「はあ、はあっはあっ──」
 女刑事の呼吸がだんだん早く、苦しげになっていくのを男たちは楽しげに見守っている。どんなに強い女でも、ひとたび崩れたら、そう簡単に立ちあがることはできない。組織は今までに数知れぬ女たちを奈落の底に叩き落としてきた。この女刑事も、立ち直る隙すらあたえずに、一気に堕としてしまうつもりなのだろう。
「はあっはあっはあっ──ひっ──ひあっあっ──ああっ」
 男たちの狙い済ましたかのような一斉攻撃に、女の肉体が崩れ落ちた。もちろん、深い絶頂ではない。計算された、女に屈辱を味わわせるための強制的な、性急な快楽だ。
 だが、憎むべき犯罪者達の目の前で、おぞましい責め嬲りに反応してしまった精神的ダメージは大きい。ピクン、ピクンと痙攣する膣肉。しっとりとふくたみをおびている恥丘から大陰唇。普段よりもさらに豊かに丸みをおび、先端で桜色の突起を固くしこらせた乳房。
 悪夢のごとき惨状を呈しているのは、ほかでもない自分自身の肉体。子供のころから組織の壊滅を願い、生きてきた彼女自身の肉体なのだった。
「ヒャハハハッ──いい声で鳴くじゃあないか。これで感じてないんだってよおっ」
「んーん? それじゃあ、この内腿にたれているのはなんだろうなあ? オシッコかあ? なあ、刑事さんよおっ」
「女刑事さんの立ち小便か? こりゃあ、いいや。ハハハハッ」
 男たちの嘲笑の中、全身が燃えあがるような恥辱の中。それでも甘い快楽の波が女捜査官の肌をうねらせている。本格的ないたぶりは胸だけだった。あとは、ほとんど触れているだけのような愛撫。ただそれだけで官能を溶け崩れさせてしまったことは彼女の心に深刻なダメージを与えていた。
 ──う、うそ。うそよっ──こんな──こんな恥ずかしいことっ。
 だが、熱く火照っている肌。ぬめり、潤みを帯びている女の肉扉と淫蜜に濡れる内腿は否定することのできない事実なのだ。ジクジクと濡れる体の奥底が、汚辱の沼に足を踏み入れてしまったことを教えていた。
 目を閉じ身体をふるわせている髪をとられて、無理矢理上を向かされる。そこにはあの憎むべき巨漢の、邪悪な喜びに満ちた笑顔がある。
「カ、カーツ! こ、この卑劣漢!」
 女刑事の罵倒も、もはや巨漢には届いていない。野太いうなり声のような含み笑いが男のごつい唇から漏れる。
「あうっ──く、くう──や、やめてっ」
 燃え上がるように熱い肌を、巨漢のごつい指がなでまわしていく。量感のある胸のふくらみから臍をとおり、下腹部から恥丘へ。すでに潤みを帯びた秘裂のすぐ近くにまで、巨漢の指はやってくる。
 そして、両腿の間に染み出してきている牝蜜をぬぐうようにして、無言のまま女刑事の顔につきつける。
「や、やめてっ」
 顔をそむけて震える女刑事の唇に、男の指が触れる。
「これはいったい、なんだろうなあ? エミリー?」
 全身が燃え上がるような恥辱の中、目をつむり、歯をくいしばるエミリー。その唇に、自らの分泌液が塗りたくられる。生々しい、恥ずかしい臭いが女の鼻腔をくすぐった。
「く、う──」
 憎むべき敵に視線を合わせることのできない女刑事のあごに、巨漢の手がふれた。ぐい、と恐るべき力で巨漢のほうに顔を向けさせられた。
「さあ、あやまっちまいな。私が悪うございましたってな。そうしたら、許してやるぜ」
 圧倒的な巨体のボリュームが女刑事を圧倒する。喉の奥からいやらしい低い笑い声が漏れ出てくるのも、その秘められたエネルギーが押し出されているかのようだ。だが、彼女は負けるわけにはいかないのだ。
「何言ってるの! あなた達に謝ることなんて、何ひとつないわっ」
