった一つの用法だった。
 すなわち女を犯す様を記録し、臨場感にすぐれた立体映像として販売することだ。きわめて高価なシステムゆえ滅多にその業界でも使われることはないはずだが、その悪夢の機械が彼女の前にある。
「やめて……っ、ひどい、こんなっ──」
 一度データを採取されればコンピュータ上に身長体重はおろか、彼女のしぐさ、声、そして全身の微妙な特徴までも記録されてしまう。そして、データはいくらでも加工できる。いってみればこのカメラに一度撮影されることは、百ものエロ映像に出演するのと変わらないのだ。
「こ、これは違法よっ──当局の許可がなければ着衣のない──っ」
 思わず口をつくせりふだが、男達の笑声によってさえぎられた。
「はっははは。まだ警官のつもりでいやがるぜ、この女」
「当局の許可って……笑わせるぜ。許可ってのは、こうしてとるのか、女刑事さんよ」
 動態カメラの前で、秘肉に指があてられる。肉のあわいにすりつけるようにして上下させると、指の腹が敏感な突起をかすかに触れる。
「あっああっ──やめてっ、写さないで──っ」
 女の叫びもむなしく、蜜をたっぷりとからめた指が秘洞にさし入れられていく。ジュプリという発泡音も記録されていると思うと拷問に等しい。身体を折り曲げられた恥ずかしい姿勢ではなおさらだ。
 動揺する女刑事の胎内に、ゆっくりと男の中指が挿入されていく。膣の入り口の狭い門を通り、かすかに広がった中庭をこえ、その奥へ、奥へと──。
「へへへっ。スムーズに呑み込んでいくぜえ、刑事さんよお」
 男の長い指が、必死の抵抗を貫いて胎内に押し入り、ついに内部のほぐれることのない器官に触れる。女の身体の奥底に秘められた子宮口にとどいたらしい。腰の奥深くで体の奥底を突き上げられるような異様な感触に女が震える。
「へへっ、おとなしくなったじゃねえか」
 今度はいきなり引きぬかれ、ズポッとまた恥ずかしい音とともに男達の嘲笑が浴びせ掛けられる。いよいよ追いつめられた女刑事はすでに言葉数も少なく、男達の責めの前に翻弄されていた。
「はあっはあっはあっ──」
 恥辱に震える女刑事の頬に、何か冷たいものが押しつけられる。指だ。男が彼女の蜜液をすくいとって、頬になすりつけてきたのだ。濃い牝の香りが鼻腔を刺激し、情けなさに涙が滲んだ。
「見ろよ、これ。刑事さんのおつゆだぜ」
 震える女の、その目の前で糸を引く粘液。ライトの光を反射して輝く蜜液は紛れも泣く彼女の身体からにじみ出たものだ。思わず顔をそむける女刑事だったが、頬に塗りつけられた蜜はトロリと顎にむかって流れ、淫靡な眺めになっている。
「くくくっ……味見してみるかあ?」
「やっ、やめてっ!」
 あろうことか自らの恥液をからめた指を口に挿入されそうになるのを顔をふりたくって拒否するエミリーだったが、かえって顔を汚してしまうことになった。
「はははっ──まあいい。可愛がってやるぜ。……おい」
「そ、そんなっ! そこは駄目っ!」
 会陰のあたりを指でさぐられ、あふれ出る蜜を菊花にまぶされたのだ。それだけでも汚辱感はすさまじかったが、今は動態カメラで一部始終を記録されているのだ。人として、女として立ち直りのきかない一線が目の前にある。
 ──まさか──世界中で映像が──っ。
 動態カメラで取得したデータはきわめて精度の高いもので、一度処理すれば対象人物がいなくてもほぼ完全な映像を作り出せてしまう。男達がどれほど破廉恥な映像を作るかを考えると衝撃は計り知れないものがあった。
「お願い……せめて、せめてカメラだけはっ」
 うねうねと、男の手をなんとか逃れようとする尻の狭間に、無情な指が谷間の底を目指してうごめく。尻を責める男と、女性器を責める男はそれぞれからだの位置を計算してカメラの邪魔にならないような位置にいる。
 柱に縛り付けられ羞恥の狭間から秘められた菊花までもライトの光りに照らされた女を、動態カメラは音もなく凝視する。その多くのレンズとセンサーの集合体は奇妙に人間の視線を感じさせ、哀れな虜囚を混乱させるのだ。
「ああっ……ふうあっ……」
 尻肉の中心をこねまわす指は急がずじっくりと愛撫を続けるが、男の言葉は痛烈だった。
「くくっ……いいニオイがするぜっ」
 わざとらしく鼻をうごめかせた男は発する言葉も見つからずに顔をそむける女刑事を楽しそうに見つめ、少しでも逃げようと悶える丸い尻肉をピタピタとたたくのだ。すでに燃えあがってしまっている官能はその刺激すらも悦楽の触媒として受け入れてしまい、女刑事は全身の力が吸い取られていくような錯覚におちいっていた。
 ひそやかに息づくアヌスをマッサージされている間にも、全身への愛撫は途切れることはない。すでにセックスと性感への認識を新たにさせられていたエミリーだったが、お尻への愛撫はことのほか辛かった。このような場所にすらも快感が埋まっていることは知識としては知っていたが、まさか自分が体験することになるとは思っていなかったのだ。
 当たり前のことだが、アヌスが反応すればそれに連動して牝肉も動く。そのさまをあらいざらい記録されているかと思うと全身の毛が逆立つような気がした。
「そおら、ほぐれてきたぜ、刑事さん」
 男の声にあわてて下半身をひきしめるのだが、全身の愛撫から生じる快感がそれを続けさせない。もどかしい、せつない感覚が下半身を支配していて女は少しずつ、だが確実に抵抗力をそがれていく。
「あふっ」
 大淫唇に指をあてられ、秘裂をこねまわされる。敏感なところに直接触れないかわりに、開閉される肉門が粘着質の水音をたてる。その感触すらもが、その音すらもがじんわりと女の中に染み込んでくる。その卑猥な動作のたびにこぼれ出る蜜が菊門をこねまわす指にあらたな潤滑剤となってからみついていく。
「そおら、大洪水だ」
 肩を震わせながら悶えるエミリーだが全身の火照りと喘ぎ、そしてライトの光りをあびて輝く汗とその抵抗が男たちの愛撫に突き崩されつつあるのは明らかだった。すでに全身の肌は痺れるような刺激に覆われ、身体に力が入らなくなっていた。
「くううっ──うんっ」
 一瞬抵抗の緩んだ尻肉の中心に責め具が打ちこまれた。本来一方通行であるはずの排泄器官に、ついに陵辱者の侵入を許してしまったのだ。


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