EPILOGUE 会いたい・・・PART.2



早川もえみはパリに向かう列車の中にいた。

外にはヨーロッパの美しい田園風景が広がる。その美しさに目をやりながらもえみは物思いに耽っていた。あれから、もう1年近く経つ。新しい夏が訪れていた。













早川もえみは今ジュネーブに住んでいた。

父親の転勤の為、年明け2月から家族3人でこちらに移り住み、こちらのハイ・スクールに通っていたのである。

そして、彼女の恋しい人、弄内洋太も同じヨーロッパ大陸に来ていた。

彼は自分の夢のため、絵本作家になる夢を追うため、パリにいるデザイナーの父親の下に絵の修業に来ていた。彼はパリでデザイン・スクールに通っていた。

二人は日本にいたときのように頻繁に会う事は出来ない。しかし、二人の会う時間が少ない分、逆に会うたびに愛を深めあっていた。













(弄内くん・・・どうしているかな・・・?)

もえみは、もうすぐ恋しい洋太に会える喜びを身体一杯に感じていた。

(早く・・・会いたいな・・・。)

もえみは、この間パリの洋太の元へ行った時の事を思い出していた。

洋太はいつもパリ駅まで、もえみを迎えに来てくれる。



「あっ!弄内くん!!」

もえみは洋太の影が見えると、彼に向かって走っていく。その勢いのまま、彼に飛びつく。

「も・・・もえみちゃん・・・。」

洋太は一寸照れながら、それでももえみを抱きしめる。

そのままもえみは洋太の顔を見上げ、そして瞳を閉じ、洋太にキスを求める。

日本ではとても照れくさくて、人前でキスなど出来ないが、郷に入れば郷に従え、というように二人は人前でキスする事にも慣れてきていた。

洋太の唇がもえみのそれと重なる。

(あ・・・ああ・・・。)

もえみは洋太の唇の下で吐息を吐く。

(嬉しい・・・弄内くん!)

もえみはキスをしつつ、両腕を洋太の首に巻きつけ、さらに激しいキスを求める。

洋太もそれを理解している。もえみの口中にそっと舌を入れていく。

(あ・・・弄内くん・・・!)

もえみも自分の舌を洋太の舌に絡めだす。

洋太も積極的にもえみの舌を絡め尽くす。

(ああ・・・いい・・・弄内くん・・・!!)

もえみの両腕に力が入る。洋太も腕の力を込めてもえみを激しく抱く。

洋太ともえみは強く抱き合いながら、激しいキスを交わす。

長い長いキスの後二人は、唇を離し見つめあう。

「弄内くん・・・会いたかった・・・。」

「ああ・・・。オレも会いたかったよ、もえみちゃん。」

洋太が応える。

「ああ・・・弄内くん・・・好き・・・。」

もえみは洋太の胸に顔を埋める。

会えない長い時間の溝が埋まる瞬間である。二人はいつまでもいつまでもそこで抱き合っていた。













もえみと洋太は、途中その日の食事の材料を買い、そして洋太の住むアパートメントに向かう。

そして、アパートメントに着き、食材をしまうと二人はそのままベッドの上に倒れ込む。

「・・・弄内くん。」

「もえみちゃん・・・。」

そこからの二人には言葉の必要はなかった。

どちらからということもなく、二人は求めあった。

洋太はもえみにキスをしながら、その手でもえみの服を脱がしにかかる。

もえみもそれに逆らう事なく洋太の為すがままにまかせていく。

二人は全裸になっていた。

洋太はその美しいもえみの身体を愛撫していく。

「ああっ・・・・いい・・・・!!」

もえみの身体の中を心地よい刺激が走り回る。それに合わせるかのように、もえみの女性の部分が熱く濡れていく。

もえみの身体に触れる洋太の男性を象徴する部分も、熱く硬くなってきていた。その部分がもえみの身体に触れるたびに、もえみの女性もまるでとろけるかのように熱くなっていく。

