決戦!!ラルデリカ最期の日(前編)



 ――た・・・・・・て・・・お・・・・・・こ・・・・・・・・・助・・・て・・・

 チェルシー・フィリスは夢を見ていた。白く明るくそして、どこか懐かしい暖かさがあった。ただその夢は普通の夢とは違いまるで現実のようなリアリティーがあったのだ。

――た・・・けて・・・お・・・いこ・・・か・・・助・・・て・・・

(貴方はだれ?)

 チェルシーは夢の中を歩くと声が聞こえ、自然と声のするほうへと歩き出す。

――たす・・・て・・・お願い・・・こ・・・ら助・・・て

 声は徐々に大きくそしてはっきりと聞こえてくる。

(ここはどこ?)

 チェルシーがたどり着いた場所には1人の女性が宙吊りにされ四肢を鎖で縛られ革のベルトで目隠しをされ立体的な魔方陣の檻に閉じ込められ涙を流していた。

(貴方は誰?どうして閉じ込められているの?)

――そこに・・・だれかいるの?

(貴方は誰?ここはどこ?)

――私はエキドナ・・・ここは・・・空中要塞イカロス・・・お願い・・・ここからだして・・・

(わかった・・・ちょっとまってて・・・)

 チェルシーは手を伸ばし檻をあけようと檻に触れると弾き飛ばされる。

(きゃっ・・・ごめんなさい。私じゃできないみたい・・・でも兄様ならきっと・・・まってて必ず助けに来るから)

――ええ、まってるわ・・・チェルシー・・・可愛い・・・私の・・・

「えっ・・・!?」
 目を覚ますと隣には愛しい兄が眠っていた。
「今のは夢?でもとっても懐かしい・・・」
 そっと頬に手を当てると濡れていた。
「私、泣いてたの?でもどうして・・・」
 結局、夢のことが気になり眠ることができなかった。

 翌朝――

 緊急の軍議が始まった。それも今までに類を見ないほどの規模のものである。
 水晶をとうして映像を空中に展開し、その画面には幹部の顔が次々に投影されており、ラムルテッドの会議場には、魔女フリーダを始め、元聖騎士アルト、鮮血の騎士クルツ、吸血姫リーゼロッテ、エルフの長ティファニー、ドワーフの長バンバルス、リザードマンの長バネル、妖精族の長オベロン、蛇人の長ゼロスと各種族の最高指導者が出席している。むろん投影されている映像には最高指導者である皇帝ゼクロ、オーガの長キルデ、影法師クロエ、獅子王レオン、馬族の長メイ、兎族の長フェイリン、牛族の長アンリなど名を上げていけばきりがないほどである。そんななかチェルシーは自分がここにいて良いものなのかという思いを抱いていた。
『それでは諸君。いよいよ最終決戦の時がきた』
 その言葉とともにラルデリカ周辺の地図が出る。
『さてと、先ずは敵軍を牽制する意味でラルデリカにある東西南北4つの門をそれぞれ攻めてもらう。先ずは東門アルト率いるグレイブニルとバネルのリザードマン軍、ゼロスの蛇族。南門はキルデ率いるオーガ軍と獅子王レオン率いる人獣軍。西門はフリーダ率いるティターン、ベネルの魔獣部隊。そして北門ティファニーのエルフ軍、バンバルスのドワーフ軍、クルツとリーゼロッテで進軍を正し町への被害は最小限に頼む。そして、その陽動の間にクロエと俺が敵城に攻め入る。以上だ。なにか質問は?』
「いいかゼクロ?」
 フリーダが質問を投げかけた。
『なんだ?』
「敵の巨大兵器ネフィリムの件だ。あれの製造工場は見つかったのか?あれは破壊しておかないとこの戦いに勝ったとしても・・・」
『それはクロエにも調査させたがつかめていない。幾つかの施設はあったがそれもあくまで材料などの転送をしているらしくてな・・・地上にも地下にもそのそれらしい形跡はなかった。海上も考慮したがさすがに距離がありすぎるしな・・・』
 苦い顔を浮かべる。
「空中要塞イカロス・・・」
 ぼそりとチェルシーは思わず呟いてしまった。
「えっ?いまなんて・・・」
 フリーダを始め全員の注目がチェルシーに集まる。
「す、すみません・・・ただ今日見た夢で・・・」
 チェルシーは今日見た夢のことを喋り何度も謝った。
『本当に・・・その夢で出てきた女の人は空中要塞イカロスと言ったのだな?』
「はい・・・」
「ゼクロ、チェルの無作法は私のほうから詫びる軍議の場に・・・その」
 アルトが助け舟をだすが
『いや、アルト。君の妹を責めている気もなければ只の夢とは思ってもいない・・・なぜならイカロスは10数年前まできちんと実在した遺跡だからな・・・まさか空中に浮いてるとはな・・・みなすまない。一応先ほどの作戦で進めてくれ。イカロスの調査が済み次第新たな指令を出すかもしれないが・・・頼んだぞ』
 その言葉とともに深くお辞儀をすると軍議は終った。

