12:鏡


 私は、目を覚まさない舞夏ちゃんを置いて、隣の沙耶さんの家に入っていくのです。
 そこは、生活感の無い、素っ気の無い家でした。
 そして、私は、見つけてしまいます、旧校舎に在った筈の大鏡がそこにある事を。
「どうしてそれがここに?」
「それが、元々私の物だからよ」
 振り返ると沙耶さんが居ました。
 そして、その後ろには、誓唯さんの石像が。
「誓唯さん……」
 沙耶さんが苦笑します。
「彼は、ルール違反を犯したの。そうそう、彼女もね」
 何処からともかく舞夏ちゃんを抱きかかえた繪委さんが現れた。
「彼女のチンポは、これからの儀式の他にとっておかなければいけなかったのよ」
「これからの儀式?」
 沙耶さんの言葉を私が聞き返した時、御守が発動し、私は、またエッチなコスチュームに変身する。
 しかし、ジンは、現れませんでした。
「最後のジン、全てを移す鏡のジンは、私なのよ」
 沙耶さんがそういってマフラーを変化した大鎌を向けてきます。
「全ては、これからの儀式の為の準備、貴女には、新たな世界を産み出す為の母体になってもらうわ」
「新たな世界を生み出す母体?」
 私が復唱すると沙耶さんが説明を始める。
「今まで貴女には、この穢れた世界と、新たな生命を生み出すための行為を見てもらった。その上で、貴女には、ジンと交わる事で、新たな世界の創造をしてもらう。本当だったら、その役目は、私のものだったの」
 沙耶さんが誓唯さんを見る。
「彼と私が交わり、私が新たな世界の母となる筈だった。しかし、彼は、それを拒んだ」
 繪委さんが辛そうに言う。
「新たな世界の創造に関わると言う事は、元の世界を拒絶する事なんだ。誓唯は、この世界を棄てる事が出来なかった」
「愚かな事よ。その上で、そこに居る私の分身と共に生きる道を選んだ。次の世界の創造の母たる者の番となる約束の上で」
 沙耶さんが繪委さんの服を切り裂きました。
 そして、繪委さんが私に迫ってくる。
「済まない。本来だったら、全ては、俺たちが背負う事だった。だけど、これも誓唯を救うためなんだ」
「嫌!」
 私は、拒絶しましたが、体が空中に固定され、動けませんでした。
 沙耶さんに見守られる中、繪委さんのチンポが私のオマンコに触れるのでした。
「させない! 一夏は、この世界から離れられないんだから!」
 舞夏ちゃんが叫んでいました。
「自ら命を絶とうとしたのですよ? 七つの美徳さえ、悪徳に塗り替えられるこの世界に残る事を彼女が望んでいると言うのですか?」
 沙耶さんの言葉に私の脳裏にジンを通し体験した様々な事が思い出されます。
 私の心が折れそうになった時、私の携帯が鳴りました。
 着信は、皐月ちゃんや蛍子ちゃん、未知留ちゃんに他の友達が心配して連絡してくれていることを教えてくれました。
「嫌いな人も居て、嫌な事も多くあります。嫉妬する自分や、ウジウジする自分を嫌悪する事もあります。それでも、そんな私を好きだと言ってくれる人が居ます。だから私は、この世界で生きたいのです!」
「貴女もなのですか?」
 沙耶さんが悔しがる中、繪委さんが離れ言う。
「誓唯もそうだった。そして、その思いは、今も変わらない。新しい世界なんて要らないんだ!」
「そんな訳は、ありません! 鏡に映る世界は、もっと美しくなければいけないのです!」
 沙耶さんの言葉に舞夏ちゃんが立ち上がり、私に近づいてきます。
「世界は、変わります。もっと綺麗な世界になる筈です。だって一夏が居て、そんな一夏を愛してくれる人が居るんだから」
 そして、舞夏ちゃんは、チンポを生やし、私の中に入れて来ます。
「アァァァン!」
「何をするつもりなんですか! 貴女は、既に一度、行為を行っています。二度目の行為を行えば、消えてしまうのですよ!」
 沙耶さんの言葉に私が驚き、舞夏ちゃんのチンポが与えてくれる快感に負けないようにしながら必死に言います。
「舞夏ちゃん、駄目だよ。舞夏ちゃんが消えちゃったら、駄目だよ。アァァァン!」
「良いんだよ、一夏が要れば、私は、何度でも生まれ変われる。だって私は、もう一人の一夏なんだから。行くよ」
 私の中に舞夏ちゃんのザーメンが広がっていきます。
 その熱い思いが私の思考を焼き尽くします。
「イクゥゥゥ!」
 絶頂の中、私は、意識を失うのでした。


 次に目を覚ました時、私と誓唯さんは、何も無い部屋で、一欠けらずつの鏡の欠片を手にしていました。
「俺は、繪委に助けられた。繪委に残されていた、力の全てで俺を元に戻してくれたんだ」
「私もです。舞夏ちゃんが自分の存在を犠牲にして、儀式を終わらせて下さったから、私は、この世界に帰ってこれたんです」
 私は、強く欠片を抱きしめ、涙を流す事しか出来ませんでした。
 そして、私の手には、再び輝きを失った御守が握られていました。


→進む

→戻る

うた∞かたのトップへ