「ああ・・・・だめ・・弄内くん・・・・私・・・もう我慢できない・・・。」

もえみは洋太の愛撫に耐えかねてしまい、すぐにおねだりをしてしまう。

「いいの?・・・もえみちゃん?」

洋太は自分も限界が来ているのをわかりつつも、もえみに対し一寸焦らしてみる。

「ああん!・・・弄内くんの意地悪・・・・。お願い・・・来て・・・。」

もえみは洋太の身体に両手を巻きつける。

「行くよ。」

洋太は優しくそう言いながら、もえみの中に入って行く。

「あっ・・・あああ!!・・・いい!!」

もえみは自分の中に洋太の分身が、熱く硬い分身が入ってくるのを感じる。

凄まじいまでの快楽がもえみを襲う。

「ああ・・・・・凄い・・・弄内くん・・・いい!!」

もえみは恥ずかしげもなく声をあげてしまう。

洋太はもえみの中を満喫しながらも、きつい締めつけに耐えられず腰を動かし始める。

「いい!・・・ああ!凄い!!・・・もっと・・もっと強く・・来て!!」

もえみも自ら腰を動かし始める。

洋太もあっという間に頂点に高まっていく。

もえみも同じである。

「う・・・ううっ!いく・・・いくよ!もえみちゃん!!」

「ああ・・・・いいの・・・来て!早く!・・・弄内くん!!」

二人は同時に登りつめていく。

洋太がもえみの奥を激しく突いた瞬間、もえみのそこはキュウッと収縮する。

「うっ!出る!!」

洋太の射精感が一気に高まる。

「いい!来て・・・中に来て・・!!」

もえみが更に洋太を締めつける。

ドクッ!ドクドクッ!!

洋太のモノがもえみの中で爆発する。

洋太の精がもえみの中に注がれていく。

「あ・・・あああああああああああああ!!」

もえみは激しい快感の中にいた。

(弄内くんの・・・弄内くんのが・・・いっぱい入ってくる!!)

もえみは激しい幸福感に包まれる。

(ああ・・・・嬉しい・・・・弄内くん・・・・。)













その後も、もえみと洋太は何度も交わった。

若い二人の体力は疲れを知らなかった。

気付くと、日も暮れはじめている。

もえみは長い抱擁の後、時計を見る。

「ああ・・・もうこんな時間!」

もえみは身体を起こす。

「ごめんね。夕食作らないと。」

もえみは全裸のまま起き上がる。

「うん。」

洋太も体を起こす。

もえみは裸のままキッチンに向かいつつ洋太を振り返り微笑む。

今この瞬間が幸せでたまらないといった表情である。

洋太もそんなもえみに対し微笑を返す。

「一寸待ってね。パッと作るから。」

もえみは裸にそのままエプロンをつけ、キッチンに立つ。

手際よく料理を始める。

そんな後姿を洋太は優しく微笑みながら見る。

そうなのである。二人ですごすときは、彼らは家の中ではいつも裸でいた。それはヨーロッパに越してきてからずっとである。そして、日がな一日何をするでもなく、食事以外の時はずっと身体を求めあっていた。