 ★ ★ ★

 ゼクロの駐留するアルグレでも進軍のための準備が進む。
「陛下」
 そのゼクロの元にクロエが報告に現れた。
「クロエか・・・結果は?」
「はい、ラルデリカ上空に視認不可の結界があるのをバジリスクが感知をしました・・・ただかなり上空にあり、アバドン、ベリアル、ベルゼブブの3名に向わせましたが途中の防御設備で迎撃されてしまい現在治療中です」
「判った・・・しかし、困ったな。一応、フリーダのほうにも相談してみるか」
 そういうと魔方陣を手早く書くとフリーダの姿が映し出される。
『ゼクロ!?ちょッいきなりなによ!!』
 その姿は激務のためか乱れて髪も適当にまとめた物である女心としてはおまり見られたい姿ではないが
「フリーダ、すまない。だが急ぎでな。どうやらあの子が言っていたイカロスはラルデリカの上空にあることは掴んだのだが防御システムが強固でな・・・さすがに距離があるすぎて攻撃魔法の射程外の上に飛行魔法の速度をもってしても辛く防御システムを振り切ってたどり着いたとしても疲れきっているだろうからなろくに戦えないだろう・・・いい案はないか?」
『つまり迎撃されるよりも早く到着しなおかつ余力を残せればいいわけよね?ならそれが可能なティターンが一機だけあるけど・・・でもただ一つ問題があるけどどうする?』
「問題?」
『そう、使えるのが特別調整で実験機でアルトの妹のチェルシー用に調整してあるの。それを再びゼクロ用に調整しなおすとなると時間はかなりかかるわね。それで敵に逃げられたら厄介よね。あの戦力を欲しない国はないだろうから手早く片をつけたいけどまさかチェルシー1人で敵の本拠地に突っ込ませる気?』
 その問いにだがゼクロは迷うことなく
「なら、それに俺が同乗して突入する」
 キッパリとそう答えた。
『・・・やっぱりね。ゼクロの性格ならそう言うと思った・・・大将のくせに突っ込むなんてどうかしてるわ。でも、どうせ止めたって聞かないのでしょ?』
「ああ」
『はぁ〜いいわ。それでいきましょう』
 思わずフリーダはため息をつくがその顔には「やっぱりこういうヤツなのよね。部下だけに危険を押し付けるのががまんならないんだから」と嬉しそうな笑みが浮かんでいる。
「クロエ、すまないがラルデリカの方を頼む。俺はイカロスを落すために動く」
「はい、ゼクロ様」
 ゼクロはラムルテッドへと向った。