 まだ強い口調で反論できる。柔肌をなぶられ、なめしゃぶられながらも彼女はまだ抵抗を失ってはいなかった。だが、彼女のその抵抗すらも、巨漢には楽しみの一つにすぎないようだった。
「くっくっく──そうだな、お前は確かに悪いことはしていねえ。だが、そのお前が謝ることに意味があるんだ。わからねえか?」
「──! こ、この──うぐっ」
 反論する間もなく頭を柱に打ち付けられた。対した痛みではないが、女を黙らせるには十分な衝撃だった。
「素直になるまで、そいつらに可愛がってもらいな。どいつも腕っ節だけじゃねえ。色の道でも達人ぞろいだぜ」
 ポンポンと子供をあやすようにエミリーの頭を軽く叩くと、カーツはまた離れていく。女捜査官の憎悪の視線などまるで感じていないようだ。唇をかみしめる女が狼狽にうめいた。先ほどからのショックで太腿がゆるんでしまい、男たちの指がより深くまで侵入してきていることに気付いたのだ。
「へへへっ──もうジュッポリ濡れているぜ、刑事さん」
 完全に太腿を押し割った男が、太腿の必死の抵抗によるしめつけを楽しむかのように頬をやわらかな牝肌におしつける。チュッチュッと音をたててキスをしてくるのがたまらないおぞましさと、火照った身体に異様な快感を伝えてきていた。
 一瞬気がそれている間に、男たちは一層彼女の身体の中に食い込もうとしていた。女性らしい曲線を描く白い裸体に男達が群がるさまは引き倒された草食獣に群がるハイエナのようにも思われた。
 ──ダメなのに──私の身体、おかしい──おかしいっ──。
 チュパチュパと今や音を立てて乳首をなめしゃぶる男はそのおどろくべき吸引力と巧みな唇と舌の動きで確実に女を追いつめていた。身体の中につまっていた快楽の甘いジュースを搾り取るかのように吸い付きしゃぶり、なめしごかれると胸の先端から身体がやわらかくほぐれ、溶けていきそうな気すらする。
 耳から肩、うなじ。そして背中を愛撫する男。慎重に、やさしくなで上げていくかのようなその感触は、女刑事が今まで体験したことのない繊細な刺激で抵抗することが難しかった。
「ふうっ──た、多人数で女を陵辱することしか頭にないのっ、男のくせにっ」
 エミリーの挑発的な言葉は、せめて男たちから何らかの情報を引き出したいがゆえのものだが、男たちはいたって冷静なもので、彼女は肩透かしをくらった気分だった。うまくすればこのいやらしい嬲りの手もやむかと思ったのだが、甘かったらしい。
「馬鹿いうな。あんたがそれだけ評価されているってことさ」
 それでも、応えてくれる男もいる。エミリーは熱く潤う牝肉の狭間を意識しながらも、その男の言葉にしがみつこうとする。何もせずに男たちにされるがままでいたら、自分を見失ってしまいそうな恐怖があった。
「ひょ、評価──?」
「そうさ。我が組織にダメージを与えてくれた敵として。そして──」
 男がエミリーの耳たぶをかんだ。コリコリと転がされる軟骨の痛がゆいような感覚から、ゾクゾクするような快感がしぼりだされていく。
「ひん──っ。そ、そして──?」
 男の低い声は耳たぶを震わせ、うなじに、髪の毛へと快楽の輪を広げていく。男は自分の声と吐息の効果を十分に計算しながら、絶妙のタイミングで語りかける。
「最高の牝奴隷の候補としての評価さ」
 半ば予想してはいても、それでも衝撃的な、汚辱にまみれた言葉。絶望に押しひしがれそうな女刑事の耳裏に入り込み、ゾロリとなめ上げる舌。女刑事の拘束された体が電流でも流されたかのように硬直した。


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