洋太もベッドから体を起こし、キッチンに立つもえみの後ろに立つ。

裸にエプロンをしたもえみの後姿が目に入ってくる。

もえみは嬉しいのか、鼻歌を歌いながら料理をしている。そのメロディにあわせるかの様にお尻を軽く振っている。

洋太はそんなもえみの姿に見惚れている。

「・・・あん!そんな風に後ろに立たないでよ。なんか恥ずかしいじゃない。」

もえみが洋太に気付き、振り返りつつ、そう言う。

そんな様子が洋太には愛おしく見える。

洋太はもえみを後ろから抱きしめる。

「・・・あん!料理が出来ないよ・・・・。」

もえみが洋太に振り返る。

二人の目が合う。

と、もえみは彼のキスが欲しくなり、それを求めるかのように目をつぶる。

洋太はそんなもえみの柔らかい唇にキスをする。

そして、舌を絡めつつ、もえみのエプロンの下にある乳房に手を回し愛撫を始める。

「あ・・あん!」

もえみの身体が反応する。

「・・・ああ・・・だ・・・だめだよ・・・・・・料理が出来ないよ。」

と云いつつも、もえみは洋太のすることに対し抵抗しない。

洋太はもう一方の手で、もえみの女性の部分に触れていく。

「・・あっ!・・・・だめ・・・!」

もえみのそこは既に濡れ始めていた。

「こんなに濡れているのに?」

洋太が意地悪く言う。

洋太の指がするっと、もえみの中に侵入する。

掻き回すと、クチュクチュと音を立てる。

「ああん!だめ・・・・。弄内くんだって・・・・こんなになっているくせに・・・。」

もえみは自分の臀部に当たる洋太の男性が、熱く硬くいきり立っているのに気付いていた。

「欲しいの?」

洋太はもえみの胸と女性を愛撫しつつ、聞く。

「・・・・んーーー!・・ああ・・・・意地悪・・・。」

洋太は両手をもえみの腰に移動させ、彼女の腰を固定させる。

そして、もえみの中に再び侵入する。

「あ!・・・あああああああああ!」

もえみが快楽の声をあげる。

「いい・・・凄い・・・ああ・・来て・・・来て!!」

もえみの快楽に溺れる声は、洋太にとって至極のメロディであった。

洋太はもえみが求めるように腰を動かし始める。

「あっ・・・はああ・・・・す・凄いの・・・・・いい・・・あああああああ!!」

洋太が腰を動かすだけで、もえみの身体は激しい官能に包まれ、恥ずかしい声をあげてしまう。

もう料理など出来る状態ではなかった。

洋太はもえみを後ろから激しく突いていく。

「ああ・・・だめ・・・・・いっちゃう・・・また・・・いっちゃうーーー!!!」

もえみは挿入されたばかりなのに、すぐ絶頂に行きそうであった。

そんなもえみを、更に気持ち良くさせようと、洋太は腰を使う。

「あああ・・すごっ!!・・・だめ・・・だめ・・・・おかしくなっていくぅぅぅ!!」

洋太が激しくもえみの子宮を突く。

「あっ・・・!ひいいいいいいいいいいい!!」

もえみの全身に激しい電流が流れる。

と同時にもえみのそこが再び収縮する。

その瞬間、洋太ももえみの中でその思いの丈を爆発させる。

もえみの中は再び洋太のモノでいっぱいになっていく。

その瞬間がもえみにとっては至福の時であった。

「・・・ああ・・・・すごい・・・・また、弄内くんので、いっぱい・・・・・・・。嬉しい・・・。」

もえみは洋太とのセックスの余韻に浸りながら言う。

そして、身体を洋太の方に向け、目を閉じ、洋太にキスを求める。

洋太は、そんなもえみの様子に愛おしさを感じつつ、再びもえみの唇に自分の唇を重ねていく。













食事が終わると、二人はまたベッドの上で抱き合った。

身体が疲れて動かなくなるまで、お互いに求めあい交わった。

気付くと、もえみは洋太の腕の中で眠っていた。

激しい交わりで疲れたのか、もえみは夢も見ずにぐっすり眠った。

そして目を覚ますと、洋太はもう起きていたようで、彼の優しい笑顔が眼前にあった。

「おはよ」

洋太が優しく囁く。

「おはよ」

もえみもその笑顔に笑顔で応える。もえみは洋太がずっと寝ずにもえみの寝顔を見ていたかのような感じを受ける。

「寝なかったの・・・?」

もえみが洋太に聞く。

「寝たよ」

洋太はもえみの顔を見るのが幸福であるかのように眺めている。

「あっ!」

もえみは、自分の意識が覚醒してくると同時に、自分の寝顔や起きぬけの顔を見られたことが恥ずかしくなってくる。

「起きぬけの顔は変だから、見ちゃダメって言ってるじゃない!」

もえみはそう云いつつ、顔を隠すように、洋太の胸の中に顔をうずめる。

洋太はそんなもえみを優しく抱きしめる。

「あったかい・・・・・。」

もえみは洋太のぬくもりを心地よく感じる。

このまま、時が止まってくれれば、もえみはそんな事を感じていた。もえみはこの上なく幸福だった。

「今日もずっと一緒にいれる?」

もえみが洋太に聞く。

「もちろん。」

その洋太の言葉がもえみには心地よい。

「嬉しい・・・。」

もえみも洋太にしがみつくように抱きついていく。

もえみの裸身が強く洋太の身体に密着する。