 ★ ★ ★

「フリーダどいうことだ!?それは」
 アルトはフリーダに詰めよる。
「だからゼクロが決めたのよ。それに本人も承諾済みよ」
「ごめんなさい・・・兄様でも私どうしても行かないといけない気がして」
「フリーダ様準備ができました。何時でもテストを始められます」
 配下から声がかかった。
「わかったわ。チェルシー悪いけどテストに向ってくれる?」
「は、はい。兄様ごめんなさい・・・」
 そういい残し足早に向っていった。
「はぁ〜」
 ため息をつく
「お兄ちゃんは大変ね」
 その様子をからかうようにフリーダは笑う
「大変なんだ!!」
 おもわず声を荒げる
「なら、安心できる要素を一つ教えてあげる。あの子の能力日に日に高くなってる・・・異常なほどにね。まーそれに気づくのに時間がかかったのはあんたのせいだけど・・・」
「な、なぜだ?」
「あんたの能力が高かったからよ!!よくあんたと組み手してたからこないだちょっと私も気晴らしに相手をさせたら・・・負けたのよ!!一発も当たらなかったわ。並みの戦士なら体術だけで勝つ自身はあったのによ?」
 フリーダのいう並はゼクロ軍の並でということだがその並というのはリザードマンやオーガなど戦闘を得意とする種族たちを指しその実力は人間の戦士でなら優秀でしかも修練を積み複数で相手にしたときで互角なのである。
「それで癪だからちょっといろいろとテストさせてみたのよ。そしたらあの子の反応速度がゼクロ並・・・ううんはっきり言うわゼクロ以上だったのよ。無論、総合能力ではゼクロのほうが大きく上をいってはでも反応速度だけは驚異的ね。もう予知と言ってもいいわね」
「そ、そこまであったのか・・・やはり・・・」
「ええ、そうね。まーそういうわけだし、それにゼクロが一緒なのよ?たとえ地獄でも私ならゼクロがそばにいれば安心できるわ」
「のろけか?」
「う、うるさいわね。ほらあんたも恋人の心配してないで自分の仕事をなさい」
 戦いの準備は刻一刻と進んでいった。

 ★ ★ ★

 ラルデリカはすでに風前の灯火だった。四方を敵軍に囲まれ援軍はくることはない。ゼクロ軍の勝利は目前・・・

 東門――

 アルトの乗るのは鷹の鎧を纏ったような騎士を思わせ双剣を構える『ティターン』ストームブリンガーの前に巨大な敵が立ちふさがっていた。
『流石はかつてラルデリカ最強と呼ばれたアルト・フィリス殿ですね嬉しいですよ。この特務部隊アポカリプス、ワイネスト・フォン・ゲーヘルの駆るエンドオブワールドを相手にしながらよく持つ』
『くっ』
 エンドオブワールドはストームブリンガーの3倍近くの大きさをもち6本の腕を持ちそれぞれの手には右手の三本には大剣、大斧、盾、左手には槍、大槌、盾を構え猛攻を繰り広げる。アルトは機動力をいかし何とかワイネストの注意を引きつつ周りの敵を盾にしながら戦う。
『はははははは、逃げるだけでは勝てませんよ?』
 大槌が振り下ろされ大斧がなぎ払われる。
『確かになら攻めさせて貰おうか?』
 アルトのストームブリンガーの姿がぶれる。
『なに!?』
 次の瞬間、双剣が振るわれ銀光が煌くと大斧と大槌をその腕ごと砕いた。
『バカな・・・捉えられないだと?そんなことがあるはずがない。この機体はフランシス様から賜ったもの負けるはずがない』
『愚かだな。武器は所詮は器、それを満たす物がなにかによってその力は大きく変わる』
 ストームブリンガーの数が増える。
『なっ幻術?舐めるなそんなものセンサーで・・・バカななぜ全てに質量が存在する!!まやかしなら質量は・・・』
 戸惑った一瞬
『終わりだな』
 ストームブリンガーは巨人の額に双剣が深々と刺さりそのまま振り下ろし真っ二つにした。
『悪いけど、もたもたできないのでね。手早く終らせてもらった』
 アルトは次の敵へと向い戦場を翔ける疾風へとその身を変えた。

