3.■再会と拷問と■

 
「ジョージ!」
「ペギー姉さんっ!」
 特別室の中央には、産婦人科の分娩台をグロテスクにデフォルメしたような拘束台に縛りつけられた若い男・ジョージ松山がいた。たったひとりのペギー松山の肉親である。まだ少年といってもいい若さである。
「ジョージ、大丈夫? 怪我はない? ……生きて、……生きていてくれたのね」
 自分に繋がる者の生きている姿に、思わず熱いものが胸にこみ上げ、ペギーの眼から涙が溢れそうになった。
「姉さんっ、姉さんは来ちゃダメだったんだっ!」
 拘束用の皮ベルトが身体各部に巻かれているが、ジョージは、ほとんど全裸の状態だった。マイクロビキニ状の黒皮パーツが股間を隠しているにすぎない。その部分ですら、押し込められた男性器の容積によって丸々と膨らんでいる。
「それじゃあ、はじめましょう」
ヒュンっ!
 じっと見つめ合う姉と弟を見ていた紅子は、ふたりの間の空気を引き裂くように、乗馬ムチを振り下ろした。
  *    *  
ガラガラガラッ!
 眩しいライトが照らし出す中空に、両腕をクサリで拘束されたペギー松山が吊し上げられる。
「黒十字軍の歓迎フルコースよ。まずはオードブルからね」
 戦闘員ゾルダーが、巻かれた有刺鉄線を手に吊り下げられたペギーに近づく。そして、ゆっくりと有刺鉄線を輪から手繰り出し、ペギーに見せつけた。
「やっ、やめろっ! 姉さんには手を出すなっ!!」
 拘束台に縛りつけられたジョージ松山は、全身の拘束を引き千切らんばかりに暴れるが、拘束台も皮ベルトも、人間の力ではビクともしない。
「うぐっ!」
 おもむろに戦闘員ゾルダーが、鋭いトゲの並ぶ有刺鉄線をペギーの胸乳に押しつける。鋭いトゲが、服や下着の布地を貫き、柔らかい乳房の肌へと突き立った。
「ぐううっ! ぐはっ!!」
 戦闘員ゾルダーは、吊り下げられたペギーの周囲をグルグルと回りながら、その全身に有刺鉄線を巻き付けていく。
ギリギリッ! ギリギリッ!!
 豊かに丸い胸乳の上下を巻いた有刺鉄線が乳肉を絞り出し、押し出された双つの乳峰に谷間を穿つように、さらに有刺鉄線が巻きつけられる。キュっとくびれたウエストを、高く盛り上がった尻や腰を、そして若さで張りつめたフトモモを……。
「ぐうっ! ぐううう〜っ!!」
 白い肌に無慈悲な有刺鉄線がグルグルと巻き付けられ、グイグイときつく締め上げられるたびに、ペギー松山の赤い血が床に滴り落ちた。
「準備が整いました!」
 ペギーの身体に何重にも巻き付けられた有刺鉄線のそこここに、無数の電極コードをセットすると、戦闘員ゾルダーは紅子に報告する。
「やめろ、たのむっ! 姉さんには、僕の姉さんにはっ!!」
 敵に対して嘆願を始めた弟を、ペギーは上官としてたしなめる。
「ダメよ、ジョージ。敵に弱いトコロをみせちゃダメなのよ」 
 その様子を、紅子が面白そうに眺めていた。
「イーグルの甘ちゃんが、よく言うものね。アンタの弱いトコロなんて、とっくにお見通しよ」
 一瞬、モモレ○ジャー・ペギー松山と、ベニレンジャー・紅子の視線が絡んで、火花を散らしたようだった。見透かしたような笑いをペギーに投げて、紅子は乗馬ムチを鳴らした。
ヒュンっ!!
「じゃあ、ヤッて♪」
カチ! カチカチカチ!!
バリッ! バチバチッ!! ビリッ! ビリビリッ!!
「うっく! はうっうっ!! はいっぐぅ!!」
 戦闘員ゾルダーによって、次々にスイッチがONにされると、ペギーの身体がフルフルと細かく震え出し、やがてブルブルと、その震えが大きくなっていく。
「ぐう〜っ! ううっぐっ!!」
 有刺鉄線を通じて流される電流にペギーの身体が痙攣を始め、全身に巻きつけられた有刺鉄線の傷が、さらに抉られた。
「どうせ、すぐ素直になるタマじゃないわ」
 紅子は戦闘員ゾルダーに、さらにパワーアップを命じる。
「うっぐっぐっぐっ! きひぃきっひっひっ!!」
 ペギー松山の身体の表面を、血の河が何本も流れ落ち始める。パワーが上げられ感電による震えが大きくなると、傷口がさらに抉られ、その血の河は増水していくのだった。
「やめろ……、やめてくれ……」
 ジョージ松山の声は泣き声に変わりつつあった。有刺鉄線にグルグル巻きにされて血を滴らせながら、ギクンギクンと電気痙攣する姉ペギーの姿は、イーグルの新兵であり兵士としての経験も浅いジョージには耐えられるものではなかったのだ。
「僕の知っていることなら何でも話すから……、お願いだ……」
 紅子はジョージ松山に近付き、さも面白そうに、その顔を覗き込んだ。
「……わたしたちが質問したいのは、ボクじゃないのよ」


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