形の良いもえみの胸が、洋太の身体に押し付けられる。

と、洋太の下半身がそれに反応してしまう。

洋太の男性が熱く硬くなっていく。もえみはお腹の辺りに押し付けられた洋太の男性を感じる。

「・・・もう・・・弄内くん、こんなになって・・・・。エッチ・・・。」

しかしそう言うもえみの身体も、それに伴うかのように奥が熱くなっていく。身体がキュンキュンと泣いていた。

「そういうもえみちゃんだって・・・・違う?」

洋太の手が、もえみの女性の部分を触る。

そこはもう洪水のように濡れていた。

「・・・あっ・・・・ああ・・・・。」

洋太の手がもえみのそこに触れると、軽い快楽の波がもえみの中を駆ける。

洋太の指が、もえみの中に入り込む。

「あっ・・・あん・・・・ダメ・・・・・・はああ・・・。」

洋太の指がもえみの中をかき混ぜる。

「ダメ・・・そんな事されたら・・・・また。欲しくなっちゃう・・・・・。」

もえみは自分の女性の部分から湧き起る快美な感覚に身をまかせながら、そんな事を言ってしまう。

「欲しくないの?」

そんなもえみに洋太が聞く。

「あん・・・・もう・・意地悪・・・・・。」

そのもえみの台詞が合図だったかのように、洋太は自分のモノをもえみの中に侵入させていく。

「あっ・・・・あああ・・・・・・はあっ!!」

もえみが声をあげる。

二人は再び激しく抱き合っていく。













パリへ向かう電車の中。

もえみは洋太との淫蕩なる生活を思い出しつつ、うっとりしていた。

(はやく・・・はやく、弄内くんに会いたいな・・・・。会ったら、また裸になって・・・・。)

そこまで思った時点で、もえみはハッと気付く。

(私ったら、なにエッチな事ばっかり考えてんだろう!!)

急にそんな自分が恥ずかしくなり身体が紅潮して行く。

(ああ〜ん・・・もう!・・・・私って・・エッチな子なのかな・・・・。)

もえみは窓の外に目を移す。

ヨーロッパの美しい田園風景が目に入ってくる。

(でも、弄内くんとこんな風になるとは、思ってなかったナ・・・。)

もえみの頭の中に天野あいの顔が思い出されてくる。

(それも、あいちゃんのおかげなのかな・・・?)

もえみの中にあいとの記憶が思い出されてくる。

(あいちゃん・・・・あれからどうしたんだろう・・・。)

もえみと洋太が結ばれたあの日から、天野あいは二人の前から姿を消してしまっていた。

最初は、洋太と二人で、心当たりを探したがあいの姿を見つける事は出来なかった。

「あいちゃんは、もしかしたらもうこの世界にいないかもしれない・・・。」

そのうち洋太はもえみに対し、そんな事を言うようになった。

洋太が言うには、あいは人間ではなく「ビデオガール」という存在だという。

その「ビデオガール」の何たるかは、まるでSF世界の出来事の様であり、もえみには良くわからなかった。ただ、彼女が「再生時間」と呼ばれる限られた時間しか、この世界にいられないという事だけは何となく理解できた。

洋太はもえみに、あいはその期間を過ぎ、ビデオの世界に帰って行ったのだと、言った。

それから、洋太はあいの事はあまりしゃべらなくなっていった。

「あいちゃん・・・・・。」

もえみはあいとの思い出を振り返っていく。

考えてみると、あいはもえみと洋太を結びつけるために現れた存在のような気がした。

もえみと洋太が付き合うようになって、喜んでくれたのもあいだった。

もえみは、あいが洋太に対し好意を持っていただろうと感じていた。なのに、付き合い始めた2人を応援してくれた。そして、もえみと洋太が心も身体も結ばれたあの日、そうあの日から、まるで自分の役目は終わったかのように二人の目の前から消えて行った。

(あいちゃんは・・・弄内くんは「ビデオガール」と呼ぶけど・・・私には、私が弄内くんと結ばれるようにしてくれた「天使」なのかと、思う・・・。)

もえみがそんな思いに耽っている時、もえみは心の中であいの言葉が聞こえてきた。

「もえみちゃん。」

それは確かにあいの声に聞こえた。

「あいちゃん!!」

もえみは思わず立ち上がり、あいの姿を列車内に探してしまう。が、当然その声の持ち主は見つからない。

「もえみちゃん・・・ヨータといつまでも仲良くな・・・。」

あいの言葉だった。

姿は見えないが、確かにあいの声ともえみは思った。

(ありがとう・・・・ありがとう、あいちゃん・・・。)

もえみは心の中で、あいに対しそう応える。



もうすぐパリに着くアナウンスが列車内に流れてくる。

(ああ・・・・。)

もえみの心臓が高鳴ってくる。

(もうすぐ・・・もうすぐ、弄内くんに会える・・・!)

もえみは席に座り直す。

(ああ・・・・なんでもいい・・はやく、はやく・・・弄内くんに会いたい!!)

もえみの想いを乗せ、列車はパリに向かって走っていく・・・。













END


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