 南門――

 ガンッ――
 大剣の柄がキルデの腹部に当たる。キルデと相対しているのは巨漢の剣士、ガンズバート・アイク・ムルエルである。
「どうした?お前の力はその程度か?」
 ガンズバートは肩に大剣を担ぐ
「この程度でいい気になるな」
 キルデは立ち上がり斬馬刀をしっかりとかまえる。
「ふっこの『セラフィム』を纏った俺に勝てるとでも思っているのか?こいつは一角獣の連中に与えた試作品とは違いそのデーターを基に作られたものだ。そして、この俺が身につければまさに無敵だ」
 自らの鎧を誇示する。
「道具に頼るとは情けない奴だ。そんなに力を誇示したいのならお前の仲間のようにあのネフィリムとかいうのに乗ればよかろう」
「くっくっくっ、判ってないな・・・この手で弱い奴を嬲り殺すのが楽しいんじゃねぇか。お前も化け物にしては可愛いからな甚振りがいあるぜ」
 ガンズバートのその言葉をききキルデは笑みを浮かべる。
「なるほどな。貴様は弱い物虐めをして悦に入る小者か・・・ならば我の敵ではないな。道具に頼り、自身よりも弱い者にしか戦いを挑むことのできないなんとも情けない男だ」
「ほざけ!!」
 大剣を振り下ろしその重量をもってキルデを一刀両断しようとするが斬馬刀の柄で受け止めるとその重量のためかキルデの足元が陥没し背後の地面が隆起する。だがキルデはそれを慌てることなくいなしガンズバートの重心を崩すと斬馬刀で足を払いそのまま打ち上げる。
「ぐはっ!!」
「愚か者め死んで後悔するがいい」
 高く打ち上げたガンズバートを追いキルデも跳躍すると空中で斬馬刀をガンズバートに打ちつけながらなお上昇しつづける。キルデの一撃が叩き込まれるたびにガンズバートの鎧に亀裂が入りやがて砕け始める。
「これで終わりだ」
 天高くまで昇ると地面に向けてガンズバートを叩きつけ、それに続き刃を突き刺す。
「がはッ」
 ガンズバートの口から鮮血が飛び散りキルデの顔に朱の染みを作る。
「バカな・・・この俺がまける・・・はず・・・が・・・」
 一瞬の出来事が信じられずまるで悪い夢を見ているようであった。
「ふん、弱者しか甚振ることを知らない貴様が我に勝てるはずがあるまい?」
 唾棄するように言い放つと事切れた骸から斬馬刀を引き抜き
「みな、ここが踏ん張りどころぞ!!我らが陛下の理想実現のため粉骨砕身で挑め!!魂は我が拾おうぞ!!」
 キルデは声高らかに叫ぶと
「おおおおぉぉぉ」
 オーガたちは雄たけびを上げそれに呼応するかのように
「我らも怯むな!!」
 レオンの声に人獣たちも鼓舞され果敢に敵陣へと切り込んでいった。

 西門――

 城壁と同じくらいの大きさの機械の魔獣がフリーダたちの前に立ちふさがっていた。
 魔獣は獅子の頭と狼の頭を持ち体は虎で背からは大鷲の翼が生え、9本ある尻尾は3つの蛇と3つはムカデと3つのサソリの尾であった。
 獅子の口からは炎が吐かれ、狼の口からは冷気が吐かれ、翼で巻き起こされる風で多くの兵が吹き飛ばされ、虎の爪が引き裂き、蛇の顎が食い散らかし、ムカデの口からは毒液が吐かれ、サソリの尾が突き刺す。
 敵も味方も関係なく機械の魔獣は暴れつづけた。
『消えろ消えろゴミども!!はははは』
 機械の魔獣カタストロフィーを操るメサイヤ・メサイラ・メルナームは高笑いをあげながら全てを蹂躙しようとしていた。
 それに立ちふさがるフリーダは、それをじっと見つめ。呪文を唱えだす。
「水よ。水よ。我が敵を押し流し押しつぶせ『タイダルウェーブ・プレッシャー』」
 大量の水がカタストロフィーを押し流そうとするが巨体がゆれことすらない。
『ははははは、ゴミが何をしたってムダなのよ。さーどうやって死にたい?焼け死ぬ?凍死?圧死?なんでもいうがいいわ。お望の方法で殺してあげる』
 メサイアは余裕の笑い声を上げる。だがフリーダは呪文をさらに続けている。
「全てを閉ざす氷雪の世界。今ここにあらわれ全てを時の止まりし世界へと誘え『アイスエイジ』」
 今度は大量の水が固まり動きを封じる。
『なによ。こんなの獅子の炎ですぐに溶かしてあげる!!』
 獅子の炎で氷を溶かし始めるがまだまだフリーダの呪文は続く
「大地の地霊よ。その御身を獣へと変え我が敵を噛み砕け『アース・バイト』」
 氷漬けになっているカタストロフィーを大地から現れたの顎が襲う。
『な、生意気!!こんなの!!』
 鷲の翼で受け止める。しかし間髪いれずに新たな魔法の詠唱を続ける。
「風と雷よ。2つの力よ全てを破壊する斧となれ!!『ストーム・アックス』」
 真空の斧と雷撃の斧が魔獣の体に食い込む。
『な、なんのなよ。カタストロフィーには幾重にも対魔法防御が施してあるのにそれをことごとく打ち破るなんて・・・そんなことがあるなんて・・・』
 度重なる魔法攻撃によって機械の魔獣は傷つきその機能は9割近くが失われメサイヤは恐怖に身を震わした。
「いくら強固な魔法防御も中和している間は無力になるのよ。中和時間の間に次に魔法を叩き込めば魔法防御を突破できる。あとはそれを繰り返せば幾重にも重ねられた魔法防御を突破できるわ。さてこれで終らさせてもらうわ。始まりにして終わりを示す炎は炎の108つの杭生み出し汝を打ち付け汝を捕らえるであろう。そして炎の終末の獣の顎は汝を捕らえ汝を焼き殺すであろう。さあ炎の門を越えて来たれ終末の巨獣『フェンリル』」
 炎の杭が容赦なくカタストロフィーとメサイヤを貫きその温度をどんどん上げていく。カタストロフィーはその熱で徐々に溶け温度の限界を超えた時メサイヤは一瞬の内に灰になった。
「どんなに巨大な力であろうと私の前では無力だったわね」
 そういうと指をパチンと鳴らすと炎は渦を巻きその姿は巨大な狼の姿へ形をかえ咆哮をあげ天へと昇っていた。
 それを見届けたフリーダは誰よりも早く西門を制圧した。

 北門――

 爆音が響きあちこちにクレーターができる。
『ほらほら逃げ惑え』
 無数の砲身をもつ巨人パワー・フォー・ジャスティスはその鈍重な体をゆっくりと動かしながら砲身は火を噴く。砲身は小さくは見えるがそれはあまりにも巨人が巨大なために砲身が小さく見えるのであってその砲身の太さは大人1人が余裕で中に入れるほどでその弾頭も着弾すると爆発を起こす。
『たく、派手にやってくれるぜ』
 ライフルをもつ『ティターン』リップルバーンウィンクルにのるクルツはぼやいた
『どうするクルツ?』
 リーゼロッテはその傍らにたつ蝙蝠のような翼をもつ『ティターン』ピュートーンの中から訊ねた。
『そうだな・・・リーゼ、囮を頼めるか?俺に考えがある』
『判った。その考え信じるぞ』
 ピュートーンは空に舞い上がる。
『なんだ今度はお前が粉々にされたいのか?いいよ壊してあげるよ!!』
 砲身がいっせいにピュートーンに向けられ火を噴く
『やられてたまるものか』
 ピュートーンは高速で回避する。それを追って巨人は砲身から火を放つだが幾つかの砲身が突如爆発する。
『な、なに?』
『ヒュ〜命中』
 リップルバーンウィンクルから放たれた弾丸が砲身の奥にある弾奏に弾丸が叩き込まれたのである。
『こ、この』
 巨人は怒りに任せクルツの方にむくがその機を逃すほどリーゼロッテもおまくない。急降下しナイフを突き立てると再び上昇する。しばらくするとナイフが爆発を起こし巨人のバランスを崩す。2人は息のあったコンビネーションで翻弄しあっという間にパワー・フォー・ジャスティス動きを奪いさる。
『ば、バカな』
『ほら、こいつで止めだ。距離・・・800、性質・・・爆発、特性・・・回転、属性・・・金』
 クルツはライフルの弾丸を魔術で変化させ巨人の人で言うところの心臓部分を打ち抜くと激しい爆発が起きる。
『トロイやつは只の的だぜ』
 爆発炎上するパワー・フォージャスティスに向い指をさし勝利を宣言する。
『ほら、格好をつけておらんで次をいくぞ』
 エルフとドワーフを援護するために再び戦場を縦横無尽に2人は駆けた。


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